ジョージ |
そういえば、
もんのすごく大っきなエルメスが、
アラモアナショッピングセンターにできてた。
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つねさん |
あ、そうなんだ。
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ジョージ |
そう、すっごい品揃えだったの。
いいものがいっぱい入ってるんだけど、
だけどね、日本人が、
日本人ってなんでなんだろう?
日本人って、って言うといけないんだよね、
あのね、なんでかしんないけど、
自分が買うものしか見ない人が
いっぱいいるの。
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ノリスケ |
あ〜。逆だけどね。
買えないから全部見ようと思うけどね(笑)。
楽しいから。
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ジョージ |
あの、やっぱりエルメスで
いちばん素敵なものっていうのは、
わけのわかんない革製品でしょ?
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ノリスケ |
馬具系の。
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ジョージ |
それで、あとは、
カシミヤのコートだとかスーツだとかって、
なんでこんなに高いんだろう?
誰が必要としてるんだろう?
っていうのがいっぱいあるじゃない?
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つねさん |
うん。
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ジョージ |
だけど、買えるものもあるんだよね。
買えるものっていうと、
布製のカバンだとか‥‥。
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つねさん |
いわゆるフールトゥ・ドーヴィルとか。
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ノリスケ |
数万円からあるやつね。
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ジョージ |
そう、最終的に買えるものを
買うっていうのは、正しい判断なんだけど、
買えるものしか見ないで、
それしか買わないっていうのは、
お店の人にとって
すっごい悲しいことだと思うんだよね。
で、とくにエルメスで働いてる人なんて、
働いてる人があそこのものを
買えるわけがないんだよ。
だからエルメスにお客さまとして
やってきてくれてるということは、
少なくとも自分たちよりも、
数倍、生活に対して
お金をかけるということができる
人たちなわけだから、
おもてなししようという気持ちは
いっぱいあるんだよね。
たとえば、すーごいプリティな
コートがあったの。買わなかったけど?
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つねさん |
よーし。
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ジョージ |
サイズがなかったからなんだけど(笑)。
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つねさん |
いや、その前、プラダ買ってるはずだから。
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ジョージ |
そうそうそうそう。
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ノリスケ |
まあ、2着は多いかな? みたいな感じ?
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つねさん |
そうそうそうそう、重いし。
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ジョージ |
プリティなコートを、
誰かれかまわずみんなが買うなんていうのは
思ってないわけよ、お店の人も。
だけどせっかくそこに
吊るしてあるわけだから‥‥。
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つねさん |
ちょっとお袖ぐらい通しても。
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ジョージ |
そう、たまには袖を通してくれないと、
自分たちは仕事ができないわけじゃん?
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つねさん |
ははぁ。
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ジョージ |
んーでね、行ってね、
あ、これ、かわいい、って言うと、
着てみますか? って。
着ると、とってもかわいかったりとか
するんだけど。ああ、やっぱり
肩が小っちゃーい、とか言いながら。
んで、そんなこんなしてると
もう30分とか1時間とか、
平気で過ごせるんだよね。
で、いろんなものを見て、
いろんなものを手に取って、
お店の人とバカな会話をしながら、
揚げ句の果てに何かひとつ買えば、
ギフトくれたり、あるいはこう‥‥。
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ノリスケ |
お互い、いい思いをね。
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ジョージ |
そう。あの、ご住所頂戴できませんか?
とかって言われて住所を書くと
セールの案内状が来たりとか。
ま、来て、行けるかどうかは別として。
でもすごい楽しい人生が
得られるわけであって。
でも僕がエルメス行ったときに、
すごい気の利いた日本のお客さんがいたの。
あの、今、エルメスベビーってやってんのね。
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つねさん |
へぇー。
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ノリスケ |
もともと、ちょっとあったけどね。
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ジョージ |
ちょっとあった。あったけどね‥‥。
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ノリスケ |
お人形とかね。
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つねさん |
ああ、あの、ブランケットとかでしょ?
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ノリスケ |
ブランケットとか。「アヴァロン」だっけ。
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ジョージ |
タオルがものすごく充実してるの。
あと、ガラガラだとかね。
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ノリスケ |
あ、そういうのもあるんだ。
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ジョージ |
うん。あと、あの、タオル地の、
ベビー用の靴とかね、そういうのが揃ってて。
で、見るとね、安いもんでね、
85ドルとか100ドルぐらいからあるんだよ。
で、そういうのを、買ってる
日本人女性がいたの。
その子、女同士で来てて、
買ってる子の話聞いたらね、
上司が結婚して、まだお子さんが
いらっしゃらないんだけど、
冗談みたいにこれ贈ってあげよう、
とか言って、おみやげに、
ネクタイなんかよりも絶対こういうほうが
気が利いてるよねー、とかって言いながらね、
ベビー用品買って帰ってたの。
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つねさん |
へぇー。
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ノリスケ |
なるほどね、ネクタイより安いしね。
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ジョージ |
そう。かわいいなーと思った。
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つねさん |
面白いね。
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ジョージ |
それで、その、自分の上司に、
実用品じゃなくってそういうものを
買える上司と部下の関係って、
たぶんすごい素敵な関係なんだろうなー、
とかって思って見てたよ。
うん、それで、お店の人に、
小っちゃーいベビー用のタオルをね、
2枚セットにして、
これ私たちのプレゼントで包んで下さい、
って言ったら、親戚とか、
あなたのお兄さんとかお姉さんとかの
ニューボーンベイビーなのか?
って訊かれるでしょ?
すると彼女たちが、いやいや違う、って。
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ノリスケ |
ボスのです。
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ジョージ |
ボスのベビー、って言ったら、
エクスペクティングなのか? って、
もう妊娠してるのか?
って言ったら、ぜんぜん、って。
「まだ空にいるのよ」ですって!
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つねさん |
おぉ(笑)。
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ジョージ |
店員さんも、すごくグッドアイデアで
素敵だと思う、って言ってた。
エルメスのベビー用のタオルってね、
真ん中が空いてるの。
2枚重ねになってて、間が空いてて、
手突っ込めるようになってて。
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ノリスケ |
へぇ。
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ジョージ |
それを見せて店員さんが言うの。
「もしそのボスの奥さんが、
キャリア志向が強くて、
仕事が忙しくって、
お子さんがいなくっても2人で
じゅうぶん幸せだっていう
方であったとしたらば、教えてあげて」
って。
「この中に、キーを入れて、
紐をこうやって引っ張ったら、
とっても素敵なキーケースになるから」
って。そういう使い方もできるのよ、
って言ってもらいながらね、お買い物してた。
すーごい素敵だったよ。
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つねさん |
へぇー、いいねぇ。
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ノリスケ |
それ、日本人女性2人組なんだね。
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ジョージ |
うん、2人組。
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ノリスケ |
そういう子たちもいるんだね。
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ジョージ |
そう。だから、やっぱり好奇心を持って、
ドアを叩けば
開くドアはいっぱいあるんだな、
っていう感じはした。
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つねさん |
ただ、もったいないかな、
開けない人がいっぱいいるのね。
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ジョージ |
そう。開けないっていうか、
世の中はドアのかたまりだっていうのが
わからないで生きている人も
いるんだと思うよ。
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ノリスケ |
そうね、世の中には、
自分が開いたことのない
ドアがいっぱい並んでる。
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つねさん |
そうね。で、開かずに済む道をずっと行く、
みたいな。開いたら変わるのにね。 |