ジョージ |
ぐふふっ‥‥。 |
ノリスケ |
なによ。 |
ジョージ |
ウチのマミーが、一時期、
マニキュアに凝っててね。
それこそ、あんた、
どっこでどれだけ買ったのよっ!?
て言うぐらい?
何千本っていうのがあって。 |
ノリスケ |
ぐわーっ、ケタが違う!
一生塗りきらないだろう。 |
ジョージ |
もう分離しちゃうのよね、あれってね。 |
ノリスケ |
なるほど。 |
ジョージ |
んで、その、使わないやつを、
カゴに入れて上のほうに入れて、
ギシギシにしてあったの。
大っきい地震が来たときに、
バカーンて落ちて、
下のタイルで砕けたわけですよ、
100本ぐらい。
マニキュア100本ぐらい
砕けて飛び散ったら、
どういうことになると思います? |
ノリスケ |
ペンキぶちまけたみたいになるでしょう。 |
つねさん |
臭いもすごいでしょう。 |
ジョージ |
んもぉね、目も向けられなくって、
もう少しでみんな中毒、
シンナー中毒になるところで。
ひゃ〜〜って。
だから、あまり物を
収集しすぎるということはね、
命にかかわることよ! |
ノリスケ |
ほんとですね。 |
つねさん |
ゴメンナサイ。 |
ジョージ |
ま、でも、人のことは言えないけどね。
おんなじようなスーツ、
山のように持ってたりとかするしね。
それは仕方がないんだけれど。ね。
だけど、せっかく、
楽しいお部屋を手に入れたば、
お客さまがお呼びできるぐらいにはね。 |
ノリスケ |
します! |
ジョージ |
こないだ、おおたうにちゃんたちが
いらしたでしょう。
「ほぼ日」の姫君たちと。
女性が何人もいらっしゃって
パーティをすると、
お部屋が華やいだような
気持ちがいたしますしね。 |
つねさん |
事実、華やいだよね。 |
ジョージ |
ホームパーティって、
日本人がいちばん苦手なことって言うでしょう? |
つねさん |
苦手だと思うね。 |
ジョージ |
アメリカのモデルホームとか、
分譲住宅とか行くでしょう?
そうすると、日本といちばん違ってるのは、
お客さま来て下さい、
っていうような顔をしてるんだよね。
向こうの家って。
日本の家って、どんなに大きくって、
どんなにお金かけてても、
お客さま来られると困るんです、
っていう顔になるんだよ。
玄関が小っちゃくって、
何十人もが靴を脱げない
構造になってたりするんだよね。 |
ノリスケ |
うん。そもそも靴を脱ぐんだもんね。 |
ジョージ |
そうそうそうそう。 |
つねさん |
そうだよねー。 |
ノリスケ |
その範囲でしか、上がるなよ、
っていうことだよね。 |
ジョージ |
で、たぶん日本人が、
あんまりインテリア作りが
上手にならないいちばんの理由は、
お客さまいらっしゃいっていうふうな家を、
なかなか作らないからだ
というふうに思うしね。
お客さん1回でも呼んだら、度胸つくよ。
しかもそれが異性であるとね。
僕たちにとって女の子たちは
異性かどうか、ちょっとよくわかんないんだが。
僕あれだよ、出勤するたんびに、
僕がいないときに、
誰かがもしこの部屋に入っても、
恥ずかしくない状態で出ようって思うもん。 |
ノリスケ |
素晴しい。 |
ジョージ |
死ぬかもしれないし。 |
つねさん |
そうだよねー、
けっこう片づいてるもんね、俺が見てても。 |
ジョージ |
すっごい片づけるもん。
だって、メイドさん、たまに来るでしょう?
そう。すごい喜んでくれるもん。 |
ノリスケ |
ほんとぉ。 |
つねさん |
あの、片づけなくて済む‥‥。 |
ジョージ |
でも、あの人たちの喜び方ってね、
すっごい立派な喜び方だよ?
