ジョージ |
でも、さみしい人って、
なんでさみしいんだろうね。
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ノリスケ |
なんでさみしいんだろう?
‥‥でもね、ほんと正直なところ、
人生はさみしいものであるっていう
前提はあるかもしれないんだけど、
だからなおさら、自分をさみしいと言って、
その場所に置くことはしたくないの。
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つねさん |
「さみしい、だから、かまって」
とは違うんでしょ?
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ノリスケ |
そういうことじゃないんでしょうね。
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つねさん |
じゃあ、それは、どうやったら解消できるの?
ぜんぜんできないの?
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ノリスケ |
できないんだと思う。
いつもじゃないにしても、
どんなときにさみしい?
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ジョージ |
さみしいときねぇ。
う〜ん、疎外感なのかなぁ?
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ノリスケ |
必要とされていない感じとか?
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つねさん |
うん。
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ジョージ |
うん、そうなのかな?
‥‥あー! そうそうそう、この前ね、
あの、ニューヨーク行った時に
ストリップに行ったの。
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ノリスケ |
ははははははは!
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つねさん |
うそっ! 女もんの?
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ジョージ |
そう、女もんの。
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ノリスケ |
妙な言い方するわねえ。
女性のストリップショーね?
目の前にカウンターがあって、
そこに天井まで届くパイプがあって、
そこにつかまったおねえさんが
クルクルクルクル回るんでしょう?
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ジョージ |
そうそう! ウネウネウネウネしてて。
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つねさん |
しゅげぇ。
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ジョージ |
で、あの、オノコたちがいっぱい、
どういうの? 口、パカーンと開けて
見てるの。すごいよ!
お金ちょっと渡すと、
プライベートダンスしてくれるんだよ、
目の前で。
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つねさん |
目の前でこう(リンボーダンス風に)やって?
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ジョージ |
そう。おっぱい、プルンプルンっていうやつ?
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つねさん |
いやん!
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ジョージ |
で、そういうの見てると、
わー、ここにいる男たちは、
みんな女が好きなんだ、って。
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ノリスケ |
アタシを除いて、って?
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ジョージ |
そう、僕だけ? みたいな感じ。
かといって、僕、踊れるわけでもないし。
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ノリスケ |
当たり前じゃないのよ!
あんたが踊っても誰もおひねりくれないわよ?
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ジョージ |
そうなの、踊り子さん側でもないし、
見てる側でもないし。
この広い、♪広い世界の片隅で、
私は今日もただひとりなのぉ〜、
みたいな感じ。
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ふたり |
「ゴットファーザー愛のテーマ」!(笑)
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ジョージ |
でも、そんななかでも、さみしくないよ。
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ノリスケ |
そりゃ‥‥さみしくないよね。
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ノリスケ |
じゃあさ、小学生の時とかさ、
昼休みや放課後、男の子のグループが、
野球だとかさ、サッカーだとかさ、
そういう遊びで盛り上がってる中で、
さみしさを感じたりしたことなんかは?
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つねさん |
俺やってたよ、一緒に。
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ノリスケ |
あ、そう(笑)。
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ジョージ |
この人、そういうとこ、ノンケだもん。
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ノリスケ |
ふつうね、ほがらかさんに訊くと、
だいたい9割以上は
「そういうとき、つらかった」
って言うのよ?(笑)。
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つねさん |
じぇんじぇん。
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ジョージ |
ぼくもね、「校庭」っていう単語、
嫌いだったもん。
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ノリスケ |
ぼくも嫌いだった!
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つねさん |
はぁー。
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ジョージ |
「放課後の校庭」っていうのは‥‥。
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ノリスケ |
昼休みもね。
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ジョージ |
ほがらかな子供にとって、
とってもさみしいものよ‥‥
あー! さみしいっ!
わっ、すごいさみしい!(笑)
いまわかった! それが「さみしい」!
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ノリスケ |
うん。それはね、憶えがある。
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つねさん |
へぇー、なかったなあ。
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ノリスケ |
(無視して)そんななかにも、
ほがらかさんじゃないけれど、
運動よりも好きなことがある子がいて、
仲間になるのよね‥‥
話をすることのほうが楽しいという
友だちが何人かいてくれたんで、
なんとか時間がすぎていったわ。
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つねさん |
え? ソフトボールやったりとかしない?
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ジョージ |
ぜんぜん!
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ノリスケ |
だから、それがダメだったんだってば。
体力的だったり身体技能的な
ヒエラルキーの世界なんかに
いたくないんだってば!
軍隊みたいなんだもの!
小学生なのに!
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ジョージ |
だって、校庭に出ると、
鉄棒のところで寄っかかって
ジーッとしてるしか能がないんだよ?
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つねさん |
あー、体育ズル休みした子みたいな感じ?
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ジョージ |
そう、そんな感じで。
でもそうやってボーッとしてると、
校庭とかスポーツとか、
お昼休みとか放課後が
嫌いなわけじゃないんだけど、
みんなとつるむのが嫌いな
男の子がいるんだよね。
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つねさん |
ああ、他にも。
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ノリスケ |
ゲイじゃないんだけどね。
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ジョージ |
それは、その、どっちかというと、
自分の中で、
もう東映の映画スターの世界なのよね。
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つねさん |
はあ、はあ。
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ジョージ |
一匹狼な感じ。
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つねさん |
それを気取ってるんだ。
そういう子と仲良くなって?
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ジョージ |
ちょっとボツボツとお話をして、
友だちになることはあるんだよ。
どっちとも、たぶん、
さみしい同士だったんじゃない?
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ノリスケ |
そうだね。
でも、そういう一匹狼ならまだいいわよ。
ぼくの周りは、ゲームおたくか、
アニメおたくばっかりだったのよ!
しょうがないから本読んでたわよ!
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ジョージ |
ありゃ。でも、わかる!
みんなといっしょにいることのほうが
さみしいときって、確かにたまにあるね。
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ノリスケ |
そっちはわかる。うん、うん。
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ジョージ |
それがたぶん永続的にあるのが
「いつもさみしい」っていう
状態なんじゃない?
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ノリスケ |
あー、そういう感じか!
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ジョージ |
自分の居場所が見つからなくて。
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つねさん |
周りのノリについてけなくて。
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ジョージ |
ん、だから、ほんっとにそれよ、
ニューヨークのストリップで。
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つねさん |
あー、そっかそっか。
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ノリスケ |
それは極端な例ね(笑)。
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