ジョージ |
あ、でも、これ、
けっこう勉強になるかもしんない。
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ノリスケ |
ジョージさんは、
とあるメトロセクシャルに関する本を、
あの、向こうの本を翻訳された本を
手に取ってらっしゃる。
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ジョージ |
これね、中身はどうでもいいんだけど、
タイトルの分類がね、
けっこう良くってね。
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つねさん |
うん(笑)。
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ジョージ |
まずいちばん最初が、
エチケット全般なの。
エチケットという言葉を、
より多く使うのは、男より女よね。
だって、だって、女子短大で‥‥
って、ごめんなさい、
ぼくも行ったことはないんだけど。
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ノリスケ |
なんで行くの?(笑)
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ジョージ |
わたくしの妹が
女子短大に行ったんですけど、
エチケットの授業があるんだよ?
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ノリスケ |
はぁー。どこ短大?
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ジョージ |
ごきげんよう系の短大。
そこに行くと、エチケットは、
おとなになるための常識です、
っていうふうに習うの。
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ノリスケ |
あー。大事なんだね。
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つねさん |
へぇ。
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ジョージ |
っていうことはさ、
エチケットを正式に教わらない
男っていうのは、おとなじゃない、
っていうことなんだよね。
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つねさん |
はぁ。
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ノリスケ |
昔は教わったよね。
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ジョージ |
そう、教わった。
エチケットというか、
男には男のしつけがあって、
女には女のしつけがあったんだよね。
だけどいつのまにかしつけがなくなって、
エチケットだけが残っちゃったから、
そういう意味では、女性の方が、
やっぱりしつけられてるのかな、
って思うね。
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つねさん |
ちゃんと、うん。
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ジョージ |
そうすると、おとなになるための
常識としてのエチケットぐらいは、
やっぱり男も身に付けなきゃ
いけないなと!
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ノリスケ |
いけないね。今日、銀座線で、
降りる客を突き飛ばして入っていって、
席を確保して座ってマンガを読み始めた
40代のハゲたおじさんがいた(笑)。
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ジョージ |
人を突き飛ばす?!
おばさんじゃなかったの!? それは。
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ノリスケ |
おじさんだった。おばさんだったら、
そんなの許す。
はいはいはい、って(笑)。
でも、おじさんだったので、
ショックだった。
ほんっとにね、かなしかった。
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ジョージ |
それね、絶対出世しないよ。
で、もしその人が出世している
会社だったら、
その会社は、潰れるね。
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つねさん |
そうだよね。
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ノリスケ |
読んでたマンガはね、
「ほんとにあったおかしな話」っていう
おかしな雑誌読んでた(笑)。
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つねさん |
はぁ?(笑)
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ノリスケ |
なんだかわかんないのよ。
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ジョージ |
あのね、人前で、たとえば、
プレシコワ? プ、プ、ププ‥‥。
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つねさん |
テレプシ‥‥?
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ジョージ |
『テレプシコーワ』?
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ノリスケ |
それ、山岸涼子のバレエマンガ?
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つねさん |
あ、『テレプシコーラ』!
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ジョージ |
そう。そういうのを読んでいる
40代のおじさんは
素敵だと思うんだけど。
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ノリスケ |
もう、そういうのはOKです。
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つねさん |
私たち3人とも
読んでるし、って(笑)。
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ノリスケ |
読んでるよ。
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ジョージ |
あるいは、ま、せいぜいね、
ヤングジャンプとか
ビッグコミックとか、
その手の青年誌を読むのは許す。
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ノリスケ |
うん。中とじは許す。
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つねさん |
少年ジャンプとかは?
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ノリスケ |
おっさんが、角背の少年誌を読むのは
ちょっといかんと思う。
フィールヤングやヤングユーなら
まだいい。
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つねさん |
それ、自己弁護?
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ノリスケ |
そうよ!
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ジョージ |
ま、マンガらしいマンガはともかく、
電車の中で、
『マンガで読む世界史』とか、
『マンガだからわかる経済入門』とか、
読んじゃダメ。
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つねさん |
あぁ‥‥。
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ジョージ |
あれは絶対、便所で読まなくちゃダメ。
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ノリスケ |
人知れず読めっていうことね。
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ジョージ |
そう。
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つねさん |
あー、なるほどね。
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ジョージ |
だって、そんな大切なことまで、
マンガを頼らないと、アンタ、
わからないほどに、
頭の構造が弱いの? って、
思われちゃうじゃないのよ!
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ノリスケ |
がーん。
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ジョージ |
そう。ボクはこんなに
おつむが弱いですって‥‥
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つねさん |
みなさまにさらして
まわってるようなもんだと。
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ジョージ |
そう。いいのよ、読むのは。
でも人前はダメ。
ま、かくいう、わたくしも、
あの、なんだっけ?