あの、ウチのマミーのところにも
行ってるんだけど、マミーんち、
そんなもんだから、大変らしいのね。
「お母さまのお宅は、
ほんとにすることが沢山あって、
嬉しいんですけれど、
本来わたくしどもが仕事にしている、
お部屋を美しくするというところまで
手が回らないんです。
その点こちらのお宅は
いつも片づいているんで、
わたくしたち仕事のしがいがあります」 |
ノリスケ |
なるほどね(笑)。 |
ジョージ |
んっ、いいことを言うっ! と思う。 |
ノリスケ |
はははははは。 |
つねさん |
それ、お母さんに聞かしてやり。 |
ジョージ |
ウチのお母さん、よく知ってる。
ウチのお母さん、
メイドさんから言われてるから。 |
つねさん |
そうなの?(笑) |
ジョージ |
「『ご子息のお宅はほんっとにキレイで
片づいてるんです』とか言われるから、
『ごめんなさいね、ウチはこんなで』
『いやいやいやいや、やりがいがございます』
とかって帰るのよー」
とかって言ってるから、
敵もさるもの、っていうやつ?(笑) |
つねさん |
おそろしか(笑)。 |
ジョージ |
そうなんだよ。ウチのマミーが、
たまにね、ものすごいストレス溜めると、
整理整頓を始めるんだよ。
見てるとね、あー、この人は
整理整頓の才能がないなって思う。 |
ノリスケ |
あー、そうなんだ。 |
ジョージ |
たとえばA地点を片づけるでしょう?
A地点を片づけて、
いらないものをB地点に置くんだよ。 |
つねさん |
あー、耳が痛いわ(笑)。 |
ジョージ |
で、あ、A地点片づいたって思いながら、
C地点に行って片づけるの。
C地点でいらないものが、
こんどA地点に移るんだよ。
C地点は片づいた。
で、D地点に行くでしょう?
そうすると、D地点でいらないものを
C地点に戻して、
B地点に行ったときには、
A地点でいらなかったものが
B地点にあるから、
何でこんなに汚いのよっ!?
て怒って止めるんだよ。
で、見たら、もともとあるものが、
ちょっとずつ場所を変えてるだけで、
なんら片づいてないの。 |
ノリスケ |
はぁー、僕も下手かも。 |
つねさん |
あ、僕、絶対そうだね。 |
ジョージ |
んで、B地点は、もう手がつかないぐらいに
汚れてるわけじゃない?
そうすると、中でもいちばんキレイな
D地点で生活を始めるわけ。
汚くなるでしょ?
そうすると、D地点でいらないものを、
こんどはC地点にという
繰り返しをしていって、
4回繰り返すと、全てのところが、
もう手がつかないぐらい汚くなるんだよね。 |
つねさん |
あんたの昔の恋人もすごかったじゃない。 |
ジョージ |
わたくしが昔つきあっておりました、
あの、旅行代理店を買ったバカな
台湾の恋人は、ベッドルームが5つある
部屋を借りてたんだよ、東京で。
ひとつのベッドルームを使うでしょ?
散らかるでしょ?
