ジョージ |
だって最近、大内順子も出てこないじゃん。
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ノリスケ |
あ、出てこなぁい!
兼高かおるだ、あの方は!
ファッション界の。
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ジョージ |
でしょう?
旅行界は、兼高かおる世界の旅だし、
ファッション界は、
大内順子ファッション通信よ。
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ノリスケ |
「カール・ラガーフェルドさんが、
ほぉんとにお痩せになられちゃって」
みたいな話をしてほしいのに。
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ジョージ |
素晴らしかったもん、大内順子って。
「今シーズンのクロード・モンタナ。
ちょっと不調かな? というふうに
思ってしまったわたくし、
これは独り言なんでしょうか」
って‥‥自分で突っ込むな!
みたいな感じ!
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つねさん |
でも、なんか、わかんないけど、
わかったような感じになったよね。
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ジョージ |
そうそうそう。そこが大事よ!
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ノリスケ |
満足だよね。買えなくても満足だった。
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ジョージ |
そう!
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ノリスケ |
当然、当時は、日本人は、
そんなものは買えないし、
世界旅行は行けなかったの。
でもほんとうは今でもいっしょ。
今だって、みんなあんな
豪勢な旅行は行けないし、
オートクチュールは買えないんだから。
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ジョージ |
そ。だって、あの、
オートクチュールシーズンの大内順子は、
すっごいはしゃいでたもん。
「わたくし、ここ10年間、
ずーっとパリコレを拝見しておりまして、
今回のイブ・サン・ローランほど
素晴らしく力が入ったシーズンは、
なかったと考えております。
でも、今年でもう、
イブ・サン・ローランが
拝見できないと思うと、もぉみんな、
拍手、拍手、拍手、
涙、涙でございますぅ〜」
とかっていう感じだもん。
あれはたぶん、彼女なりの誇張があったし、
現実とはちょっと離れていたかも
しれないけれど、
彼女のルポルタージュっていうのに
価値があったんだよね。
ぼくらは、ぜったいパリコレに
行けないわけよ。
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ノリスケ |
行けない。
メゾンの世界は、ま、毎年変わるにしても、
パリコレクションをちゃんと
紹介するみたいなことを、
誰もしてくれなくなっちゃったんだよね。
あの、誰も着れないような
文化そのものみたいなお洋服の世界を。
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ジョージ |
プレタポルテですら
ランウェイの真ん前でもって
見ることは絶対ないんだけど、
でもたとえパリコレのその場所にいて
見ている、たとえばシェールでもさ、
この番組の大内順子のコメントは
聞いていないんだと思うと、
なんかどっかで落とし所があるんだよね。
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ノリスケ |
ああ、そっか(笑)。
テレビで観ている自分のほうが
事情わかってるぞー、みたいな。
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ジョージ |
そう、だからあれは、
パリコレ・プロデュースド・バイ大内順子。
であって、決してパリコレクション
そのものじゃないんだよ。
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ノリスケ |
だから今、パリコレ、サイトで見ても、
なんだか嬉しくないんだなあ。
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つねさん |
バイ大内順子じゃないと。
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ジョージ |
そう。懐かしい‥‥。
まだご存命よね。
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ノリスケ |
うん。兼高さんも、ご存命のはずよ。
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つねさん |
殺しちゃダメよ!(笑)。
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ノリスケ |
でも、たぶんもう、
そうとうお歳を召してらっしゃるし。
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ジョージ |
ね。もったいないなぁ〜。
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ノリスケ |
もったいないよね。岸朝子さんは現役?
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ジョージ |
まだ現役ね。あと、あの、
淀長(よどちょう)さんの映画?
格調高かったもん。
あの双子のひとりとちがって。
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つねさん |
制服マニアともちがって。
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ジョージ |
あのね、自分が喋ることによって、
その映画を見せようとはしてないんだよ、
淀長さんってね。
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ノリスケ |
うん、うん。
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ジョージ |
あくまでわたしはこう考えますと。
独り言なんだけど、日本でいちばん映画が
大好きなわたしが言うことを
お聞きになりたいでしょう?
というスタンスだから。
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つねさん |
うん。
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ジョージ |
ね。なんか、
宝物みたいな人だったんだなと思うのね。
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ノリスケ |
あんな人、いないよね。
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ジョージ |
いない。
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ジョージ |
いない。いないよ。ああ、
淀長さんにはもう会えないけど
兼高かおる様にはお会いしたい!
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ノリスケ |
DVDも出てないんだよね。
もう1回見たいぐらいだからね。
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ジョージ |
あれね、絶対ね、
今さらビデオにしたって、
景色も変わっているし‥‥。
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ノリスケ |
でも見たい‥‥。
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ジョージ |
だけど、実用じゃないんだよ、もともと。
だって、海外旅行が一握りの人たちの
ものだった時代に‥‥。
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ノリスケ |
1ドル360円の時代に(笑)。
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ジョージ |
そう。しかも、その一握りの人たちも
できないような海外旅行をしたわけでしょ?
行くところ行くところでもって、
国賓扱いになってたわけでしょ?
