ノリスケ |
で、どうなの? お味は。 |
ジョージ |
お料理も美味しかったよね。 |
つねさん |
お料理が素敵だった、とっても。 |
ジョージ |
アメリカ人がものすごく大好きなお料理を、
フランス料理風にアレンジして
出してるお店なのよ。
マカロニだとかね、ハンバーガーだとか。 |
つねさん |
フロンティアっぽい、西部開拓みたいな。 |
ジョージ |
そうそうそうそう。 |
ノリスケ |
の? フレンチなんだ。 |
つねさん |
みたいだよね。そうそう。 |
ノリスケ |
へぇー。 |
ジョージ |
だから、たとえばね、
イベリコ豚のローストみたいなのがあったの。
そしたらそれがね、ル・クルーゼのね、
鍋に入ったまま出てくるんだよ。 |
ノリスケ |
あらま〜。キャセロールのまま? |
ジョージ |
横にポークビーンズが一緒に添えて。 |
つねさん |
そう、あっれが、チィヨォ〜旨かった。
死ぬほど旨いよ、あれは。 |
ジョージ |
ねー。すごくおいしかった。
で、いちばん最初にね‥‥
ピーナツバターが出てくるの。 |
ノリスケ |
アメリカ人だアメリカ人だ。
チャーリー・ブラウンのサンドイッチだ。 |
つねさん |
ピーナツバターとね、ブルーベリー。 |
ジョージ |
の、ジェリーが出てくるの。
フランス人が、アメリカ人に対してね、
あなたたちいろいろ気取って
フランス料理食べてるかもしんないけど、
ほんっとはこういうのが食べたいんでしょう?
っていうような料理が出てきてね、
それが悔しいぐらい美味しかったよね。 |
つねさん |
なんかやられちゃったんだなぁ。 |
ジョージ |
うん、それでけっこう堪能して
おいしいワインも飲んで、
ひとり1万円ぐらいなの。 |
ノリスケ |
えっ、もっとするのかと思った! |
つねさん |
そう、ワイン、
けっこう高そうだったのにね。 |
ノリスケ |
へぇー。 |
ジョージ |
けっこういいの、飲んでもそのくらい。
なによりね、あのお店でね、
あー、来て良かったな、と思ったのが、
大人がすごい生き生きとして、
食事をして楽しんでたのを見て、
酔っ払いはみんなおんなじなんだ、って。 |
ノリスケ |
万国共通(笑)。でも、
悪い酔っ払いはいないんでしょ? |
ジョージ |
見苦しくない酔っ払い。
楽しい酔っ払い。
何が素敵って、僕たちは、
彼らからしてみたら、
英語が絶対わかりっこない
2人なわけじゃない?
で、おじさん2人でしょ?
そうするともう、警戒心ゼロな相手だから。 |
つねさん |
そうそう。 |
ジョージ |
僕たちの横にいたおばさん2人なんて、
まぁ〜〜まぁ〜〜すごいの。 |
つねさん |
そう、でっかい声でね。 |
ジョージ |
で、話の内容がね、
「ウチの会社に最近若い男の子が入ってきて、
お尻がキュッ!と上がってて素敵なのぉ」
「そうそう! 男はお尻、お尻、
キュッキュッキュッ!」
とかって言ってるんだよね。 |
ノリスケ |
しょうがねー(笑)。 |
ジョージ |
もうね、あ〜、
すっごい楽しい〜、って。 |
つねさん |
そんなこと喋ってたんだー。
わかんなかったー。
言ってくれりゃあ良かったのに。 |
ジョージ |
あんときは、女4人のテーブルのほうを
注目してたからね。
日本にはない景色。 |
ノリスケ |
ないね。うん。 |
ジョージ |
だけど、日本にもあって欲しいお店だよね。
だから、なんか、もっと
日本のおじさんおばさんたち、
頑張りましょうよ! って。
それでそのお店を出て、
うーん、やっぱりニューヨークって、
1年に1回ぐらいは
来なきゃいけないなと思ってね、
ホテルに戻ったの。
それが2日目ね。
それで、翌日は、とりあえず
朝ご飯を‥‥。 |
ノリスケ |
マンダリン・オリエンタルで食べたの? |
つねさん |
ちがうよん。 |
ノリスケ |
ちがうの? |
つねさん |
朝ごはんは‥‥。 |
ジョージ |
ザガットで、
ニューヨークでいちばん
美味しいっていう‥‥。 |
つねさん |
バーニー・グリーン・グラスっていう。 |
ジョージ |
そう、わたしたちの心の、
あ、朝のふるさとですっ。 |
ノリスケ |
朝のふるさと? |
ジョージ |
そう。必ず行くの。
ユダヤ人がやってるお店よ。
美味しいスモークサーモンは、
ユダヤ人のとこに行かなきゃダメッ!
って感じの。 |
つねさん |
スモークサーモンの
スクランブルエッグが、
チィヨォ‥‥(放心)。 |
ジョージ |
そう、スモークサーモンとオニオンを
いっしょに炒めて、
スクランブルエッグを作ってあるの。 |
ノリスケ |
はいはいはい〜。 |
ジョージ |
で、ベーグルのクリームチーズよね。 |
つねさん |
あ゛〜!
なんか日本のべーグルって、
なんであんなまずいんだろうと
思うぐらい美味しかった。 |
ジョージ |
あのね、あの、必ずルールとして、
ニューヨークに行って、
いちばん最初に朝ごはんは
そこで食べることにしているの。 |
つねさん |
3回そうしてるよね。 |
ジョージ |
僕ね、最近読んだ何かの本で、
なんだっけ? ローマ人の。 |
ノリスケ |
『ローマ人が歩いた地中海』でしょ?
買った買った。 |
ジョージ |
そう! ローマ時代から、
もう観光旅行っていうのがあって。 |
ノリスケ |
ガイドブックがあったと。 |
ジョージ |
そう。 |
つねさん |
そうなの? |
ジョージ |
うん。そういう本なんだよ。
で、その本の中に、
観光旅行と個人旅行の最大の違いは、
自分が観光客であることを
忘れることができるかどうか、
っていうことなんだって。 |
ノリスケ |
おぉ。 |
ジョージ |
で、その、忘れるいちばんいい方法は、
観光客がいないところに行くこと。
だけど、これはすごく難しいんだよ。
んで、もうひとつは、
自分が観光客であることを
忘れることができる場所を
見つけることなんだって。ね。
バーニー・グリーン・グラスに行くと、
自分たちは、ニューヨークに来たんじゃなくて、
戻ってきたっていうふうに思えるんだよね。 |
ノリスケ |
ははは、なるほどね。素敵。 |
ジョージ |
そう、これこれこれ、これを食べるために
ニューヨークに来たんだ、って。
で、ニューヨークに来て良かったね、
いつかは住まなきゃね、っていうふうに思う場所。 |
つねさん |
最初にオレンジジュース頼んで。 |
ジョージ |
そう。 |
ノリスケ |
フレッシュスクイーズよね。 |
ジョージ |
美味しいの〜。 |
つねさん |
そうだよね。 |
ノリスケ |
とくに冬は! |
ジョージ |
冬は美味しいの〜。
採れたばっかりだもん。 |
ノリスケ |
ね! |
ジョージ |
うん、美味しい、すっごい美味しい。
なんでニューヨークが
好きになったのかな、って思うと、
そういう場所を見つけたからだと思うんだよね。 |
つねさん |
ほぉ。 |
ジョージ |
だから、ぜひ海外旅行をするときには、
その、そこに来ると戻ってきたって
思う場所を探して欲しいな〜と思う。
|