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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

やめたこと、やめざるをえなかったこと、
でもやっぱりやめられないこと。

その7 色恋のリセット。

ジョージ 恋愛関係でやめてしまったことって、ある?
ノリスケ やめる? リセットっていうより、
フェードアウト系だよねぇ。
そのときはそうは思わなかったんだけど、
ひどいことをしちゃったんだなって、
後で気がついたこととかは、あるよ(笑)。
つねさん そうなんだ。
ノリスケ 心の傷だよ、それって。
あの人は大丈夫だったんだろうか、って、
ときどき思い出して、申し訳なくなるの。
18のときに、初めてこっちの世界で
恋愛をして。
相手は貧乏な年上の苦学生で(笑)。
ほんとは勉強しなきゃいけないのに、
なんかそういうことになってしまって。
つねさん 溺れてしまったのね。
ノリスケ そうみたい。それで僕は、当時、
ぜんぜん世間知らずだったんで、
恋愛をゲーム、とまでは思ってないけど、
成就した段階で、
‥‥飽きちゃったんだよねえ。
つねさん やな子!
ノリスケ ひととおり付き合って、
ああ、だいたいわかった、と思った時期が、
向こうは、慣れてきて、
人前で肩をくんだり
したくなった時期だったの。
でも、ふつうのオフィス街でよ?
そんな場をわきまえないの、アリ?
つねさん 世間知らず同士だったのねえ。
ノリスケ それで僕は、急に冷めちゃったんだよ。
「もう、ひとりで大丈夫だからバイバイ!」
みたいな感じになって、振ったの。
相手はものすごいショックだったらしくて、
しばらく泣いて暮らしてたらしいのねえ。
その人の友だちから、真剣に相談されて。
ずっと様子がおかしいんだけど、って。
つねさん で?
ノリスケ 「知らないっ!」って。
つねさん ひどいぃぃ!(笑)
ノリスケ 「具合でも悪いんじゃないの?」
みたいに(笑)。
つねさん いやっ、ひどいっ、それぇ。
ノリスケ で、そのときは、
ほんとに何とも思わなかったの。
自分が人を傷つけてるなんて。
だって飽きちゃったんだもん、って。
つねさん 傷つけてるって思ってなかったんだ。
ノリスケ 思ってなかった。
しょうがないじゃないの、終わりは終わり!
くどくど言いなさんな、みたいな。
つねさん すげー。やなガキ。
ノリスケ それは、ほんとうに、あとからわかったの。
青くなった。ひどいことしたって思った。
ごめんなさいと謝りたかった。
でももう取り返しがつかなかった。
つねさん ま、いいやぁ、ってことでしょ?!
ノリスケ しあわせに生きてたらいいな、と思う。
つねさん もうぜんぜんそのあとは?
ノリスケ ない。
つねさん 接点なし?
ノリスケ なし。うん。
つねさん じゃ、もともと、ゲイじゃないんだ?
ノリスケ うん、たぶん、知らなかったんだと思う。
ジョージ ああ、思い出した。いまの聞いてて。
つねさん 何を?!
ジョージ 僕はね、22か3くらいのときかな?
ちょっとお声掛けしてくれた
おじさまがいらして。
つねさん はい。
ジョージ けっこう大切にしてくれたの。
んでね、その人のお友だちが、
某デザイナーさんで、
僕、特殊体型だったから‥‥。
ノリスケ 特種体型(笑)。
それは体重MAXのとき?
ジョージ マックスではなかったけど、
大っきいの。
肩幅だけが張ってて、
ま、デブだったのよ。
で、そのデザイナーさんがやってる
ブランドの洋服は、
絶対入らない体だったの。
そしたら、彼は、その友だちの
ブランドで、お揃いのを着たかったのよ。
ノリスケ はぁー。おそろい!
ジョージ で、デザイナーさんに頼んで。
つねさん 特注で。
ノリスケ えっ? プレタポルテよね?
ジョージ そう。なのに、特別に
オートクチュールなわけよ。
ノリスケ あっらー。
ジョージ 特種体形用でお揃いの服を作ってくれたの。
ノリスケ あっらー。
ジョージ で、作ってくれて、できたその日に、
会う約束をしてたんだけど、
‥‥ちょっと新しい人ができたの。
つねさん わっはっはっは!
ジョージ だから行かなかったのよ。ね。
行かなかったんだよね。
それが、すんごい、
ショックだったらしくって。
ノリスケ そりゃショックよ。
今の僕にはわかる(笑)。
つねさん 向こうは、そんな心変わりなんか
想像してないわけでしょ?
それまでずっと。自分のこと好きで、
ハニーと思ってたわけでしょ。
ジョージ そうなの。その後ね、半年後くらいかな、
そのデザイナーさんと、
たまたま飲み屋さんで一緒になって。
おまえ、とんでもないヤツだな、って。
アイツはね、おまえのこと忘れらんなくて、
3ヶ月間、君が着るはずだった洋服と
一緒に寝てたんだぞ、って言われたときに、
ものすごい悪いことをしたって
思ったのと同時に‥‥。
ノリスケ 同時に?
ジョージ 気色わるっ、って思った‥‥。
つねさん うひゃー。
ジョージ それからね、1年ぐらいして?
けっこう体型とか雰囲気を
着実に変える人だったのね、僕。
その1年で、ムチっとして、
かつ、締まってね、
色黒系になったのよ。
アラブ系日本人? みたいにー。
ノリスケ なんじゃそりゃ。
ジョージ っていうふうになり始めたときに、
その人とバッタリ会ったの!
でも、彼は気付かないの!
ノリスケ そんなに変わっちゃったの!?
それ、どうかと思うなぁ。
つねさん ははははは。
ジョージ ほんとに変わったの。
そこまで好きだったはずの僕に、
彼は気付かなくて、
誘ってくるんだよ!
ノリスケ あぁっ! かわいそう‥‥。
ジョージ もう辛くって、僕はもう、
ほんとにすぐいなくなりたいんだけど、
彼は、なんか、ご馳走までしてくれるの。
つねさん ひゃ〜、知らずに。
ジョージ マスター、こちらに1杯、みたいな。
つねさん あぁ‥‥。
ノリスケ 気がつかないんだ‥‥。
つねさん 悲しい‥‥。男の性ってやつ?
ジョージ んでね、そしたら、友だちがやってきて、
僕の名前を呼ぶのよ。
ノリスケ 名前を。お〜い、ジョージ、
みたいに呼んだら‥‥。
ジョージ そうそうそうそう。そしたら‥‥
君は!? とかって。
はいっ、お久しぶりです、って言ったら、
飲んでたお酒、ビシャッ!
ってやられたんだもん。
(手をパン! と叩いて)
あ〜! これはほんとに
終わったんだぁ〜! みたいな。
つねさん でも良かったね。彼的にもスッキリしたし。
ノリスケ 良かったね。スッキリしたね。
ジョージ そのときにね、やっぱり、終わるときは、
しっかり終わらないといけないなって。
思えば、卑怯だよね。
洋服ができ上がったその日だよ!?
ノリスケ ほんとね。

ほんとね!
つづきます。

ジョージさん、つねさん、ノリスケさんへの激励や感想などは、
メールの表題に「ほがらかな皆さんへ」と書いて
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2004-07-23-FRI

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