つねさん |
僕はだから、サラリーマンだったころは、
自分をさらけ出さない程度のウソついてたんで、
男社会でも仲間でいられたんだよね。
うすうす、ホモかなーと 思われてたと
思うんだけど、
端々で出てたんだろうけど、言わないでくれた。 |
ノリスケ |
それって、ちょっと辛くない? |
つねさん |
んー、べつにどうでもなかったー。 |
ノリスケ |
だんだん面倒臭くなんなかった? |
つねさん |
いや、なんなかったよ。 |
ノリスケ |
率直な意見を言いたいときに、
ゲイであることに根差した意見の方が、
自分にとっては真っ正直なんだけど、
それが言えないことが、
カミングアウトしてないときの仕事では辛かった。 |
ジョージ |
だから、んーと、友だちをどれだけ作るかだよね。 |
ノリスケ |
うん。 |
ジョージ |
あのー、男と女で良い友だちに
なれることもあるわけじゃん?
セックス抜きで。 |
ノリスケ |
あるある。 |
ジョージ |
それとおんなじように、
男同士でセックス抜きで
良い友だち……っていうのも変だけどもね(笑)、
ゲイの友だちもできるんだよ。
だけど、今までのゲイの人たちって、
それを怠ってきたような気がするんだよね。 |
ノリスケ |
は〜。 |
ジョージ |
で、このまえね、たまさか、博多行って、
取引先のオジサンたちと飲んだのね。
クラブのおねえちゃんには、なんかせまられるし、
ちいママから人生相談受けちゃったりと、
モテてたら、一緒に行った取引先の何人かが、
ものすごく盛り上がって、
これから、じゃ、フーゾクに行くぞー、
ジョージさんも一緒に行きましょうって。 |
つねさん |
あ、やっかいなことになってきたぞー。 |
ジョージ |
そう、ちょっとボクは困って。
そん中で僕のことを知ってる人がいたんだよ。
ゲイだってね。
その人がちょこちょこちょこっとどっか出てって。
そしたらボクの携帯が鳴ったんだよ。
携帯鳴ったら、その人の携帯から
電話がかかってて。
「あたしね、リカコー。
これから同伴よろしくお願いしまーす!
グランドハイアットのお部屋で
待っているということで、よろしくねー」
プチっと切って。
んで、ニコニコしながら帰ってきた。 |
ノリスケ |
え? どゆこと?
ジョージさんをフーゾク行きから救うために、
その男の子が、一計を案じて、
女の子が同伴してっていう
ウソの口実電話をくれた? |
ジョージ |
そう! |
ノリスケ |
偉いなー。 |
ジョージ |
で、ニコニコしながら戻ってきて、
わざと、「今の電話、何だったの?」
っていうから、
「え、あ、ちょっと・・・」
「まったまた、部屋に待たせてあんだろ?
いっつもそうなんだからジョージさんは!」
って、ことで、お開きになったんだよ。
助かった! |
ノリスケ |
すご〜いね〜! |
つねさん |
いや、いいねー。仲間だねー。 |
ジョージ |
うん。そういうの仲間でしょう?
ホモだのノンケだの関係ない、友情でしょ? |
ノリスケ |
関係あるようなないような。すごいね〜。 |
つねさん |
素敵。 |
ジョージ |
そういうの仲間でしょう?
僕もその人が田舎から出てきて、
奥さんには僕と仕事だと言って、
じつはおねえちゃんと遊びに行ってても、
僕はその会社とか奥さんから、
僕の携帯に電話がかかったら、
「あ、つい先ほどまで、
打ち合わせで盛り上がっておりましたっ!」
って言ってあげるの。それが、仲間だよね。 |
ノリスケ |
アハハハハハ。それが男なのか!? |
ジョージ |
そ、かばいあい、利用しあい。んだよー。 |
つねさん |
いやー、ちゃんと気づかって。 |
ジョージ |
そう。ま、あとは、
持つべきものは女の友だちよね。 |
ノリスケ |
そりゃそうだ。もう、これは。 |
ジョージ |
女の友だちだれ? |
つねさん |
今いないんだよ。 |
ジョージ |
ふ〜ん。 |
ノリスケ |
ぼく男女同数ぐらいになってる(笑)。 |
ジョージ |
女の友だち、がいると、
ホルモンバランスが安定するよね。 |
ノリスケ |
そうか、たしかに安定する(笑)。 |
つねさん |
あ〜。 |
ノリスケ |
向こうもそうみたいよ。 |
ジョージ |
安定する。だって、人間は、
男も女も女性ホルモンと
男性ホルモンを持ってて。
で、男なのに周りに女がいないと、
女のホルモンがもらえないから
自分で女のホルモンを作ろうとしちゃうんだよね。
で、どんどんどんどん女になってくんだよ。 |
つねさん |
ひゃっ。ホモの友達ばっかりだと
そうなっちゃうの??? |
ジョージ |
で、それの典型的なのが、
ゲイバーのママたち? |
ノリスケ |
なるほど。 |
ジョージ |
