ノリスケ |
昔の男はさ、愛人がいた人ってさ、
けっこう普通にあったんだよね。 |
つねさん |
うん、だから、容認じゃないけど、
あれでしょう? 奥さんのほうは‥‥。 |
ジョージ |
だって、ウチのお父さんなんか‥‥。 |
ノリスケ |
お父さん‥‥ジョージさんのお父さん。
‥‥元気ですか?(笑) |
ジョージ |
ウチのお父さん、
お店1軒やらせてるしね。 |
つねさん |
息子より元気なわけね。 |
ジョージ |
だって、ウチのお父さんさ、
今の彼女と知りあったのが
2年ぐらい前なんだけど、
「ワシも焼きが回った」
って言ったんだよ。
なんで? って言ったら‥‥。 |
ノリスケ |
もうセックスができなくなった?(笑) |
つねさん |
ちがうんだよ。 |
ジョージ |
ちがう。
「年寄りと付き合うようになったんだ」
って言うんだよね。 |
ノリスケ |
相手のこと? |
つねさん |
そう。 |
ノリスケ |
そんなおばさんと付き合ってたの?
お父さんは何歳? |
ジョージ |
今年65。 |
ノリスケ |
若いね。 |
ジョージ |
まあ、若いんだけどさ。
ずっとね20代前半の彼女だったのよ。
それで、もう聴いてやって!
20代後半の彼女になったから、
焼きが回ったって!
わしがつきあう相手は
こんなババアになった、って。 |
ノリスケ |
あ、あ、あんたたち親子って‥‥! |
ジョージ |
ひゃぁ!「あんたたち」って言わないで! |
つねさん |
でもさ、その息子は
30代後半の僕と付き合ってるんだよ(笑)。
焼き回りまくりだよね。 |
ジョージ |
すごいでしょう? |
つねさん |
あんた、20前半なんて、
イケないでしょう? |
ジョージ |
イケない! |
ノリスケ |
お父さんのほうが越えてるね。 |
ジョージ |
越えてるよ。 |
つねさん |
お父さんの方が、
けっきょく強いよね(笑)。 |
ジョージ |
あ、そうだ、あのね、浮気って、
肉体的浮気と精神的浮気って、
どっちが罪深い? |
つねさん |
ハッ!(言葉に詰る) |
ノリスケ |
ウッ!(言葉に詰る) |
ジョージ |
あっ、究極?
究極の質問だった、今? |
ノリスケ |
それは難しいっ!
本当に疚しいのは
精神的に本気になった恋愛を
結婚の外でしてしまったとき?
かなあ? でもなあ。うーん。
じゃあちょっとしたラブアフェアは
OK? んなことないし。んー。 |
ジョージ |
僕ね、僕ね、精神的浮気は、
ぜんぜん罪じゃないと思うよ。 |
ノリスケ |
あ。 |
ジョージ |
僕ね、女の人が、よく言うじゃない、 |
つねさん |
男に横目すら許さないみたいなの? |
ジョージ |
うん、そう。 |
ノリスケ |
私だけを見ててくれなきゃダメ、
みたいな? 許せないわっ、て。 |
ジョージ |
そうそうそうそう。
って言うけど、だって、
ウチら夫婦って、精神的浮気、
そこらじゅうでしてるもんね。 |
つねさん |
ウン。 |
ジョージ |
ま、精神的浮気のレベルが
どうかなんだけど、
例えば、街歩いてて、
あれイケる、とか、あれかわいい、
とかって言うでしょう? |
ノリスケ |
言ってるよね。
ぼく、それ、ないんですよ。
皆無よ。
いい男だなあと思うことはあっても
恋人の前では言いたくないし
言ってほしくないと思うんだ。 |
つねさん |
ウチ、すごいよね。 |
ジョージ |
すごい。 |
ノリスケ |
楽しい会話として、
言ってるんだね。 |
つねさん |
でもがっかりなの!
