ジョージ |
小学校の頃の学校の
通信簿の下に、
先生の所見があるじゃない?
そうするとね、正直な先生は、
「この子はわからない」
っていうふうに書くんだよ。 |
つねさん |
おお(笑)。 |
ノリスケ |
その先生、正直で偉いね。 |
ジョージ |
社交的であり外向的であるのに、
ある瞬間、ものすごく内省的で、
殻に閉じこもりがちの部分がある、
っていうふうに書いた先生がいて。
で、その先生がね、
文章を書くことを勧めてくれたの。
誰より本を読んで、文章を書くと、
たぶん気が紛れるから、って
勧めてくれた先生がいてね。
でもこれは、人間みんなが持ってる、
二面性なんだけど。
ほとんどの人は、その二面性を
意識しないで生きてくんだろうけど、
僕らはものすごく早い段階で
その二面性に気がついてるって
いうだけなのかもしれないよね。
そう思うよ。
ただ、社会に出て、
いちばんびっくりしたのが、
やっぱりどうこう言いながらも、
僕は、弱者とは思わなかったけど、
ハンディキャップを、
どっかでしょってるのかな?
っていうふうに思って
社会に出たんだけど、
社会に出ると、僕ら以上に
女の人ってハンディキャップしょってる、
って思ってね。 |
ノリスケ |
そうだね。 |
ジョージ |
申し訳ないな、って思ったもん。
だって、ある意味、僕らは、
男しか愛せないわけだから、
一般的な女とおんなじなわけでしょ? |
つねさん |
うん。 |
ジョージ |
だけど、ほんとは、
生物学的、社会学的な
「役割」からしたら
女以下なんだよね。 |
つねさん |
ああ、それはあるよね。 |
ジョージ |
そんな最低の自分よりも、
女の人が損してるって思うとね、
申し訳ないなって、すごく思ったよ。
だから‥‥最近ものすごく
大っ嫌いなのが、
女性専用のなんとかっていうやつだよ。
女性専用列車とか。 |
つねさん |
あー、あるね。 |
ジョージ |
毎月、第何何曜日は
レディースデイとかっていうの。 |
ノリスケ |
女性専用のビアレストラン。 |
つねさん |
そうそうそう。 |
ジョージ |
パチンコ屋さんもあるしね。
ああいうのがね、
すっごい嫌いなんだけど、
でも仕方がないのかな、って
思ったりとかもする。 |
つねさん |
あの、電車に関しては、
まあ仕方がないのかな、
って思うときもあるけどね。 |
ジョージ |
ストレスを受けないで
女性だけでっていうのは
あると思うけどね。
だけど、だけど、それって、
同性愛者だけ集めて良しとする
学校に幸せな人生があるのかなって
思うのと同じで、
ちょっと変なんじゃないかな?
と思ったりとかもするの。
よくわかんないけどね。 |
ノリスケ |
それはわからないね。
幸せかどうかはわからない。
でも、NYの高校はね、
ひょっとしてこの中から、
素晴らしい政治家が出るかもしれないし、
素晴らしい料理人が出るかもしれないし、
素晴らしい芸術家が出るかもしれない。
それはわからないんだけど、
でも、それは同じように、
どこからも出るかもしれないし。 |
ジョージ |
出るかもしれないけどね。 |
つねさん |
やってみないとわからないっていう部分で、
やってみるのがいいのかもしれないな、
っていうのがある。
日本でこうしている僕らには
想像もできないような
過酷な現実が
アメリカのティーンのゲイには
あるのかもしれないじゃない。 |
ジョージ |
あの、どういうのかな、
要は、塀を作るわけでしょ? |
ノリスケ |
そうそうそう。 |
ジョージ |
アメリカで誰かを褒めるときに、
You have something special. とか、
You are special. とか言うのね。
「特別」。 |
ノリスケ |
うん。 |
ジョージ |
だけど、もう片方に、
peculiar とかっていう言葉があって。 |
ノリスケ |
「ヘンテコ」なほうですね。 |
ジョージ |
変わってる、ヘンテコなほうで。
で、あいつらヘンテコだから、
隔離しようぜ、っていう
塀の作り方もあるわけさ。
昔の女学校っていうのは、
女はヘンテコリンだから、
閉じこめようぜ、って、
当時の、強い立場だった人が、
塀を作ったんだと思うの。
だけどそんな塀なんて、
いつかどっかで崩れていくよね。
パカーンて塀が崩れたとたんに、
塀の外にいたはずの人が、
気がついたらそっちが
塀の内側だったりとかすることも
あるんだよね。
だけど今、どんどんどんどん、
一昔前の人が建てた塀が
壊れ始めてる時代のような気がするよね。
塀というか、
ほんとは誰もが気がついて
知ってたんだけど、
誰もそれを正面切って
言わなかったこと。
たとえば、どんな学校にも、
ひとりやふたりの
同性愛者がいるのは
当たり前のはずだったのに、
んー、あたかもそんな人間なんか
いないかのように、
世の中には男の子と女の子しかいなくって、
男の子はお父さんになって、
女の子はお母さんになるように
できてるんです、っていうような
教育をして当たり前と
思ってたはずなのに、
いや、それは当たり前じゃないんだよ、
って、どこにもそんな子はいるんだよ、
っていうのの極端な時代が今なのね。
あと、それこそアメリカの司教の話だよね。 |
つねさん |
うーん。 |
ノリスケ |
司教ね。司教はね、
米聖公会っていうんですか?
同性愛者の主教就任を承認したの。
前妻との間に2人の子どものいる
ロビンソンさんって人なんだけど、
現在は男性のパートナーと暮らして
13年になる人だ、と。
これに対し、保守派は、
聖書の教えに背くと、
激しく反発していると。 |
ジョージ |
そうなんだよね。 |
ノリスケ |
司教の、あの、これ、
カソリックでも、相当、
司教さんたちの少年に対する性的な
ハラスメントが、ヨーロッパでも、
ニュースになってたりしてたわよね。 |
つねさん |
なってたよね。 |
ジョージ |
これは、彼らにしてみたら
天地がひっくり返るような
出来事だろうと思うんだよね。
だって、認められていなかったんだから。 |
つねさん |
ああ、そうだよね。 |
ノリスケ |
日本だとさ、戦国時代から何から、
「衆道」があったわけじゃない?
そもそも仏教が、ねぇ‥‥。 |
ジョージ |
うん、そもそも仏教。
これは、性別のない宗教だから。 |
ノリスケ |
そうですよね。 |
つねさん |
そうなんだ。 |
ジョージ |
だって、仏様って、性別、なに? |
ノリスケ |
中性? |
つねさん |
そうなの? |
ジョージ |
男でもあり、女でもあるんだよ。 |
ノリスケ |
仏像の体つきが、まあ、そうですよね。 |
つねさん |
ああ、そっか。 |
ノリスケ |
ゆったりして、ふっくらしてて。 |
ジョージ |
男が向かってきたときは女であり、
女に向かっていくときは男である。 |
つねさん |
そうなんだ。 |
ジョージ |
そういう文化の中で
育ってる僕らにとって、
キリスト教の人が考えてる
いろんなことって、難しい。 |