ジョージ |
なーんか、ゴメンナサイね、
不幸話はやっぱり私たちには合いませんでした!
ちょっと話が戻るんだけど、
こんなウソついたことあるのよ。
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ノリスケ |
戻るって、前に話したテーマじゃないの!
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ジョージ |
そーよ、いいじゃない、……あのね、
カミングアウトしたときに、
「自分は女もできる」って言ったの!
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つねさん |
それ、大ウソじゃん(笑)!!!
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ジョージ |
そーーおなのよ!
あのウソはね、ほんっとに大ウソだと思う。
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ノリスケ |
ぼく、最初にカミングアウトしたのって、
友達の女の子とドライブしてて
「ノリスケさんの好きなタイプって、
どんな女の人なの?」ってきっかけだから
そのウソはつかずにすんだな。
「女じゃないの」って、
勢いで、正直に言っちゃったの。
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ジョージ |
結婚の話がでたのね。だから
「すいません、ゲイだから結婚はできません」
とは言ったけど、
「でも、女も大丈夫」
っていうのが、もう、最期の砦だったのよ。
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つねさん |
あー、うん。
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ノリスケ |
言い訳として。
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ジョージ |
女に一切興味がありません、
って言ったら・・・。
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つねさん |
みんな引くよね。
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
みんな引くよ、ほんとに。
だから、女も男もできるんです、っていう、
この部分が多分ね、
いままでついたウソのなかで、
最も罪深いけど、
最も効果的で良いウソだったと思うよ、未だに。
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つねさん |
それって他人へのカムアウトの話よね。
親には?
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ジョージ |
できない、って言ったよ。
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つねさん |
あ、そこでは言ったんだ。
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ジョージ |
言った。でも、ウチのオヤジは、真顔で、
ほんっとにできないのか?
って訊いてきたよ。
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つねさん |
なんて返したの?
「じゃあ父さん、できるの、男と?」って?
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ジョージ |
うん。
「父さん、男のおシリに、キスできる?」
って聞いたの。
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ノリスケ |
すごい聞き方(笑)。
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ジョージ |
すごい聞き方でしょう?
これ、本末転倒だと思うんだけど。
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つねさん |
こわい親子(笑)。
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ジョージ |
そしたらウチのオヤジが、
すんごい哀しそうな顔して、
「…………無理だ。
いい、ガマンするな」
って言ってくれたの。
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つねさん |
アッハッハッハッハ!
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ノリスケ |
いい話ねえ……。
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ジョージ |
いい親だわ、って思った。
親にはいちおう
カミングアウトしていないあんたたちは、
上手にウソをつき通してるんだよね。
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つねさん |
うーん、親に結婚しろって言われるでしょ?
彼女いるか? とかって言われると
ウソついちゃうよね。
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ノリスケ |
より穏やかに生きるためにつく、ウソね。
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ジョージ |
でも、考えてみたら親も優しいよね。
たわいもないウソで答えられるような
質問しかしないから。
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ベス |
まあね。
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つねさん |
でも、相手が死ぬまで、
ウソをつかなくちゃいけない、
っていうのは、
ちょっと苦痛ではあるけどね。
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ジョージ |
でも、ウソとも言えないのよね。
「彼女いるのか?」「いない」。
ホントだもん。
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つねさん |
ウチは、きょうだいが全員結婚してて、
あとはおまえだけだ、みたいになるわけじゃない?
世間的に、今しない人って増えてるから、
そこらへんで誤魔化せてはいると思うんだけど。
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ジョージ |
でも、ホントのことを言うのが、
親切とも限らないしね。
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つねさん |
そうそうそうそう。なんでもそうじゃん。
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ジョージ |
そうだね。考えてみたらあれだよ、
夫婦とか恋人の間でつくウソと、
そうじゃない人との間でつくウソは違うよね。
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ノリスケ |
そうね、今いっしょにしちゃったけどね。
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ジョージ |
ホントは別だよね。
恋人同士でつくウソってさ、
やっぱり恋人とか夫婦とかの関係を
つつがなく持続させるために・・・。
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ノリスケ |
それは、たわいもないウソをつくよ。
ご飯どうしたの? 一緒に食べる?
