ジョージ |
あのね、昔ね、
すごい光景を見たことがあってね。
あのー、前髪を、ホット・カーラーとか、
あの、んと・・・ |
ノリスケ |
あの、丸い、ロット? |
つねさん |
ロット。で、キューンって上げるのが
流行ったでしょう?
あの、みなが、あの、
逆三角形みたいな服を着ていた時代。
荻野目洋子のような時代。 |
ノリスケ |
80年代。はいはい。 |
ジョージ |
あの時代に、あのー、ま、ちょっとね、
ハワイに参りまして、一番前の方に座ってて。
んで、ん、その当時のJALって、
前がFで、すぐ後ろがYだったんだよ。
んで、2階がCだったころがあって。
で、そんときに、トイレ行ったの。
で、トイレ行ったら、もう、
後ろのキャビンからすっごい臭いがするんだよ。
あの、シンナー臭がするんだよね。 |
ノリスケ |
あの、鼻にツーンとくる。 |
ジョージ |
そう。で、どうしたんだろう? って、
こーやって見たら、女たちがいっしょうけんめい、
除光液でね、ペディキュアとかマニキュアとか、
とってるんだよ。 |
ノリスケ |
ペディキュアまで。
要は、その、南国モードに
しなきゃいけないから、
今までのペディキュアだとかとってんのね。 |
つねさん |
でも、それってさー、
最初からとっとけ、みたいな感じだよね。 |
ノリスケ |
成田までは別の戦闘状態なのよ。 |
ジョージ |
すごかったんだよ。
いやーっ! と思って。
クラクラしながら、戻ったの。
やっと、機内が暗ーくなって、
で、ま、臭いも収まって。
後ろもシーンとして、も1回トイレ行って。
トイレ近くなるのよね、飛行機に乗るとね。 |
つねさん |
そぉ? |
ジョージ |
で、ちろっと見たら、
寝てる女たちが、
みんなロット巻いてんの(泣)。 |
ジョージ |
も、すーごかったよ。
いかに間抜けですっさまじい景色か?
ワン・キャビン50人くらいいる中で、
30人くらいがロット巻いてるんだよ。 |
つねさん |
すごーい。 |
ノリスケ |
3D映画のサングラスみたいじゃない。 |
ジョージ |
そう、ほんっとにそんな感じ。 |
つねさん |
面白いねー。 |
ジョージ |
もう驚き。だから、人って、面白いもんね、
みんなね、自分のスキなく完璧な状態を
見てほしい人には見てもらいたいと
思ってるくせして、
自分が力抜いて、どうでもいい状態は、
誰も見てないだろうと思ってるんだよ。
違うの、逆なの。 |
ノリスケ |
見てほしい人は、見てくれなくて。 |
ジョージ |
だいたいそう。
完璧な状態にしたときに限って、
誰も見ないんだよ。
力抜いたときをめいっぱい見てるわけだから。
もしそん中に、どゆのかな? んー・・・ |
つねさん |
年収5千万くらいで、って? |
ジョージ |
そ、年収5千万ぐらいの人が、
こやって見てるのかも知れないんだよね。
で、1人だけロットも巻かずに? |
ノリスケ |
リンと。 |
ジョージ |
そう、リンと座ってたら、
あ、あの女〜、と思うかも知れないんだけど、
ま、ないわな、ぜったい。 |
ノリスケ |
いや、ぜったいとは言わないよ。 |
ジョージ |
ほんっとに、ほんっとにね、
女っちゃ、すごいと思うよ。
でもー、たとえば山手線の中で、
何は許されて何は許されないの? |
つねさん |
んとー・・・ |
ノリスケ |
ほんと言うとね、
女性の居眠りもあんまり、
して欲しくない・・・
上向いて口開けてる女の人は、
ちょっとどうかと思う。 |
ジョージ |
やだよねー。
あと、香水の強い女ね。
あれって、なんであんなに強くなるの?
といっても、お風呂に入らないのもダメよ。
あと、髪の毛洗わないのもダメ! |
ノリスケ |
不衛生に見える人は嫌だね。 |
ジョージ |
あと、マンガ読むのは?
