ノリスケ |
ジョージさんのおうちが、
完成しましたっ。
おめでとうございますっ。 |
ジョージ |
はぁ〜〜ん(ため息)。
マンション購入と改装で
大借金よ〜〜。
がんばってお仕事して、
返さなくっちゃ! |
ノリスケ |
共有名義にはできないものねえ。
私たち。がんばってくださいっ。
でも、(しみじみ部屋を見渡して)
こんな部屋に住んでる人も、
いるのねえ。 |
つねさん |
あー、こういうオシャレな? |
ノリスケ |
そう。誰もが、
「ブルータス」を作ってる人たちだって
「ブルータス」みたいな部屋に
住んでるわけがないと
思ってるわけじゃない?(笑)
インテリア特集に出てくるような
部屋に住んでる人なんて
実際、知り合いにいなかったし。 |
ジョージ |
あのさ、生まれて初めて買った
家具って、なに!? |
ノリスケ |
僕ね、折りたたみのね、
アーリー・アメリカンな、テーブル。
十代の頃お小遣い貯めて。 |
ジョージ |
何用に? |
ノリスケ |
カフェ用(笑)。ていうか、
べつに、なに用でもないの。
ただ、ほしかったの。
畳でふすまに押入れの部屋に
アーリー・アメリカンもないものよね。
思春期じゃない?
男の子として体が完成していくのに
魂はガーリーなわけだから、
ギャップを埋めるのが
アーリー・アメリカンだったわけよ。 |
つねさん |
僕はやっぱり、大学入って
下宿したときに買い揃えたやつかなぁ。
カラーボックスとかさ、
そういう「とりあえずのもの」。
何買ったか憶えてないけど。 |
ジョージ |
じゃ、人に自慢できる家具を、
生まれて初めて買ったのは?
まだ自慢できるものがない人!
あっ! 二人とも手が挙がりました(笑)。 |
つねさん |
ないです、ごめんなちゃい。 |
ノリスケ |
私もないです。家具はないです。
鍋釜はありますが。
台所用品は、自慢の逸品がありますが。 |
ジョージ |
あ! そうだよね。 |
つねさん |
あんたん家の鍋釜はすごいよね。 |
ノリスケ |
ええ。おフランスの鍋、アメリカのフライパン、
日本の羽釜と、そろっておりますっ。
でも、台所用品は家具じゃない〜! |
つねさん |
自慢できる家具は、ないな。
僕も。買ったことはない‥‥。 |
ノリスケ |
家具って長持ちしちゃうのよ。
だから大学の1年生のときに、
生協で買ったような家具が、
まだ現役で使えちゃうのよ。 |
ジョージ |
長持ちしちゃう!
それ、すっごくわかる! |
ノリスケ |
でね、買い替えらんないの。
どっかでほんとに思い切らないと
素敵なインテリア生活なんてできません。 |
ジョージ |
ウチの、ゴージャスマミーの家、
すごいもんね。
引っ越すたびに新しい生活に夢を抱いて、
新しい家具を買うんだけど、
買うときには前の家具を
全部捨てようと思って買うんだよね。 |
つねさん |
ふんふん。 |
ジョージ |
だけど、捨てようと思うと、
なんか愛着が残ってて、
捨てられないわけよ。
そこに新しい家具が
運び込まれてくるわけじゃない?
すごいよぉ‥‥なんか4つ5つ、
建築様式というか、
インテリア様式が混在した部屋! |
ノリスケ |
ロココからモダンまで、って感じ?
マイブームがあるんでしょ? |
ジョージ |
そうなのよ、今、
リビング・ダイニングの、
ソファはね、猫足なの。 |
ノリスケ |
ロココ。 |
つねさん |
ロココだ。 |
ジョージ |
んで、その前に置いてあるテーブルが、
イサム・ノグチ風の、
ちょっとポストモダンみたいな感じで。 |
ノリスケ |
ほぉ、50年代ぐらいの。 |
ジョージ |
さらにダイニングテーブル新しく買ったんで、
もうまるきしイタリアン・モダンなんだよね。 |
つねさん |
ははははは。 |
ジョージ |
で、そこの前に置いてある椅子が、
おやじはおやじで、
これは座り慣れてるという、
おふくろはおふくろで
これがいいというやつを
1脚ずつ持ってきて、
あとお客様用のが何脚かあるでしょう?
すごいよ。店じまい寸前の、
家具屋みたいな感じなの。 |
ノリスケ |
うはははは。 |
つねさん |
あー。もう何でもござれみたいな。 |
ジョージ |
すっごいの。 |
ノリスケ |
ということは、家族が、
自分の好みのものを持ち寄りすぎては
ダメってことね? インテリアって。 |
つねさん |
それは統一感がないわ(笑)。 |
ジョージ |
ん〜〜。難しいよね。 |
ノリスケ |
ちょっと昔の雑誌で、
「美しい部屋」とかあってさ。 |
つねさん |
あ〜、あった(笑)。 |
ノリスケ |
見るとさ、ぜんぶ赤で
統一してしまった主婦とかさ、
レースだけで飾られた家とかさ、
揚げ句の果てには
キティちゃんで揃えましたって
家もあるわけだよ。
そこには「男」がいないよね。 |
ジョージ |
ハナエ・モリで統一、とかね。 |
ノリスケ |
うん、ぜんぶ蝶々だよ。 |
ジョージ |
そうなんだよね〜。 |
つねさん |
ぜんぶプーさんっていう人知ってる。 |
ノリスケ |
あ、いるでしょうね。
ディズニー一色って人はいる。 |
つねさん |
プーさんのぬいぐるみ、
200コくらいいたよ、そのこン家。 |
ジョージ |
そういう、みなさんの状況をふまえて!
