ジョージ |
これが、たとえば歌舞伎町の
クラブだったらば、
女の子の相談に乗ってあげられるんだけど、
ニューヨークのストリップの
おねえちゃんには、たぶん、ねぇ‥‥。
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ノリスケ |
そんな生易しい人生なわけないわよ。
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ジョージ |
そう、そんな生易しい相談じゃないはずよ。
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つねさん |
そうだね。
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ジョージ |
ね? それこそ相談があるとしたら、
なぜわたしはここでオッパイを出してるの?
っていう根源的な問題になるから。
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ノリスケ |
哲学的な存在の(笑)。
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ジョージ |
そう。で、そんなストリップよ。
時間潰さないといけないわけでしょ。
もうお金払ってるし、
1時間とか1時間半とか、
一緒に行った人たちはいる予定なわけ。
だから最初は、
ああ、オッパイにもいろんな形があるんだ、
とか、見てたんだけど、飽きるの。
そしたら一緒に行った人が、
経産婦を見分ける特技があったの。
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ノリスケ |
はははははははは! 婦人科医か!
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ジョージ |
子供を産んだことのある人を
見分ける特技があって。
骨盤が1回開くと、いろんなくぼみとか、
でっぱりとかができるんですって。
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つねさん |
で、わかるんだ?
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ノリスケ |
はぁ〜。
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ジョージ |
で、「あの子は産んでる」「あの子も」
って観察してたの。
で、10分くらいは盛り上がったんだけど、
もうそれもウンザリでしょう?
でもね、ひとつ楽しいことがあった。
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ノリスケ |
なぁに?
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つねさん |
どうせ、おねえちゃんを見て
ヨダレ垂らしてるおじさんを
見てたんでしょう?
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ノリスケ |
ああ、そっちね。
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ジョージ |
そう! 無防備なオノコたち。
あ、あれ、イケる、これ、イケる。
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ノリスケ |
ジロジロ見ても、こっちを見ないからね。
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ジョージ |
そうそうそうそう。あれ、イケる、
んー、って(笑)。
でも、ひとりぽっちなのよ。
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つねさん |
いいな。俺なんか、
日本の場末のストリップ劇場に
連れて行かれてさ。
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ジョージ |
フガッ。
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ノリスケ |
ノンケのフリをしていたころ?
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つねさん |
そうそう、バイト先の上司に
連れて行ってもらって。
こいつ、初めてなんや!
よう見せてやって! とかって言われて。
目の前でプライベートダンスされたこと
ありまーす。
何見たか、ぜんぜん憶えてない(笑)。
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ノリスケ |
ぼくもメキシコでね、
現地の日本人にね、連れて行ってもらった。
プライベートダンスしてくれた。
すっごい困った(笑)。
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ジョージ |
困るよね。
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ノリスケ |
困る。
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ジョージ |
ってことはなに?
ずっとさみしい思いをしてる人は、
ストリップ小屋に無理矢理放り込まれた
オカマの気分っていうこと?
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ノリスケ |
そんな気分をずっと
味わってるんだとしたら大変ね。
ま、極端な例だけれど。
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ジョージ |
でも、でもやっぱり、自分はほんとに
ここにいるべき人じゃないんだと思うと
さみしいよね。
さみしいって、
ひとりになってもそうなんだよね?
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ノリスケ |
そうらしいよ。
ねぇ、ひとりでいるのはつらい?
僕、ひとり、けっこう楽しいんだけど。
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ジョージ |
ううん、ッ全然。
仕事してて、ずっとなんか誰かと
一緒に移動とかしてるとするでしょう。
そうするともう、もう‥‥。
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つねさん |
ひとりになりたくてしょうがない?
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ジョージ |
そう。お願いだから
ひとりにしてちょうだいと思うもんね。
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つねさん |
仕事してるときは、
あんまりさみしいと思わないな。
家でずっとテレビ見てても、
あんまりさみしくない。
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ノリスケ |
よく、ぼく、何人かでいるのに、
飲んでるとどんどんひとりになっちゃって。
心からリラックスできるグループって
そうそうないじゃない?
幸せなことに、そういう場所も
あるんだけれど、
飲むのって、いつもそういう
楽しい仲間とだけってわけじゃないでしょう。
ちょっと面倒臭いグループとかで、
一生懸命中に入るのは、
それはものすごい大変なことなんで、
頑張んないとできないの。
馴染めなくもないんだけどね。
そうすると、いつのまにか、
このお酒、美味しいなとか思ってると、
ずーっと黙ってたりするんだよね(笑)。
美味しいな、美味しいな、なんて思いながら。
そうすると、付き合いの悪いヤツに
なっちゃうんだよね。
でも、本人はさみしくないんだよ。
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つねさん |
うん。
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ジョージ |
うん。
ウチのおやじは、
ひとりになるのが嫌な人だね。
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ノリスケ |
物理的にひとりってことね?
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ジョージ |
ひとりになるとさみしくなるから、
みんなと一緒にいるんだろうな。
ご飯ひとりで食べれる?
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ノリスケ |
ぜんぜん平気。
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つねさん |
ぜんぜん。
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ジョージ |
食べれるよね。
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つねさん |
うん。ちょ〜だいじょうぶ。
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ジョージ |
ウチのおやじは、絶対ダメだな。
ひとりでご飯食べたくないっていうから。
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ノリスケ |
へぇー。
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つねさん |
でも、ひとりで食べるご飯とさ、
みんなで食べるご飯と、
ぼく、基本的に違うと思うよ。
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ジョージ |
でも、どっちがさみしくて、
どっちがどうとかじゃないでしょ。
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つねさん |
うん、ないけどね。
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