あれ、えっとー、
島耕作描いてる人。
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ノリスケ |
弘兼さん。
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つねさん |
の、ワイン講座。
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ジョージ |
そ、ワイン講座。
マンガの持ってます。
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ノリスケ |
ははははは。トイレで読んでると。
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ジョージ |
すごく勉強になるよ。
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つねさん |
そうなんだ。
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ジョージ |
わかりやすいもん。いいよ。
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ノリスケ |
弘兼憲史はいいよね。
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ジョージ |
と思うよ。と思う。
だけどやっぱりね、エチケットとして、
人前でそういうマンガ読んじゃダメ。
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つねさん |
ま、たしかにね。
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ジョージ |
うん。それはね、あると思うんだよ。
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ノリスケ |
あのね、エチケットというよりね、
意地みたいなものが薄れてるんだと思う。
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つねさん |
あー。
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ジョージ |
そうだね。武士は食わねど高楊枝、
みたいなところがね。
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ノリスケ |
そう。男の意地がね、
なんでこんなにないの?
それ、女にも思って
今まで言ってきたけど、
おじさんのほうがないよ!
って言いたくなるなぁ。
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つねさん |
うん、男のほうが、もっとひどいって?
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ジョージ |
仕事の関係で田舎から
お客さんとか来るでしょ?
そうするとね、
たとえば経営者にしても、
ふつうの社員にしても、
田舎だと車で移動するのが当たり前だから、
会社に行くまではネクタイしないで、
会社について、
駐車場でネクタイしてから
外へ出たりとかするのね。
で、真夏でも外を歩くことがないから、
汗をかかないっていうんだよ。
人が見えないところでは、
自分はもうほんとに楽な格好をしていて。
でも、東京出てくると、
サラリーマンが真夏に‥‥。
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つねさん |
スーツ着て。
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ジョージ |
そう、スーツ着て、ネクタイを締めて、
汗ダクダクになりながら、
襟元をハンカチで押さえながら
歩いてる姿を見て、
すばらしい! って思うんだって。
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つねさん |
あー、サラリーマンの鑑だと。
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ジョージ |
あれは武士だっていうふうに
言う人もいるんだよ。
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つねさん |
あれを。
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ジョージ |
そう。やっぱり、男である以上、
社会的な記号である
ネクタイを真夏でも締めて、
それでも自分は戦ってるんだっていうの、
カッコイイねって。
だから、よく最近の雑誌で、
おしゃれな男っていうのは、
センツァ・クラバッタ?
ネクタイを外して、
ジャケットを着て様になるのが
おしゃれなんだよ、っていうふうに言うけど、
それもこれもやっぱり、
ネクタイを締めて汗をかいても
清々しく素敵に見える男だから
ネクタイを外して恰好良いんだろうと
思うんだよね。
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つねさん |
うん。
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ジョージ |
それがさ、最近の若いおにいちゃんが、
ネクタイを外すのが
カッコイイからっていって
ネクタイ外してスーツ着て歩いてると、
明け方のホストみたいに
見えちゃったりするの。
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ノリスケ |
だらしないよね(笑)。
ボク、気になるのが、若いサラリーマンが
スーツなのに、リュックしょってること。
ありゃ、ないでしょう!
ちゃんとカバン持ちなさいよって思う。
スーツのときはショルダーバッグもダメ!
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ジョージ |
あぁんっ! つまんない。
ま、女であれば、どんなにどんなでも、
見苦しくない程度のお化粧は
しといてもらいたいなと思うのと同じね。
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ノリスケ |
‥‥そういえば、
すごく素敵なおばさまに会ったよ。
対極のおばさまに逢ったよ。
電車に乗って、わりと混んでて、立ってたの。
で、次の駅から乗ってきたおばさまが、
おばさま‥‥もうおばあさまっていっても
いいぐらいの歳の人だと思うんだけど、
あの、横に立ったのね。ボクの。
で、ボクの真ん前が空いたの。
ちょっとお歳を召したおばさまだったから、
こうやって、目で合図してあげたら、
「いえいえどうぞ、お座りになって。
あなたのほうが先にお乗りに
なってらっしゃったんだから」
って言われたの! びっくりしちゃった。
そんなこと、初めて言われちゃった。
歳から見たら、ぜんぜんボクのほうが若く、
彼女だって、席をゆずられるのに
慣れているくらいの年齢のはずなの。
恰好良かったなぁ!
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ジョージ |
すてきだよね。
そういうのは素敵だと思う。
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つねさん |
で「ああそうですか」って座ったんでしょ。
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ノリスケ |
座らないわよ!
座れるわけないじゃない!
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