ジョージ |
それからね、ミュージカル。 |
つねさん |
今回いちばん良かったよね。 |
ジョージ |
ロンドンのウエストエンドで、
今年の春に始まったばっかりで。
んで、大評判取って、
やっとブロードウェイに来たの。 |
ノリスケ |
ほぉ。 |
つねさん |
そう。 |
ジョージ |
『タブー』っていう
題名なんですけど、
ま、サブタイトル
ついてないんですが、
わたしたち勝手に
サブタイトルつけました。 |
ノリスケ |
はい。 |
ジョージ |
「ボーイ・ジョージ──
出世と没落の物語」。 |
つねさん |
それそれ。 |
ノリスケ |
はっはっはっはっはっはっは。
観たぁ〜い! |
つねさん |
でね、その、原作がね、
ボーイ・ジョージで。 |
ノリスケ |
自伝なんだ。 |
つねさん |
半生記みたいな。 |
ジョージ |
そう、ほんとに自分が
デビューしてから‥‥。 |
つねさん |
デビューする前から? |
ジョージ |
あ、うん、そうね、
そして人気者になったけど
その人気が落ちちゃって、
薬やってダメになって、
でも、どっこい私は
まだ生きてるのよ、みたいな。 |
つねさん |
悲しい話なのー。 |
ノリスケ |
わかんないんだけど、
感動? お笑い? |
つねさん |
いや、お笑い。
超お笑い!(笑) |
ジョージ |
そんでね、そんでね、
そんで、そんで‥‥。 |
つねさん |
聞いて、聞いて! |
ノリスケ |
聞いてるわよ。 |
ジョージ |
ボーイ・ジョージが
プロデュースして、
書いたミュージカルだっていうのは
知ってたんだけど、
ボーイ・ジョージ物語だとは
知らなかったんだよ。
まだどこにも情報なかったから。 |
つねさん |
そうそうそう。 |
ノリスケ |
とにかく、観ときましょう、と。 |
ジョージ |
そう。んで、行ってね、
劇場入りました。 |
つねさん |
はい。あれ? ちょっと違うぞ、と。 |
ジョージ |
そしたら、あら? |
ノリスケ |
客層が違う? |
ジョージ |
僕たちの横がね、 |
つねさん |
ウチら入れて8席が。 |
ジョージ |
不思議と、男が2人ずつ
座ってるんだよ。 |
ノリスケ |
はははははは。 |
ジョージ |
あぁらぁ〜、みなさん、
ほがらか〜、って。 |
ノリスケ |
一列ぜんぶ! |
ジョージ |
あらぁ〜、って。
これ、すごいわぁ〜、って、
パッて振り返ったら、
後ろが1列、ダーッと!!
ほがらかほがらかほがらか
ほがらかほがらかほがらか、だよ!? |
つねさん |
で、えーっ!?
と思って前見たら‥‥。 |
ジョージ |
前見たら、
うぅわぁーーー!!!って。 |
ノリスケ |
後頭部でもわかる
ほがらかさねっ!(笑)
マンハッタン中のゲイが
どんどんどんどん
見にきてるんでしょうねえ。 |
ジョージ |
みんな、みんなね、
始まる前、
パーッと立ち上がって‥‥。 |
つねさん |
あんたも来てんの? みたいな。 |
ジョージ |
そう、あの、腰の下の方で
こうやって手を振るような? |
ノリスケ |
ヒジを伸ばして振ったり。 |
つねさん |
ハグしたり。 |
ジョージ |
すごかった!
うわぁ〜〜〜‥‥。 |
ノリスケ |
賑やか〜。
全体のどれくらいが? |
つねさん |
えっとね、客のね、
6割ほがらか。 |
ノリスケ |
すごいね。
梅ちゃんよりすごいね。 |
つねさん |
梅ちゃんどころの
比じゃなかったね。 |
ジョージ |
うん。それでね、
始まったとたんに、
あ、これはボーイ・ジョージ物語だ、
ってわかったの。
だって、主役が
ボーイ・ジョージなんだよ? |
ノリスケ |
もう、見るからに。 |
つねさん |
うん、で、ボーイ・ジョージなんだよ。
で、名前もボーイ・ジョージなんだよ。
でも、すごく若くてかわいい子なのよ。
ボーイ・ジョージの格好して、
出てるんだけど。
で、あぁ‥‥面白いって。
なにせ、同時代じゃない?
僕らが知ってることなわけじゃん。 |
ノリスケ |
そうだね。 |
ジョージ |
んで、すごいな、って思ってたら、
いきなり、もう、もうね、
劇場中が沸き始めて、
すんごい顔のデカい‥‥。 |
つねさん |
スキンヘッドが‥‥。 |
ジョージ |
スキンヘッドの、ぼよ〜んとした、
オバQみたいなメイクをした‥‥。 |
つねさん |
ほんとにオバQみたいな。 |
ジョージ |
オカマが出てきたんだよ。
そしたらみんなもう、
やんややんやの大騒ぎで。 |
つねさん |
ぃぎゃーーーっっっ!!
