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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

それが青春、それが老後。その8
ひとりで生きてるわけじゃないのよね。

ジョージ あの当時は
モティべーションが高かった、
すごい。
ノリスケ 今そんな高かったら、
恋人としては困っちゃうよね。
つねさん 困っちゃいまちゅ〜。ほんとに。
ノリスケ いんでない? 枯れたぐらいでね。
ジョージ でも、この前、もう極度に
モティべーションが下がっちゃったんで。
ノリスケ お仕事のトラブルかなんかで?
ジョージ うん、お仕事がね、
けっこう大変だったの。
つねさん そのときそばにいれなくて、ごめんね。
ジョージ じぇんじぇんだいじょうぶ。
ノリスケ ふーん(冷)。
ジョージ あんね、なんかね、
いろーんなひずみが
一挙にやってくる時期って、ない?
ノリスケ あるよ。
つねさん ある‥‥。
ノリスケ で、何をどう考えても、
うまくいかないんだよ。
ジョージ そう!
ノリスケ で、そのとき体調も悪くなって、
考えても暗くって、眠れなくなったりして。
ジョージ そう。で、どんどん悪くなってくんだよね。
ノリスケ で、そうすると周りの目も気になったりとか、
自分が評価されてない気になったり、
いろんな悪いことを考えてばっかりいる
期間っていうのがあって。
ジョージ あった‥‥。
ノリスケ そこに入ったときには、
あ、入っちゃった、
と思うしかないのかしら。
抜けるまで歩くしかないと思って。
ジョージ やることなすことね、ぜんぶダメでね。
ノリスケ あるある。
ジョージ で、しかもそういうときに限って、
お客さんからね、なんかね、
期待通りじゃなかったとかね、
いろんなこと言われるの。
ノリスケ ああああ!
ジョージ 悲しいでしょ?
そう。それで、なんかね、
心の救いが欲しいんだけどね、
そのときに限ってね‥‥。
ノリスケ つねさんがいないんでしょ?
ジョージ そうなの。つねさんがね、いないの。
う゛〜〜〜ん、とかって思って。
なんかね、死んでしまいたい、
とかまで思うんだけどね。
つねさん やめて‥‥。
ノリスケ でも、止める人もいないんだ。
ジョージ そう、止める人もいないの。
止める人がいないときには
死んじゃいけないと思うから、
一生懸命踏みとどまったんだけど。
ノリスケ そうか。あはははは。
あ、え? 止める人がいれば、
死んでもいいの?(笑)。
つねさん 死なせません。
ジョージ でね、そのときにね、
なんかね、自分ひとりで
一生懸命頑張ってるのに、
なんでこんなにうまくいかないんだろう?
って思ったの。
そういうときない?
なんかね、
自分は一生懸命頑張ってるのに、
とかっていうの。
ノリスケ あるよ。
ジョージ でね、んーとね、それで、
なんか煮詰まってるときに、
期せずしていろんな人から、
一生懸命にならなくって
いいんじゃないの?
とかね、
大変ですね、とかって言われるのよ。
そうするとね、あ、僕って、
なんか大変そうに見えるのかなぁ?
って。
ノリスケ あ〜、そういうふうに見えてたんだ。
ジョージ そう。思って。
んでね、ちょっとね、ちょっと、
んー、反省したの。
ノリスケ 膨れっ面して仕事してる人には、
声掛けらんないもんね。
ジョージ そう。そんで、なんかね、
悲壮感が漂ってたらしいのね。
ほら、立場上、
あんまり他の人に悩んでるとか
苦しいとか言えないじゃん。
ノリスケ 経営者としてはね。
ジョージ そう。それで、
一緒にあるプロジェクトをやってた子に、
もうダメ、絶対、絶対これ以上
できないかもしれない!
って言ったんだよ。
ノリスケ 部下に弱音まで吐いてしまった。
ジョージ そう。もうダメ、って。
ぜんぜんダメ、って言ったら、
その子に、僕もいますから、
ひとりで仕事してるんじゃないですから、
もう少し、
気を抜いてもらったほうが、
僕としてはやりやすいですよ、
って言われたの。
ノリスケ はぁ〜、ははぁ〜!
ジョージ で、その子の、その一言をきっかけにして、
いろーんなウチの社員から、
あれしてあげましょうか? とか、
これしたほうがいいですか? とかって
言ってくれるようになって。
ノリスケ へぇ。
ジョージ んでね、なんかね、
僕はひとりで
仕事してたんじゃないんだ、って、
改めてね、確認した。
ノリスケ ふーん、悪循環に陥ってたのね。
ジョージ うん、そのスパイラルがね、
いくところまでいって、
バネがパーン! と切れると、
違うとこにいったような感じがしてね。
ノリスケ なるほどね。
ジョージ けっこうね、救われたの。
ノリスケ 膿を出しちゃわなきゃいけなかったのね、
うんと膿ませて。
ジョージ うーん、まだ膿残ってるかもしれないけどね。
だけど、なんかね、ああ、自分ってやっぱり、
自分のためにも生きてるけど、
人に生かされてるんだな、
とかっていうふうに思ったりしたよ?
ノリスケ あら。
ジョージ 昔そういうことを考えたことが
あったような気がしたんだけど、
なんか一生懸命仕事してる気に
なってばかりいると、
それを忘れちゃうっていうのがあるのかな?
って思ったりしたの。
んでね、けっこうね、人間関係とかね、
思い返したりしたのよ。
あのね、えっとね、ばぁやさん。
ノリスケ ばぁやさん?
ジョージ 僕、ばぁやさんがいたの。
ノリスケ あー、小っちゃいころ?
ジョージ そう。
ノリスケ うんうん。
ジョージ ばぁやさんね、亡くなったのね、
去年の年末ぐらいに。
それでね‥‥

「止める人がいないときには
 死んじゃいけない」
そんなふうに思うジョージさんもいるんですね。
ばぁやさんの話は次回につづきます。

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2004-04-07-WED
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