ノリスケ |
普段着で歩く、か。
なるほどねぇ。じゃあ、実際に、
そういう気持ちで遊びに来た僕に、
ここらへん見といたり、
買ったり食べたりするといいんじゃない?
っていうの、教えて? |
ジョージ |
まず、ほとんどの人たちが、
あそこに行くとき、
地下鉄でやってくると思うんだ。
地下鉄でやってきて、六本木の駅降りて、
で、ホームは、改札上がると、
六本木ヒルズこっちですって矢印があって、
否応なしにそっちの方に歩かされてって、
気がつくとエスカレーターで。 |
つねさん |
ユニバーサルシティーみたいな? |
ジョージ |
そう、ロスアンジェルスの
ユニバーサルシティー。 |
ノリスケ |
行ったことないです。 |
ジョージ |
あのね、テーマパークなんだよ。 |
ノリスケ |
あ、街が? |
ジョージ |
全ての人が、同じ順路にしたがって、
入り口に連れてかれるの。
考えてみたらさ、入り口のある街って、
変でしょう? |
ノリスケ |
変だね。 |
ジョージ |
だけどね、みんなね、
街に入り口があるということに関して、
何ら疑問も持たずに
地下鉄の駅からストレートに
エスカレーターに乗っちゃうの。
ま、乗ってもいいや。
乗ってもいいんだけど、んとね、
六本木ヒルズの、まず正しい、
空気感のつかみ方は、
駅を上がってすぐの広場ではなくって‥‥。 |
つねさん |
その下の‥‥。 |
ジョージ |
けやき坂通りっていう。 |
ノリスケ |
真ん中の、麻布十番の方まで
繋がっている通り? |
ジョージ |
そうそうそう、六本木ヒルズを
突き抜いてる通りがあって。
そこのけやき坂通りの入り口、
けやき坂通りの下っ側に
ツタヤさんがあるんですね。 |
ノリスケ |
あ、はいはいはい。
あそこは何通りっていうんだろうな?
外苑東のほうか。 |
ジョージ |
外苑東のほうだね。 |
ノリスケ |
スターバックスとツタヤさんがあって。 |
ジョージ |
その横にフードマガジンがあって。
僕はね、ここでね、
とりあえず空気を吸うと
いいと思うのよ。 |
つねさん |
ああ。 |
ノリスケ |
フードマガジンって、
六本木ヒルズがオープンする前から
オープンしていたよね。
西友系の高級スーパーマーケット。 |
ジョージ |
そう。 |
ノリスケ |
僕、あそこにはね、
ちょこちょこ行ってたのよ。 |
ジョージ |
現在、24時間営業なのよね。 |
ノリスケ |
素晴しい。 |
つねさん |
ね。 |
ジョージ |
素晴しい‥‥でね、あの、たとえば
食べるもの好きじゃない?
で、フードマガジンと紀ノ国屋ってね、
ぜんぜん違うんだよ? |
つねさん |
どう違うの? |
ジョージ |
どっちも、高級な街を代表している
スーパーマーケットでしょ? |
ノリスケ |
そうですね、高級な街の台所の、
食料庫として機能すべく、
作られたものですよね。 |
ジョージ |
うーん、なんだけど、違うのよ。
あのね、たとえば紀ノ国屋さん。
紀ノ国屋さんで、
ゴロゴロゴロっていうカートを押しながら、
1階をグルンと回ると、
今晩の晩ご飯のおかずが
そこらじゅうに転がってるわけよ。 |
ノリスケ |
そうなの〜、わくわくしちゃうよね。 |
ジョージ |
わ、このお魚、焼いてみたい、とか、
このお肉でしゃぶしゃぶしてみたい、
すき焼きするならこの肉だ、とかね。
サラダ作るんなら、あれだ!
とかっていう、もう、
すごいリアリティをもって
イメージが、襲ってくるわけ。 |
ノリスケ |
はい、なります。 |
ジョージ |
もう大変なの。 |
ノリスケ |
紀ノ国屋行くと、買っちゃいます。 |
つねさん |
わっはっは! |
ジョージ |
怖いよね、怖いんだよ。 |
ノリスケ |
そして、高いんです!
