ジョージ |
彼女たちの悩みのいちばんの部分は、
自分たちは女で、
男がみんなわからない状態になってるわけ。
どうせ男なんて、
自分たち女のことは
わかってくれないはずだから、
っていうところで、固まってるわけよ。 |
つねさん |
うん。 |
ノリスケ |
うんうん。 |
ジョージ |
で、僕が、男の言うことなんて
わかんないからね! って
言えればいいんだけど、
そういうわけにもいかないし。
一応、秘密だから(笑)。 |
つねさん |
うん、うん。 |
ジョージ |
でね、昔の話をしたの。
まだ、僕の父親が、
僕がゲイだっていうのを
知らなかったころの話。
やっぱりその当時は、
マーケティングだとかの仕事を
ずっとやってたのね。
まあ、得意な分野じゃない?
やっぱりほがらか的に、
今の消費者の気持ちが
どうかとかっていうのは、ねぇ?
それこそ、天賦の才能のある部分だから、
そんなに大した努力をしなくっても‥‥。 |
ノリスケ |
男の気持ちも、女の気持ちもわかるから、
いいデータが集まるって?
はははは。 |
ジョージ |
そう、いいデータが集まるし、
自分の意見にも自信があるの。
父親に対するアドバイスは、
自分としたら的を得ている
つもりなんだけれども、
わからないんだよ、彼らは。 |
ノリスケ |
はぁー。 |
つねさん |
ほぉー。 |
ジョージ |
これからの人たちに対して、
こういうふうにアプローチをしないと
いけないよ、とか、
そういうことを言ってもわからないんだよ。
で、わからないから、
どんなに僕がいい仕事をしたつもりでも、
それは適正に評価されないんだよね。 |
ノリスケ |
はぁ、はぁ、はぁ。
まあ、ジョージがこう言ってると。
終わり(笑)。一意見だと。 |
ジョージ |
そうそうそう。
ウチの息子は変なことを考えるわい、と。 |
ノリスケ |
ふんふん。 |
ジョージ |
ただ、現実は、
ちょっとずつそっちのほうに
向かっていくんだよ。
ほんとに世の中がそうなっていき、
そういうふうに答えを出しくるわけ。
時間が経つとね。 |
ノリスケ |
それで初めて、
あ、あれはそうだったか、っていうんで、
ちょっとずつは近づくと。 |
ジョージ |
そうそうそうそう。
だけど、現象的な部分は
ちょっとずつ近づいてくけれど、
本質的な部分っていうのは、
やっぱり長い間そんなに変わらないでしょ。
で、5、6年ぐらい前、
父が、やっとわかってくれたわけ。
あのね、ウチの親って、日記つけてるんだよ。 |
ノリスケ |
ええ?(笑) |
つねさん |
ダディ? |
ジョージ |
うん、そう。ここ20年ぐらい。 |
ノリスケ |
すごいね! |
つねさん |
意外! |
ジョージ |
ずーっと欠かさず。
しかもね、3つつけてるの、日記を。 |
ノリスケ |
なに、それ?(笑) |
ジョージ |
ひとつは、死んだときに、
誰に読まれても恥ずかしくないもの。 |
ノリスケ |
はぁー。会社の人でもね。 |
ジョージ |
もうひとつは、
うちの母に見つかっても大丈夫なもの。 |
つねさん |
ふむふむ。で、もうひとつが? |
ジョージ |
心の叫び。
もう絶対、誰にも見せない用。 |
ノリスケ |
墓場まで持ってく秘密じゃ、と。 |
ジョージ |
そうそうそう。 |
つねさん |
ちょっとジョージ、
ワシが死んだら燃やしてくれ、みたいな。 |
ジョージ |
そう。だって毎年毎年、書いた分を
銀行の貸金庫の中に入れるのよ? |
つねさん |
すっげぇー(笑)。 |
ノリスケ |
実はいちばん
大事なものってことだね?(笑) |
ジョージ |
うん、絶対ね(笑)。 |
ノリスケ |
複雑な人だねぇ。 |
ジョージ |
このあたりがね、
律義なんだかバカなんだか
わかんないんだけど、
大昔の日記を読み返したんだそうです。
んで、僕がこう言ったことがわからない、
というふうに書いてあるところを
読んだのね。
ところが、その時僕が言ったことが、
今、当たり前になってるっていうのをね、
今更ながらにびっくりしたらしくって。 |
ノリスケ |
ほほぉ。 |
ジョージ |
でね、こう言うの。
未だにおまえのことを
100%理解できないが、
なぜ理解できないかがわかったと。
おまえは未来から来てるんだ、って。 |
ノリスケ |
あっら〜〜! |
つねさん |
はぁ。 |
ノリスケ |
褒めてるねぇ。 |
つねさん |
すごぉーい。 |
ジョージ |
そうなのよね、いい気分になるでしょ?
で、そのことをね、
アジアの彼女たちに言ったの。 |
ノリスケ |
そっか! 話がそこにいくのね。 |
ジョージ |
僕はたまたま、
人と違ったものの見方ができるから、
男性だけど未来から来た、
っていうふうに言われたけど。 |
ノリスケ |
センス・オブ・ワンダーがあった、
みたいな(笑)。 |
ジョージ |
ウン。でも、僕は女の子を見てるとね、
同じように思うんだよ、って。
男の人っていうのは、過去に生きてるから、
現在に生きてない、今のことが見えてない。
昔のデータを一生懸命頭の中に入れて、
自分はこうだというふうに思ってるけど、
それは過去を生きてることなんだよ、と。
だけど、女の人っていうのは、
子どもを産むことができる。
子どもは未来から来るわけじゃない?
未来から来る人が、
体の中にいちばん最初に来るのが女性なの。
だからやっぱり男の人に比べたら、
女性っていうのは
未来のことを考えることができるんだよ、
って。 |
ノリスケ |
なるほどね、考えるようにできてると。 |
ジョージ |
だから、あなたたちが考えることは
未来のことなんだと思うよ、って。
だから、過去しか見えない人が、
未来が見えてる人のことを聞いたらば、
最初はわからないっていうのが
当然だろうし、
そのうち、ああ、この人たちは
いいことを言うな、と思ったらば、
あなたたちの言っていることを、
あたかも自分が思ったことのように
言っちゃうでしょう。
で、仕方がないよ、まず許してあげようよ、
っていう話をしたの。 |
ノリスケ |
ははぁ〜。 |
つねさん |
へぇ〜。 |
ジョージ |
で、これは、
日本の女の子たちもそうだと思うよ。 |
ノリスケ |
そうかもしれないね。うん。
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