あれは今さらしようと思ったって
できないもん。
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ノリスケ |
できない、できない。
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ジョージ |
きれいだったしね。ぼくの中では、
鰐淵晴子か兼高かおるだもん。
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ノリスケ |
ああいうバタ臭い顔が憧れなのね?
いじってないバタ臭い顔。
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ジョージ |
そう! いじってないバタ臭い顔。
弘田三枝子でなくって、
生まれながらにして
エリザベス・テーラーのような顔を持った
日本女性。憧れよぉ。
も、このふたりを越えるものは
ないと思うもの。
鰐淵晴子。いいわ‥‥。
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ノリスケ |
話が、えらいズレたけど(笑)。
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ジョージ |
「素晴らしき世界旅行」っていう
番組もあったわよね?
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つねさん |
ジャック・クストーの潜水ものとか!
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ノリスケ |
あと「驚異の世界」。
蛮族の風習をやったりしたんだよね。
妙なものを食ったりね(笑)。
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つねさん |
あっ! 観てた、観てた!
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ジョージ |
そうそうそう。で、ナレーションも、
ちょっと低めなんだよね。
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ノリスケ |
ショックだったわよ、
「大地と交わる」っていう回があってね、
なんか、成人式にはその部族の男たちは
地面に穴を掘って裸になってね、
うつぶせになってね‥‥(以下割愛)。
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つねさん |
そんなのテレビで放映してたの?
水曜の7時半とかよ?!
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ノリスケ |
やったのよ〜。
トラウマみたいに覚えてるわ。
なんのことかわからなかったけど。
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ジョージ |
ま、そういうのもあったけど、
そういう番組が成立していたのは、
世界中が夢に包まれていて、
憧れになるものがいっぱいあった時代よ。
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ノリスケ |
たまぁーにそういう気持ちを思い出すのが、
ディズニーランドの、
イッツ・ア・スモール・ワールドの
テイストなんだよね‥‥。
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ジョージ |
昔のぼくらは、ほんとにいろんなことを
知らなくって、で、知りたい気持ちが
ものすごくいっぱいあって。
だけど今、知らないものはない、
ということが前提なんだけど、
若い子はほんとに知らないことが
いっぱいあるんだと思うんだよ。
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つねさん |
で、知ろうともしないんでしょ? 結局は。
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ジョージ |
あのね、知ろうという努力の
クセがついてないだけだと思う。
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つねさん |
あ、そっか。知りたいことに関しては、
あれか。けっこう貪欲だもんね。
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ノリスケ |
そうなのかねー。
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ジョージ |
だからぼく、この前、ウチの甥っ子と
姪っ子に、電子手帳買ってあげたの。
電子手帳って、電子辞書?
あの、カシオのブリタニカが入ってるやつ。
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ノリスケ |
百科事典が入ってるんだ。
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ジョージ |
そう、カラーのやつね。すごい喜ぶよ。
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ノリスケ |
知りたい欲を、速いアクセスで。
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ジョージ |
妹に聞いたらね、
テレビが置いてあるリビングルームの、
テーブルの上に置いてあるんだって。
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ノリスケ |
へぇー。
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ジョージ |
そうすると、見てて、
ちょっとわからないことがあると、
すぐ調べるんだって。
で、お母さん、知ってた?
これって、こういう意味なんだよ、
っていうふうに言われると、
そこからね、親子の会話ができて、
すごい良かったっていうふうに言われた。
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ノリスケ |
いいことしてるねぇ、おかまのおじさん。
へぇー。
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ジョージ |
だから、絶対、
人間は、好奇心があるんだよ。
で、好奇心を発揮することを
忘れてるだけなんじゃないかなと思うよね。
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ノリスケ |
こないだね、丸善行ったら、
フランスの「ラルース」の
2005年版売ってて。
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ジョージ |
あ〜。
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ノリスケ |
で、やっぱりワクワクするんだよね、
読めないけど(笑)。
フランスはそういうことを
ちゃんとやってるってことだよね、毎年。
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ジョージ |
そうだよね。
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ノリスケ |
オールカラーだよ、オールカラー。
百科事典。1冊の百科事典で。
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ジョージ |
毎年、毎年、出るのね。
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つねさん |
「広辞苑」みたいの?
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ノリスケ |
いや、毎年改訂の百科事典。ほんとに。
だから、こっちでいうとね、
ちょっとちがうけど、
「知恵蔵」とか「現代用語の基礎知識」とか
「イミダス」的なのの、もっと百科事典。
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ジョージ |
あのね、「広辞苑」と百科事典と
「現代用語の基礎知識」が
いっしょになったような感じ。
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ノリスケ |
宇宙のしくみまで出てるの。
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ジョージ |
で、それが、フランスの公立小学校を
卒業した子なら、必ず読める言葉でもって
書いてあるんだよ。
図版がものすごく多いしね、きれいだしね。
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ノリスケ |
そう! きれいなの。
卓上版と縮刷版があるんだけど、
あれはいいよぉ。
フランスは偉いなと思ったわ。
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ジョージ |
うん、そう。
あのディアゴスティーニみたいなのが
安直に出てるんだったら、
ほんとに百科事典が毎年毎年
改訂版が出たほうがいいよね。
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