ジョージ |
やっぱりお馴染みのお店で
ご飯食べるのが楽しいよね。 |
ノリスケ |
そりゃそうだ。 |
ジョージ |
そうだよね。で、お店の人から、
お馴染みさん扱いされるのって、
すごく幸せだよね。 |
ノリスケ |
幸せ、幸せ。 |
ジョージ |
で、心ある人は、みんなそういうふうに
自分がなりたいって、思って、るよね?
ということを前提に。
こういうことをすると、
絶対、常連にはなれません講座。
常連って、回数行ったら
常連になれると思いますか? |
ノリスケ |
いや、違うんじゃない? |
ジョージ |
とあるお店で、毎週のように、
下手をすると、2日おきとか3日おきに、
ひとりでやって来るご婦人がいらっしゃいました。
そのお店、あの、座ると、
どんなに安くっても、
たぶん1万5千円ぐらい
かかっちゃうお店なんですけれども、
まず、あの、高級な洋風のレストランにですね、
女がひとりでやって来るということ。変でさね。 |
ノリスケ |
まあ、そうでしょうね。 |
ジョージ |
変でさね。
でも、ま、いいでしょう。 |
ノリスケ |
事情がおありかもしれない。 |
ジョージ |
事情がおあり。お座りになります。
お店の方に、何をお召し上がりになりますか?
って言われても、何が食べたいとか、
おっしゃいません。 |
ノリスケ |
なんで?(笑) |
ジョージ |
お任せします。っていうのよ。
ま、悪くはないですね。悪かない。 |
ノリスケ |
おまかせっていうのは、ありだからね。 |
ジョージ |
ええ、悪かないですよね。
それで、料理が出てきます。
出てくるすべての料理にですね、
レモンかけます。
しかも、あの、マイ・レモンをですね、
持って来られてですね、
ジャバジャバかけます。
たとえそれがグラタンであっても、
たとえそれが、もう十分に酸っぱい
サラダ仕立てのマリネであっても、
ジャバジャバレモンかけます。
ちょっとマズいでさあね。
続いてですね、ちょっとお気に召さない
料理が出ることもあるみたいなんですよ。 |
ノリスケ |
お任せだから。 |
ジョージ |
ええ。そうすると、
口の中に入れた物をですね、
そーっとカバンの中から、
ティッシュ・ペーパーをお出しになって、
その中に吐き出して、
もう一度カバンの中にお戻しになるんだそうです。 |
ノリスケ |
すごーい(笑)。 |
ジョージ |
ね? でね、この方、
都合100回くらいいらっしゃったって
いうんですけども、お店の人がですね、
「止めて下さい、もう二度と来ないで下さい、
あなたが来ると、私の料理がかわいそうです」
って言って、もう、
お店の敷地の中に入ることすら、
許されなくなったそうです。
どうでしょう?これ。 |
つねさん |
ひとつ。 |
ジョージ |
ひとつ、常連になるには、
回数が大切なのでは、ない! ね? |
ノリスケ |
だって、そういったら、
マクドナルドにも常連がいるものね。 |
ジョージ |
そう。だからね、たった1回でも、
常連になろうと思えばなれるんだよ。ねー?
んでね、さっき言ったように、
そのお店にふさわしくない
格好してくる人っていうの、
絶対に常連になれないよね。
んで、あの、その、
ふさわしくない格好をしてきたですね、
顔はキレイなんだよ。女の子、ふたり。
ひとりはね、けっこうお金がかかってんの。
顔に。あごと鼻かな?
