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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

愛し続けるということ。その10
パートナーって、どういうものかな。

ジョージ だから、たぶん東京のゲイの
7、8割ぐらいは、
いろんなものから切れて、
スポーン! と東京に彼だけがいるの。
んで、彼だけがいるんだけど、
人間はやっぱり
ひとりでは生きていけないから、
どっかに種を下ろして、
根っこを張らないといけないんだよね。
で、その張った根っこが
たまたま二丁目だったりすると、
もうそこでしか
生きていけなくなっちゃってね。
ノリスケ はいはいはい。
ジョージ んで、二丁目という養分を、
こうやって吸い尽くしていくと、
人間関係がどんどんどんどん枯れていって、
なんか、世間のことを中途半端に
知ってしまったオバケみたいなの、
ボコーンとできちゃったりするの。
で、そういう人はたぶん
愛とかを知らないで、
立ち枯れみたいになっちゃう
感じがするけどね。
ノリスケ うーん‥‥。
つねさん なんかいるよね。
ジョージ いっぱいね。だから僕らの愛っていうのは
ほんとに、恋人に対して、ね?
ある人は父親を求めると同時に
恋人を求めたり、
愛人のような要素を求めたり。
でも相談相手を求めたり。
いろーんなものを求めるから、
結びつくとものすごく
強いんだろうけれども、
そのどれかひとつが欠けても、
なんか失望して続かなかったりすることが
あるのかな、と思うから複雑だよね。
つねさん 踏ん張らなくてすむから、
いつでもすぐ他に行っちゃうっていう。
ジョージ だからそういう意味でも、
なんか最近の若い人たち見てても、
まあ、ゲイじゃない人たち見てても、
やっぱり昔の人間関係、
ブツッと切れてる人たちも多いからね。
昔みたいに、ひとつの街でもって
ずーっといて、小さいころからの人間関係を
そのまんま引きずって、おとなになって。
で、あるていど歳を取ると、
それが支えになってくれて、
自分をグッと上に突き出してくれるような
環境にいるしあわせな人たちが
どんどん減り始めてるのかな、
っていうのを感じるよね。
だって、その、昔からの友だちが
いっぱいいて、
親戚関係も周りにあるような人が、
自分の子どもだけに愛情を注ぐような
ヒマはないはずだからね。
東京で、なんか自分の子どもを
恋人のように育てる人っていうのは、
他に突き合う人間がいないから、
彼、彼女に一生懸命付き合って
もらってるのかな、
っていう感じもするしね。
そういうの見るとやっぱり僕らって、
ある意味、ね?
愛の先駆者なのかも知れない。
ノリスケ ははは。
つねさん ひぇ〜(笑)。
ジョージ ま、そうやって考えると、
やっぱりあれだよね、
今自分が付き合ってるこの人に、
今自分はどういう役割を求めて
接しているのか、とか、
今自分はこの人を相談相手に
しようとしてるのか、
それともただただ甘えさせてもらう
対象にしているのか、
それとも、何かひとつのことを
一緒にしようとしている
対等なパートナーとして
付き合おうとしてるのか、
っていうのを考えながら‥‥。
つねさん うん、接していく。
ジョージ その人と接しないとね。
で、それをお互いが、考え合って接して、
相手がパートナーを求めているときに、
自分が見事にパートナーになれると、
そのときブワッて、
今日はなんかいいことができたな、
っていう感じになるのかもしれないよね。
つねさん 繋がれるよね。
ジョージ そうそうそう。たまに甘えたいのに
向こうが甘えさせてくれないと、
怒っちゃう、失望しちゃうかも
しれないけれど、でもそのとき彼は、
自分にとっての甘える対象物じゃなくって、
彼は違う存在だったんだっていうふうに
思えばね、それはそれで納得もできるし。
だから、それがやっぱり相手を認めて
尊敬するっていうことなんだろうね。
つねさん だってやっぱり小さい
行き違いっていうのは、
絶対出てくるもんね。
ジョージ うん、出てくるよ、出てくる。
未だにね、未だにほんと、
なんでなんだろう? って思うもん。
思うけど仕方がないもんね。
つねさん あ、すいません(笑)。
ジョージ なんでここから取ったものが、
A地点から移動したものが、
なんでA地点に戻らないんだろう?
って思うんだけど、ま、それはいいわ。
ノリスケ あ、掃除のことに話が(笑)。
つねさん 結局、そこかぁ‥‥。
ジョージ って感じ。
ノリスケ 片づければいいんだよ、つねさん(笑)。
つねさん 頑張る!
ノリスケ ウチなんか、片づけないもの同士だからね。
えらいこっちゃ、ですよ。
ジョージ ま、それはそれで、
毎日アドベンチャーみたいなもので
面白いかもしれないよ。
いいじゃない。
ヘタすると探し物で
半日ぐらい潰れるんでしょ?
ノリスケ 潰れる。
ジョージ すんごい安上がりな共通の趣味じゃない?
ノリスケ 何着てく? っていうこともね。
何着てく? で、朝、ひと悶着。
悶着じゃない、ひと騒ぎ(笑)。
ジョージ それはなんで?
自分が着たいものと
相手が着たいものが‥‥。
ノリスケ いやいや、単に着たいものが
決まらなくて(笑)。
ジョージ それは、わがままなだけじゃん!
ノリスケ それでね、しかも着たいものがね、
あ、あれだ! と思うとね、ない(笑)。
どこいった? どこいった?
ジョージ それはこの前、僕もあった。
ノリスケ で、半狂乱になって探す。ないっ!(笑)
ジョージ ね。最近ね、どんどんどんどん
物忘れするの。
つねさん 多いよね。
ノリスケ ありゃぁ。
ジョージ 忘れるの。それでね、何か探してるでしょ?
あ、見つからない! と思って、
大騒ぎして探すんだよね。
んで、探してるの。探してるところに、
つねさんやってきて、何探してるの?
って言われて、探してるものを
説明できなかったりするんだよ。
何を探していたのか忘れるの。
つねさん ははははは!
ジョージ そうするとね、もうね、ね?
情けないよね。
つねさん そう。言うよね。
ノリスケ あ、そう。
ジョージ で、そういうときはね、なぐめてもらうの。
いいよいいよ、誰でも忘れるんだから。
つねさん そう。
ノリスケ あらま!
ジョージ でもね、なぐさめられてる自分が、
いちばん情けない感じがするの。
でも仕方がない。
これからどんどんどんどん
物忘れすると思うよ。
ノリスケ まあね。あんなにきれいな
クローゼットがあるのに。
ジョージ クローゼットなんか、
役にも何にもたたないよ。
つねさん ま、そんときはね。
ジョージ だって、クローゼットっていうのは
探すものがわかってるときに、
見つけやすいもんだもの。
探してる途中で探してるものを
忘れるんだよ?
どうしようと思って。
つねさん ははははははは。
ノリスケ さすがにそれはまだないな。
30代だからかな。
つねさん へへへへへへ。
ジョージ 40過ぎたら絶対にやってくる。
つねさん じゃあ、俺、出てくるかな?
ノリスケ そろそろくるんじゃない?

このテーマはこれでおしまい。
次回からはまた新シリーズでっす。
またね!

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2004-07-02-FRI

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