つねさん |
僕、まだ地方に住んでた頃で
東京の子と付き合ってて。
初めての遠距離恋愛だったの。
もちろん会えないじゃん。
月に1回、僕は上京してたんだけど、
1日だけ、とか。
それだけで物足りないから
電話するんだよね。で、向こう、
飲み屋の人だから、
昼ぐらいまで寝てるわけ。
で、昼ぐらいに、
おはようも兼ねて? 電話するんだけど、
結局、一緒にいる時間もぜんぜんないから、
会話の糸口もないわけよ。
それで、まあ、あるとき、
なんで電話してくるの?
って言われて。
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ノリスケ |
‥‥終わったな(笑)。
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ジョージ |
なんで電話してくるの?
って言われた段階で、もう終わり。
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ノリスケ |
終わりだよね(笑)。
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つねさん |
逆に言ったら
始まってもなかったのかも知んない。
こっちが付き合ってると思ってただけで。
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ノリスケ |
「恋人のつもり?」
って言いたかったのかな?
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ジョージ |
あ〜、それ、すごく悲しいかもぉ。
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つねさん |
その人はすごくモテる人で、
別に遊んでる人、何人もいたから。
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ノリスケ |
同じような人がいっぱいいた?
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つねさん |
かもしれない。だって、
自分を追いかけて東京へ出てくるなよ、
って言われたんだもん。
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ノリスケ |
出てくるな?
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つねさん |
うん、出てくるな、って。
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ジョージ |
それは始まってなかったんだねぇ。
だって、始まりはさ、
誰でも燃え上がるものじゃない?
で、始まりってさ、
いつも一緒にいたいわけでしょう?
んで、一緒にいられなくっても‥‥。
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ノリスケ |
それを埋めるものが。
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ジョージ |
そう、だから一緒にいる感じを
持ちたいわけじゃない?
だから電話をかけたり
メールを書いたりするわけでしょう?
で、始めはそれでもいいんだよ。
誰もそうだと思うんだよね。
その段階を経ていないということは、
たぶんお付き合いが
始まっていないようなものだったの。
問題はその継続なの。
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ノリスケ |
うんうんうん。
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つねさん |
そうなんだよね。
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ノリスケ |
そうだね。うん。だから、
何食べたの? とかっていうのは、
共有したい情報だよね。
何でもないんだけどね。
今日はハンバーガー食べたよ、って、
僕もハンバーガーだよ、いっしょだ、
みたいなのは、
ただそれだけでも嬉しいことだから。
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つねさん |
そうそうそうそう。
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ノリスケ |
っていうウチは大丈夫かな?
みたいな(笑)。
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つねさん |
いや、ぜんぜん大丈夫じゃない?
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ジョージ |
うん、なるほどね。
一緒に生きてる、みたいな感じ?
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ノリスケ |
そう。一緒に生きてる、みたいな感じ。
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ジョージ |
今がいちばんお付き合いが長いの?
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ノリスケ |
長い。長いです。
ジョージさんは最長‥‥
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ジョージ |
僕が12年があるんだよね。
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つねさん |
あぁ。
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ノリスケ |
それは、ええと、台湾?
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ジョージ |
そう、台湾の。
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ノリスケ |
12年って長いね。
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ジョージ |
その中で6年が遠距離だったからね。
遠距離も、いちばん近かったのが
日本・台湾で、
いちばん長かったのが
日本・ロスアンジェルスだったからね。
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ノリスケ |
ハワイで会ってたんだもんね。
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ジョージ |
そう。あれはすごい長かった。
なんで続いたんだろう?
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つねさん |
ふふふふ。なんで続いたんだろう?(笑)
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ジョージ |
なんで続いたんだろう?
最初の5、6年間はね、なんかね、
一緒に生きている感じがしたのよ。
一緒に仕事もしたし。
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つねさん |
一緒に悪いことしたし(笑)。
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ノリスケ |
え?
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つねさん |
うそうそ(笑)。
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ジョージ |
あのね、一緒に「初めて」を
いっぱいしたの。
これはね、すごくね、大きかったと思う。
っていうのが、彼は僕より年上だったのね、
10歳年上だったから。
だけど、ありがたかったのが、
年上なんだけど、彼は日本にきて
2年目だったから、
彼にとって日本でしたい初めてのことが
いっぱいあったんだよ。
で、僕は僕で、まだおとなになってなくて
たくさん経験してないことがあったから。
ふたりとも、
いろんなことを初めてしたかったんだよね。
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ノリスケ |
はぁ〜!
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ジョージ |
んで、ふたりだけで温泉に行くとか。
これすら、初めてなんだよ。
よく、年上の人が好きな若い子って、
一通り付き合っちゃうと、
一緒にいる意味がなくなって
別れていくことがあったりするじゃない?
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ノリスケ |
若い子のほうから?
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ジョージ |
若い子のほうもそうだし、
特に年上のほうって、
若い子がある程度育っていくと、
もういらなくなったりとかっていうのも、
あるじゃない?
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ノリスケ |
あー、そういうことか。
あるかも知んない。うんうん。
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ジョージ |
これってたぶん愛じゃなくって、
教え終わったら卒業させるみたいな感じ?
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つねさん |
巣立たせる。
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ジョージ |
だから、年上の人にとって
「初めて」は、ひとつもないんだよね。
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ノリスケ |
ふむふむふむふむ、そっかそっか。
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ジョージ |
でも、そのときは、
そういうのがなかったの。
僕の場合は年上の人だったけど、
ぜんぶ初めてを一緒にやってたから。
だからそういうんではね、
すごい良かったなと思うよ。
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ノリスケ |
ラッキーだったのね。
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ジョージ |
その、一緒にした初めてのできごとを
良い思い出にして、それを心の糧にして、
一緒に会えない時間が走れたんだもん。
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つねさん |
おぉー。
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ノリスケ |
なるほどね。
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つねさん |
すげぇ。
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ジョージ |
まあ、その6年間のあいだ、
純潔だったとは言えないけれど?
ま、愛はあったわけよ。
ちょっとこのあたりがおとなの話ってやつ?
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つねさん |
へっ!いや、べつに、
あなたから純潔なんて聞くと(笑)。
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ジョージ |
あらららららら?
純潔っていい言葉じゃない、
なんか知んないけど。
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つねさん |
あなたの初めて物語の中にもあるでしょう?
純潔じゃない話が(笑)。
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ジョージ |
あ〜、それはいろんな
酒池肉林もありましたが、
それは横へ置いときましょ。
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ノリスケ |
ちょっとずいぶんな話になるので
やめましょうね(笑)。
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つねさん |
はははは。
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