ジョージ |
でも、愛のかたちだよね。
浮気を許さないってさ、
アメリカ的だよね。 |
ノリスケ |
そうなんだよ。だって、
ダブル・ベッドの文化ですもの。 |
ジョージ |
ダブル・ベッドなんだよね。 |
ノリスケ |
ダブル・ベッドの国だよ。 |
つねさん |
セパレートじゃないのね。 |
ノリスケ |
「コクーン」の映画で、
繭の沈むプールで泳いだら
男性機能が回復しちゃったおじいちゃんが
ベッドで奥さんを手招きするシーンあったでしょ。
おばあちゃん頬を赤らめてパーッと喜ぶのよ。
それを善とする文化なのよっ!? |
ジョージ |
そうなんだよね。 |
ノリスケ |
夫婦かくあるべし。て! |
ジョージ |
だって、フランスではさ、
国家元首に妾がいて、
国葬に妾家族が来て
OKなわけでしょう? |
ノリスケ |
さすがフランス(笑)。 |
ジョージ |
すごいと思うよ。 |
つねさん |
うん、すごいね。 |
ジョージ |
だって、ウチのオヤジが
「人生は愛と情熱」って言うんだよね。 |
ノリスケ |
また、カッコイイこと
言うわねえ(笑)。 |
ジョージ |
そうでしょう? |
つねさん |
やだ、やだ。 |
ジョージ |
「愛の分量の大きさが、男の価値」
って言うんだよ。 |
つねさん |
それさ、公で言ってるの?
それとも息子に語ってるの? |
ジョージ |
公に。んで、
「ワシの愛は、独り占めできないぐらいに
大きいんだ」って。 |
つねさん |
いーや、すごいね。 |
ノリスケ |
はみ出ちゃうんだ、
奥さんだけじゃ(笑)。 |
ジョージ |
はみ出ちゃうの。
で、奥さんは奥さんで、
「あんたの愛はわたしに
迷惑で仕方がないから、
よそで使ってきて」って。 |
ノリスケ |
それでさ、そのさ、
相手のおねえちゃんって、
どういう感じで接してるの?
一蓮托生的な?
お父さんの彼女って? |
ジョージ |
あるときは、親子であり、
あるときは恋人であるわけだ。 |
つねさん |
あるときは、ビジネス・パートナー。 |
ノリスケ |
ねえ、歴代ってことは、
なんで別れちゃうのかな?
そっちはそっちで、なんかこう
人生を共に、っていうんじゃない
タイプなんだ。 |
ジョージ |
じゃない。ぜんぜんないよ。
あのね、自分の男性性を
確認するための器なんだよ。 |
ノリスケ |
あー。じゃ、
お互い利用し合ってる関係? |
ジョージ |
そうそう、その通り。
だからこれはね、浮気じゃなくってね‥‥。 |
ノリスケ |
なんだろ?
それ、浮気じゃないね、それ。 |
ジョージ |
浮気じゃない。
これはね、これは排泄行為。 |
ノリスケ |
ワハハハハハッ! |
つねさん |
排泄行為って‥‥。 |
ノリスケ |
ねぇ、そんな感じだね。
契約関係って感じだよね。 |
ジョージ |
だって、ある日ね、
ウチのお父さんが、
ガクッて肩を落としてね、
会社に来たんだよ。
どうしたんだろう? と思って、
「どうしたの? どっか具合悪いの?」
って訊いたら、
「ワシはもうダメや」
って言うんだよね。
何がダメなんだろう、って思ったら、
「できんかった」って言うんだよ。 |
ノリスケ |
はぁー、いよいよ。EDね。 |
ジョージ |
ちがうのよ〜。
ぜんぜんできなかったと思うでしょう?
そしたらね、その日はお泊まりで、
前の晩はできたんだけど、
朝もう1回できなかったって、
言うのよ!? |
ノリスケ |
じゃあ、今までは必ず‥‥。 |
ジョージ |
2回やってたんだよ。夜と朝。 |
ノリスケ |
なのに、朝やる気にならなかった?
