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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

メトロセクシュアルって、何よ?!
その9 だめなおじさま、かっこいいおばさま。

ジョージ あ、でも、これ、
けっこう勉強になるかもしんない。
ノリスケ ジョージさんは、
とあるメトロセクシャルに関する本を、
あの、向こうの本を翻訳された本を
手に取ってらっしゃる。
ジョージ これね、中身はどうでもいいんだけど、
タイトルの分類がね、
けっこう良くってね。
つねさん うん(笑)。
ジョージ まずいちばん最初が、
エチケット全般なの。
エチケットという言葉を、
より多く使うのは、男より女よね。
だって、だって、女子短大で‥‥
って、ごめんなさい、
ぼくも行ったことはないんだけど。
ノリスケ なんで行くの?(笑)
ジョージ わたくしの妹が
女子短大に行ったんですけど、
エチケットの授業があるんだよ?
ノリスケ はぁー。どこ短大?
ジョージ ごきげんよう系の短大。
そこに行くと、エチケットは、
おとなになるための常識です、
っていうふうに習うの。
ノリスケ あー。大事なんだね。
つねさん へぇ。
ジョージ っていうことはさ、
エチケットを正式に教わらない
男っていうのは、おとなじゃない、
っていうことなんだよね。
つねさん はぁ。
ノリスケ 昔は教わったよね。
ジョージ そう、教わった。
エチケットというか、
男には男のしつけがあって、
女には女のしつけがあったんだよね。
だけどいつのまにかしつけがなくなって、
エチケットだけが残っちゃったから、
そういう意味では、女性の方が、
やっぱりしつけられてるのかな、
って思うね。
つねさん ちゃんと、うん。
ジョージ そうすると、おとなになるための
常識としてのエチケットぐらいは、
やっぱり男も身に付けなきゃ
いけないなと!
ノリスケ いけないね。今日、銀座線で、
降りる客を突き飛ばして入っていって、
席を確保して座ってマンガを読み始めた
40代のハゲたおじさんがいた(笑)。
ジョージ 人を突き飛ばす?!
おばさんじゃなかったの!? それは。
ノリスケ おじさんだった。おばさんだったら、
そんなの許す。
はいはいはい、って(笑)。
でも、おじさんだったので、
ショックだった。
ほんっとにね、かなしかった。
ジョージ それね、絶対出世しないよ。
で、もしその人が出世している
会社だったら、
その会社は、潰れるね。
つねさん そうだよね。
ノリスケ 読んでたマンガはね、
「ほんとにあったおかしな話」っていう
おかしな雑誌読んでた(笑)。
つねさん はぁ?(笑)
ノリスケ なんだかわかんないのよ。
ジョージ あのね、人前で、たとえば、
プレシコワ? プ、プ、ププ‥‥。
つねさん テレプシ‥‥?
ジョージ 『テレプシコーワ』?
ノリスケ それ、山岸涼子のバレエマンガ?
つねさん あ、『テレプシコーラ』!
ジョージ そう。そういうのを読んでいる
40代のおじさんは
素敵だと思うんだけど。
ノリスケ もう、そういうのはOKです。
つねさん 私たち3人とも
読んでるし、って(笑)。
ノリスケ 読んでるよ。
ジョージ あるいは、ま、せいぜいね、
ヤングジャンプとか
ビッグコミックとか、
その手の青年誌を読むのは許す。
ノリスケ うん。中とじは許す。
つねさん 少年ジャンプとかは?
ノリスケ おっさんが、角背の少年誌を読むのは
ちょっといかんと思う。
フィールヤングやヤングユーなら
まだいい。
つねさん それ、自己弁護?
ノリスケ そうよ!
ジョージ ま、マンガらしいマンガはともかく、
電車の中で、
『マンガで読む世界史』とか、
『マンガだからわかる経済入門』とか、
読んじゃダメ。
つねさん あぁ‥‥。
ジョージ あれは絶対、便所で読まなくちゃダメ。
ノリスケ 人知れず読めっていうことね。
ジョージ そう。
つねさん あー、なるほどね。
ジョージ だって、そんな大切なことまで、
マンガを頼らないと、アンタ、
わからないほどに、
頭の構造が弱いの? って、
思われちゃうじゃないのよ!
ノリスケ がーん。
ジョージ そう。ボクはこんなに
おつむが弱いですって‥‥
つねさん みなさまにさらして
まわってるようなもんだと。
ジョージ そう。いいのよ、読むのは。
でも人前はダメ。
ま、かくいう、わたくしも、
あの、なんだっけ?
あれ、えっとー、