すっごく! みなさん! |
つねさん |
そう。物はいいけどね。 |
ジョージ |
それで、エレベーターで、
2階に上がっていくと、
素晴しいパンが焼けていて、
素晴しいお惣菜があって、
いっやー、これでもう今週1週間の献立、
ぜんぶ決まっちゃった!
って思うんだよね。 |
ノリスケ |
なります。 |
ジョージ |
ところが、フードマガジンで、
カートをどんなに押しても、
今晩の晩ご飯のお献立ってね、
思い浮かばないんだよ。 |
ノリスケ |
そうなんだよ。どっか外国のね、
スーパーマーケットに来てるみたいなね。 |
ジョージ |
そう。 |
ノリスケ |
よそ者として迷い込んだところ
みたいな感じがする。 |
ジョージ |
そう。ところがね、
今週末にホームパーティしたいとか、
今晩夜食に、ちょっと小腹入れたいんだ、
とかね。今まで探してたけど、
なかったものがここにある、とか。
これでインドネシアまで
わざわざナシゴレンのスパイス
買いに行かなくていんだ、とかっていう‥‥。 |
つねさん |
はははは。 |
ノリスケ |
わかります。 |
ジョージ |
そういう変な発見がある。 |
ノリスケ |
僕はあそこでケーキミックスを
買いました(笑)。 |
ジョージ |
そうなんだよね! そうなんだよ。 |
つねさん |
誰かがフォーを買い占めてたしね。 |
ジョージ |
そう、フォーを買い占めるとか。 |
ノリスケ |
そう、そんな感じ。おみやげ感覚。 |
ジョージ |
あ、ナンプラー、いいじゃん、
とかって、そんな感じなんだよ。 |
つねさん |
確かにそうだね。 |
ノリスケ |
僕、イタリアのチョコレート・
ババロアミックスみたいなの
買っちゃったもん(笑)。
そんなの普段は買わないもの。 |
ジョージ |
分譲マンションを買った人の
晩ご飯ではなくって、
賃貸マンションに、
会社の経費で住んでいる人たちの、
今晩とか今週末なんだよね。
だから、それをね、見るの。
あー、これがこういうところの生活なんだー。 |
ノリスケ |
観光としては楽しいね、
それは(笑)。 |
ジョージ |
楽しい。これ、
海外旅行と同じだから。ね。 |
ノリスケ |
そんな感じ。 |
つねさん |
そういう意味でいったらさ、
ツタヤの、あの本屋さんもそうだよね。 |
ジョージ |
そう、ツタヤでね、
1時間くらい、平気でいられるよ。 |
つねさん |
そう。あそこのブックショップは、
けっこう面白いね。 |
ジョージ |
こんな本があるんだ、とか、
あんな本があるんだ、こんな雑誌があるとか。 |
つねさん |
図書館みたいな感じ。 |
ノリスケ |
新宿だと、ええと、
タワーレコードがね、
めちゃくちゃ本が充実してるんですよ、
知ってる? |
つねさん |
ああ、そうだよね。 |
ノリスケ |
あそこにやられて、
新宿のツタヤ、本系は
弱いんですよ。
文化的な感じがないの。
キオスクの延長で。
で、渋谷ツタヤは、
そこをがんばってるの。
そっちの流れかな。 |
つねさん |
うん。 |
ジョージ |
そう、だと思う。だって、
六本木ヒルズのツタヤはね、
たとえば、この前、
旅行本を見ようと思ってね、
ニューヨークに行きたい、
とかって思ったから行ったらば、
トラベルっていうコーナーがあるんだよ。
あるんだけど、メインの棚には、
旅行ガイドブックは1冊もないの。 |
ノリスケ |
どんなのがあるの? |
ジョージ |
エッセー。 |
ノリスケ |
あー! |
ジョージ |
旅行に関するエッセー。
たとえばニューヨークっていうと、
ニューヨークの生活の本であるとか、
ニューヨークで発行されている、
ニューヨークの街の情報の雑誌であるとか。 |
ノリスケ |
いいねぇ。 |
ジョージ |
そういうのがあるんだよ。
そんでね、面食らっちゃうでしょう?
