ジョージ |
そんな買い物してたある日ね、
馬車のマークの担当の男の子にね、
カードを渡したら、
ほら、ピカピカ光る
きれいな色のカードなのよ。
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ノリスケ |
ふ〜ん(笑)。
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ジョージ |
それが、カード会社から、
お電話でお話したいというふうに
言ってるんですが、って!
えぇ!? ウソ! このカードが
お電話でお話したいってことに
なっちゃったの? みたいな感じで。
電話取ったのね。
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つねさん |
うん。そしたら?
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ジョージ |
そしたら、ま、色々考えてみたら、
あー、確かにねぇ、そのときは、
色々買ったのよ。
その、時計とかね。
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つねさん |
あ〜。
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ノリスケ |
あ〜、時計‥‥。
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ジョージ |
そういうの買い始めると、
車1台分ぐらい、
今月買ってるのっねー‥‥。
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つねさん |
あの、車1台って、あの、あの‥‥。
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ノリスケ |
あの‥‥。
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つねさん |
ちょっと、横文字の車1台分ぐらいね。
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ノリスケ |
車、だいたい横文字だけどね。
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つねさん |
そっか。
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ジョージ |
В(べー)というか(笑)。
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つねさん |
あぁ‥‥(笑)。
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ジョージ |
それで、やめたの。
ほんとにそれで、僕、やめたもん。
カード会社からも、あなたはバカです、
って言われてるようなもんだから。
正気に戻れっていうことでしょ?
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ノリスケ |
そうね。
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つねさん |
あ〜、良かったね。
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ジョージ |
やめたの。正気に戻ったよ。正気に戻った。
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つねさん |
良かったね。
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ジョージ |
これが無駄遣いをやめた、まず第1号。
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つねさん |
あ〜。
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ジョージ |
でも、そのあとに、
洋服買うのはやめたけど、
(小声で)時計を買うのが
とまらなかったことがあって‥‥。
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ノリスケ |
小声で言ってもダメよ!
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ノリスケ |
その、時計を買うのが止まらないって、
止まらない時計を買うんじゃなくて、
時計を買うのが止まらないんだよ?(笑)
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ジョージ |
あのね、銀座の和光さんと
お友だちになっちゃったの。
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ノリスケ |
友だち‥‥ん‥‥友だちなんだぁ‥‥。
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ジョージ |
で、僕はお友だちのつもりだったんだけど、
どうも違ったみたいなんだよ。
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ノリスケ |
和光さんは、ちょっと、
お友だちを選ぶと思うよぉ?
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ジョージ |
選ぶと思う。選ぶと思うんだけど、
なんか、ヘンテコリンな時計?
色のきれいな、複雑なヤツ?
針がいっぱいあったりするの。
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つねさん |
中、透けてたりとか?
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ジョージ |
僕が死んでも、ずっとカレンダーが
正確に動き続けるとか。
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ノリスケ |
う〜ん。
つまり、機械式複雑時計の世界に
入っちゃったわけね。
時計道楽にいくと、機械の中身でもって、
高級っていわれるほうにいく人と、
宝飾のほうにいく人といるんだけど。
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ジョージ |
1ヶ月に1回ね、
銀座で飲茶を頂く日っていうのを
決めてたことがあるのよ。
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つねさん |
F?
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ノリスケ |
広東語で「フクラム〜ン」のことね。
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ジョージ |
そ、そ、そ、そ。
そこにね、社員の人たちとか連れて。
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つねさん |
和光の?
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ノリスケ |
和光じゃないよ(笑)。
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ジョージ |
ちがう、ちがう。ウチの。
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ノリスケ |
和光の社員連れてくか(笑)。
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ジョージ |
バカよ、それじゃ、バカよ!
なんでカモが接待しなきゃいけないの?
でもま、景気の良かった時代なのよ。
で、行くと、なんだかしらないけど
支配人がいるのよ。飲茶屋さんに。
飲茶食べに来たはずなのに、
フカヒレが出たり、
お魚の大っきーぃのが出たり。
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ノリスケ |
あっらぁ‥‥。
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ジョージ |
そう。しかも、今朝飛んで来たんですよ、
っていうようなお魚があったりとかするの。
それを、食べ終わって、
金額を見た時点で、もう壊れるのよ、
頭の中が。あ、昼からこんなだぁ!
みたいな感じで。
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ノリスケ |
嬉しくなっちゃうんだ(笑)。
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ジョージ |
わー、すごぉい!
すごいお金使っちゃったぁー!
とかって言いながら。
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ノリスケ |
『トムとジェリー』に、
目がね、グルグルグルッて回って、
チンッ! って$マークがつく(笑)。
あんな感じね。
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ジョージ |
そう、それそれ〜!
んでね、和光まで行くの。
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つねさん |
壊れっぱなしで(笑)。
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ノリスケ |
壊れた壊れた!
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ジョージ |
いっくぞ〜! これから行くぞぉ!
時計見に行くぞ〜! とかって、
ターッと行くでしょう?
そうすると、お友だちがいるの。
いらっしゃいませ〜、って。
こんなの、いかがでしょうか〜?
あら素敵〜!
今まで買いたくも何ともなかった
はずなのに、あ、すごい、これ、
僕、欲しかったの、って、
2回に1度ぐらいは、買うの。
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ノリスケ |
じゃあ、2ヶ月に1度じゃない。
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ジョージ |
ありゃっ! で、たまたま、
新人の子を連れて行って。
あんまり毒を受けてない純真無垢な子。
連れてって。
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ノリスケ |
こんな上司のいる会社だとは(笑)。
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ジョージ |
それで、買ったの、1コ。
そしたら、当時の消費税3%だけでね、
その子の初任給より高かったの。
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ノリスケ |
うわーっ、はっはっはっはっは。
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つねさん |
最悪!
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ジョージ |
これ、いただくわっ! って、買ってね。
で、何気なしに、わ〜、すごぉ〜い、
消費税だけで‥‥。
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ノリスケ |
ムニャムニャ万円だ〜。
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ジョージ |
その子がボソッと、
「あ、僕の初任給より高い‥‥」。
その言葉がね、
「あ、僕の初任給より高ぁい、
高ぁい、高ぁい‥‥」って、
もうこのへんにグワ〜ンとして。
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ノリスケ |
キ××イ!
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つねさん |
ほんとにもう(笑)。
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ジョージ |
やめよう。これはやめよう、
って思った‥‥。
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ノリスケ |
はぁー。なんか、
働きすぎの人が病気になって倒れてから、
やっとわかるみたいな話ね(笑)。
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つねさん |
そう。だからね、人ってね、やっぱりね、
いきすぎるね。
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ノリスケ |
いきすぎないとわかんないのかね。
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ジョージ |
んー、でね、いきすぎたということを、
気づかせてくれるのって、何気ない‥‥。
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つねさん |
ひとことだったりするんだ。
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ジョージ |
ひとことだよね。
やめろ、って言われてもね、
やめられないんだよ。
だけど、やっぱり、心の片隅にね、
いいんだろうか? いいんだろうか?
っていうのがあったんだと思うんだ、
ほんとはね。
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つねさん |
ほんとは。それを気づかないフリしてたと。
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ジョージ |
やめたいんだけど、
やめる理由はどこにもないわけじゃない?
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つねさん |
そうね。うん。
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