ジョージ |
日本人がアメリカで
楽しく食事をしようと思ったら、
ぜったいイタリア人のお店へ行くべき。 |
ノリスケ |
なるほどね。 |
ジョージ |
あのね、同じ同盟国でも
ドイツ人がやってるお店は
美味しくないからね。 |
つねさん |
はっはっはっは! |
ノリスケ |
‥‥第2次世界大戦じゃない(笑)。 |
ジョージ |
あのね、イタリア人も、
英語が上手にならない国民なの。
だから、パームのおじさん。
背が低くって、ずんぐりむっくりで、
ダニー・デビートみたいなおじさん。 |
ノリスケ |
はいはい。 |
ジョージ |
が、ちょこちょこちょこってやって来て、
「おまえらは何食いたいんだ?」
イタリア語訛りで。そうすると、
英語がろくに喋れないウェーターと、
英語がろくに喋れない客同士が、
大いに盛り上がれるんだよ。 |
ノリスケ |
はははははは。 |
ジョージ |
「今日はロブスター!」
とかっていうと、
「グッド・チョイス!!」。 |
つねさん |
みたいな、なんか(笑)。 |
ノリスケ |
はははははは! |
ジョージ |
最初は、中ぐらいの大きさの、
7ポンドぐらいのを
2人でひとつでいいや、と。 |
つねさん |
じゅうぶん、超じゅうぶんだよね。 |
ジョージ |
って思ってたんだけど‥‥。 |
ノリスケ |
やっぱり、ひとり1尾? |
ジョージ |
そう。 |
ノリスケ |
縁起物みたいなもんね。 |
ジョージ |
ていうか、おじさんに、
「5ポンド、5ポンド、5ポンド、
5ポンド! オッケー!!??」
とかって言われたら、オッケ〜って感じ。 |
ノリスケ |
向こうが決めたんだ。 |
ジョージ |
そう。なんか楽しかったよね。 |
つねさん |
面白かった。 |
ノリスケ |
付け合わせは何なの? |
つねさん |
サイドディッシュで、
アスパラのフリットとポテト、取ったのよ。
それがさ(笑)。 |
ジョージ |
アスパラのフリットって言ったとたんに、
そのおやじが、ニコッ! としたんだよ。 |
ノリスケ |
グッド・チョイス!
でも多いんでしょうねえ。
残さずいただいた? |
ジョージ |
残してしまいました。 |
つねさん |
ん〜、アスパラのフリット、
1本ずつぐらいしか食わなかったよね。 |
ノリスケ |
ははは、もったいない。 |
ジョージ |
2キロのロブスターを食べるんだから
サイドディッシュなんて
食べれるもんじゃありません。 |
つねさん |
ちなみにね、あの、こんな大皿に
大盛りで来ます、両方とも。 |
ジョージ |
ものすごくご立派なアスパラガスが、
都合12本ぐらい。 |
つねさん |
もっとあったよ、
20本ぐらいあったよね。 |
ジョージ |
そっかな。ジャガイモさんはね、
たぶんものすごく大きい
アイダホポテト3コ分ぐらいが、
ハッシュブラウンで。 |
ノリスケ |
もうゲップが出るねぇ。 |
つねさん |
直径20センチ以上。 |
ノリスケ |
大っきいワラジね。 |
ジョージ |
あの、これを読んでらっしゃる方の、
勤めてらっしゃる会社で
いちばん顔が大きそうな上司の
顔一面がポテトであったと、
いうふうに思っていただければ、
なかなかに近い図柄かと思います。 |
ノリスケ |
いやーん。 |
ジョージ |
でも美味しかったよね。 |
つねさん |
美味しかったよ。 |
ノリスケ |
お酒は? |
ジョージ |
「ワインはどうするんだ?」っていうから、
悩んでたら、
「もし私を信じてくれるならば、
私があなたたちにとって
完っ璧なワインを用意させて頂こう」。 |
ジョージ |
わかりました、お幾らですか?
って訊いたら‥‥。 |
つねさん |
3000円とかっていってたよね(笑)。 |
ジョージ |
そう、25ドル。 |
つねさん |
そうそう。 |
ジョージ |
じゃあ、もらおうじゃないの!
っつって、もらったらね、
おぉぉおいしかったぁ〜!! |
ノリスケ |
さすがイタリア人(笑)。 |
ジョージ |
ね〜。で、すごいね、ご満悦、
すーごい楽しかった。
なにより英語が下手くそっていうことは、
これほどにインターナショナルなんだ、
ってことがわかる。
あのね、英語上手な人っていうのは、
ただアメリカンなだけであって、
インターナショナルじゃないんだよね。
そうそう、僕たちのあとに、
向こうのビジネスマン3人が‥‥、
イタリア人がやってる店って、
男が男同士で来るのよ。
実質的に旨いものを
腹いっぱい食いにくるためにやって来るから。 |
ノリスケ |
有楽町のガード下か。 |
ジョージ |
そう、たぶん同級生とか、
そういうので来てるんだと思うんだ。 |
ノリスケ |
食おうぜ、食おうぜ、って来たんだよね。 |
ジョージ |
それで、たぶんアングロサクソン系で、
すごい綺麗な英語喋ってるの。
羨ましいぐらい。
だけどウェイターがね、
やっぱり、そんなでしょ?
そうするとね、いちばん最後にね、
その3人組、心配して、
「オレらが言ったこと、
ぜんぶわかったのか?」
って訊いてるんだよ。 |
ノリスケ |
はははははは。 |
ジョージ |
そしたら、
「大丈夫、大丈夫、
わかってなくても旨いの出すから」
って! 絶対これがいいや〜!!
と思って。 |
ノリスケ |
へぇー、ニューヨークは楽だなぁ。 |
ジョージ |
楽。ほんとに楽だよ。
食べたいと思う気持ちが
美味しいものを食べさせてくれるんだな、
と思う。だから、
食べたーい! って顔してると、
向こうから、食べればいいものを
言ってくれるからね。 |
つねさん |
あ、じゃ、これだったらどう?とかね。 |
ジョージ |
そうそうそうそうそう。
それで、食べ終わって‥‥。 |
つねさん |
そのあとよ。 |
ジョージ |
そのあと‥‥ミュージカル観ました! |
つねさん |
素敵な素敵な素敵な素敵なミュージカル! |
ジョージ |
そう。もうこの日、
いっぱいいっぱいでした。 |
ノリスケ |
すごい1日だね。
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