レディース・コミックは
絶対やめたほうがいいよね。 |
ノリスケ |
雑誌はいいけど、
マンガはやめたほうがいいんじゃない、と思うな。 |
ジョージ |
ウォークマンは? |
ノリスケ |
ウォークマンはインナー・イヤー式の
聞こえないタイプならいいかな? と思うけど、
シャカシャカ聞こえたら困るな。 |
ジョージ |
えーっと、じゃあ移動中、なにしてる?
電車で移動するとき。 |
ノリスケ |
本読んでる。 |
つねさん |
ごめん、僕ウォークマンしながらマンガ読んでる。 |
ジョージ |
はぁ〜っ! 息が止まっちゃう〜ぅ。 |
ノリスケ |
いっしょに乗ったときは、
そんなことしないでしょ? |
ジョージ |
してるよ、たまに。この人。 |
ノリスケ |
へっ? |
つねさん |
でも、あれ、パラッて読むくらいじゃん。
さすがにウォークマンしないよ。 |
ノリスケ |
僕はむかしね、雑誌読むならいちおう
男性誌か週刊誌と思ったけど、
このごろ女性誌へいきで読んじゃうんだよね。
VOGUEとかFigaroとか。 |
ジョージ |
女性誌ぜんぜん大丈夫だよ。
横須賀線で通ってたときに、抱えて乗るのって……
「別マ」とか「LaLa」とか。 |
ノリスケ |
マンガじゃないの! |
ジョージ |
そう、むかしはね。
それから「with」「Lee」。
いいでしょ? 集英社の時代よ。 |
ノリスケ |
OL雑誌じゃない(笑) |
ジョージ |
そうそう。 |
つねさん |
「花ゆめ」も入れなさい、あんた。 |
ジョージ |
(笑)だって、男の子のマンガとか雑誌とかって、
ペラペラってめくると、すぐ読めちゃうんだもん。
女の子のは、情報量がものすごく多いから。
だから、得したような気持ち? |
ノリスケ |
なるほどね(笑) |
ジョージ |
そんなワタシが言うのもなんですけど、
ほんとにね、あの、最近の若い子たち、
って言うとおばさんになっちゃうんだけど、
勉強しないじゃない? |
ノリスケ |
うん。 |
ジョージ |
で、得にね、本を読まないのってね、
ぜったいにいけないと思うの。
むかしの、ほんとに、昭和の戦後直後くらいの、
日本の小説って、すっごいしっかりしてるもの。 |
ノリスケ |
うん。 |
ジョージ |
で、その、ちょっとした仕草とかさ、
ちょっとした、その、洋服の着かただとか、
あの、こういう場面でタバコを吸って、
男からふられる女の話とか、
逆に、2泊3日で京都旅行して、
ずーーーっと、その、居住まい正しくリンとして、
スキも見せなかった女の人が、
帰りの新幹線の中で、最後に
一服ちょうだいしてもいいかしら? っつって、
あのー、ハンドバッグの中から、
細巻きのタバコ出してきて、
ほんとにおいしそうに吸ったっていう、
それだけで男が魅かれたりとか、する描写とか、
けっこういっぱいあるんだよ。
そゆのをね、いっぱいいっぱい読むと・・・ |
ノリスケ |
勉強する機会になるよね。 |
ジョージ |
そう、絶対いいと思うなー。 |
ノリスケ |
谷崎読むってこと? |
ジョージ |
ん〜、谷崎読むと、
すぐ股開かなくちゃいけなくなるから。 |
ノリスケ |
森茉莉? |
ジョージ |
うん、あのね、破滅型レズ系の作家が書いた小説か、
ナルシスト系オカマが書いた小説か、どっちか。
そうすっと、もう、三島と森茉莉のどっちかよ。 |
つねさん |
ハハハハハ。 |
ノリスケ |
ねえ。 |
ジョージ |
これは、すんごい勉強になるの。 |
ノリスケ |
でもね、山田詠美だったら、
同じようにリンとなるわよ。
おすすめよ。
ハンドバッグに詠美の文庫本。
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(つづきまっす)