今日はインテリアのお話、しまーす。
センスのいいお部屋ってどんな部屋? |
ノリスケ |
それは‥‥。 |
ジョージ |
(自分の部屋をさして)ここよ、ここ! |
つねさん |
わっはっはっは! |
ノリスケ |
部屋は、住んでる人そのものなのよね。
汚い部屋だって、住む人そのものだからね。 |
ジョージ |
ライフスタイル系の雑誌って、
必ず3月の頭ぐらいには、
インテリアの特集をやるでしょう? |
ノリスケ |
そうね。若い子向けだと、
一人暮らし特集なんかをね。 |
ジョージ |
男の子系の雑誌のインテリア特集と、
女の子系の雑誌のインテリア特集の
作り方って違うよね。 |
つねさん |
うんうん。 |
ジョージ |
基本的に男が金を使うときってさ、
女を呼べる、女を落とせるって
いうことになるんで。 |
ノリスケ |
彼女が呼べる部屋づくり。 |
ジョージ |
そう。だから、車といっしょなんだよね。
彼女と一緒にドライブに行ける車の特集が
いちばん引っ掛かりが良いのと同じで、
男の子の部屋づくりって
女の子を呼べる部屋になるんだよね。
でも、女の子を呼べる部屋は
センスのいい部屋なのかしら?
どう思う? |
つねさん |
‥‥(天井を見て、無言)。 |
ノリスケ |
‥‥‥‥(同じく天井を見て、無言)。 |
ジョージ |
‥‥ほら、無言よ、無言!
女の子を呼ぶだなんて、
リアリティがないから私たち!
ちょっと話題が続かなかったみたい(笑)。 |
つねさん |
僕らが男呼ぶときは、ぜんぜん部屋なんか
考えなくていいもんね(笑)。 |
ノリスケ |
でも、ゴミ溜めのような部屋は、
イヤでしょう? |
つねさん |
うん、そうね、多少は。
でも、相手の部屋が汚くても
そういうムードも楽しかったりして?
相手が来るときは、
ごめんね、って言えばいいかなって。 |
ジョージ |
ま、女の子がどう思うか、わかんないけど、
ちなみに、例えば僕の部屋。
歴代のわたくしが住んでいた部屋に、
女の子が来るとするでしょ? |
ノリスケ |
はい。 |
ジョージ |
たいていね、最初は、
「素敵! モデルルームみたい」とか、
「雑誌に出てるみたい」って言うんだけど、
しばらくすると、
「でも、こんなところで
口説かれたくないわよね〜」
って、言うのよ。 |
ノリスケ |
えっ! |
つねさん |
なに、それ、生活感がないから? |
ジョージ |
そう、生活感がなくって、
わたしは必要ないのね、
みたいな感じになるんですって。 |
ノリスケ |
隙がなさ過ぎるんじゃないの?
しょうがない人ね、
みたいなとこがないんじゃない? |
つねさん |
ああ、そうだね。 |
ジョージ |
ん〜、それとね、
インパクトに欠けるんだと思うの。 |
ノリスケ |
男の部屋として? |
ジョージ |
うんうんうんうんうん! |
つねさん |
This is 男の部屋、みたいな。 |
ジョージ |
今まで男の部屋に連れ込まれて、
ビックリした部屋とかってない? |
ノリスケ |
ハイ、ある。 |
ジョージ |
あんた(つねさん)んちもかなり
ビックリしたんだけどね、僕はね。 |
ノリスケ |
はははははは。
ビデオとマンガと
レーザーディスクとフィギュアで
足の踏み場がないものね。 |
つねさん |
僕がビックリしたのはねえ、
狭ーい部屋だったのに、
博多人形とかオッパイの置物とか、
地方の下んないおみやげってあるじゃん。 |
ノリスケ |
いやげもの? |
つねさん |
そうそうそう。 |
ノリスケ |
そんなゲイがいるの?(笑) |
つねさん |
バイだった。 |
ジョージ |
あ〜〜〜、
ギリギリのとこだなぁ。 |
ノリスケ |
僕はね、2畳くらいの部屋だったってのがある。
なのに、電話機が何台もあった。謎。 |
ジョージ |
僕はね、絵描きさんだったんだけど、
たぶん売れてなかったんだと思うんだ。
あんた(つねさん)のことじゃないよ?
芸大系の油の人で。ちょっと歩くとね、
床の絵の具を踏んじゃうの。
ヌルヌルって!
あと、イーゼルが何脚もあったり、
胸像? あれがゴロゴロ転がってるの。
おーどろいちゃうよ。 |
ジョージ |
要は、男の部屋って、なんか
偏執狂的な何かがあるよね。 |
ノリスケ |
何かがあります。 |
ジョージ |
彼の、彼の何かが。
これに自分を賭けてるんだ、みたいな。 |