APPLE
新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

愛し続けるということ。その5
いっしょに成長しようよ。

ジョージ すっごい最初はね、考えたよ。
んー、どうしよう、
この人と付き合うっていうことは、
もれなくこれが付いてくるのだな、
とかって思ったんだけど。
つねさん はっはっはっはっは!
ジョージ でも、詳しくなったよね? けっこう。
つねさん ね。
ノリスケ ジョージさん、なんか、
クレヨンしんちゃんの映画が
素晴らしいって言ってたわよね。
悪いけど、考えられないわ。
ジョージ やっぱりね、人間って
学習と習慣の生き物だと思うのよ。
要は、その、回数よ、回数。
ノリスケ まあね。うん。
ジョージ うん。最初のあるハードルを
クリアしてしまえば‥‥(笑)。
ノリスケ クレヨンしんちゃんも、
ロードショーで見れるようになるわけね?
ジョージ 自分の中に、その小部屋ができるわけだ。
僕の中には、もう今、
ジャパニーズアニメーションの小部屋が
できてるんで。
だから、この前「ほぼ日」のイベントで
『イノセンス』を観に行っても
いっぱしにお話ができるわけよ。
あれってあれの影響だね、とか。
ノリスケ はははははは。
連れてかれたのね、つねさんに。
ひとりで行けば?
って言わないとこが凄いよね。
つねさん いや、あの、よっぽどのものは言う。
ノリスケ よっぽどって、どのレベルなの?
ジョージ 要は、どういうのかなぁ、
オタク万歳! っていうの、あるじゃない?
ノリスケ ある。
ジョージ で、それはね、とりあえず、いいわ、って。
ノリスケ さすがにちょっと、うん。
ジョージ そこまで一緒に観ろ、って言われたら、
もしかしたら僕はあなたのことを
嫌いになるかも知れない、
っていうのがあるんで(笑)。
つねさん 紙一重だったのね!
ノリスケ それは防衛策として
「ひとりで見て」って言うわけね。
ジョージ そう。そう。
で、逆はまた真で、付き合う前、
この人っていうのは、
ブランド物のBの字もないのよ。
つねさん あ、そうそうそう!
まったく知らなかったの。
ノリスケ あ〜!
ジョージ 特に、あの、カバン系?
ノリスケ あー、ジョージさんが好きな。
ジョージ そう。ぜんっぜんないのよ。
時計もないでしょう?
光ってるものもないでしょう?
ノリスケ だってつねさんって、
サイズの合う洋服を着れてればいいって
いう人だから。
ジョージ そうそうそうそう、そんな感じ。
つねさん それそれ。
ジョージ それがね、最近ね、その‥‥(笑)。
ノリスケ いや、こないだびっくりしたよ、
携帯ストラップがグッチだったんだもん。
ジョージ そう。
つねさん だって、色がきれいじゃん。
ノリスケ こういうことを言うようになったわけね。
ジョージ それで、たとえば街歩いてて、
パチモンっていうのかしら。
偽物を持っている人がいたんだよ。
そしたらそれを見て、
「ねぇ、あれってニセモンだよね」
わかるようになったのよ!? これが!
つねさん いや、こわいわねー、
自分の成長が。まったくもう(笑)。
ジョージ なったのよっ!?
ノリスケ どこでわかったの?
ジョージ 感覚が違うっていうの。
ノリスケ ああ、そう。まー、生意気ぃ(笑)。
ジョージ そう。それと、
「あれは見たことがない」とかって言うの。
ノリスケ あー、データベース的に
あり得ないかたちだと。
ジョージ そう。
ノリスケ で、ブランド何だって?
つねさん ルイ・ヴィトン。
ジョージ で、「あれは新作なの?」って言うから、
「ううん」
「そうだよね、あれ、偽物だよね」
とかって言うようになるのよ。
つねさん 怖い話だよね(笑)。
ジョージ だけど、だけど、たとえばあの、
時折ね、昔を思い出して、
吐くほどのお買い物をしたくなる
衝動にかられるとき?
ノリスケ 月500万円のお支払いを。
ジョージ で、そういうのをたまにしたいな、
って思うときには、いちおう内緒で行くの。
連れてかないの。
そういうとこ見せて嫌われると困るし。
つねさん え、俺、見たいぃ。
ジョージ いやぁ、こわいぃ。
あんな自分は見せたくなーい。
つねさん え? ぜんぜん俺、止めないよ?
ノリスケ こないだ、ほら、
アヴェダには連れて行ったことが
ないとか言ってたもんね。コスメ系。
つねさん ああ、そうそうそう。
ジョージ まだそのあたりはちょっと。
でもね、わかるの、これが。
あんた、このコスメ、
新しいでしょう、とか、
わかるようになったの。
ノリスケ あらっま〜。
ジョージ んで、すごいのが、買うでしょう?
んで、幾らぐらい? って訊かれるのよ。
たとえば、これって12万ぐらいした?
って言うのね。ニアリーなんだよ!
ノリスケ ちょ、ちょっと、何が12万もするの?
なに? その変な数字は。
半端に高いんだけど。
ジョージ ヒミツっ!
でも、そういうのね、なんか、楽しいよね。
あと、ご飯食べに行っても、ね。
ノリスケ ああ、それ、聞いたわ。
お寿司屋さんでしょう?
ジョージ 名台詞よ。「引き返せない」。
つねさん わはははははは!
ノリスケ これ食べちゃったら、
もうほかの寿司は食えないって?
つねさん 誰だろうね? 嫌なやつ!
ジョージ ほんとにぃ。
でもね、でもそれはそれでね、うれしいの。
たとえば、なんか美味しいもの
食べに行きたいねぇ、とか言うと、
ふたりでもって「あれっ!」って言うと、
その「あれ」が一緒になったりとか
することがあるの。
つねさん 今日、何が食べたい? とかっていったら、
なんとなくわかるのよ。
ノリスケ ‥‥これがほんとの「ご馳走さま」。

座布団一枚。つづきます。

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2004-06-20-SUN

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