ノリスケ |
日本の、美容業界とかって、
じつはゲイじゃない人も多いのよね。 |
ジョージ |
オカマ言葉を器用に操る、
物腰の柔らかいノンケの人っていうのが
主流だよね。 |
ノリスケ |
とくに美容院がそうよね。
スタイリストは、
男っぽい普通の男よね、多いのは。 |
ジョージ |
あのね、日本のスタイリスト、
とくにあの、カリスマスタイリストって、
自分が着たいものを、
スタイリングするよね。 |
ノリスケ |
そう。ぜんぜん相手のこと見てない。
前にね、深夜番組で
イメチェン選手権みたいなのがあって。 |
つねさん |
あー、あったあった。 |
ノリスケ |
まあ、カリスマ1歩手前みたいな
男の美容師やスタイリストが、
対抗でやるんだけど、
女の子がモデルになると、
すっごくきれいにできる。
ところが、男が出てくるとね、
まるっでダメ。
コスプレさせて終わりなの。 |
ジョージ |
男が男の服を選んでも、
その人に着せてみたい
洋服を選ぶんじゃなくて、
自分が着たかった洋服を
選んでるような感じがするんだよね。
女のスタイリストっていうのは、
その人に合ったものを
着せようとするじゃない?
ただ、女性有名スタイリストの
格好っていうのは、
今の女性のファッションの、
ただ中にはないんだよ。
ファッション業界の人の洋服であって。 |
つねさん |
一般じゃないんだ。 |
ジョージ |
うん。だけど、
男性スタイリストが着ているものが
売れる時代なの。
不思議なんだよね。
だから、ある意味、
日本の男の子たちの洋服って、
つまんないのかもしれないよ? |
ノリスケ |
つまんないよねー。 |
ジョージ |
うん。そういう意味ではやっぱり、
個人的に好きではないけれど、
香港とかシンガポールだとかの
男の子の格好って、
カッコいいなと思うもん。 |
ノリスケ |
あー、確かに個人的には好きではないが。 |
ジョージ |
だって、主張がある。
あと、アメリカに行けば、
ライフスタイルだとか
訴えかけたいものを
表現する洋服がいっぱい
あったりとかするよね。
楽しいなと思う。
今日、ファブ・ファイブに学んだのはね、
セクシーになるためのポイントは、
レイヤードだってことね。上手な重ね着。 |
ノリスケ |
あと、とても仕立てのいいシャツは、
わざとロールアップするのよね。 |
ジョージ |
で、パンツの外へ出す。
インテリアもおんなじこと言ってたよね。
同じ色だとか同じ素材とか同じブランド、
コーディネートしないこと、って。 |
ノリスケ |
そうそう、
ミクスチャーがいいのよ、って。 |
ジョージ |
いろんなものをゴチャゴチャゴチャゴチャ、
混ぜ合わせることによって、
あなたらしさが出るっていうの。
そういうのがほんとの意味での
成熟なんじゃないかな、って思うけどね。
そうやって考えると、たとえば、
コム デ ギャルソンだとか
ヨージ・ヤマモトだとかの洋服の、
わざとしつけ糸が付いてるだとか、
わざと裾がほつれている
だとかっていうのは、
完璧であることは、
野暮につながるっていうところなのかなぁ。 |
ノリスケ |
うん、たぶんね。 |
ジョージ |
千利休が、
ある人の茶事で呼ばれていったとき、
庭がきれーに清められているのに、
1ヶ所だけ、うずたかく葉っぱが
盛り上がってるんだって。 |
ノリスケ |
ほぉ。 |
ジョージ |
一緒に行っていたお弟子さんが言うには、
「あそこはたぶん
落とし穴があるんですよ」。
そしたらね、千利休がね、
「落とし穴があるなら落ちてみよう」って、
ドーンと落ちたんだって。 |
ノリスケ |
あ、ほんとに落とし穴だったんだ。 |
ジョージ |
ほんとに落とし穴だったの。
お茶事に呼ばれるっていうことは、
もう清めてきれーな
服を着て行ってるでしょ?
だから、わざと汚したの。 |
ノリスケ |
ほぉー。 |
ジョージ |
そしたらば、御主人は、
「私共のおもてなしの心が
ほんとにわかっていただいた」
と言うんだって。
どうぞこちらへ、ってついて行ったら、
お風呂が沸いてたんだって。 |
ノリスケ |
ほぉ〜!
