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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

愛し続けるということ。その3
ハンバーガー食べたよ。ボクも一緒だよ。

つねさん 僕、まだ地方に住んでた頃で
東京の子と付き合ってて。
初めての遠距離恋愛だったの。
もちろん会えないじゃん。
月に1回、僕は上京してたんだけど、
1日だけ、とか。
それだけで物足りないから
電話するんだよね。で、向こう、
飲み屋の人だから、
昼ぐらいまで寝てるわけ。
で、昼ぐらいに、
おはようも兼ねて? 電話するんだけど、
結局、一緒にいる時間もぜんぜんないから、
会話の糸口もないわけよ。
それで、まあ、あるとき、
なんで電話してくるの?
って言われて。
ノリスケ ‥‥終わったな(笑)。
ジョージ なんで電話してくるの?
って言われた段階で、もう終わり。
ノリスケ 終わりだよね(笑)。
つねさん 逆に言ったら
始まってもなかったのかも知んない。
こっちが付き合ってると思ってただけで。
ノリスケ 「恋人のつもり?」
って言いたかったのかな?
ジョージ あ〜、それ、すごく悲しいかもぉ。
つねさん その人はすごくモテる人で、
別に遊んでる人、何人もいたから。
ノリスケ 同じような人がいっぱいいた?
つねさん かもしれない。だって、
自分を追いかけて東京へ出てくるなよ、
って言われたんだもん。
ノリスケ 出てくるな?
つねさん うん、出てくるな、って。
ジョージ それは始まってなかったんだねぇ。
だって、始まりはさ、
誰でも燃え上がるものじゃない?
で、始まりってさ、
いつも一緒にいたいわけでしょう?
んで、一緒にいられなくっても‥‥。
ノリスケ それを埋めるものが。
ジョージ そう、だから一緒にいる感じを
持ちたいわけじゃない?
だから電話をかけたり
メールを書いたりするわけでしょう?
で、始めはそれでもいいんだよ。
誰もそうだと思うんだよね。
その段階を経ていないということは、
たぶんお付き合いが
始まっていないようなものだったの。
問題はその継続なの。
ノリスケ うんうんうん。
つねさん そうなんだよね。
ノリスケ そうだね。うん。だから、
何食べたの? とかっていうのは、
共有したい情報だよね。
何でもないんだけどね。
今日はハンバーガー食べたよ、って、
僕もハンバーガーだよ、いっしょだ、
みたいなのは、
ただそれだけでも嬉しいことだから。
つねさん そうそうそうそう。
ノリスケ っていうウチは大丈夫かな?
みたいな(笑)。
つねさん いや、ぜんぜん大丈夫じゃない?
ジョージ うん、なるほどね。
一緒に生きてる、みたいな感じ?
ノリスケ そう。一緒に生きてる、みたいな感じ。
ジョージ 今がいちばんお付き合いが長いの?
ノリスケ 長い。長いです。
ジョージさんは最長‥‥
ジョージ 僕が12年があるんだよね。
つねさん あぁ。
ノリスケ それは、ええと、台湾?
ジョージ そう、台湾の。
ノリスケ 12年って長いね。
ジョージ その中で6年が遠距離だったからね。
遠距離も、いちばん近かったのが
日本・台湾で、
いちばん長かったのが
日本・ロスアンジェルスだったからね。
ノリスケ ハワイで会ってたんだもんね。
ジョージ そう。あれはすごい長かった。
なんで続いたんだろう?
つねさん ふふふふ。なんで続いたんだろう?(笑)
ジョージ なんで続いたんだろう?
最初の5、6年間はね、なんかね、
一緒に生きている感じがしたのよ。
一緒に仕事もしたし。
つねさん 一緒に悪いことしたし(笑)。
ノリスケ え?
つねさん うそうそ(笑)。
ジョージ あのね、一緒に「初めて」を
いっぱいしたの。
これはね、すごくね、大きかったと思う。
っていうのが、彼は僕より年上だったのね、
10歳年上だったから。
だけど、ありがたかったのが、
年上なんだけど、彼は日本にきて
2年目だったから、
彼にとって日本でしたい初めてのことが
いっぱいあったんだよ。
で、僕は僕で、まだおとなになってなくて
たくさん経験してないことがあったから。
ふたりとも、
いろんなことを初めてしたかったんだよね。
ノリスケ はぁ〜!
ジョージ んで、ふたりだけで温泉に行くとか。
これすら、初めてなんだよ。
よく、年上の人が好きな若い子って、
一通り付き合っちゃうと、
一緒にいる意味がなくなって
別れていくことがあったりするじゃない?
ノリスケ 若い子のほうから?
ジョージ 若い子のほうもそうだし、
特に年上のほうって、
若い子がある程度育っていくと、
もういらなくなったりとかっていうのも、
あるじゃない?
ノリスケ あー、そういうことか。
あるかも知んない。うんうん。
ジョージ これってたぶん愛じゃなくって、
教え終わったら卒業させるみたいな感じ?
つねさん 巣立たせる。
ジョージ だから、年上の人にとって
「初めて」は、ひとつもないんだよね。
ノリスケ ふむふむふむふむ、そっかそっか。
ジョージ でも、そのときは、
そういうのがなかったの。
僕の場合は年上の人だったけど、
ぜんぶ初めてを一緒にやってたから。
だからそういうんではね、
すごい良かったなと思うよ。
ノリスケ ラッキーだったのね。
ジョージ その、一緒にした初めてのできごとを
良い思い出にして、それを心の糧にして、
一緒に会えない時間が走れたんだもん。
つねさん おぉー。
ノリスケ なるほどね。
つねさん すげぇ。
ジョージ まあ、その6年間のあいだ、
純潔だったとは言えないけれど?
ま、愛はあったわけよ。
ちょっとこのあたりがおとなの話ってやつ?
つねさん へっ!いや、べつに、
あなたから純潔なんて聞くと(笑)。
ジョージ あらららららら?
純潔っていい言葉じゃない、
なんか知んないけど。
つねさん あなたの初めて物語の中にもあるでしょう?
純潔じゃない話が(笑)。
ジョージ あ〜、それはいろんな
酒池肉林もありましたが、
それは横へ置いときましょ。
ノリスケ ちょっとずいぶんな話になるので
やめましょうね(笑)。
つねさん はははは。

ま、オトナの話もあろうが、
それはさておき、つづきます。

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2004-06-16-WED

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