ジョージ |
でね、その、まだその当時って、
電子レンジに何を入れちゃいけない、
っていうのがわかんなくって。 |
つねさん |
あれだ、アルミホイル入れちゃダメとか。 |
ジョージ |
お客さんが来たときに、
金蒔き蒔きのコーヒーカップとか、
あるじゃない? |
つねさん |
キンマキマキ? |
ノリスケ |
金の蒔絵ね。
ダメダメ、レンジは‥‥。 |
つねさん |
やっちゃったのね。 |
ジョージ |
そう、あれを入れたの。
バリバリバリバリーッて音がして、
出したら、金蒔きのとこが真っ黒になって。
そうするとね、泣くのよ、
「奥さま! 奥さま、コーヒーカップが、
こんなになってーっ!」
「あらあらあらあら」
みたいな。あと、卵1コ丸ごと入れて、
卵ってさ、入れて、フタを開けるまでは、
爆発しないんだよ。 |
ノリスケ |
そうなの? |
つねさん |
そう。 |
ジョージ |
そう。んで、フタ開けたとたんに、
ボンッ! と爆発して、
髪の毛が、なんかミモザ状態?
「奥さま〜〜! 爆発しましたーっ!」
とかいって(笑)。
だから、ボケたら、
「奥さま!」だったんだと思うよ。 |
ノリスケ |
あははははははは!!
いやだわ、泣けるけど笑えるわ。 |
つねさん |
ああ、そっか。だから、
そのへんもたぶん思い出してたんだね(笑)。
幸せな時代だったんだね。 |
ノリスケ |
楽しかったんだね。 |
ジョージ |
うん、楽しかった。昔はすんごい楽しかった。 |
つねさん |
なんか、ゴージャスなサザエさん
みたいな家族(笑)。 |
ジョージ |
なんかね。 |
ノリスケ |
はぁ〜、思いがけずしみじみしちゃいました。 |
つねさん |
ほんとだよね。 |
ノリスケ |
ふ〜ん、大事な人の思い出に
残るように生きていこう。 |
ジョージ |
うん、だから、
思い出は作んなきゃダメ。
|
つねさん |
そう。ね。ほんとだよ。 |
ジョージ |
年を取ったら思い出にすがって
生きるしかないんだから(笑)。 |
つねさん |
でも、そのために
思い出いっぱい作っとかなきゃ。 |
ジョージ |
そう。やっぱりあれだよね、
5年も付き合ってると、
思い出とかって、
けっこういっぱいあるよね。 |
つねさん |
あるよね。 |
ノリスケ |
長いと、できますよね。 |
ジョージ |
そうそうそうそう。 |
ノリスケ |
あそこに行ったね、とか、
あれ食べたね、とかって、
些細なことができるよね。 |
ジョージ |
そうそう。そうなのよ。 |
ノリスケ |
そっか。年取って、
つねさんが死んじゃった後に、
ジョージさんは丸いものを見るたびに、
つねさん、つねさんって言うのね、
じゃあ(笑)。 |
ジョージ |
そうかもね、デブ見ると、
「つねさん」とかっていう。
「もう、つねさん、ダメ!
太って。飲み過ぎぃ!」
「声が大っきい!」
とかって言いそうになる感じがするよね。 |
つねさん |
ダイエットするから、いいもん。 |
ジョージ |
うん、毎日大切に付き合ってると、
思い出は自然とできるかな。
やっぱり、人付き合いは
丁寧にしなきゃいけないなと思うよね。
‥‥ふ〜。あ、ため息ついちゃった。 |
ノリスケ |
遠くを見てため息ついてた。
なぜそこでため息を(笑)。 |
つねさん |
どないしはったの? |
ジョージ |
なんかね、
幸せになろうと思う気持ちを
持たなかったり、
人間関係を粗末にしたりする人たちが
いっぱいいるのかな、とかって思ってね。 |
ノリスケ |
うーん、多いよね、そういう人たち。
そういうニュースも多いしね。 |
ジョージ |
そう。で、自分の人間関係、
考えちゃったわけなんですっ。
‥‥かと思うとね、この前、
とんでもない温泉旅館で
会合をやったの、ウチのお客さんの。 |
ノリスケ |
それはなぁに?
そのとんでもない温泉って、なんなの? |
ジョージ |
ほんとにとんでもない!
ほんっとにとんでもなかったの! |
ノリスケ |
それは、ひどいっていう意味なの?
|
ジョージ |
そう。 |
ノリスケ |
あらま。ジョージさんが選んだのに。 |
ジョージ |
僕が選んだんじゃないよ!
ウチの会社で選んだやつだよ。 |
ノリスケ |
とんでもなかったんだ。 |
ジョージ |
宴会やってね、料理ひどいから、
飲むしかないんだよ。
飲んでたら、奥さんが僕のファンっていう
お客さんがやってきて、
国際結婚してる人なの。
で、その奥さん、イギリス人なんだけど。
彼女曰く、日本の男は、
みんな子どもだと思ってたけど、
あなたは大人だ、っていうの。 |
ノリスケ |
あら、オカマなのに(笑)。 |
ジョージ |
そう、あなたは男だ、って言うのよ。 |
ノリスケ |
オカマなのに(笑)。 |
ジョージ |
オカマなのに。
んで、彼らには娘さんがいて、
この前、長女が成人式迎えて。 |
ノリスケ |
ふ〜ん、あ、じゃあ、けっこうお年なんだね。 |
ジョージ |
その、和服を着てね、
ハーフなんだけど、写真を撮ったと。
見てくれ! っていうのを、
自分の亭主に見せるより、
僕に最初に言ってくるんだよ。 |
ノリスケ |
ははははははは。 |
ジョージ |
どう思うか、っていうから、
うん、彼女は、彼女の中に彼女があるね、
って言ったら、
「そうでしょう?
そういう言葉を聞きたいの私は!」
みたいなね。 |
ノリスケ |
ダンナに当てつけるかのような表現。 |
つねさん |
ははははは。 |
ジョージ |
その点アナタは解ってくれてる!
とかって褒めてくれるような。
で、ダンナのほうがやってきて、
ウチの女房は、あなたのファンだけど、
僕も、女房以上にあなたのファンだと。
で、今日はね、聞いて欲しい話があるんだと。 |
ノリスケ |
なぁに? |
ジョージ |
なに? っていったら、
僕は、今でこそ幸せだけど、
ずっと離婚を考えてた、って。
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