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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

三人、英雄を語る。その2
芸術・芸能の世界にゲイが多いのは。

ジョージ 芸術の世界とか芸能の世界に
英雄たちが多いっていうのは、
しかたがないのかなと思うよ。
ノリスケ そこはちょっと思うね。
つねさん

ある意味ね。

ジョージ 自分と違う個性を演ずるということで
二流と一流の違いを考えると、
演じることのできる人は
せいぜい二流止まりだけど、
一流になるともう演じるんじゃなくて、
自分の中にもうひとつの
人格とかできちゃうんじゃないかと
思うんだよね。
それ、コントロールできないと、
自殺しちゃう人も出るのかな?
とは思うけど。
つねさん

あ、マンダリン・
オリエンタルから落ちた人ね。

ノリスケ 中環(香港)の。
あの、たぶんね、一般的な質問として、
芸術の世界には、
どうしてゲイの人が多いんですか?
っていうのがあると思うの。
たまたま目立つだけなんですか?
それとも、芸術的なんでしょうか。
いったいなぜ世の中に出る
芸術家と呼ばれる人には
ゲイの人が多いんですか?
っていう質問があるかもしれない。
ジョージ たぶん、ま、ひとつは
目立つっていうのが
あると思うんだよ。
ノリスケ うん、同じことやっても、
普通の人より
ゲイの人が目立ってしまう。
キャラクターが際立つから。
ジョージ だけど、目覚めたゲイ、で、
とくにわりと思春期あたりから
目立ってしまった
ゲイの人たちっていうのは、
やっぱり自分の中にある
べつの人格とか、なんか、
ひとりでお喋りが
できちゃったりする
おじょうちゃんの部分と
おにいちゃんの部分が、
自分の中で対話したりとかする、
変な部分に気がついて。
コントロールしなくちゃ
いけなかったりとかしてね。
で、強固な意志で
コントロールしてしまうと、
普通の世界にも行けるんだろうけど、
そうじゃない人っていうのは、
もう、芸術とか芸能の世界でしか
生きていけなくなっちゃうのも
あると思うんだよね。
だって、だって、どお?
小学校とか中学校のときに、
何が得意だった? 学校の授業で。
ノリスケ 国語かな。
お習字とかね(笑)。
家庭科とか図画工作
好きだった。
ジョージ 僕、音楽とかね。
ノリスケ 音楽もね、好きだったー。
つねさん

好きとできるは違ったよね。

ノリスケ そうなの。音楽、好きだけど、
才能というかね、
技術がなかったんでね、嫌だった。
ジョージ でも、やっぱりね、
国語とかっていうのはね、
すごい得意だったよ。
ユニークだったもん。
たとえば読書感想文書きなさい、
って言われると、
とてもユニークだったりするんだよね。
で、あと、朗読とかね。
ノリスケ 朗読ね。感情込めてね。
つねさん

やってた、やってた。

ジョージ 普通の子が恥ずかしがることが、
平気でできちゃうんだよね。
ノリスケ そうねー。
ジョージ だから、やっぱり、変だもん。
ノリスケ そこに才能があれば、
音楽の道に行ったり、
芸術の道に行ったり
表現の道に行っちゃうね。
ジョージ 家庭科が上手だったら、
そのままお針子さんになって
デザイナーになったり。
ノリスケ ニットの貴公子になったり。
ジョージ そうそうそうそう!
貴公子になったりね。
あるいは、あの“プリーツどうぞ”
みたいな感じになったり。
ノリスケ プリーツどうぞ!
ああなるわけね。さすがね。
ジョージ なってくるんだよ、
なってくるんだよ。
つねさん

そっかそっか。

ジョージ あるいは‥‥。
つねさん

舞台美術やったりとか。

ジョージ で、あと、家庭科でも
ミルフィーユが得意だったら
お料理の世界で活躍するとかね。
どこぞで学校を経営するとか‥‥
ノリスケ 料理人ってね、
あんまりいないなーと思って。
ジョージ 料理人そのものは少ないのよ。
ノリスケ 少ないよね。あの、
むしろスケベなおやじが多いよね。
あ、失言だったかしら。
ジョージ 料理に対する評論の
世界であるとかね、
あるいは、料理屋を作る
たぐいの人だとか。
ノリスケ プロデュースとか、
コンサルタントとか(笑)。
ジョージ そー‥‥あらぁ?
あとは、ソムリエ系、多いね。
ノリスケ 才能ありそうだ!
ジョージ 料理っていうのは、
どっかで体力になるのよ。
僕たちは、体力は嫌いだけど、
知識とか自己研鑽は
大好きなんだよね。
ノリスケ 大好きですね(笑)。
ジョージ そうするとね、
料理のレシピを憶える世界よりも、
ワインを憶える世界の方が
好きになってくるから、
そっちの方になると思うよ。
でも、やっぱり料理の世界は多いよね。
で、これは家庭科が好きな
男の子の末路だと思うんだ。
ノリスケ 要するに家庭科の、
料理いくか、服にいくか、
みたいな。
ジョージ そうそう。
つねさん

あー、そうね。

ジョージ で、国語が好きな
男の子たちっていうのは、
そのまんま作家系の世界に進んでいくか、
あるいは朗読を経て、
芸能の世界でやっていくか、だよね。
舞台の人で、
昔は俳優もやってた方がいてね、
僕のお客さんが友だちで
近所に家持ってるんだよね。
で、遊びに寄らせていただいたの。
とても素晴らしいお家だったのね。
「すごいですね、この家は。
 どういうふうに思いながら
 この家作ったんですか?」
って言ったら、胸の前で手を組んで、
「ママのために作ったの」。
ノリスケ すごいわあ。
ジョージ 「ママ」のためよ?「ママ」。
でもまあ、それが国語系でしょ。
で、あと、音楽系。
これは歌手になるか作曲家になるか、
編曲家になるか、声楽家になるか。
おクスリで泣く人とか。
ノリスケ こらこら。
スタジオミュージシャンは
体力系だから、いないと思う。
ジョージ いないよね。
つねさん

いや、そうでもないけど‥‥。

ジョージ でもね、絶対量は少ないんだよ。
つねさん

そうだね。

ジョージ 他には、どういう学科があったっけ?
他にわたしたちが得意な。
つねさん

デザイン、美術、家庭‥‥。

ジョージ あの、服飾デザインの世界って、
逆に、ゲイじゃない人を探すほうが、
難しいぐらいかもしれない。
ノリスケ 山本耀司がそう言ってた。
オレみたいな女好きは
逆に珍しいんだよ、
みたいな(笑)。
ジョージ 有名なところでは、
ジャンニ・ベルサーチだよね。
もう、それが理由で死んだんだもん。

そうでしたね。つづきまーす。

2003-04-23-WED

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