ジョージ |
あのね、ハワイといっても、
観光客の、ほぼ、35パーセントは
日本人なのよね。
で、しかもあの、諸外国の皆さまって、
たとえば、10日間いても、
10日でもって5万円しか
使わなかったりとかするんで、
商売的には、3泊5日でも
20万使ってくれる日本人を
相手にしたほうが商売になるのね。
そうすると、日本人向けのお店とかって
けっこういっぱいできるのね。
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ノリスケ |
ええと、洋服屋さんとか
レストランで?
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ジョージ |
そう、洋服屋さんでも。
たとえば、ハワイにルイ・ヴィトンは
いらないのよ、ほんとは。
ハワイに、プラダなんかいらないの。
プラダあってもいいけど、
プラダで、コートなんかは必要ないのよ。
だって、ハワイなんだから。
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つねさん |
そうだよね、よく考えたら。
‥‥あれ? あんた、
ハワイのプラダでコート買わなかった?
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ジョージ |
だってかわいかったんだもん‥‥。
日本にはなかなかないサイズが、
ハワイにはあるのっ。
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つねさん |
はーい、それはそれ。
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ノリスケ |
それは置いといて。
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ジョージ |
そんで、でね、飲食店で。
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つねさん |
はい。
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ジョージ |
「G角」ってご存知ですか?
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ノリスケ |
はい、安い焼き肉屋のチェーン店よね。
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ジョージ |
そ、あの「G角」ね。
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つねさん |
はい。もしかして‥‥。
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ジョージ |
できてたの。ハワイに。
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つねさん
・ノリスケ |
!!!
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ジョージ |
しかも、2軒目!
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つねさん |
そうなの?
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ジョージ |
1軒目ね、ちょっと町外れにできたんだけど、
2軒目がね、なんとね、ワイキキのど真ん中。
免税店の裏っ側。
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ノリスケ |
あらぁ〜。
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つねさん |
ほいほい。
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ジョージ |
ルイ・ヴィトンの裏っ側。
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つねさん |
あんなところにできたの?
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ジョージ |
すごいでしょ?
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つねさん |
すっげー。
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ジョージ |
だからね、あの、ワイキキでいちばん
大っきなルイ・ヴィトンの直営店の
前に立つと、カルビの臭いがしまーす。
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つねさん |
はははは。
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ノリスケ |
あらっまー。
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ジョージ |
お店の中に入って、2階がね、
スペシャルオーダーの、
けっこうよろしい売り場なんですけど、
2階に上がるとですね、
あの、煙って上に上がるじゃないですか。
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ノリスケ |
はい、バカと煙はですか。
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つねさん |
はははははは。
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ジョージ |
そう。もうね、
焼き肉屋さんの煙に
いぶされてるみたいな感じ?
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つねさん |
くんせい?
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ジョージ |
そう。なんです。
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ノリスケ |
ありゃりゃー。
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ジョージ |
んで、べつにあの、
ハワイくんだりまで行って焼き肉を
食べる義理もないですし。
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つねさん |
行ったことなかったね。
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ジョージ |
ね。で、行ってみたの。
どんなもんかしらって。
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つねさん |
あ、行ったんだ!
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ジョージ |
行ったの。
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つねさん |
うそっ!
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ジョージ |
行ったのよー。
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つねさん |
すごい。偉い、偉い。
なんかわかんないけど、
そんなあなたが素敵。
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ジョージ |
でね、行くとね、
けっこうおしゃれな店なんだよ。
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ノリスケ |
それなりに?
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ジョージ |
そう、それなりに。
テーブルが20近くあったかなあ。
エリアがね、3分の1ぐらいと
3分の2ぐらいに分かれてるの。
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つねさん |
ふんふん。
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ジョージ |
でね、見てるとね、
3分の1ぐらいのテーブルは、
英語が堪能なお客さまがいらっしゃるの。
んで、白人系の、
英語が堪能なウェーターとか
ウェートレスが働いてるの。
ということは、残り3分の2は‥‥。
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つねさん |
英語が不自由な?
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ジョージ |
英語が不自由な日本のお客さまと、
英語が不自由な日本の従業員っていうのが
働いてるんだよね。
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つねさん |
それじゃ一緒じゃん、日本と。
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ジョージ |
う〜〜ん。それで、その、行ったらば、
英語が不自由な人のホールは、満席なのよ。
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つねさん |
ほいほい。
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ジョージ |
で、英語が堪能な人たちのところに、
テーブルがひとつ残っていて、
表を見ると、20人ぐらい待ってるの。
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つねさん |
あらま。
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ジョージ |
僕ね、生まれて初めてね、
スモーカー、ノンスモーカーじゃなくて、
イングリッシュ、
ノンイングリッシュっていうレストランを、
見た!
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つねさん |
いやぁ(笑)。
ぼく、ノンイングリッシュ!
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ジョージ |
入り口の案内係に、
すごいチャーミングな女の子がいたの。
で、彼女に、3人なんです、って言ったら、
すいません、あの今、あちらの
テーブルしかないんです。
でも、そこまで英語で喋ってるわけだから、
お客さまなら大丈夫ですね、って、
入れてもらったの。
メニューも英語のメニューだし、
従業員も英語しか話せないですけど、って。
残り20人の人たちは、
ジャパニーズスピーキングのテーブルが
空くまで待ってるんだけど。
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ノリスケ |
中はどんな感じ?
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ジョージ |
なんか日本の経営のレストランじゃ
ないみたいなの、そこだけは。
とってもにこやかでフレンドリーで、
アメリカのレストランだったの。
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つねさん |
ちょっとゆったりした感じで?
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ジョージ |
そう、バーベキューレストラン
みたいな感じがして。
で、あー、これなら「G角」もいけてるじゃーん、
とかって思いながら、後ろを振り返ったの。
そしたらね‥‥そしたらば。
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ノリスケ |
何を見たの!?
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ジョージ |
そこにはね、あのね、たぶん彼らは、
ハワイに来て4日目とか
5日目なんじゃないのかな。
いろんなところで、
英語が喋れないストレスっていうのを、
溜めに溜めてやってきて、
「G角」でメニュー開いて、
もう心置きなく自分が食べたいものを
注文できる解放感にひたってるの。
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つねさん |
日本語で。
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ジョージ |
日本語で。そうすっとね、すごいんだよ。
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つねさん |
どんなの?
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ジョージ |
もうね、大声でね、おじさんが怒鳴るの。
「おまえ、早く持ってこないかーっ!!」
って。
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つねさん |
まじっ!? やめてっ。恥ずかしいっ。
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ノリスケ |
うわぁ‥‥。
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ジョージ |
「なにやってんだ、おまえら早くしろ!」
って。
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つねさん |
最低っ(笑)。 |