ジョージ |
出社途中の乗り換えの駅でもって、
毎日毎日泣いて
駅員さんに心配されて(笑)
会社に電話掛かってきた
おじさんがいるよ。 |
ノリスケ |
おじさん? |
ジョージ |
おじさんだよ、もう。 |
ノリスケ |
え? ジョージさんちのとこに?(笑) |
ジョージ |
そう。 |
ノリスケ |
えっ!? |
つねさん |
あんたんとこ、すごいね! |
ジョージ |
まだいるよ、ウチの会社に。 |
ノリスケ |
なんで泣くの?(笑) |
ジョージ |
ちょっとストレスが溜まってたらしいの。
ちょうどね、昇進したの。
昇進して、初めて部下がついたんだよね。
部下が3人ぐらいついたんだけど、
その3人が、とっても優秀だったのね。
なぜかというと、
初めて部下を持つ立場の人だから、
いい子をつけようと思って、
ほんっとにもう、それぞれ、
独立しても稼げるような子をつけたんだよ。
そしたらそれがプレッシャーだったんだね。
自分は彼らよりいい仕事をしないと
いけないと思い込んじゃって。
そんなこと誰も考えてないわけさ。
人を使うことを勉強してもらおうと思って、
使いやすい人を与えただけなんだよね。
でもそれがプレッシャーになって。
家を出るときにはにこやかに出るんだって。
ところが‥‥。 |
ノリスケ |
だんだん足取りが重くなっちゃって。 |
ジョージ |
そう、重くなってきて。
んで、渋谷の駅で、泣いちゃうんだよ。 |
ノリスケ |
あのさ、泣くって言っても、
駅員さんが心配して電話してきたって
言ったわよね?
ぽろぽろ泣くぐらいだったらね、
悲しいことがあったのかな?
ぐらいに思うじゃない?
電話してこないよね? |
ジョージ |
そうなのよ。落ち着いてから、
どんなふうに泣いてたの? って訊いたら、
ホームに仰向けになって、
手足バタバタさせながら、
わぁ〜っ! って
泣いてたっていうんだよね。 |
ノリスケ |
えーっ!? それは心配!
さすがに保護される。 |
ジョージ |
電話を受けた人に言わせると、
なんか、困ったような、半分笑ったように、
あの、おたくに誰それっていう、
くすくす、いらっしゃいますか?
みたいな感じだったらしいよ(笑)。
あ、おります、ウチの社員です。
いやぁ、渋谷駅なんですけれど、
泣かれて、困っちゃってるんですわぁ〜!
みたいな感じらしいんだよ。 |
つねさん |
あ、深刻じゃないのね、あんまり。 |
ジョージ |
そう。やっぱり、さめざめと泣かれると、
飛び込まれる可能性があるわけじゃん。
だけど、ホームの真ん中で
仰向けになってジタバタだと、
あまりのことに、笑えたらしいの。
彼には、あなたが上司であるという
意味というのを、1回、僕が一緒に考えて、
ちょっと落ち着いたけどね。
でも、ほんとに落ち着いたのは、
部下を全部とって、部下なしの、
半分フリーみたいな立場にして
落ち着いたんだと思う。 |
ノリスケ |
そういうスタイルが合ってたんだね。
あなた、とっても親切なボスなのね。 |
ジョージ |
おじさんたちも大変なのよ。
おじさんたちっていうのは、
やっぱりね、名刺に書かれてある役職で
一喜一憂するから、
役職貰いたいのもやまやまだけれど、
もらっちゃうともらっちゃったで
また大変だったりとかしてね。
だから、そんなことから比べたら、
やっぱりね、なんか、
役職からフリーの立場の
女の子っていうのは、
まあ、ストレスもあるだろうけど、
幸せな部分もあるんじゃないかなと
思うんだけどね。 |
ノリスケ |
おじさんたちって、役職好きなのね。 |
ジョージ |
だってウチの会社で部長になって、
昇進祝いでもって居酒屋かなんかに行って、
おめでとうございます、部長!
って言うと、
「いいねぇ、今の。もう1回言って?」
って言うもん。 |
ノリスケ |
ギャグだよ、それ(笑)。
それって、植木等の映画じゃないのよ?! |
ジョージ |
「もう1回言って!」
「部長!」
「さいこ〜!」とかって、
グワーッと飲むんだよ。
ほんとに、ドリフターズとか、
クレージーキャッツの時代のまんま。
中身は変わってない、会社っていうのは。 |
ノリスケ |
はぁー!
口が開いたまま乾いてしまいました。
すっごいびっくりしました。 |
ジョージ |
そういう会社をやってるほがらかさんって、
すごい楽しいよ。
どんな会社もね、ある規模を越えると、
そういうことが好きな人もいるんだよ。 |
ノリスケ |
はぁー。どうする、どうなる? |
ジョージ |
そういう人も幸せにしてあげないと、
もっと大きくはなれないんだよ。
もうそのときに、
大きくしなくていいやって思うか、
いいや、なっちゃえって思うかね。
で、そういう人たちから見ると、
僕らみたいな濃い人たちって
わかんないんだよ。
どういうふうにして喜ばせればいいかが。 |
つねさん |
あ〜。 |
ジョージ |
だって、僕なんて、役職言われたって、
なぁ〜んにも感じないもん。
あ、そうなの? って。
たとえば、ジョージさんがジョージ様とか、
ジョージ殿とかに変わったぐらいであって、
いいじゃん、べつにって思うよね。
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