うん。かなり出来上がってるわけ。 |
つねさん |
あ、お直ししてるのね。 |
ジョージ |
それ。もうひとりはね、
まだね、お金をかけるだけの余裕がない女の子。
うん。と、頭の悪そーなね、
代理店系かねテレビ局系。のね、
役職Dと役職ADのセットみたいな感じ。よ。 |
ノリスケ |
ガツガツしてますね。 |
ジョージ |
それ! それそれそれ。それ。
そんでね、男はね、いいの、
もうそのお店にね、連れてきたことで、
もう、役目は果たせてるわけ。
女の子的には、
男にはバカにされたくないわけよね。
おねだりしてタダ飯を食う女に限って、
男に従属したくない。
あんたの主人はわたしなのよ。
あんたは金を出せばいいのよ、
料理を選ぶのはわたしなの。
なぜなら、わたしの方が、
こういう高級な、たとえばイタリア料理なら
イタリア料理のことは、知ってるのよ。
任せなさい。
そういう感じなのね。
で、マダムが近づいてきました、ツカツカツカ。
何がお召し上がりになりたいの?
はじめてだよね、その女の子はね、
そのお店に来るのはね。
でね、なんて言ったか。
「わたしはあんまりお腹が空いてないので、
それに太りたくないですから、
サラダみたいなのを食べたいんですけど」! |
ノリスケ |
ええっ? |
ジョージ |
もう、マダム、カチンと来てるわけだよね。
腹減ってないってか?
うちに来るのか? それでも。みたいな。
んでもね、気を取り直して、お客様だから。ね?
精一杯の誠意を持って、
あ、それなら季節のイタリア野菜がありますんで、
それは、あっさりとビネガーと
オリーブ・オイルで、って言ったら、
「あ、私そういう
月並みなサラダは食べたくないんです」。 |
ノリスケ |
そいつ殺す。 |
ジョージ |
「もっと変わったの、ないんでしょうか?
特にあの、油とお酢で
ちょこちょこっていうのは、なんかぁー」
って言ったとたんに、
もうマダムの顔、大魔神よ、大魔神。
マダム、どう言ったと思う?
「あら、あなた、じゃ、マヨネーズが好きなの?」 |
ノリスケ |
あー、格好いいー! |
つねさん |
で、その女の人は何て言ったの?
もう「出てけ」って言われてるようなものよね。 |
ジョージ |
んーもう出てけ、でしょう? なのに、
「マヨネーズは体にちょっとぉ…だから、
あの、お任せしますんでぇ、
おいしいサラダ作って下さい」って。
どんなの出てきたと思う?
角切り野菜に、
塩コショウ振っただけのものが出てきたの。 |
ノリスケ |
「帰れ」だね。 |
ジョージ |
すーごいでしょー?
も、そのあと、ぜんぶその調子なんだよ。 |
ノリスケ |
ついでに角切り野菜にひとつずつ
楊枝刺したら良かったね(笑)。 |
ジョージ |
パスタはどうしましょう?
って言うと、
「んー、ボンゴレえ」。 |
ノリスケ |
アハハハハ。 |
ジョージ |
ほーっ! ボンゴレかいっ! |
つねさん |
いいねー。 |
ジョージ |
んで、マダム、
「ロッソ? ビアンコ?」
「何ですか? それ?」
「ビアンコっていうのはね、白いの。
ロッソっていうのはね、赤ってね、
何で赤いのか、わかります?」
って言ったら、女の子が、
「トマトですかあ?」
「あら、よく知ってるじゃない。
で、どっちにするの? 白いのね?」
って。そしたら、
てんこ盛で出てきました。
見たことないような大盛り。エサ。どさーっ。
も、「帰れ」。 |
ノリスケ |
ひとり500グラムぐらい(笑)? |
ジョージ |
そんときに、僕たちとその人たちが、
おんなじように入店したんだよ?
僕たちは、3時間いたんだけど、
その人たちは、1時間20分で放り出されたの。
いい話でしょう? |
ノリスケ |
いやー、いい話だ。 |
ジョージ |
ね? 教訓。
いいお店の常連になろうと思ったら、
とやかく、自分の専門知識を口に出さないこと。
ね? それ以上に専門的な人が働いてます。
続いて、自分が、食べたいものを、
あれこれ言うのはやめなさい。
お店の人に、今日は何が美味しいんですか?
何を食べさせていただけるんですか?
って聞くのが常連になる第一歩。
あれが食べたい、これが食べたいって
言うんだったら、
それを食べたいお店に行きなさい。
ということになるんだよ。
|
(そうねー。つづきます)