APPLE
新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

旅とごはんとおしゃれに関する年始の雑談。その3
クールでヒップ、ってのをしてみましたっ。

ジョージ 海外旅行の時は、旅行する前に
シミュレーションするの。
そのシミュレーションも
自分達のシミュレーションじゃないんだよ。
要は旅行ってバーチャルな
自分の人生を作るようなもんでしょ?
ノリスケ うん。オシャレと一緒だね。
ジョージ そう。で、僕という人が
海外に行ってどうしようって思うと、
どんどんどんどん現実的になっちゃうんで。
ノリスケ うん。
ジョージ 例えば、僕がエージェントの
会社を経営していて、
架空の20代くらいの男の子の社員と
ものすごいビッグビジネス
持って来てくれそうなお客さんと
一緒にニューヨークに行くとしたら、
どういうかっこして行って
どういうホテルを選んでって
いうふうに考えると、
すっごいおもしろーい
ツアーパッケージができるの。
僕個人的に行く時には
絶対Wには泊まらない。
ノリスケ フォー・シーズンズとかそっち系だよね。
ジョージ 特にビジネスで泊まる場合には
Wに泊まってますって言うと
多分僕の仕事はうまく行かないんで、
フォー・シーズンズかリッツ・カールトンでしょ?
で、個人的に行くとしたら、
セントレジスあたりに
泊まるんだろうなって思うんだ。
ノリスケ うーん。
ジョージ 僕たちのハネムーンの時、
フォーシーズンズだったもんねー。
つねさん はい。
ジョージ だから今回は本当に
ヒップでクールでガンガンみたいな感じ。
つねさん でもかわいかったね。
部屋かわいかったしねえ。
普通さあ、入ったらチョコレートか
何か置いてあるじゃん。
ノリスケ うん。
つねさん 代わりにね、テディベア。
ジョージ ちっちゃーいの。あるよ、うちに。
ノリスケ 昔、コンラッドがそれやってた。
つねさん あ、そうなんだ。
ジョージ そうそう、コンラッドは
アヒルとテディベアだったんだよね。
お風呂に入ると。
ノリスケ そうそうそうそう。
あれ、粋な計らいだった。
ノリスケ かわいいよね。
つねさん かわいい。
とってあるから、
くまちゃん今度あげるね、1個ね。
ノリスケ ちょうだいちょうだい。
スイート?
つねさん ううん、この人がスイート。
ノリスケ あ、ビジネストリップだと
同じ部屋泊まりにくいね。
ジョージ そう、この人は一番安い部屋。
ノリスケ 噛ませ部屋にしといて(笑)。
ジョージ 私がスイート。
つねさん すいません。部屋で寝てません(笑)。
ジョージ けっこう楽しかった。
レストランもそういう人たちが
向こうで食事をするとしたら
どういうところを使うんだろうなっていうんで、
けっこうおもしろげなところ中心だったよ。
ノリスケ ほんと? どんなところ行った?
つねさん うーん、キューバ料理屋さん。
アメリカでセビーチェが
ブームになるきっかけ作ったとこ。
ノリスケ セビーチェって
キューバじゃなくてペルーだけど、
キューバもマグロのお刺し身とか食べるもんね。
ジョージ そこは中南米料理と
アメリカのサウスウエストの
料理なんでしょうね。
ノリスケ いっしょくたっぽいね。
ジョージ そう。あとはね、
チャンバー・ホテルっていう
ブティックホテルだね、ちっちゃーいね。
そこのメインダイニングのタウンっていうとこ。
かっこよかったー。
何がかっこよかったってね、
ウエイターがね、デビッド・ボウイみたいでね。
予約してあって、ファーストゲストだったんだよ。
そのあとミュージカル見なきゃいけなかったから、
あんまり時間の余裕がないんですけど
どうとかこうとかって言いながら、
けっこうそういうおしゃれ系のかっこを
みんなしてるわけでしょ。
そうするとね、エントランスの
レセプションの男の子が、
あの男の子もチャーミングだったよね。
イーサン・ホークみたいな感じの
かっこいい男の子で、
その子がこうやって(下から上まで)見て、
日本の旅行代理店から予約が入ってたんで、
心配してたんだけれども、
すごいクール、みんなクールって言ってくれて。
ノリスケ よかったね。
ジョージ 一番いいテーブルを今晩用意するって。
時間があんまりないんだったら、
No.1のウエイターをつけてあげるからねって。
で、ダイニング通されて、
やっぱりすごくいいテーブルで。
ホール全体が見渡せてすごくいい席で。
つねさん そうだねえ。
ジョージ で、そのね、デビッド・ボウイみたいな
かっこいいおじちゃんがね、
つねさん 40半ばくらいの。
ジョージ てーっと来て、
素晴らしいアタイア(attire)ねって。
着ているもの、ドレスだけじゃなくって、
発散している雰囲気が
このテーブルは素晴らしいって!
つねさん オカマ冥利に尽きるわ〜〜〜!
今日はこのテーブルを担当させていただいて、
とっても幸せ、みたいな。
ジョージ そういうこと言われると
1%プラス、2%プラス、
3%プラスみたいなかんじになるんだけど。
おばかさんだから。
だけど、もっと言って言ってみたいな感じでね。
けっこう盛り上がったのね。
つねさん 盛り上がった盛り上がった。
ジョージ そう、ま、料理はね、
料理はアメリカの料理だしな、
っていう感じなんだけど、
ノリスケ 男ばっかり?
男ばっかりで東洋人で、
黒づくめで行ったのね。
かえっていいね。
ジョージ 僕たちはホモだけど、
他の4人はみんなノンケさんなんだけど、