あ、ここ、ガイドブック置いてないのかな?
って思って裏っ側に回ると、
ひっそりとガイドブックがあるんだよ。 |
ノリスケ |
いや、確かに、今はそういう時代でね。
ガイドブックでは
役に立たないことが多いし。 |
ジョージ |
うん。だから、どゆのかな?
初めて海外旅行する人は
相手にしていない? |
ノリスケ |
そうだね。 |
ジョージ |
それこそ、自分なりのニューヨークの
街歩きの仕方は知っているんだけど、
でも、もっと深めたいであるとか、
もっと新しい情報が欲しい人が、
あっ! いいじゃん、って思って
買える本がね、ダーッと並んでるの。 |
つねさん |
確かに面白いよね。 |
ジョージ |
旅行ひとつとっても、そんな感じ。
で、写真本だとか美術本だとかの、
カテゴリーのとりかたがね、
またね、すっごい変てこりん
だったりするんでね。
これは、その、フードマガジンで
海外旅行気分をしたらば、
ツタヤでもって、なんか、文化的な、
新しいカルチャーをギャップを
得ることができる。 |
ノリスケ |
なるほどね。いや、六本木っていうと、
青山ブックセンターに行ってね、
オッケーにしちゃうんだけど、
あそことも違う?
あそこも相当いいですよね。 |
ジョージ |
違う。あのね、青山ブックセンターはね、
どちらかというと、美術館みたいな感じ。
キュレーターがしっかりいて、
こういうふうに読んで欲しい、
ウチに来たら、こういうふうに
手に取って欲しいっていう、
意志があるんだよね。 |
ノリスケ |
そうですね。 |
ジョージ |
んで、それを求めて行ったときには、
ものすごくいいんだけど、
自分が読みたくなかった本を買うことは
できないんだよ、六本木の
青山ブックセンターでは。
ところが、六本木のツタヤではね、
美術館っていうよりも
ギャラリーっていう感じがして、
その、もっと独断と偏見に満ちている。
んで、それが苦手な人は
たぶん2度と行かないんだろうけども、
それを、ま、こういう世界も
あるんだと思って楽しめる人にとってはね、
行くたんびに新しい喜びがあると思うよ。 |
つねさん |
これ、違うかもしれないけど
パルコの書店の品揃え‥‥。 |
ジョージ |
リブロ? |
つねさん |
そうそう。とか、昔の
カンカンポアとか。 |
ノリスケ |
カンカンポアね! |
つねさん |
そんな感じがする |
ジョージ |
本の好きな人というより、
生活とか‥‥。 |
つねさん |
あの、サブカル系とか。 |
ジョージ |
そうそう。誰も知らない、
それこそトリビアの泉的な、
へぇーっていう世界が大好きな人が、
その、自分のオピニオンを表現する
ツールとして本を選ぶと
こういうふうになったのかな、
っていう感じがして。
で、スターバックスも、
日本でいちばん素敵な
スターバックスだと思うしね。 |
ノリスケ |
そうなんだ〜。 |
ジョージ |
うん、スターバックスを必要としない人は
誰ひとりとして来ないスターバックス。 |
ノリスケ |
なるほどね(笑)。 |
ジョージ |
だから、すごく素敵だと思うよね。
あれだけいっぱい六本木ヒルズに
人が集まっているのに、そこだけはね、
まず、一張羅の人が来ない。 |
ノリスケ |
普段着なんだね。 |
ジョージ |
普段着の人しか来ない。
だから、まずフードマガジンよ?
フードマガジンいちばん最後にすると、
いっぱい買って重くなるから。
いちばん最初に見て、
あ、こーんなものを売ってるとこなんだ、
って。 |
ノリスケ |
つまり、麻布十番駅から
行くっていうことですね。 |
つねさん |
そう! ピンポン(笑)。 |
ジョージ |
それで、ツタヤに入って、
なんか、絶対いつもは買わないだろうな
っていう本を1冊買って小脇に抱えて、
けやき坂通りをダーッと上がってくの。 |
つねさん |
おぉー、素晴しい。 |