とかって。 |
ノリスケ |
ディバインみたいな感じ? |
つねさん |
そうそうそうそう。 |
ジョージ |
なんじゃい、これ?
っていったら、
ボーイ・ジョージ本人だったの!
別の役柄で出てきていたのよ! |
ノリスケ |
ははははははははははは!!
あはははははははは! |
ジョージ |
で、その、彼が演じた
役柄っていうのが、
その、ニューヨークで
ものすごい有名なオカマがいたのね。
カリスマオカマ。 |
ノリスケ |
カリカマ。 |
つねさん |
カリカマ(笑)。 |
ジョージ |
本業はコスチュームデザイナー
なんだけど、毎晩毎晩
ディスコとかクラブに女装して、
女装というか仮装して出てきて、
最後エイズで死んだ人なんだけど、
彼の役柄で出てくるんだよ。 |
つねさん |
けっこうメインの役なの。 |
ノリスケ |
そりゃまあ、そうだろうな。
ボーイ・ジョージ本人が演るんだから。 |
つねさん |
歌もあるし、セリフもいっぱいあるし。 |
ジョージ |
そう、もうね、すんごい勢い。 |
つねさん |
最初見たときにさ、
ちょっと似てるんだけどさ、
まさか本人出てるとは思わないから、
2人でさ、有名な人なんかな?
って言ってて。 |
ノリスケ |
当地で有名なオカマかな? と。 |
つねさん |
そうそうそう。 |
ジョージ |
そう、そしたら、当地どころかあなた、
世界的に有名なオカマだったわけよ。 |
つねさん |
で、最初に歌った歌がすごかったよね。 |
ジョージ |
う〜ん、最初がね、その、
お便所のシーンで出てくるの(笑)。
ディスコのトイレ。 |
つねさん |
3人ぐらい用を足してところに。 |
ジョージ |
なんか腰クネクネさせながら、
♪男はサイズが問題じゃないのよ〜、
とかっていうような歌を歌いながらね、
大いに沸かせるの。 |
ノリスケ |
すごい! |
ジョージ |
すごい面白かったねー。 |
つねさん |
それでね、インターミッション
ってあるんですよ。 |
ジョージ |
休憩が間にあって。 |
つねさん |
休憩があって。それで、僕、
ちょっとオシッコしたくなったんで、
ちょっと行ってくるね、
っていってひとりで行ったの。
そしたら、普通さ、映画館とかの、
女子トイレって、すっごい並ぶじゃん。 |
ノリスケ |
うん。 |
つねさん |
で、男子トイレぜんぜん
並んでないでしょ?‥‥逆だったの。 |
ジョージ |
はははははは! |
つねさん |
女子トイレぜんっぜん並んでないのに、
男子トイレが、すっごい並んでて。 |
ジョージ |
だって、だって、女子のような
男子がいっぱい並ぶんだから、
大変だよ。 |
つねさん |
その8割以上が
ほがらかさんだったんだよ(笑)。 |
ジョージ |
すごいよね。 |
つねさん |
すっげー! とかって思った。 |
ジョージ |
ね、それ、そういうのも面白かったし、
ちょうどね、そのときに、
ブロードウェイの有名な
女性の演劇評論家が来てて。 |
つねさん |
ナンシー関みたいなのが。 |
ジョージ |
正体を隠して見ていたんだよ。 |
つねさん |
最初。 |
ジョージ |
そしたら、誰かが見つけて、
彼女は、有名な評論家で
どうとかこうとか、って言うの。 |
つねさん |
そしたら、それを聞いて彼女、
突然立ち上がったんだよね。 |
ジョージ |
そしたら立ち上がって。
「そうよ! 私は評論家。
観に来たわ、観に来てしまったわ、
こんな腐れミュージカルを!
でもね、素晴しいわよ、
もしここの、この客席の中に、
他に評論家がいて、
このミュージカルのことを
悪く書くヤツがいたら、
私が承知しないわよ。
いい? 私が拍手するところでは、
みんな拍手するのよっ!」
って。
「私が立ち上がったら、
みんな立ち上がるの、
私より前に
立ち上がるんじゃないわよ。
いいわねーっ!」
って言ったら、みんなが、
うぉぁーーっ!! とかって。 |
つねさん |
一体感(笑)。 |
ジョージ |
すごい一体感。 |
ノリスケ |
いい時に観たわねえ。 |
ジョージ |
うん、いい感じだった。
|