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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

愛着と執着 その1
そりゃ自分のお家ですもの。
ジョージ この話題をしようかというふうに言ったのは、
私が言い出しっぺでありまして。
ノリスケ 愛着。
ジョージ 愛着。
つねさん 愛着。それはまたどうして?
ジョージ 久しぶりに大学時代の友だちと
会う機会がありまして。
大学の友だちといっても、
それはもう人生はバラバラなわけよ?
ノリスケ もうかれこれ20‥‥。
ジョージ 20年経ってるからね。
つねさん そうだね、卒業してそのぐらいだよね。
ジョージ そう。そうするとね‥‥あ、
年齢がバレちゃった、
みたいな感じ?(笑)
で、あの、んー、ま、
いろいろなとらえ方があるのだろうが、
その、社会的経済的に成功したり、
そうではなかったりとかっていうふうに、
分かれていくじゃないですか。
つねさん うん。
ノリスケ 残酷な現実としてね。
ジョージ んで、とくに、わたくしがおりました
大学の中では、
わたくしのポジションというのがですね、
へんてこりんなわけでしょ?
チアリーディングをやってみたり、
留学生をだまくらかしてみたりとかという、
このへんてこりんな‥‥。
つねさん あ、で、就職しなかったという。
ジョージ そう。しかも、揚げ句の果てに、
就職もしなかった。
しかも、帰国子女系でもあるという、ね?
んで、こういう人の周りには、
そういう人ばっかりが集まってくるのよ、
なぜかしらないけれどー。
ノリスケ それ、久しぶりに会ったときに?
ジョージ 学校にいるころからそうだったの。
つねさん へぇ。
ジョージ そうだったんだけど、やっぱり卒業して、
どういうんだろう?
ずーっといつも連絡を取りあってる
連中もいるけれど、
やっぱり音信不通になったり?
今どうしてるのかわからなかったりとか。
で、誰かひとりとたまたま
街で会ったりとかして、
そうすると、じゃ、プチ同窓会みたいなのを
やってみようか、みたいな感じになって。
それで、僕が仕切ってみたらば。
つねさん はい。
ジョージ へんてこりんなのばっかりが集まるのよ。
んで、その中にね、ひとり、
やっぱり帰国子女系で、
外資系の証券会社に勤めて、
女の子なんだけど、
かなりものすごいとこまで昇りつめて、
んで辞めてね、独立して、
いま自分でもって、小さいながら、
ファンド系の証券会社を
やってる女の子がいて。
ノリスケ ま、女の子といっても‥‥。
つねさん ま、女性。
ジョージ そう、そうなの。
ノリスケ もういい歳‥‥。
ジョージ そうなの。それで、独身。
つねさん おぉ。
ジョージ それで、僕の友だち曰く、
あいつはおまえを待ってたんだ、って。
オカマを待つなよ!
みたいな感じなんだけど。
そんな子たちとお外で食事したあとに、
じゃあ、どっかで飲み直そうよ、ってね、
うちに来たの。
つねさん みんなが。
ジョージ そう。
ノリスケ 何人ぐらい?
ジョージ 5人。
ノリスケ まあ、いい感じだね。
ジョージ そう、いい人数。
それで、うちに来るなりね、
その女が何て言ったと思います?
つねさん 「生活感がない」?
ジョージ 違う。
ノリスケ 「女の部屋みたい」?
ジョージ 違うの。
これね、やっぱりね、
この女は外国人だな、って思った。
ノリスケ なんて言ったんですか?
ジョージ 「あんた、この家、高く売れるわよ」。
つねさん はははは!
ノリスケ さすが‥‥。
ジョージ これってね、日本人的感覚だと、
自分が住んでる家を
商品としては絶対見ない、でしょう?
つねさん あ〜。
ジョージ だけど、よく考えてみたら、
アメリカ人って、家1軒買うと、
ものすごい手をかけて改装したり、
修復したりで、きれいに住むんだよね。
で、きれいに10年住んで、
きれいに改修をして、
素敵な状態を保っておけば、
10年前に買った値段よりも
高く売れることがわかってるから、
そうやって住むんだよ。
だからマーサ・スチュワートとかが
必要になってくるんだよね。
ノリスケ ラルフ・ローレンのペンキだとか。
ジョージ ラルフローレンの壁紙であるとか、
ローラ・アシュレイのペンキであるとかって
いうのが必要になってくるわけであって。
で、日本のマンションとか
家の価格っていうのは、
周りがどんどんどんどん上がっていくから
自動的に上がっていく‥‥。
ノリスケ 地価高騰に比例するだけであって。
ジョージ そうそうそう。
つねさん そうだよね、その、
部屋の中身とかじゃないんだよね。
ジョージ そう。で、そういうふうな
アメリカ人的な発想で僕の家を見た彼女は、
「あら、あんた、こんな上手に
 手間もかけてるし、きれいに保ってるし、
 お掃除も行き届いてるし。
 あそことあそこは改装したんでしょ?」
って。
「こんな改装は他の人は絶対しないから、
 絶対高く売れるわよ。何だったら、
 私が高く買ってくれる
 外人でも紹介しましょうか?」。
ノリスケ 早い、早い(笑)。
買ったばっかだよ。
ジョージ そう。いやいや、あんた、
買ったばっかりだよ、って言ったら、
「幾らで買ったの?」
「これだけ出したよ」
「あ、じゃあね、私、
 それの2割り増し出す人を紹介してあげる、
 どう? 1割よこさない?」
って、おいおい、ここでまた商売かい?
みたいな感じ。
つねさん へぇー。
ジョージ だったのね。んで、
そのときに彼女が言ったキーワードが、
「あなたは自分の家に対して、
 愛着を持ってる」だったの。
つねさん へぇー。
ノリスケ ほぉー。
そんな風に言われる自信はないなあ。
ジョージ それでね、わ、久しぶりに
愛着っていう言葉を聞いたな、と思って、
でね、愛着という言葉を、
ちょっと考えてみようかな、って思ったの。
ノリスケ 長い前置きだけど、そういうことだったのね。


前置き長い!(楽しいけど)
次回から本題でっす。

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2003-10-13-MON
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