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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

愛着と執着 その2
伊勢丹メンズ館の愛着。
つねさん 確かにさ、あの部屋、
半年がかりでずっとずっとずっと
ずーっと考えてたよね。ああだこうだ。
ジョージ わたくし、あの、新築のマンションを
契約させていただいてから半年間、
あの、ほとんどヒマな時間があったら
図面と‥‥。
つねさん 向き合って。
ジョージ そう、図面を見てました。
ノリスケ にらめっこ。
あと建築家に電話して?
つねさん インテリアの本読んで。
ジョージ それで、万全を期して、
ぜんぶ準備をして引っ越した
つもりだったのに、
カーテンのない状態で3週間。
壁ができあがらない状態で1ヶ月。
つねさん そう。
ジョージ 壁が出来上がったあとで、
もう1回手直しをするのに半月。
ノリスケ テーブルもなかったですよね。
ジョージ そう、テーブルもございませんでした。
何もございませんでした。
つねさん 最初はね。
ノリスケ でも、その人、そんなに
クールな考え方するのに、
愛着がお金になるっていうことなわけでしょ?
要するに、その人が言いたいのは。
ジョージ そう、そう。それでね、
愛着ってどういうことだろう? って。
で、考えた結果があるんです。
ちょっと発表したいんですけどっ。
つねさん はい、パパーン!
ジョージ ものごとを考えるときにですね、
よく似た言葉でぜんぜん違う言葉と
並べて考えるのがよろしいかと思いまして。
愛着と執着。
似てるでしょう?
でね、違いは?
どっちも愛することなのね。
大切にしたいと思う気持ちなんだけど、
愛着っていうのは、
いつか自分の手元から離れて
なくなってしまうかもしれないものに対して
愛情を注ぐこと?
で、執着っていうのは、
自分の手元から絶対はなさないぞ、
って思いながら
一生懸命引きとどめる愛情を注ぐこと。
つねさん あ〜。
ジョージ たとえば、先祖代々から譲られた家を、
ぜったい人に渡すもんか、って思いながら
そこに注ぐ愛情って、
執着心だろうと思うんだよね。
で、そうやって考えるとね、
人を愛するのにも
愛着を注ぐっていうのと
執着するっていうのって違うんだな、
とかね。
ノリスケ 最近、日本語が乱れていると
言われますが(笑)、
こだわるって言葉あるでしょ。
あれ、よくない言葉でね。
ジョージ うん、よくない言葉だよ。
ノリスケ 漢字にするとわかるんだけど、
「拘る」でしょ。拘束のこと。
ジョージ そう。
つねさん はいはいはい。
ノリスケ だからね、
「こだわりの我が家」ってね、
執着でしかないって聞こえるの。
つねさん そう、執着なんだよね。
愛着じゃないよね、なんか。
ジョージ 明治時代の小説とか読むと、
こだわるっていうのは、
ささいなことにくよくよするっていう
意味で使われてるんだよ。
ノリスケ そうそう、
「なにをそんなことに
 君はこだわっているんだ」
という使われ方よね。
つねさん はいはい。
ジョージ だから、今の、番組、
ええと、匠、リフォームの匠。
ノリスケ 「劇的ビフォア・アフター」。
ジョージ そう、ああいうんで、
こういうとこにこだわってみました、
っていうのって、
みんななんか、ちんけな、
ささいなこだわりで。
そこに住む人でないと
価値を見いだせないことに
平気でこだわるじゃない。
つねさん うん。
ノリスケ そこばっかを褒めちぎるのよね。
ジョージ そう、そんなのつまんないな、
って思ったりとかして。
そんでね、たとえば、
美しさに愛着を持つということと、
美しさに執着する、あるいは、
若さに愛着を持つということと、
若さに執着を持つということ‥‥
つねさん あはは‥‥。
ノリスケ ふふふ‥‥。
ジョージ あの、伊勢丹のね、
って、どんどん話いろんなとこいくんだけど。
つねさん はは、いっちゃえ。
ジョージ 伊勢丹行った?
ノリスケ 行きました、新館ですね。
メンズ館、行きましたよ。
ジョージ どう思う?
ノリスケ 僕、好き。
ジョージ そう、けっこうね。
あそこの1階‥‥。
ノリスケ あ、1階おもしろくて、
ひとつ目玉とされてるのが、
男性化粧品専門売り場ができてる。
つねさん ああ、あるよね、一角。
ノリスケ これは、従来はたとえば
アラミスならアラミスのブース、
シャネルならシャネルのブースって
いうふうにブランド別に分かれてた
デパート、店舗貸ししてたところを、
セレクトショップ的に、
ブランドごっちゃ。
だから、シェービングクリームだけで
いろんなブランドがあるよっていうふうに、
選べるのね。
ジョージ うん、そうだよね。
僕、メンズの化粧品のコーナーは、
すごく面白かったと思うんだけど、
ただ、今までの男性化粧品って、
香りものでなければ、
ひげそり系だったんだよね。
で、そうじゃない男性化粧品がいっぱい‥‥。
つねさん スキンケア系とか。
ジョージ うん、たとえば、ほら、
わたくしが昔、あの‥‥。
つねさん はい。
ノリスケ 狂った。
ジョージ そう、クラランス。
つねさん の、メンズ!
ジョージ メンズが出て。
ノリスケ クラランス・メンっていうのが
出たのよね。
ジョージ そう。
つねさん かわいいよね。
ノリスケ でもさあ、私たち、
すでに、海外通販で買ってた(笑)。
ジョージ そう、しこたま在庫も抱えたんだけど、
なんかしんないけど
日本でも買えるようになってしまって悔しい。
つねさん そうだよね、出た途端に
フランスから個人輸入して
買ってたよね、あれ。
ジョージ そう。ただ、ああやってね、
なんか、女性化粧品のコーナーと
ほとんどおんなじような品揃えで、
男性化粧品がバーンと揃ってるんだけど、
やっぱりね、男は男であって、
女の化粧品にはなれないんだな、
って思うことがいくつかあった。
ノリスケ ほぉ。
つねさん たとえば?


たとえばたとえば?
つづきまーす。

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2003-10-20-MON
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