もう限りなくゲイテイストに近い人。
やっぱりね、あの僕らがつきあって
うっとおしくない邪魔じゃない男の子たちはね、
ノリスケ 少ないよー。
ジョージ そう。で、そういう男の子たちは
世界に出しても恥ずかしくないの。
だってさあ、男6人で行って、
1回もねおネエちゃんがいるところに
行きましょうって言わないんだよ。
誰も言わないんだよ。
こっちは心配になるわけじゃない。
今晩どうしましょうかって言うと、
いい。普通のバーに行って飲めばいいとか、
あるいはどっかのクラブに行ってくるからって
平気で言うんだよ。
ああいうのはね、いいね。
つねさん いいね。
ジョージ で、彼等の持論はね、
日本にいて遊んでないようなことを
海外に行ってやろうとしたって
失敗するだけなんだから、
日本の生活と、日本で楽しんでるのと
まったく同じことを向こうでやれば、
絶対楽しいに決まってるって言うの。
その通り。だからね、
日本のおじさんたちの一番いけないところは、
日本で遊べない分海外で取り戻そうとするでしょ?
ノリスケ そうね。
ジョージ あれは最悪なんだよ。
つねさん ああ。そっかそっか。
ノリスケ だからああなっちゃうんだねえ。
ジョージ で、女の子たちっていうのは
日本で楽しんでるから
海外でもその楽しみをしようとするんだけど、
それはね、間違ってはないんだけど、
ただ日本の楽しみのほとんどが、
エステにショッピングに
レストランっていうのがねえ。
海外の20代の女の子は、
楽しみはエステにショッピングに
レストランじゃないんだよ。
ノリスケ そりゃ40代だ。
つねさん 30、40だよね。
ジョージ なんだよね。だからそれを
20代の女の子が海外でしようとするから。
つねさん バカにされる。
ジョージ ちょっとねえ。
つねさん 違う。
ジョージ だから20代は20代で
違う楽しみ方を
逆に日本でトレーニングして海外に行くと
もっとプリティな海外旅行になるかな、
と思うよ。
でも20代の楽しみってどんななんだろう。
ノリスケ 街を歩いたり、
美術館に行ったりすることなんじゃないの?
ジョージ 美術館だよねえ、絶対美術館だよー。
ノリスケ できるだけお金をかけずに
自分に吸収できるものを
探すのが20代じゃないの?
ジョージ そうそうそうそう、ぜーったいそう。
ノリスケ だから別にショッピングでもいいんだけど、
買うのが目的というよりは。
つねさん うん。見たりとかね。
どんなんがあるのかなって。
ノリスケ 見て歩く。だから20代の旅って
歩くのが楽しいよね。
つねさん そうだね。
ノリスケ 点で移動するとおもしろくないんだよね。
つねさん ふーん。
ノリスケ 全部線で移動しないと、
寄り道できないからおもしろくないよ。
つねさん うんうん。
ジョージ うん。絶対そう20代って。ね。
で、美術館はね、行けば行くほどね。
ノリスケ どっか行ったの? 今回。
つねさん 今回はメトと近代。
ジョージ MoMAのクイーンズ。
つねさん うんうん。
ジョージ メトはね、秘密の場所が一つあるんだよね。
みんな美術館に行くとね
絵を見ることをするの。
だけどね、絵ってね。
…私の秘書がですね、
言い得て妙なことを
おっしゃったことがあるんですけどね、
けっこう昔は昔で僕は美術館に行くと
ガツガツガツガツしてたの。
1枚でも多く絵を見なきゃいけないとか。
で、特に誰か連れて行くと
ガイドさんになっちゃって、
この絵はなんたらこうたらで、
これがあったからこの横の絵が
こうこうとかいうのを、
ずーっと言って回らなきゃいけないって
思ってたんだよ。
それはそれでまた楽しいんだけど、
そん時にその女の子が、
展示室を斜めに歩き始めたんだよ。
つねさん うん。
ノリスケ 突っ切って。
ジョージ そう。何で? 何で見ないの?って言ったら、
だって教科書に全部載ってる
絵だもんって言われて、
あーそうなんだ。
そういう言い方もあるよねって。
ノリスケ まあね、なくはないわな。
ジョージ そう。
つねさん 違うんだけどね(笑)。
ノリスケ いいけどね。
ジョージ だけどね、その子を連れて行って
ものすごい感動された場所が1カ所あるんだよ。
つねさん メトでねえ、実は屋上があるんですあそこ。
みんな行かないよね。
ジョージ みんな行かない。
ノリスケ 僕も行ったことない。
ジョージ これね、屋上に行くエレベーターが
見つかりにくい場所にあるの。
ノリスケ ふーん。
ジョージ で、その館内の案内書にも
ほとんど書かれてないんだよね。
ノリスケ うん。
ジョージ だけど、屋上庭園があって、
屋上庭園に近代彫刻が
いくつか置いてはあるんだけどだけどね、
セントラルパークの全容が見れる。
ノリスケ なるほどね。
つねさん そう。で、セントラルパークの
向こうに、街が。
ジョージ ダコタハウスが真正面にあってって
場所なんだよ。
つねさん うん。すんごいいいよね。
ジョージ それはね、セントラルパークで
一番景色のいい場所。
ノリスケ ふーん。あ、それは知らなかった。
ジョージ 1回目に行った時、春だったんだよね。
春の目線の景色とこの前行った時の
秋の景色は全然違うね。
つねさん 違ったね。
ジョージ うん。
ノリスケ 行きたい。
ジョージ もう1回この景色見に来ようねって言える場所。

(つづきます)

2003-01-12-SUN

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