それで落ち込んでる? |
ジョージ |
そう、やる気にならなかったって。
ワシはもうダメや、って。
‥‥ダメになんなさいっ!!
って、思うよね、そんなの。 |
つねさん |
ほんとだよね。 |
ジョージ |
だから、ほんとにね、
男の証明をやってるんだと思うんだよ。 |
つねさん |
それを確認するんだ。 |
ジョージ |
そう。 |
ノリスケ |
そういうことを、
ジョージさんにお父さんは
どういう気持ちで言ってるんだろう?(笑) |
つねさん |
いや、もう、あんまり関係ないんじゃない?
聴いて欲しいだけでしょ?
わしゃ、まだこれだけできるんだじょー、
みたいに。 |
ノリスケ |
息子の恋愛を訊いたりは? |
ジョージ |
ぜーんぜん、ないよ。 |
つねさん |
だって、お父さんとか興味ないでしょ?
あなたが誰と付き合ってるとかって。 |
ジョージ |
ない。 |
つねさん |
面白いよね。 |
ジョージ |
基本的にウチ、あの、
ナルシスト家族だからね。
みんな、ひとり完結なんだよ。 |
ノリスケ |
(笑)でも、お母さんはほら、
タッキーみたいな子と
付き合えばいいみたいなことを。 |
つねさん |
いや、でも、お母さんはお母さんで
完結してるもんね(笑)。
お母さんは、
別の方向で情熱見せるでしょ? |
ジョージ |
今度、中野坂上の
コンサート・ホールにしようって。 |
ノリスケ |
だんだん大きくなってるんだ。 |
ジョージ |
だんだん大きくなる(笑)。 |
ノリスケ |
なんだっけ?
シアターサンモールから‥‥。 |
ジョージ |
そう、サンモールから、
今度520席に移るのね(笑)。 |
ノリスケ |
うわぁー! またチケット売らなきゃ。 |
つねさん |
それで、すごいの!
「あたしのコンサートするのは、
このくらいでなきゃ、来れないでしょう?」
とかって言い出して(笑)。 |
ジョージ |
そう、ダメだって(笑)。
だから、片方は愛の大きさで、
片方はコンサート・ホールの大きさ、
みたいな感じ(笑)。
そんな夫婦よ。 |
ノリスケ |
520人、集めなきゃいけないじゃない‥‥。 |
ジョージ |
そう、集めなきゃいけないの‥‥。 |
つねさん |
かわいそう‥‥。 |
ノリスケ |
声楽やってるんだっけ? |
ジョージ |
声楽。 |
ノリスケ |
はぁ‥‥。 |
つねさん |
おそろしや(笑)。 |
ジョージ |
迷惑よ、ほんっとに。だってこの前、
映画の「シカゴ」、あれ観て、
「わたしあれがやりたい」って。 |
つねさん |
全部やらなくていいから、
ラストシーンだけって。 |
ジョージ |
ラストシーンだけやりたいの、
って言われて、
あぁ‥‥そうなんだぁ‥‥
やっぱミュージカルに行っちゃうんだ、
ウチの人はっ!! |
つねさん |
かっこいいけどね、ラストは(笑)。 |
ジョージ |
ずっとジャズやってて、
「わたしジャズ似合ってないと思うの」って。
「なんで?」って訊いたら、
「ジャズは、ライトもなければ、
動かないし、
踊り子さん付かないじゃない?」
って言われて(笑)。
ぉぉおお踊り子さんまで付けるんかい!?
おまえはっ!! って。 |
ノリスケ |
じゃあ、520席の演出は、
どう付けるんだろう? |
ジョージ |
知らない。 |
つねさん |
だから、華やかな舞台好き、って
あんたと一緒だよね。 |
ジョージ |
なんで?
僕は、だって、宝塚よ。
大階段、ダーッ!!
