ノリスケ |
たとえば電車の中で、
いるじゃない? いい感じだなと思うご夫婦。
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ジョージ |
いるよね。
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ノリスケ |
ちゃんと目線が同じで、
いつくしむような目で見ている人たち。
たとえば会話がなくてもね、
新聞を読んでるダンナのほうを
うれしそうに見たりとかする奥さん見ると、
ああ、いいなと思うね。
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ジョージ |
尊敬といたわりだよね。
で、何気ないところに見せる
相手に対する思いやりとかね。
そういうのはある。
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つねさん |
気遣いとかね。
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
だから、そういうものの集大成が
マナーだったりとかするんだろうなと
思うしね。
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つねさん |
そうだね。マナーだから、
それは彼氏にだけじゃなくって、
周りの人に対しての思いやりだもんね。
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ジョージ |
絶対そう思う。たとえば
人前でする夫婦ゲンカ。
見ていて愉快なものもあるけど、
他人が聞くのも忍びないような。
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ノリスケ |
人を不愉快にするような。
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ジョージ |
陰湿な夫婦ゲンカもあるしね。
ひどいケンカってあるもん、たまに。
そんなの人前でするなよ、
っていうようなのが。
ほんっとに真剣になって、
もうおまえ帰れ、とか、
こんなところにはいたくない、とか。
なんで私をこんな店に連れてきたんだ、
こんな店でメシを食ってる俺は
どうなるんだ! とかって、あるもん。
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つねさん |
ああ、それは嫌だね。
周りの人を不愉快にする権利はないよね。
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ジョージ |
ああ、不幸な人たちだなと思うよ、
ああいうの見ると。
この人といてしあわせだなと思う気持ちを、
ずーっとなんか、自分なりに
盛り上げていかないと、
やっぱり、盛り下がっちゃうからね。
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つねさん |
だって、人は盛り上げてくれないよね。
結局。
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ノリスケ |
ほっとくとね、誰もね。
そりゃそうでしょう。
だから、不倫のこう、突発的なことが。
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ジョージ |
出ちゃう。
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ノリスケ |
ボッと。
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ジョージ |
ボッといって、そしてブスブスブス‥‥。
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ノリスケ |
私、生きてるわっ!
ってこう、なってしまうのかな。
でも、あれかな、若い男の子と女の子が
一生懸命お付き合いを持続させるって、
大変なことなのかな?
結婚って、お付き合いの
最終型なんだろうか。
お付き合いが終わって結婚が始まるのかな?
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つねさん |
ま、人それぞれじゃないのかな?
わかんないけど、だって出会って
数ヶ月で結婚したりとかする人たちも
いるわけでしょう?
逆に何年も、10年とかつきあってから
結婚する人もいるわけだし。
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ノリスケ |
うーん、結婚についてはわからないねぇ。
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つねさん |
わかんない。
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ノリスケ |
今の自分の付き合ってる感じは、
結婚にすごく近いのかな?
っていう気はするけどね。
社会的な契約を何もしてないけど。
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ジョージ |
うーん、そっか。
おふくろとおやじの話を聞いてると、
高校の同級生で、大学のときに
駆け落ち結婚だから、
お付き合いっていっても、
高校の3年間のお付き合いで、
そっから先は、結婚はしたけど、
一緒に仕事してたから。
会社を大きくするだとか、
社員をしあわせにするだとか、
子どもができたら子どもを育てるだとかって
いう目標があって。
だから共同体ではあったけど、
お付き合いではなかったんだろうと
思うんだよね。
で、それが、なんか数年前に、
子どももぜんぶ独立して、
ある程度、仕事も片が付き始めて、
最近すごい、お付き合いモードに
入ってるなと思うもんね。
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ノリスケ |
うーん、あらためてね。
結婚は、わかんないな。
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ジョージ |
結婚ね。結婚。子ども。子ども‥‥。
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ノリスケ |
そう、結婚制度ができたらするのかな?