大概はね、俺がイケる子って
「あ、あれ? いただきました」
言うんだよ。 |
ノリスケ |
‥‥最悪だよね。 |
ジョージ |
(めちゃめちゃ愛らしく)
ごめんなさいっ(笑)。 |
ノリスケ |
漁場を、細かぁい網でもって
ズァーッと。ひとり地引き網で。 |
ジョージ |
そんな感じー。 |
つねさん |
そしたらさ「あ、そうなんだ」って、
言うしかないじゃん。 |
ノリスケ |
最初ビックリしなかった? |
つねさん |
いや、べつに。
だって、遊んでたの知ってたから。
そんなんで驚いてたらバカよ。
逆に言ったら、付き合ってる人が、
過去に何やろうがよ、
関係ないじゃん、っていう。 |
ノリスケ |
僕は、そういうこと言う人は
いまのつきあいをしながらも
そういうふうになるんじゃないかって
不安が生まれるから、やなの。
だから言うなって思うよ。思っても言うな。 |
ジョージ |
成熟のお付き合いよ。
ウチのね、お父さんとお母さんが、
まるでそうなんだよ。サバサバしてて。
例えばテレビ観てるでしょう?
そうすると、よく男がね
「あー、あのオネエチャン、かわいい」
とかっていって、
奥さんや娘に
ヒンシュクを買うって
いうのあるでしょう?
ウチのオヤジはオヤジで、
平気で言うのよ。
自分はオッパイ星人で
どうとかこうとかで、って。
あのオネエチャンのオッパイは
どうとかこうとかだ、っていうのを
言うんだよね。
それで、お袋はお袋で、
かわいい男の子が出てくると‥‥。 |
ノリスケ |
あ、女の人は言うね。 |
ジョージ |
言うんだよ。
それで、パターンがあって、
あの人となら、お茶を飲んでもいい、
あの人とは、晩ご飯を食べていい、
あの人とは、ん〜、お酒飲みたい、
っていう3段階があるわけよ。 |
つねさん |
あー。でも3段階なんだ。 |
ジョージ |
でも3段階。で、そういうのをね、
夫婦がね、言い合うんだよ。
そうすると、これはぜんぜん罪がない。 |
ノリスケ |
あのね、女の人ってね、
普通にそれ、言いますね。
ダンナがいようがいまいが。
ダンナの前で言う言わないは、
そこが問題なんで。
女同士でいるときって、平気で言ってるね。 |
つねさん |
だって、アンタも女だもんね(笑)。 |
ノリスケ |
そよっ。
誰がいいっていうのはね、
友だちとの間なら、確かに言う。 |
ジョージ |
逆にね、僕ね、恋人とか亭主の前でこそ、
そういうことは言うべきだと思うよ。 |
つねさん |
あ〜。 |
ノリスケ |
そのほうがいいのかな? |
つねさん |
ただ、それをほら、
意図を持っちゃダメなわけでしょ?
例えば、わざと焼きもちを焼かそうとかさ。 |
ジョージ |
あ、それはダメだけど、
素直な感想として?
例えば、ウチのお母さんは、
今けっこうタッキーにイカれてて。 |
つねさん |
タッキーなの? 今度。
前、市川新之助じゃなかったっけ? |
ジョージ |
前、新之助だったんだけど。
タッキーいいわ、とかって。
でもタッキーと
ウチのお父さんは
ぜんぜん違うわけじゃない?
で、お父さんは、
あ〜、ああいうんがいいのかぁ、
とかって言いながら。
でも、自分は‥‥。 |
つねさん |
オッパイ星人(笑)。 |
ジョージ |
あ〜、小池栄子、いい、みたいな感じで。
だけど2人とも、
タッキーは自分を幸せに
してくれないのわかってるし、
小池栄子は自分を相手に
してくれないのわかってるから、
もうぜんぜん罪のない会話が
成立してるわけよね。 |
つねさん |
そうだよね。 |
ジョージ |
で、よくバラエティー番組系で、
わたしは自分の彼氏の
こういうところがキライです、
っていうので、街歩いてて、
他の人振り返ったからイヤだとかって、
これはね、文化的に成熟してないと思うよ。 |