って降りたいんだもん。 |
つねさん |
社長就任のときに、
大階段降りてきたいんでしょ(笑)。 |
ノリスケ |
あのライトのついた? |
つねさん |
そうよ。 |
ジョージ |
自腹切ってでもいいから。
オーストリッチなど付けて。
男装だよね。 |
ノリスケ |
男装の社長。 |
ジョージ |
男装の社長、いいかもしんない。 |
ノリスケ |
何者よ!(笑)。
はあ‥‥最初のカップルの
10年後に幸いあれ、と思いました。
ぜんぶうまく行くといいなぁ。 |
ジョージ |
そうでしょ? |
ノリスケ |
浮気が、ぜんぶ破滅になるって
いうような考え方、イヤだなと思って。
昔の人のような幸せもあるし、
例の伯母様のような幸せもあるんだから。
いいと思うんだよね。 |
ジョージ |
うん、決して浮気を奨励してる
わけではないんですけど、
んーとね、愛ぐらい多様なものは
ないと思うんだよ。
だって、だって少なくとも、
オカマの愛だけ見たって、
こんなにいっぱい種類があるわけよ?
ね? |
つねさん |
いろんな方向に向かってる(笑)。 |
ジョージ |
報われない愛すら、愛であって。 |
ノリスケ |
そうですね。 |
ジョージ |
素晴しい事柄なのよね。
で、それを、たかが結婚というね、
ひとつのかたちに押し込めてしまって、
それ以外の愛は愛でないと思うのはね、
これはね、愛に対する冒涜だと思うなぁ。
で、あとはほんとに愛し合ったお互いの、
尊厳に関わる問題にね、なってしまうとね、
やっぱり難しかろうと思うけど、
だけど、お互い愛し合って
尊敬し合っている限りは、
いろいろな愛のかたちが、
その周りにあってもよろしいかな?
という感じがするよねー。
ほいで、例えばね、不倫を認めない
今のPTAの人たちが、
子どもを溺愛するでしょう?
あれってね、不倫だと思うよ。
本来、亭主を愛さないといけないところを、
亭主以外の人間、
とくに男の子に与えてるというのは、
これはね、ものすごい不倫だと思う。
倫理上、正しくないよね。 |
つねさん |
うん、いろんな意味でね。
僕も、あ、そういう意味ではあった。
そうじゃないのかもしれないけど、
一瞬だけ高校生の時に、
母親が自分に対して、
親子の情愛を越えたものを
フッて見せたことがあって。
べつにそれは、欲望とか欲求じゃ
なかったんだけど、なんか、
男の人に接するみたいな感じ
っていうのが見えて、
すごい気持ち悪かったことが
あったんだけど。
そういうのってあるよね。 |
ノリスケ |
それが、慣れて慣れて慣れちゃうと、歪むよ。 |
つねさん |
でしょう? 僕はあんまり周りにいないけど。 |
ノリスケ |
いますよ、そういう人。 |
ジョージ |
そういう、ほんとに倫理に反する不倫を、
してしまわないためにも、
やっぱり、おとな同士の
本当の愛は追求して欲しいよねぇ‥‥。 |
ノリスケ |
ほんとの浮気?(笑) |
つねさん |
あと、ま、愛っていう言い方、
あれなのかもしれない、ほんとに、ね?
なんだ、うまいこと言えないけど。
その人のこと、ほんとに好きだったら、
ある程度のものを許せる度量っていうのは、
いるなって思うよね。 |
ジョージ |
そうだよね。 |
つねさん |
なんか、ぜんぶ締めつけたってさ、
人って嫌がるだけじゃない?
ペットだってそうだけど、
押し付けられたら、それは逃げるだけで、
ある程度、こう、ね?
好きにさせといて、でも、
いちばんあなたのことを思ってるのは
自分でしょう? っていうのを
わからせてあげてたら、
多少のね、気持ちで浮気したって
戻ってくるはずなんだよ。 |
ノリスケ |
綺麗なこと言うわね。
自己弁護じゃないでしょうね(笑)。 |
ジョージ |
浮いてるんだから、気持ちが。
上ずってるの。 |
つねさん |
だから、おおもとだけ握っとけば、ね。 |
ジョージ |
そうなの。って感じで、終わりでっす! |