って言われたら、
「あんまりおなかすいてないよ」とか。
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ジョージ |
ぜんぶ正直に言ってしまうと
めんどくさくなることって、
いっぱいあるのよ。
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ノリスケ |
実は楽しくおいしく食べてるんだよ、
会社でみんなと。
だけど、そうは言えないから、
うん、カップラーメン食べたから
僕はいいや、って言ったりしちゃうのね。
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ジョージ |
それはいいことだよ。でもそれってさ、
一回ついたらつき通さないと
いけないことなんだよね。
憶えとかないといけないの。
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ノリスケ |
そうだよね、そうそうそう。
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つねさん |
ウソはつき通さないといけないよね。
つき通せないウソだったら、つくなっていう。
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ジョージ |
ね? あん時、カップラーメン
食べたんじゃなかったんだっけ?
って言われると、あーちゃーって。
そうすると、そっからまた新たなウソを
作り出さないといけないんだよ。
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ノリスケ |
ふぇ〜ん、ややこしくなるよ〜。
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ジョージ |
で、ウソにウソを重ねていくと、
自分の周りに地雷がいっぱい
埋まってくようなもんで。
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ノリスケ |
歩けなくなっちゃうね。
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ジョージ |
気がついたら踏んじゃうんだよね。
僕、昔はもう、人間関係はどうでもよくって……
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つねさん |
地雷しか作ってなかったの?
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ジョージ |
地雷っていうか、
僕が昔ついてたのは、
タイトなブッキングを
上手にすり抜けるのウソなの。
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ノリスケ |
上手に言うね、あなたもね。
タイトなブッキングって(笑)。
二股とかっていうことでしょう?
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ジョージ |
そう。誰かとご飯を食べに行って、
んで、ちょこっといたしまして・・・。
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ノリスケ |
ちょこっとか(笑)。いたすのか。
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ジョージ |
そう、ちょこっとなの。
だって、次にもやんなきゃいけないから。
で、ちょこっといたした後で、
「あ、ごめん、このあと
打ち合わせが入ってるんだ。
大切な打ち合わせの前の時間に
急に会いたくって、
時間わざわざ作って来ちゃった、ごめんね!」
とかって言うと、
彼は彼でハッピーなわけじゃんっ!
どうよ? それで、ダァーーーッて
次んとこ行って。んで、
「あ、ごめんごめん、
打ち合わせがちょっと長引いちゃって」。
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ノリスケ |
…………。
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つねさん |
いろんな意味で「うまい」よね。
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ノリスケ |
あの、「たくみ」って字を書くのね。巧い。
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つねさん |
そうそう。「たくみ」と「おいしい」っていう意味。
巧くて美味い。
そういうことしてるとバチがあたるのよね。
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ジョージ |
そう、ほんとうの打ち合わせとかが
間に入ってるのを忘れちゃったりとかするんだよ。
ありゃー、とかっていう。
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つねさん |
そりゃマズイよ(笑)。
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ジョージ |
で、これは・・・みなさん、やめましょ(笑)。
あ〜はぁ〜、やるなら、死ぬ覚悟で。
自分の人生をかけて。
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ノリスケ |
ジョージさんさあ、そういうアナタだけど
不幸な目に、酷い目には遭ったことないの〜?
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つねさん |
男関係で。あるでしょ。あるわよね?
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ジョージ |
あるっちゃ、ある。
でも、別に不幸じゃないもん。勝ったもん。
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ノリスケ |
聞かせなさい!
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ジョージ |
脅迫だとか死んだ猫が洗濯機に入ってるとか?
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(ん? もう一回つづきます)