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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

やめたこと、やめざるをえなかったこと、
でもやっぱりやめられないこと。

その4 気づかないフリしてました!

ジョージ そんな買い物してたある日ね、
馬車のマークの担当の男の子にね、
カードを渡したら、
ほら、ピカピカ光る
きれいな色のカードなのよ。
ノリスケ ふ〜ん(笑)。
ジョージ それが、カード会社から、
お電話でお話したいというふうに
言ってるんですが、って!
えぇ!? ウソ! このカードが
お電話でお話したいってことに
なっちゃったの? みたいな感じで。
電話取ったのね。
つねさん うん。そしたら?
ジョージ そしたら、ま、色々考えてみたら、
あー、確かにねぇ、そのときは、
色々買ったのよ。
その、時計とかね。
つねさん あ〜。
ノリスケ あ〜、時計‥‥。
ジョージ そういうの買い始めると、
車1台分ぐらい、
今月買ってるのっねー‥‥。
つねさん あの、車1台って、あの、あの‥‥。
ノリスケ あの‥‥。
つねさん ちょっと、横文字の車1台分ぐらいね。
ノリスケ 車、だいたい横文字だけどね。
つねさん そっか。
ジョージ В(べー)というか(笑)。
つねさん あぁ‥‥(笑)。
ジョージ それで、やめたの。
ほんとにそれで、僕、やめたもん。
カード会社からも、あなたはバカです、
って言われてるようなもんだから。
正気に戻れっていうことでしょ?
ノリスケ そうね。
つねさん あ〜、良かったね。
ジョージ やめたの。正気に戻ったよ。正気に戻った。
つねさん 良かったね。
ジョージ これが無駄遣いをやめた、まず第1号。
つねさん あ〜。
ジョージ でも、そのあとに、
洋服買うのはやめたけど、
(小声で)時計を買うのが
とまらなかったことがあって‥‥。
ノリスケ 小声で言ってもダメよ!
ノリスケ その、時計を買うのが止まらないって、
止まらない時計を買うんじゃなくて、
時計を買うのが止まらないんだよ?(笑)
ジョージ あのね、銀座の和光さんと
お友だちになっちゃったの。
ノリスケ 友だち‥‥ん‥‥友だちなんだぁ‥‥。
ジョージ で、僕はお友だちのつもりだったんだけど、
どうも違ったみたいなんだよ。
ノリスケ 和光さんは、ちょっと、
お友だちを選ぶと思うよぉ?
ジョージ 選ぶと思う。選ぶと思うんだけど、
なんか、ヘンテコリンな時計?
色のきれいな、複雑なヤツ?
針がいっぱいあったりするの。
つねさん 中、透けてたりとか?
ジョージ 僕が死んでも、ずっとカレンダーが
正確に動き続けるとか。
ノリスケ う〜ん。
つまり、機械式複雑時計の世界に
入っちゃったわけね。
時計道楽にいくと、機械の中身でもって、
高級っていわれるほうにいく人と、
宝飾のほうにいく人といるんだけど。
ジョージ 1ヶ月に1回ね、
銀座で飲茶を頂く日っていうのを
決めてたことがあるのよ。
つねさん F?
ノリスケ 広東語で「フクラム〜ン」のことね。
ジョージ そ、そ、そ、そ。
そこにね、社員の人たちとか連れて。
つねさん 和光の?
ノリスケ 和光じゃないよ(笑)。
ジョージ ちがう、ちがう。ウチの。
ノリスケ 和光の社員連れてくか(笑)。
ジョージ バカよ、それじゃ、バカよ!
なんでカモが接待しなきゃいけないの?
でもま、景気の良かった時代なのよ。
で、行くと、なんだかしらないけど
支配人がいるのよ。飲茶屋さんに。
飲茶食べに来たはずなのに、
フカヒレが出たり、
お魚の大っきーぃのが出たり。
ノリスケ あっらぁ‥‥。
ジョージ そう。しかも、今朝飛んで来たんですよ、
っていうようなお魚があったりとかするの。
それを、食べ終わって、
金額を見た時点で、もう壊れるのよ、
頭の中が。あ、昼からこんなだぁ!
みたいな感じで。
ノリスケ 嬉しくなっちゃうんだ(笑)。
ジョージ わー、すごぉい!
すごいお金使っちゃったぁー!
とかって言いながら。
ノリスケ 『トムとジェリー』に、
目がね、グルグルグルッて回って、
チンッ! って$マークがつく(笑)。
あんな感じね。
ジョージ そう、それそれ〜!
んでね、和光まで行くの。
つねさん 壊れっぱなしで(笑)。
ノリスケ 壊れた壊れた!
ジョージ いっくぞ〜! これから行くぞぉ!
時計見に行くぞ〜! とかって、
ターッと行くでしょう?
そうすると、お友だちがいるの。
いらっしゃいませ〜、って。
こんなの、いかがでしょうか〜?
あら素敵〜!
今まで買いたくも何ともなかった
はずなのに、あ、すごい、これ、
僕、欲しかったの、って、
2回に1度ぐらいは、買うの。
ノリスケ じゃあ、2ヶ月に1度じゃない。
ジョージ ありゃっ! で、たまたま、
新人の子を連れて行って。
あんまり毒を受けてない純真無垢な子。
連れてって。
ノリスケ こんな上司のいる会社だとは(笑)。
ジョージ それで、買ったの、1コ。
そしたら、当時の消費税3%だけでね、
その子の初任給より高かったの。
ノリスケ うわーっ、はっはっはっはっは。
つねさん 最悪!
ジョージ これ、いただくわっ! って、買ってね。
で、何気なしに、わ〜、すごぉ〜い、
消費税だけで‥‥。
ノリスケ ムニャムニャ万円だ〜。
ジョージ その子がボソッと、
「あ、僕の初任給より高い‥‥」。
その言葉がね、
「あ、僕の初任給より高ぁい、
 高ぁい、高ぁい‥‥」って、
もうこのへんにグワ〜ンとして。
ノリスケ キ××イ!
つねさん ほんとにもう(笑)。
ジョージ やめよう。これはやめよう、
って思った‥‥。
ノリスケ はぁー。なんか、
働きすぎの人が病気になって倒れてから、
やっとわかるみたいな話ね(笑)。
つねさん そう。だからね、人ってね、やっぱりね、
いきすぎるね。
ノリスケ いきすぎないとわかんないのかね。
ジョージ んー、でね、いきすぎたということを、
気づかせてくれるのって、何気ない‥‥。
つねさん ひとことだったりするんだ。
ジョージ ひとことだよね。
やめろ、って言われてもね、
やめられないんだよ。
だけど、やっぱり、心の片隅にね、
いいんだろうか? いいんだろうか?
っていうのがあったんだと思うんだ、
ほんとはね。
つねさん ほんとは。それを気づかないフリしてたと。
ジョージ やめたいんだけど、
やめる理由はどこにもないわけじゃない?
つねさん そうね。うん。

なんかコワイ。つづきます。

ジョージさん、つねさん、ノリスケさんへの激励や感想などは、
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2004-07-16-FRI

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