とちょっと思う。わかんない。
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ジョージ |
たとえばAさんとBさんが
完全に対等な関係であり続けるんであれば
結婚の制度は必要ないかも
知れないんだけれど。
でも、対等の関係でも、
たとえばふたりが共同財産を作り始めたら、
法的な問題で、なんか面倒臭いことが
起きるかなと思うことはあるよね。
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ノリスケ |
うーん。
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ジョージ |
ね。たとえば僕が今死んだら、
このグータラなおデブちゃんは
どうなるのかしら!? とかって思うと、
結婚できたらいいのになと思う。
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つねさん |
ワシが先に死んだら?
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ジョージ |
‥‥うーん、
未亡人はきれいになるんですってよ。
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ノリスケ |
はははははははははは!
うん、喪服は
セクシーだっていうから(笑)、
それがチャンスよ!
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ジョージ |
喪服! 喪服のときには必ず、
黒い靴下は穴開いたのにして、
隙を見せるのよ。
絶対にそれよ(笑)。
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つねさん |
はははは。で、なに? 木陰で‥‥?
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ノリスケ |
それじゃあ伊丹十三の
『お葬式』じゃない。
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ジョージ |
でも、結婚するしないは別として、
ああ、この人と一緒に、たぶん齡とって、
死ぬまで一緒なのはこの人なのかなと
思ったら、もうそれが結婚なんじゃないの?
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つねさん |
うん、だと思う。
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ノリスケ |
うんうん、そんな気分。
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ジョージ |
そうだと思う。
結婚したって離婚があるわけだからね。
昔さ、結婚の対になっていたのは、
たぶん添い遂げることだったけど、
今の結婚の対は離婚だからね。
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つねさん |
あー、そうね(笑)。
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ジョージ |
ね。
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つねさん |
そういうのもあるよね。
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ノリスケ |
でも、離婚した人に聞くと、
すごい体力のいる仕事だって言ってたよ。
(笑)離婚は一大事業だって。
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ジョージ |
ウチのね、やっぱり知り合いとか
お客さんとか、離婚を、
兄弟そろって2回ずつやってる人がいてね。
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ノリスケ |
うわぁ、タフだねぇ。
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ジョージ |
そう。で、しかもそのうちのひとりの
ひとつは、アメリカ人との離婚だからね。
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ノリスケ |
うわ、大変。
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ジョージ |
4年越し。やっとこの前、
完全勝利を勝ち取ったって言ってた。
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ノリスケ |
あ、勝ったんだ。すごい。
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ジョージ |
もう目の前が、一瞬にして開けたような
感じがしたってよ。ブォワーッ! て。
あとね、こないだ話したイギリス人の
奥さんと仲直りした人。
彼はこの前、やっぱり夫婦の間にも
絶対会話は必要だっていうふうに言ってた。
最近はやっぱり奥さんがイギリス人だから、
日本に頼るものも何にもなくて。
ご主人に、
主人でもあり友だちでもあり
パートナーでもあり、何よりも、
頼りがいのある相談相手で
なくてはいけないと、
ありとあらゆるものを、
要求するんだよね。
で、その要求はすごい重たいと
思っていたんだけれども、
男である以上、人間である以上、
その要求に応えることから
逃げちゃいけないから、っていうんで、
今すごい戦ってるの。
そうすると、ほんとにね、
毎日のいろんなことを話すように
なったって言ってて。
で、ほら、ゲイの付き合いってさ、
わりとゲイって、
地方から東京に出てきてると、
ありとあらゆる自分の歴史を
切って来てるじゃない?
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ノリスケ |
あ〜。
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つねさん |
そうね。
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ジョージ |
それこそ、なんか、
小学校とか中学校とか高校時代の友だちと、
未だに付き合ってるかっていうと、
それも1回切れてるし。
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つねさん |
俺もまったくないよ。
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ノリスケ |
ほんと? ぼく特殊?
ゴールデンウィーク中、
小学校からの友だちとずっとメールで
やり取りしたりしてた(笑)。
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