島耕作描いてる人。
ノリスケ 弘兼さん。
つねさん の、ワイン講座。
ジョージ そ、ワイン講座。
マンガの持ってます。
ノリスケ ははははは。トイレで読んでると。
ジョージ すごく勉強になるよ。
つねさん そうなんだ。
ジョージ わかりやすいもん。いいよ。
ノリスケ 弘兼憲史はいいよね。
ジョージ と思うよ。と思う。
だけどやっぱりね、エチケットとして、
人前でそういうマンガ読んじゃダメ。
つねさん ま、たしかにね。
ジョージ うん。それはね、あると思うんだよ。
ノリスケ あのね、エチケットというよりね、
意地みたいなものが薄れてるんだと思う。
つねさん あー。
ジョージ そうだね。武士は食わねど高楊枝、
みたいなところがね。
ノリスケ そう。男の意地がね、
なんでこんなにないの?
それ、女にも思って
今まで言ってきたけど、
おじさんのほうがないよ!
って言いたくなるなぁ。
つねさん うん、男のほうが、もっとひどいって?
ジョージ 仕事の関係で田舎から
お客さんとか来るでしょ?
そうするとね、
たとえば経営者にしても、
ふつうの社員にしても、
田舎だと車で移動するのが当たり前だから、
会社に行くまではネクタイしないで、
会社について、
駐車場でネクタイしてから
外へ出たりとかするのね。
で、真夏でも外を歩くことがないから、
汗をかかないっていうんだよ。
人が見えないところでは、
自分はもうほんとに楽な格好をしていて。
でも、東京出てくると、
サラリーマンが真夏に‥‥。
つねさん スーツ着て。
ジョージ そう、スーツ着て、ネクタイを締めて、
汗ダクダクになりながら、
襟元をハンカチで押さえながら
歩いてる姿を見て、
すばらしい! って思うんだって。
つねさん あー、サラリーマンの鑑だと。
ジョージ あれは武士だっていうふうに
言う人もいるんだよ。
つねさん あれを。
ジョージ そう。やっぱり、男である以上、
社会的な記号である
ネクタイを真夏でも締めて、
それでも自分は戦ってるんだっていうの、
カッコイイねって。
だから、よく最近の雑誌で、
おしゃれな男っていうのは、
センツァ・クラバッタ?
ネクタイを外して、
ジャケットを着て様になるのが
おしゃれなんだよ、っていうふうに言うけど、
それもこれもやっぱり、
ネクタイを締めて汗をかいても
清々しく素敵に見える男だから
ネクタイを外して恰好良いんだろうと
思うんだよね。
つねさん うん。
ジョージ それがさ、最近の若いおにいちゃんが、
ネクタイを外すのが
カッコイイからっていって
ネクタイ外してスーツ着て歩いてると、
明け方のホストみたいに
見えちゃったりするの。
ノリスケ だらしないよね(笑)。
ボク、気になるのが、若いサラリーマンが
スーツなのに、リュックしょってること。
ありゃ、ないでしょう!
ちゃんとカバン持ちなさいよって思う。
スーツのときはショルダーバッグもダメ!
ジョージ あぁんっ! つまんない。
ま、女であれば、どんなにどんなでも、
見苦しくない程度のお化粧は
しといてもらいたいなと思うのと同じね。
ノリスケ ‥‥そういえば、
すごく素敵なおばさまに会ったよ。
対極のおばさまに逢ったよ。
電車に乗って、わりと混んでて、立ってたの。
で、次の駅から乗ってきたおばさまが、
おばさま‥‥もうおばあさまっていっても
いいぐらいの歳の人だと思うんだけど、
あの、横に立ったのね。ボクの。
で、ボクの真ん前が空いたの。
ちょっとお歳を召したおばさまだったから、
こうやって、目で合図してあげたら、
「いえいえどうぞ、お座りになって。
 あなたのほうが先にお乗りに
 なってらっしゃったんだから」
って言われたの! びっくりしちゃった。
そんなこと、初めて言われちゃった。
歳から見たら、ぜんぜんボクのほうが若く、
彼女だって、席をゆずられるのに
慣れているくらいの年齢のはずなの。
恰好良かったなぁ!
ジョージ すてきだよね。
そういうのは素敵だと思う。
つねさん で「ああそうですか」って座ったんでしょ。
ノリスケ 座らないわよ!
座れるわけないじゃない!

へーえ、かっこいいなあ。
つづきます!

ジョージさん、つねさん、ノリスケさんへの激励や感想などは、
メールの表題に「ほがらかな皆さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってくださいね。

2004-10-27-WED

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