そうすると隣りのベッドルーム使うんだよ。 |
ノリスケ |
大馬鹿‥‥(笑)。 |
ジョージ |
で、だいたい1週間で住めなくなっちゃうんで、
5週間はもつんだよね。
5週間でどの部屋も住めなくなると、
友だち呼んでくるかメイドを雇って
キレイにするの。
で、リセットして、もういっかい住み始めるの。 |
ノリスケ |
はぁー‥‥。 |
つねさん |
あ、そういうカラクリだったの。 |
ノリスケ |
真似しちゃいけませんよ、それね(笑)。
ファイブベッドルームの家を
借りればいいって
もんじゃないって話ですね(笑)。
広ければいいってもんじゃないです。 |
ジョージ |
そういうことです。 |
ノリスケ |
ジョージさんのお母さまやお父さまや
昔の恋人に学ぶべき点はそこですっ!(笑) |
つねさん |
わははははは! |
ジョージ |
後はね、やはりね、
明確な意志を持ちましょう。
自分のウチはどういう部屋なのか、と。
ね。癒されたいのか元気を出したいのか。 |
つねさん |
ウチ、今、仕事場だから‥‥。 |
ジョージ |
たとえばさ、たとえば、
癒されるべき場所はベッドルームなのに、
ベッドルームで元気が出て、
リビングルームでダラーンとなるのは、
ダメな家(笑)。
たまにあるんじゃないのかな、
って思うんですけど。ネ。
あとはあれだね、
恋人を連れてきて云々も大切だけど、
お友だちが来て、
磨かれるようなとこもあるからね。 |
ノリスケ |
恋人は、馴れ合ってしまいますからね。 |
ジョージ |
そう。 |
つねさん |
確かに、彼氏じゃないやつを呼ぶときは、
ちょっと片づけるよ。(笑)。 |
ジョージ |
でしょう? 女の子もね、
男なんてだらしない生きもんだから、
あんまりキレイで片づいてる
女の子の部屋に行くよりも、
あるていど散らかってて
隙のある女の子の部屋に行ったほうが、
たぶん良かったりするんだよね。
でも、それがどんどんどんどん行きすぎていくと、
家事洗濯をしない主婦を
ひとり作るようなことになるかも知んないのよ。
んで、あの、原宿表参道とか歩いていると、
インテリアショップに
男と女の子が一緒に入ってきたりとか
するんだけどね、
かなりあれは危険な出来事だと思うんだよ。 |
ノリスケ |
ふうむ。 |
ジョージ |
二人で新居のために家具を選ぶならいいの。
でも、そういうのとは違う、
艶めかしさがそこにはあるし。
それこそ、女友だち同士で、
インテリアショップとか行って、
家具を見ながら、
こういう家具に似合う男って、
どういう男なんだろう? とか、
あなたの彼氏だったら、
この椅子よりあの椅子とかっていうふうに
言ってもらったほうが楽しいかなと思うしね。 |
ノリスケ |
そのほうが、楽しいねぇ。 |
ジョージ |
で、それで値段ながめて、
あ、ダメだ、もうこの値段、
ぜんぜんウチの彼氏ダメ、
とかっていうのって、
すーごい楽しいと思う。 |
つねさん |
あー。 |
ノリスケ |
それは楽しいでしょうね。 |
ジョージ |
いい家具屋さんに行くと、
椅子ってけっこう座れるじゃない。
で、女の子同士で家具屋へ行って
椅子に座って、
この椅子はどんな感じの男の人とか、
あの椅子はどんな感じの男の人とかって
言って歩くのって、すごい楽しいと思う。
包容力のある椅子もあれば、
跳ね返してくるような力強さのある
椅子があって。
で、凛々しい椅子もあれば
だらしないヤツもあるわけでしょ?
そんなこんなでね、半日まわるのって、
すごい楽しいし。
で、そういうふうに思いながら、
椅子とかテーブルとか見ていくと、
どんどんどんどん見る目が
つくんだと思うんだ。
椅子の名前を覚えるよりさ、
たとえばインテリアショップ行って、
インテリアショップの店員ぐらい
スカした店員はいないからさ、
なーんか、おめぇら、
ここの椅子なんか買えねぇだろう?
とかっていうのが、なんか知んないけど、
こちらの椅子は、復刻版でございまして、
リストアしてどうとかこうとかって
言うんだよね。
あれって、あの、一昔前の
ユーズドのジーンズを、
鼻持ちならない店員が売ってたのと
おんなじような。 |
ノリスケ |
はいはいはい。 |
ジョージ |
あるいは、ナイキの靴に
プレミアが付いてた時代の、
スニーカーショップの
店員みたいな感じがして。
で、そういう男の子つかまえて、
なんかあそこに座っている、
ちょっとだらしな気な椅子を
いただけませんでしょうか?
とかって言うのって、
すっごい素敵だなって思う。 |
ノリスケ |
ふっふっふっふ。 |
つねさん |
いいね。 |
ジョージ |
そういうふうにしながら、
煽り立てられたインテリアブームに
一矢報いるわたしたちとかっていうのは、
素敵かも知れないわよん。 |
ノリスケ |
でも、そのためにはお部屋を片づけなくっちゃ! |