ジョージ |
だから、たぶん東京のゲイの
7、8割ぐらいは、
いろんなものから切れて、
スポーン! と東京に彼だけがいるの。
んで、彼だけがいるんだけど、
人間はやっぱり
ひとりでは生きていけないから、
どっかに種を下ろして、
根っこを張らないといけないんだよね。
で、その張った根っこが
たまたま二丁目だったりすると、
もうそこでしか
生きていけなくなっちゃってね。
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ノリスケ |
はいはいはい。
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ジョージ |
んで、二丁目という養分を、
こうやって吸い尽くしていくと、
人間関係がどんどんどんどん枯れていって、
なんか、世間のことを中途半端に
知ってしまったオバケみたいなの、
ボコーンとできちゃったりするの。
で、そういう人はたぶん
愛とかを知らないで、
立ち枯れみたいになっちゃう
感じがするけどね。
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ノリスケ |
うーん‥‥。
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つねさん |
なんかいるよね。
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ジョージ |
いっぱいね。だから僕らの愛っていうのは
ほんとに、恋人に対して、ね?
ある人は父親を求めると同時に
恋人を求めたり、
愛人のような要素を求めたり。
でも相談相手を求めたり。
いろーんなものを求めるから、
結びつくとものすごく
強いんだろうけれども、
そのどれかひとつが欠けても、
なんか失望して続かなかったりすることが
あるのかな、と思うから複雑だよね。
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つねさん |
踏ん張らなくてすむから、
いつでもすぐ他に行っちゃうっていう。
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ジョージ |
だからそういう意味でも、
なんか最近の若い人たち見てても、
まあ、ゲイじゃない人たち見てても、
やっぱり昔の人間関係、
ブツッと切れてる人たちも多いからね。
昔みたいに、ひとつの街でもって
ずーっといて、小さいころからの人間関係を
そのまんま引きずって、おとなになって。
で、あるていど歳を取ると、
それが支えになってくれて、
自分をグッと上に突き出してくれるような
環境にいるしあわせな人たちが
どんどん減り始めてるのかな、
っていうのを感じるよね。
だって、その、昔からの友だちが
いっぱいいて、
親戚関係も周りにあるような人が、
自分の子どもだけに愛情を注ぐような
ヒマはないはずだからね。
東京で、なんか自分の子どもを
恋人のように育てる人っていうのは、
他に突き合う人間がいないから、
彼、彼女に一生懸命付き合って
もらってるのかな、
っていう感じもするしね。
そういうの見るとやっぱり僕らって、
ある意味、ね?
愛の先駆者なのかも知れない。
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ノリスケ |
ははは。
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つねさん |
ひぇ〜(笑)。
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ジョージ |
ま、そうやって考えると、
やっぱりあれだよね、
今自分が付き合ってるこの人に、
今自分はどういう役割を求めて
接しているのか、とか、
今自分はこの人を相談相手に
しようとしてるのか、
それともただただ甘えさせてもらう
対象にしているのか、
それとも、何かひとつのことを
一緒にしようとしている
対等なパートナーとして
付き合おうとしてるのか、
っていうのを考えながら‥‥。
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つねさん |
うん、接していく。
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ジョージ |
その人と接しないとね。
で、それをお互いが、考え合って接して、
相手がパートナーを求めているときに、
自分が見事にパートナーになれると、
そのときブワッて、
今日はなんかいいことができたな、
っていう感じになるのかもしれないよね。
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つねさん |
繋がれるよね。
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ジョージ |
そうそうそう。たまに甘えたいのに
向こうが甘えさせてくれないと、
怒っちゃう、失望しちゃうかも
しれないけれど、でもそのとき彼は、
自分にとっての甘える対象物じゃなくって、
彼は違う存在だったんだっていうふうに
思えばね、それはそれで納得もできるし。
だから、それがやっぱり相手を認めて
尊敬するっていうことなんだろうね。
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つねさん |
だってやっぱり小さい
行き違いっていうのは、
絶対出てくるもんね。
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ジョージ |
うん、出てくるよ、出てくる。
未だにね、未だにほんと、
なんでなんだろう? って思うもん。
思うけど仕方がないもんね。
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つねさん |
あ、すいません(笑)。
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ジョージ |
なんでここから取ったものが、
A地点から移動したものが、
なんでA地点に戻らないんだろう?
って思うんだけど、ま、それはいいわ。
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ノリスケ |
あ、掃除のことに話が(笑)。
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つねさん |
結局、そこかぁ‥‥。
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ジョージ |
って感じ。
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ノリスケ |
片づければいいんだよ、つねさん(笑)。
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つねさん |
頑張る!
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ノリスケ |
ウチなんか、片づけないもの同士だからね。
えらいこっちゃ、ですよ。
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ジョージ |
ま、それはそれで、
毎日アドベンチャーみたいなもので
面白いかもしれないよ。
いいじゃない。
ヘタすると探し物で
半日ぐらい潰れるんでしょ?
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ノリスケ |
潰れる。
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ジョージ |
すんごい安上がりな共通の趣味じゃない?
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ノリスケ |
何着てく? っていうこともね。
何着てく? で、朝、ひと悶着。
悶着じゃない、ひと騒ぎ(笑)。
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ジョージ |
それはなんで?
自分が着たいものと
相手が着たいものが‥‥。
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ノリスケ |
いやいや、単に着たいものが
決まらなくて(笑)。
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ジョージ |
それは、わがままなだけじゃん!
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ノリスケ |
それでね、しかも着たいものがね、
あ、あれだ! と思うとね、ない(笑)。
どこいった? どこいった?
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ジョージ |
それはこの前、僕もあった。
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ノリスケ |
で、半狂乱になって探す。ないっ!(笑)
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ジョージ |
ね。最近ね、どんどんどんどん
物忘れするの。
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つねさん |
多いよね。
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ノリスケ |
ありゃぁ。
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ジョージ |
忘れるの。それでね、何か探してるでしょ?
あ、見つからない! と思って、
大騒ぎして探すんだよね。
んで、探してるの。探してるところに、
つねさんやってきて、何探してるの?
って言われて、探してるものを
説明できなかったりするんだよ。
何を探していたのか忘れるの。
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つねさん |
ははははは!
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ジョージ |
そうするとね、もうね、ね?
情けないよね。
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つねさん |
そう。言うよね。
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ノリスケ |
あ、そう。
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ジョージ |
で、そういうときはね、なぐめてもらうの。
いいよいいよ、誰でも忘れるんだから。
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つねさん |
そう。
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ノリスケ |
あらま!
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ジョージ |
でもね、なぐさめられてる自分が、
いちばん情けない感じがするの。
でも仕方がない。
これからどんどんどんどん
物忘れすると思うよ。
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ノリスケ |
まあね。あんなにきれいな
クローゼットがあるのに。
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ジョージ |
クローゼットなんか、
役にも何にもたたないよ。
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つねさん |
ま、そんときはね。
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ジョージ |
だって、クローゼットっていうのは
探すものがわかってるときに、
見つけやすいもんだもの。
探してる途中で探してるものを
忘れるんだよ?
どうしようと思って。
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つねさん |
ははははははは。
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ノリスケ |
さすがにそれはまだないな。
30代だからかな。
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つねさん |
へへへへへへ。
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ジョージ |
40過ぎたら絶対にやってくる。
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つねさん |
じゃあ、俺、出てくるかな?
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ノリスケ |
そろそろくるんじゃない?
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