よくできた話ですねぇ。 |
つねさん |
できすぎ君。 |
ジョージ |
おんなじような話でね、
フランク・シナトラは、
完璧に身繕いをした後に、
必ずどっかひとつ外すんだって。 |
ノリスケ |
ほぉ〜。 |
ジョージ |
たとえば、ワイシャツの襟を、
片っ方だけわざと外へ出したりとか、
ネクタイをよじったりとか、
袖のボタンをひとつ、
わざとちぎって
みるだとかってするんだって。 |
ノリスケ |
へぇー。 |
ジョージ |
完璧でおしゃれなのは
誰にでもできるけれども、
完璧が崩れて、
しかもおしゃれであるということは、
最高にセクシーだって
いうふうに言うんだよ。
で、そういうのって、
やっぱどっかにあるんだと思うんだよ。 |
ノリスケ |
今日もジョージさんは、お家なんですけど、
長年着たボロボロの
トレーナーを着てます(笑)。
袖がボロボロで、
プリントはガビガビになってる
トレーナーを着てますね(笑)。 |
ジョージ |
ボロボロでハゲハゲですっ。
でも、早くこれ、
袖が取れればいいなと思って。
そしたらもっと楽になる。
わざとボロボロになっているのは
好きじゃないけど、
ボロボロになったものって、すっごい好き。 |
ノリスケ |
こないだ見かけた
コム デ ギャルソンのスーツ、
釜で煮て、プレスして、干して、
乾燥さしたっていう、
クッチャクチャになってるやつよん(笑)。
もぉのすごくカッコ良かった。 |
ジョージ |
ウチのおやじんちにあるペルシャ絨毯は、
買って5年間、
絨毯屋に預かってもらったの。
絨毯屋さんでは、現地でラクダさんに
その上をずっと歩かせて‥‥。 |
ノリスケ |
ウンチとか、バサバサさせてんだよね。 |
ジョージ |
そうそうそうそう。
それで1回きれいにしたやつだよ。 |
つねさん |
ふーん。 |
ノリスケ |
そうそう。踏みしめて日に晒して
水に濡らし乾かし、みたいな。
それが最上級なんだってね。 |
ジョージ |
で、買ったときの値段と
おんなじぐらいの値段が、
5年間の預かり賃でかかるんだよ。 |
ノリスケ |
その例のスーツも、オリジナルの状態より
高いんだよ。ボロボロのほうが高いの。 |
ジョージ |
そういうのあると思う。
ぼくのスーツもね、
今のかたちにするまでに、
4着ぐらい作ってるんだよ。 |
ノリスケ |
パターンを? |
ジョージ |
お店の人から言われたんだけど、
作ったらまずそれを着て、
一晩寝てください、って。 |
ノリスケ |
ほぉ〜。 |
ジョージ |
んで、朝起きたときに、
目覚めが良かったらその形を、
ボディにしましょう、って。
で、今のがそう。 |
つねさん |
そうなんだ。 |
ノリスケ |
へぇーっ。ゼニア? |
ジョージ |
ゼニア。だから、
パジャマぐらい
着心地が良いことが大事だって。
だって、寝る時間より長い時間、
ほんとは着てるわけだから。
だから、深めていくと、
どんどん深いんだけど、
その、フェチとかマニアとかに
ならない深まり方であれば
いいんだろうけども、
まあ、ここが難しいところよ。
んで、ま、今日の本題へ戻していくとさ、
やっぱりあの、ファブ・ファイブの
能天気さと勢い? |
ノリスケ |
勢いあったね。決断速いしね。 |
ジョージ |
誰も深くは考えてないんだけど、速い。
でね、捨てるの!
いちばん最初に、ワラワラ物捨てるよね。 |
つねさん |
そうそう。あ! これ、ダメ、って。 |
ノリスケ |
洋服、インテリア、ぜんぶ。 |
ジョージ |
‥‥つねさんもやってもらったら? |
ノリスケ |
そうよ、あんたのオタク部屋。 |
つねさん |
えぇ?‥‥てへへ。 |
ノリスケ |
でも、ストレートガイじゃないから、
ダメかもよ(笑)。 |
ジョージ |
ファブ・ファイブが必要なオカマって、
どうなの? それって。 |
つねさん |
ワシ? |
ジョージ |
存在価値は、どう? |
つねさん |
ノンケ?(笑) |
ジョージ |
ノンケに近いよなぁ‥‥。
|