ノリスケ |
おかえりなさーい、ジョージさん。 |
つねさん |
毎回言ってるような。 |
ノリスケ |
どちらへ? |
ジョージ |
ついさっきまでアジアの某国に
行っておりました!
んー、そこのね、現地法人の社員の人たちと
勉強会をやってきたのよ。
その国の言葉喋れないから、
現地法人で何人か日本語喋れる子いるんで、
その人たちに通訳をしてもらいながら
モチベーション系の話をしてたの。
そうするとね、あのね、
これは別にその国だけじゃなくって、
最近、日本のいろんなとこへ行って、
勉強会とかすると、
ものすごく前向きに話を聞く
女の子たちっていうのがいるんだよ。 |
ノリスケ |
まぁ! 嬉しいじゃない! |
ジョージ |
ウン。にこにこにこにこしている。
で、背筋をしゃーんと伸ばして、
あなたの話を聞きに来ました!
みたいな感じの子がいるのね。
どういうのかな、わかるでしょ、
性別を超越してわかり合えるというか。 |
ノリスケ |
うん、わかるわかる。 |
ジョージ |
今回も、そういう女の子たちがいたの。
んで、ま、話し終わって、
他にいくつか仕事をして、
ホテルに戻ったのね。
そしたら、そのときに勉強会をしていた
女の子たちがね、7人ぐらいいたのかな?
その中のひとりから電話が掛かってきて。
日本語が喋れる子で、
「あの、疲れてると思うんですけども、
これから女の子たちだけで
話を聞いて欲しいんで、
来てくれませんか?」って。 |
ノリスケ |
あら。世界中どこに行っても、
そんな目にあってるのね(笑)。 |
ジョージ |
あ〜ら、そういう出番なのかしら? って。 |
つねさん |
呼ばれてるわ、みたいな?(笑) |
ジョージ |
そう。で、出てったのね。
そしたらこういう話だったの。
勉強会で通訳をしていたのは男なのね。
そうすると、その話の中で、
通訳のためにニュアンスが
変わっている部分が、
いくつかあったっていうんだよね。 |
つねさん |
はぁ。 |
ノリスケ |
日本語がわかる女の子には、
それがわかったってことね。で? |
ジョージ |
「日本語のわからない彼女たちは、
ジョージさんの話を、誤解というか、
ニュアンスを取り違えて
理解していると思う」と。
ちゃんともう1回伝えたかったから、
これからもう1回話をして下さい、
っていうの。 |
ノリスケ |
へぇ、すごい! |
ジョージ |
で、どういうふうに
ニュアンスが違ってたの?
って訊くと、
ま、僕らってさ、ほがらかさんって、
あんまり命令をしないじゃない? |
ノリスケ |
うん、しない。
できないと言うべきか(笑)。 |
ジョージ |
できないよね。
んで、あと、断定口調にならないじゃない? |
ノリスケ |
そうだね。自分を奮い立たせて、
無理やりするときはあるけどね(笑)。 |
ジョージ |
ね。 |
ノリスケ |
心を鬼にして(笑)。
こりゃもっと強く
言わないとわかんないな、
っていうときは言うけど。 |
ジョージ |
そう、オカマが心をノンケにして、
っていうやつよね。
いやっ、気持ち悪いっ(笑)。
で、でね、その、たとえば僕が、
こういう考え方もあるよ、とか、
こういうふうにしたほうが
いいかもしれないね、って言ったことが、
ぜんぶ、
「こういう考え方です」という断定や
「こうしなくてはいけません」
という命令に。 |
つねさん |
訳されちゃったんだ。 |
ジョージ |
っていうんだよ。 |
ノリスケ |
まあ、ね、通訳の男は、
ジョージさんの言いたいことを伝えるのに、
いちばんわかりやすくした
つもりなのかもしれないし、
ひょっとして日本語が
上手じゃなかったのかも
しれないけれどね。
でも、モチベーション系の勉強会で
それが命令なのか提案なのかは
大きな違いになっちゃうわよね。 |
ジョージ |
そう、そうなんだよ。
で、もう一度、ゆっくり、
いろいろ話したの。
そしたらね、今度は、
「安心しました。
ぜひ私たちが日ごろ思っている
悩みを聞いてください」
ってことになったのよ。
さてどんな悩みでしょう? |
ノリスケ |
アジアの働く女の子の不満ね。
仕事に対する不満? |
ジョージ |
うん、会社の中での自分たちに対する不満。 |
つねさん |
会社の中での自分たち‥‥なんだろう? |
ノリスケ |
日本と違うのかな? |
ジョージ |
驚くほどいっしょだよ。 |
ノリスケ |
そしたら、あれじゃない?
自分たちは男から命令されることだけを
やってればいい、と思われている、
それしか、やらせてもらえない。 |
ジョージ |
その通り〜。 |
ノリスケ |
考えるな、っていうことでしょ?
おまえは考えなくていい、
っていうふうに言われて、
お給料を貰ってるっていうことに対して、
ちっとも面白くないってことでしょ? |
ジョージ |
そう。 |
ノリスケ |
そうか。いっしょなんだ。 |
ジョージ |
いっしょだよ。
たとえば、マーケティングの、
こういうふうな市場調査の資料を
作っといてくれ、っていわれて、
はじめて仕事が始まって。
で、作るでしょ? 提出するでしょ?
そうすると、それに対する評価が、
あるかないかわからない状態で、
次にこれをしといてくれ、
っていうふうに言われる。
で、私たちはほんとうに
評価されてるんでしょうか? とか、
あるいは、私たちって、
ほんとに必要とされてるんでしょうか?
っていうのが、彼女たちの悩みなんだよね。
で、何より、
自分たちの意見を聞いてくれないとか、
自分たちの仕事を
横取りされてるっていうか‥‥。 |
つねさん |
自分たちがやった仕事のはずなのに、
上司の手柄になってると。 |
ノリスケ |
彼らにとっては、
その子たちはただのお使いなのね。
俺が調べてくれって言ったことを、
おまえは調べただけなんだと。 |
つねさん |
そう、だから、俺がやったんだと。 |
ノリスケ |
その仕事はおまえの仕事じゃないと。
考えたのは俺だと。
「どうですか、社長?」っていう(笑)。 |
ジョージ |
そうそうそうそう。
で、そんな男の人たちを
どう思います? って言われた私は、
かなり大変、みたいな!
どう思います? って言われても、ね? |
つねさん |
あなたも、男のはずなのに! |
ジョージ |
そうなんだよ。
それでちょっと困ってね、
んー、どうしよっかな? って思って。
僕は、その会社の
アドバイザーとしての立場で
今回は行ってるから、
関連会社なんだけど、
僕があなたたちのやりたいことを
やらせてあげましょう、っていう立場では
ぜんぜんないんだよね。
だから、かなり困ったんだけれど。
でも、そのときにね、
こんな話をしたのね。 |
つねさん |
うん。
|