ノリスケ |
映画も映画館も好きなんだけど、
困ったちゃんのお客さんもいるわよね。 |
ジョージ |
どんなとこにでも変なのはいるのよ。
どこで仕入れて来たのか分からないけど、
これから見ようとする映画の・・・ |
つねさん |
筋を、蘊蓄を。 |
ジョージ |
ベラベラベラベラしゃべるのが困るわー。 |
ノリスケ |
やあねえ。 |
ジョージ |
で、ベラベラベラベラしゃべるのは
たいてい男の方なんだよ。 |
つねさん |
あ、そうそう! |
ジョージ |
男的には、今日映画を見るということで
かなり張り切って来てると思うんだよ。
デートというものは
いつも女に主導権を握られているわけ。
でも、今日は主導権を握ってやろう、
みたいな感じで、情報仕入れてくるのね。
ところがてんで女の方は
聞く気になってないわけ。
だって粗筋知ってるんだったら
わざわざ見にくる必要ないじゃない、
みたいな受け答えなのに、
気が付かないでベラベラベラベラ
しゃべってんの。男が。 |
つねさん |
僕、昔、すごーいそれで
腹立ったことがある。
「グラン・ブルー」の完全版で。
「あ、この次のシーンとかさあ、
すっげえいいんだよ」とかさあ。 |
ジョージ |
そういうのって、自分の目で見たりとか
自分で経験したことを
言ってるわけじゃないでしょ? |
つねさん |
うん。受け売り。 |
ジョージ |
受け売りでしょ? だから、
何にもない、できればさらの方がいいよね。 |
ノリスケ |
うん。 |
ジョージ |
まあせいぜい、恋愛ものかホラーか、
くらいの知識はほしいけどね。
今日はロマンティックに決めましょうって
行ったら血のりがいっぱい付いて来た、
っていうのはまずいから、
最小限の情報は入れる必要はあるけど。
だけど知識は絶対入れちゃいけないと思う。 |
ノリスケ |
知識は入れても、人に言っちゃダメね。 |
つねさん |
うん。だから一緒に見る時の
ぼくたちの暗黙の了解があるの。
雑誌の映画批評、あるじゃん。
「文春映画館」とか。
ああいうのってちょっと
ネタばれみたいなことが
あったりとかするのね。
そういうのもし読んでも、
言わないようにしてる。 |
ノリスケ |
文春なんか参考にしてもねえ。
中野翠とおすぎが
全然違うこと言ってるんだから。 |
ジョージ |
この前すごかったよね。
「T3」。まるきし正反対。
あれは中野翠に軍配上がったよね。
すんごいつまんなかったんだもん。 |
ノリスケ |
あ、そう(笑)。 |
ジョージ |
ま、ともかくね、
お付き合いしてて、
肉同士のお付き合いだけ、
っていうのは嫌なわけよね。
だけど、肉同士だけじゃ嫌っていうと、
いきなり心同士になっちゃおうと
するんだけど、
心同士っていうのは
永遠に来ないかもしれないし、
来ると一瞬にしてやって来ると
思うんだけどさ。
肉と心の中間があるはずなんだよね。 |
つねさん |
ああ、ほんとは。 |
ノリスケ |
地続きだからね。 |
ジョージ |
そう。それがね、
たぶん趣味だとか好奇心だとか、
今までの興味だとかね、
自分が生きてきた人生だとかね、
してきた経験だとか、
感じたこととか表現とか
そういう事柄であって。
で、ものすごく日常的に、
僕達の日常生活の横に
非日常としてぽつんと現れてくるのが
映画みたいなものだから。 |
ノリスケ |
そうね。 |
ジョージ |
だって映画っていうのは
見る人を一応感動させるというか、
見る人に非日常的なものを
与えることによって、
その人の日常をもう1回見直して、
日常を楽しく変えてあげようと
することが映画なわけでしょ?
そうするとそういうところに
2人で行って、
お互いが感じたことを言い合ったり、
感じ合ったりするのは
大事なことなのよ。
例えば自分の彼氏が
連れて行きたがる映画って
こういうもんだって
分かっただけでも楽しいことで、
その世界が本当に嫌いだったら
付き合えない話な訳よ。 |
つねさん |
うん。 |
ジョージ |
本当に好きなわけではないんだけど、
行くとけっこうそれも楽しくって、
っていうのは、
その人のことを100%
愛せるかどうかは自信がないけれど、
でもこの人と一緒にいると
何となく気持ちがいいし、
じゃあもうしばらく
付き合ってみましょうか、
っていうのと同じことの感じがするからね。 |
つねさん |
あと、例えば自分の興味があるからって
すべてを相手に押し付けない。 |
ジョージ |
本当に好きな映画で僕が嫌いな映画は、
勝手に見てちょうだいって。 |
つねさん |
そうそうそう。
いっぱいあるんで、違うところが。 |
ノリスケ |
うちはそれ多いよ。 |
ジョージ |
はははは。 |
つねさん |
そういうのって、でも必要だよね。 |
ノリスケ |
そうそうそう。 |
つねさん |
無理矢理自分の趣味全部押し付けたら、
人って嫌がるもんね。 |
ノリスケ |
うちはわざわざ辛い気持ちになる
映画は見たくないって言う。 |
ジョージ |
あ、僕も嫌い。
あのね、人間が悲しくて
仕方がないっていう
絶望的な状況で
涙をさせようとする映画は。 |
ノリスケ |
そうそう。それはね、ダメなの。 |
ジョージ |
もう止めてちょうだいって思うんだよね。 |
つねさん |
うん。 |
ジョージ |
人間が悲惨で絶望的な状態で
笑わせようとする映画は
ものすごく幸せになれるんだけど。 |
ノリスケ |
そうね。 |
つねさん |
そういうものは落とし込むみたいな。 |
ジョージ |
そう。で、僕は涙は他人の幸せで
泣くもんだと思ってるからね。
幸せ系ね。いい映画あったね、この前ね。 |
ノリスケ |
何見たの? |
ジョージ |
マイ・ビッグ・ファット・ウェディング!
あれはね・・・
(と、映画解説約10分)
・・・というわけなの。 |
ノリスケ |
見る前に知識入れちゃったじゃないの! |
ジョージ |
その中でものすごくいい言葉があって
これかなりほがらか的にいい言葉なわけよ。 |
つねさん |
そうなの。 |
ノリスケ |
何? |
ジョージ |
あのね、ギリシャ人のお父さんが、
「わしはこの家の頭(あたま)だから、
男は頭だ。頭のいうことはみんな聞け」
って言ったら、お母さんが
「確かに男は頭だけど、女は首なの。
頭は首が向く方にしか向けないのよ」。 |
ノリスケ |
あらま。 |
ジョージ |
頭は頭で一番上でえらそうに
させてあげればいいの、
っていうふうに娘に言うの。
・・・いいでしょう?
聞いててね、ああ、ほんとだ、
とかって思っちゃった。
すごいおもしろい映画。
じつは「どうかなあ」と思って
行ったんだけど、
やっぱり好き嫌い言わずに
たまにへんてこりんな映画を
見るのも悪くないよね。 |
ノリスケ |
映画、毎週見てるの? |
ジョージ |
大抵毎週見ようとは思ってるよ。 |
つねさん |
見れる時はほとんど毎週見てるよね。 |
ジョージ |
1日で2本続けざまに
見たりとかもするし。 |
ノリスケ |
うん。2本は平気だね。 |
毎週ってすごいですね。つづきます!