あれは、男だけどもオカマが商売だから、
自分で女性ホルモンを
どんどんどんどん出してるんだよね。 |
つねさん |
そうだよねー。いつの間にか変わってくるよね。 |
ジョージ |
そう。だから、あの人たちが
街を普通の男の格好して歩いてても、
あ、二丁目のママだ、ってわかる、
ドクトクのホルモンを振りまいてるんだよ。 |
つねさん |
そっかー。 |
ジョージ |
で、逆に、女で、その、
女の友だちとばっかり一緒にいて、
男の友だちとか男の関係がないと、
どんどんどんどんなんか、
女の繊細さをなくして
男のがさつさ、が身に付いてくるよ、
男性ホルモンだして。 |
ノリスケ |
アッハッハッハ! バランスだね。 |
つねさん |
それ面白いね。 |
ジョージ |
絶対そうだよ。 |
ノリスケ |
すると、女友だちがいたほうが、
ゲイは、普通でいられる。 |
ジョージ |
普通にゲイでいられるの。 |
ノリスケ |
ゲイでいられる。 |
ジョージ |
普通の良いウソがつけるの。 |
ノリスケ |
そそそそ。 |
ジョージ |
だってー、ほんとの女を横に置くとさ、
自分の“なりそこないの女の部分”が
恥ずかしくなるもんね。 |
つねさん |
あ〜。 |
ジョージ |
だけど、こんなの、
おんめー女なんだから、
もっと女らしくせーや、みたいなのも、
気がつくけどね。 |
ノリスケ |
そそそそ。反面教師ね。 |
ジョージ |
で、それはそれで、
言ってあげればいいんだよね。 |
ノリスケ |
股開くなっ!(笑) |
ジョージ |
あぐらかくな。 |
ノリスケ |
そう(笑)。 |
ジョージ |
そんなのもね、ある。
いや、ほんとにね、
1コミュニティ1オカマっていう制度を、
日本に作るといいかも知んないよね。 |
つねさん |
1家に1台、みたいな? |
ジョージ |
1家に1台、は、
ちょっとじゃまかも知れないけどねー。
女友だちできるとね、
適度な緊張感が体に湧くよ。
彼女たちがたまに言う、
「男なんだから」っていう言葉は、
すごく重みがあるしね。
自分の仕事に責任を持てだとかね。
あと、あ、こいつ、女だったんだ、って、
思った瞬間にね、
やっぱお腹ペコンとへこめようかな?
って思ったりなんか、するからね。
これ、色気だよ。そのー、
セックスにつながるわけじゃないんだけど、
やっぱ、色気、だよね。
男としての自分を思い出すよ。 |
つねさん |
芸能界とか劇団の子でもひっかけよっかな? |
ジョージ |
やめなさい、あれは女じゃないから。
性別がオンナならいいってもんじゃないの。
人としての女を手に入れないと。
芸能人と呼ばれる人たちは、
やっぱり男でもなく女でもなく、だね。 |
ノリスケ |
うん。 |
ジョージ |
と思うよ。だから、面白いのがね、
たとえば藤原紀香にしたって、
松嶋菜々子にしたって、
そういう普通の芸能人の女の子が、
10人並んだ中に、叶姉妹が2人入ると、
どっちが女か? っていったら、
叶姉妹が女だもんね。
で、どっちが美しいかは、べつだよ。 |
ノリスケ |
うん。 |
ジョージ |
で、どっちがセクシーか? とか、
どっちと寝たいか? とか、
そういうこと全て別にして、
どっちが女か?っていうと、叶姉妹が女だもん。
不思議だよ。おんなじように、俳優10人並べて、
その横に土方のおじさんひとり置いたら、
どっちが男か? |
ノリスケ |
っていったら、土方のおじさんだよな(笑)。 |
ジョージ |
でしょう? |
つねさん |
じゃ、叶姉妹は土方のおっさんかー! |
ジョージ |
あ、そうだよー。 |
ノリスケ |
女社会における土方の・・・。 |
ジョージ |
そう。 |
つねさん |
シンボルなわけね? |
ジョージ |
と思う。 |
ノリスケ |
だから、要するに、
男性性が土方だとしたら、
女性性は叶姉妹だと。 |
ジョージ |
男のシンボルが、んー、
汗とどんぶり飯いっぱい
バカバカ食うということと、力と、んー・・・。 |
ノリスケ |
根性と? |
ジョージ |
そうだね。だとすると、
その象徴は土方で。で、女の象徴が・・・。 |
つねさん |
優雅で、ゴージャス? |
ジョージ |
優雅かどうかわかんないな。
あの、すべての心の拠りどころと価値観を、
男にゆだねているという性であるとするならば、
それは叶姉妹だよ。
だって、叶姉妹は、
叶姉妹自身が作り上げたのでなくて、
男の欲望が作り上げてる叶姉妹だからね?
こりゃ女だよ。ま、こういうことを、
男が言うと、反発を食らうんだけど、
オカマが言ってるっていうことはね〜。
じゃあ、オカマ性って、何なんだろう?
・・・つくづく情けないよね。
どこにも居場所がないっていうのが
オカマ性なんだよね。ね?・・・ね? |