APPLE
新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

それが青春、それが老後。その4
サンフランシスコをめざすのよ!

ノリスケ 今、すごい、
世代の差を感じたわ(笑)。
ヴィレッジ・ピープルが全盛期のころに
アメリカにいたなんて‥‥(笑)。
ジョージ もしかして「オバさん」?(笑)。
ノリスケ いや、そんなことを
言いたいわけじゃないんですけど、
びっくりしました(笑)。
つねさん あ、でも、このぐらい
離れてるわけでしょ?
ノリスケ君と。
ノリスケ ええと‥‥。
ジョージ ちょっと待って、
その離れてるっていうの、
片手じゃなくて
両手で表現するっていうの、
やめていただけるかしら?
つねさん だって、そうだよぉ?
ジョージ ‥‥そうだわ。
ノリスケ そうかぁ(笑)。
ジョージ あのね、ヴィレッジ・ピープルの
ファーストアルバムが出たときに、
僕、留学準備を始めて。
ノリスケ はぁー。♪イン・ザ・ネイビーの前?
♪YMCA〜?
ジョージ その頃。で、その、
(手をパンと叩いて)
留学するときに、いちばん最初、
サンフランシスコ上陸だったんだよね。
頭の中は、ゲイの楽園なのよ。
ノリスケ ああ、ヴィレッジ・ピープルがいて。
ジョージ そう、ヴィレッジ・ピープルがいて。
今みたいに、インターネットとか、
ないわけじゃない?
つねさん 情報の仕入れようがない。
ジョージ そう。いろいろな情報の
カケラをかき集めて、
自分の中で再構築するしか
ないわけよね。
つねさん そう、だから、
だんだん膨らんでいくんだ。
ノリスケ だから、三蔵法師がね(笑)、
ガンダーラを目指したような気分で、
あそこに光り輝く町があるんだって
若きジョージさんは思ったのよ(笑)。
ジョージ ああ、すごいかも! そんな感じ!
それで、『音楽の友』っていう
雑誌があるでしょう?
つねさん はいはい、今でもあったっけ?
ジョージ で、ああいうのにヴィレッジ・ピープルの、
評論とか出るわけよ。
そうすると、西海岸のゲイカルチャーが
どうとかこうとかでって。
ノリスケ あ〜、出るんだ。
ジョージ で、出ると、もう、それがね、
頭の中に焼き付くの!
それでね、
ヴィレッジ・ピープルが出てた、
映画があったんだよ。
つねさん へぇ。
ノリスケ 知らない(笑)。
ジョージ 知らないでしょ?
題名忘れたけど。
ノリスケ それって、つまり、
アイドルグループとして
作られた映画なのね。
ジョージ そうそうそう。
ノリスケ はぁ〜。
つねさん ピンクレディーの映画みたいなもん?
ジョージ そう。
ノリスケ うん、‥‥ていうか、
ビートルズの初期の映画
みたいなもんなんですかね。
‥‥ピンクレディーかよ(笑)。
ジョージ ま、それ見て、
あ、こういうふうなカルチャーがあるんだな、
って、わかるわけよ。
『ビクター&ビクトリア』
って映画があったの、
知らない?
ノリスケ うん、知ってる。
つねさん あぁ。
ジョージ あと『クルージング』とか。
ノリスケ 『クルージング』!
アル・パチーノね。
ジョージ あの時代なんだよ。
ノリスケ でも、『クルージング』って、
暗いイメージが。
ジョージ 『クルージング』は、
ニューヨークだったんだよね。
『クルージング』を観て、僕の中で、
ニューヨークっていうのは、
ゲイが殺される街だと思ったの。
ノリスケ たしかハードゲイの世界だったし。
ジョージ そう、だからニューヨークには
行けなかったんだよね。
だけど、サンフランシスコは
ヴィレッジ・ピープルの世界だから、
あ、そこは行けるんだ! って。
つねさん 華やかで素敵、みたいな。
ノリスケ あんな連中が、こう、
隊列組んで歩いてくるようなイメージが。
サザエさんのオープニングみたいな(笑)。
ジョージ アプリケーション(志願書)出すのに、
ランキング見ていくと、
西海岸のいい大学って、
UCLAだとか、UCバークレーだとか
スタンフォードだとか。
もう勘のいい方は、わかるかもしれませんっ。
サンフランシスコの南っ側っていったら、
あの学校だな、みたいな。
んで、んで、もうそこしかないわけよね。
つねさん 頭の中に。
ジョージ んで、街のガイドブックとか見ると、
僕、車の免許持ってないわけじゃん。
ノリスケ ああ! 車がないと!
ジョージ そう、車がないとダメでしょう?
UCLAと、
ロスアンジェルスのゲイの巣窟?
まあ、サンタモニカ周辺のエリアを見ると、
とてもじゃないけど徒歩で行けない。
公共の交通機関ないわけでしょ?
つねさん わははははは! サイテーだ(笑)。
ジョージ ダメじゃんっ! とかって思うのよ。
んで、サンフランシスコを見ると、
あ、地下鉄がある! 歩ける!
で、しかも、僕が行こうと
思ってる学校から、
あ! なんか、電車で行けるじゃん!?
つねさん すげぇ(笑)。
ジョージ で、留学関係のいろんな情報を集めてる、
財団みたいなのがあって。
そこに行ってね、
カウンセラーの人に訊くわけ。
「あの大学から、
 サンフランシスコの市街地まで
 どのくらいで行けるんですかぁ?」
とかっていうと、
「あ、あの、電車だったら、
 20分ちょっとぐらいですよ」
「行けるじゃんっ!!」
みたいな感じ?
もうそれでそこしか
選ぶところがなくなったの。
ノリスケ すごぉい(笑)。
ガンダーラが電車で20分、みたいな。
ジョージ そう。そうすると、
いちばん難しい学校だったりして、
必死になって勉強するのよ。
ほんっとに必死に勉強したもん。
ノリスケ ふうん。つまり、
スタンフォードってことね?
ジョージ ‥‥あら、そんな感じ。
ノリスケ あなたすごいわねぇ(笑)。
ゲイの天国に行くために
スタンフォードを受けたのね。
ジョージ そうよっ。それで、
もう必死に勉強して。

調べましたよ。ヴィレッジ・ピープル主演の映画。
『Can't Stop The Music』
邦題は『ミュージック・ミュージック』だそうです。
ところで今回のBGMは『GO WEST』がぴったりですか。
つづきまーす。

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2004-03-29-MON
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