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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

それが青春、それが老後。その5
中国人コミュニティにて。

ノリスケ で、受かったの? スタンフォード。
ジョージ 行けることになったの。
そしたらね、正式入学の前に、
ちょっと来ませんか?
って言われて行ったの。
で、行ったんだけど、あまりに難しいんだ。
つねさん 講義内容?
ジョージ そう。あんまりにすごいんだよ。
難しいというかね、「すごい」んだよ。
実際に通ってる
日本の留学生の人と話をすると、
これじゃ、とてもじゃないけど‥‥。
つねさん 遊べないと。
ジョージ そう、週末にね、
カストロストリートとか
ポークストリートに
行けそうにないんだわ。
勉強忙しくて。
こぉりゃダメじゃ〜ん、と。
ノリスケ ほんと、行きたい目的がそっちだからね。
なんのためにスタンフォード
行きたいんだ(笑)。
ジョージ んで、その留学生に、
西海岸なら、どこがいい?
って訊いたら、
南カリフォルニア大学がいいよって。
あそこは、買いだよ、これから、って。
映画学部、けっこう有名じゃない?
で、映画学部とか心理学部とか、
あと、太平洋文化の
なんだらかんだらっていうのに、
けっこう力入れてて。
ノリスケ パン・パシフィック文化の
研究体系があるの?
ジョージ そう、とても力入れてて、
日本人はけっこう楽だよ、って言われて、
あ、じゃあ、そこがいいのかもしれなぁ〜い、
って。んで、アプリケーション出したら、
スコーンと行けるわけじゃん。
ノリスケ つまり‥‥スタンフォード
蹴っちゃったの?
ジョージ うん、そう。
ノリスケ バカじゃないの?(笑)
ジョージ あ゛ーっ!!
つねさん あーっはははは。
ジョージ それで、ロスアンジェルス
行ったんだけど、
ところがね、ちょっと、
カルチャーが違いすぎてね、ダメだった。
ノリスケ あ、そう? どんなふうに?
大学は良かったけど、ってこと?
ジョージ ん、キャンパスは良かったよ。
でも、まずね、日本から行くと、
日本人の街に行っちゃうんだよね。
これが間違いだったんだけど。
つねさん リトル・トーキョー?
ジョージ リトル・トーキョーじゃなくて、
日本人の‥‥。
ノリスケ コミュニティ?
ジョージ そう、あるんだよ、
日本人がいっぱい住んでるとこ。
ヤオハンがあって、日本食材も手に入って。
ノリスケ つまり、ビジネスマンがそこに必ず逗留する、
みたいな、日本人ビジネスマンと
その家族のための
村みたいなものがあるんだ?
ジョージ 当時の僕がなんで
アメリカ行ったかっていうと、
日本が、日本の島国っぽいところが
嫌いだったから行ったのにね。
でもアメリカに住んでいる日本人は
違うだろうと思っていたら‥‥
ノリスケ ところが。
つねさん ところが。
ノリスケ カリフォルニアにも島が(笑)!
ジョージ そうなのよ〜。
当時のロスアンジェルスの
日本人村ってさ、
もう日本以上に日本に感じられたのよ。
つねさん 誇張されるんだ。
ジョージ この前、日本からやって来たあの人は、
どうも南カリフォルニア大学に
通ってるらしい、
とかって、みんな知ってるの。
ノリスケ ははは。嫌だぁ。
ジョージ んでね、けっこう
遊びに行ったりするじゃん?
つねさん はい。
ジョージ そうすると、あの子は、毎週末、
2時3時まで遊んでる、とかって、
みんな知ってるの!
つねさん そうなの!? ほんとに村じゃん。
ジョージ そう、村。ほんとに村だよ。
ノリスケ カタカナで書く「ムラ」ね。
ジョージ そう。それで、あ、こーれはたまんない、
と思って、大学でね、
ルームメイトを探そうと思ったの。
留学生なんですけど、って。
日本人の村に行ったら、
ダメで仕方がなくって、
ルームメート探してるんですけど、
って言ったら、
中国人のコミュニティを
紹介してくれたんだよ。
つねさん ほぉ‥‥。
ノリスケ それ、どういうこと?(笑)
よくわかんなくて紹介されたのかな?
つねさん まあ、アジア系だから、とかっていう?
ジョージ うん、アジア系だから。
ノリスケ まあ、似たようなもんだからと?
ジョージ で、行ったら、
中国系のコミュニティって、
これが、いいんだよぉ。
ノリスケ おぉー。どう?
ジョージ あのね、人が知られたくないことは、
みんな知らないふりをしていてくれるの。
つねさん はぁー。
ノリスケ さすがだね。
ジョージ うん、それでね、困った、っていうと、
わらわらわらわら
何十人もやってきてくれるんだよ。
ノリスケ 中国のひとって、家族、同胞は
助けるのが当たり前なんだってね。
だから、世界どこ行っても、
生きていけるんだって。
ジョージ そう。んでね、
アパートひとつ借りて。
こんど越して来ました、っていうと、
みんながね、ご飯食べに来なさい、
って言うの。
ノリスケ ほぉー。
ジョージ で、ご飯食べさせてくれて。
ノリスケ それは、なに?
ご飯食べさせてくれるのは留学生?
それとも家族の人たちみたいな?
そこに住んでる。
ジョージ もうもうみんなよ。
ノリスケ どこでもいいんだ。
ジョージ うん。で、誰かのとこ行くと、
必ず誰か紹介してくれて、
その人のとこ行って、
誰かから紹介されました、っていうと、
必ず、何か食べてる? お腹空いてない?
って、ご馳走してくれるんだよ。
ノリスケ はぁ‥‥基本的なところを
わかってる人たちね。
ジョージ で、そんときに、
その後、長い間
連れ添うことになったのと‥‥。
ノリスケ 出会ったの?
つねさん あ、そうなの?
ノリスケ え、じゃ、ちょっと待って、
カリフォルニアの中国人コミュニティで、
かつ、ゲイ・コミュニティでもあったの?
ジョージ ううん、そうじゃないの。
そのときに、長く連れ添った人の姪っ子と、
僕は知り合ってるの。
ノリスケ え? どういうこと?
そのときに本人じゃなくて、ってこと?
ジョージ 本人じゃなくって。
ノリスケ はっはーん。
ジョージ だから、当時はすれ違ってるんだよ。
だけど、たぶんね、
僕は何回か会ってるはずなの。
うん、でも、そのときの彼は、
ぜんぜん僕のターゲットじゃなかったから、
ぜんぜん知らないの。
ノリスケ ふ〜ん、見えてなかったんだね。
つねさん おそろしい‥‥。
ジョージ そう。でもね、
中国人のコミュニティって良かったなぁ‥‥。
ノリスケ そんな経験があったんだ。
ジョージ そうだよ。

ジョージさんって、
どこにでも、どんどん行くんですね。
昔の恋の話をさらりと聞き流す
つねさんもかっこいいと思いました。
つづきます!

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2004-03-31-WED
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