ノリスケ |
ケンカって、する?
うちはぜんぜんしないよ。
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つねさん |
(なにかどたばたやっている)
ありゃ!
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ジョージ |
ちょっとうるさいわよ。
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ノリスケ |
おふたりさん、ケンカしないで下さい。
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つねさん |
(小声で)いや、ケンカ、
してるわけじゃないよ。
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ノリスケ |
ちゃんと大きい声でしゃべってね(笑)。
ほんとはしてるけどって聞こえるよ。
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ジョージ |
してないよね。
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つねさん |
最初、言うことがあったでしょ。
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ジョージ |
なんだっけ?
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つねさん |
もういい、べつに(笑)!
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ジョージ |
え? なに?
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ノリスケ |
なに? 教えて。
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つねさん |
ジョージでぇ〜す、
つねでぇ〜すって漫才風に言おうって
考えてたじゃない?(笑)
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ジョージ |
ああ、いい、それはもう(笑)。
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ノリスケ |
いきなりのろけないでくださいよ。
仲がいいのは知ってるから。
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ジョージ |
ん〜、ケンカしないよ?
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つねさん |
ケンカしないね。うん。
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ノリスケ |
最初はしたの?
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ジョージ |
最初から‥‥しなかった。
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つねさん |
ケンカらしいケンカはないよね。
逆ギレは、なんか、2、3回ずつ‥‥。
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ノリスケ |
逆ギレ? 虫の居所が悪いとかってこと?
そういうのはケンカっていわないものね。
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ジョージ |
あのね、んー、人間の中には、
いじめっ子の部分があると思うの。
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ノリスケ |
あります!
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ジョージ |
あるでしょ。それで、
そのいじめっ子が出てきちゃって、ね?
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つねさん |
そうね、たまにあるよね。
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ノリスケ |
不機嫌というかたちでいじめてみたり。
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ジョージ |
そう、不機嫌というかたちだとか。
いくつかのタイプがあるよね、
不機嫌といういじめ方と、
「理詰め」っていういじめ方。
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ノリスケ |
あ、理詰めもあるよね。うん。
「こうでしょ? ならこうだよね?
なのになぜそうなの?」って。
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ノリスケ |
あとね、あの、反応がこう、
ビジネスライクになるみたいなやり方。
反応してるんだけど、
いつもとちがわない? って、
ちょっと思わせちゃうような反応。
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ジョージ |
あ、ある!
今日ね、今日、
キスのおねだりされたんだけど、
それに対してね、フンッて。
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つねさん |
無視された!
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ジョージ |
フンッてったからって、
すごいしかられちゃった。
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つねさん |
だぁって、イヤじゃん‥‥。
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ノリスケ |
あ、つねさんに、ジョージさんが、
しかられたんだ。
めずらしーい。
ていうか、それはケンカじゃないでしょ。
何度も言いますが、のろけないでください!
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ジョージ |
そういうのはあるけど、ケンカはないよね。
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つねさん |
ケンカはないよ。
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ノリスケ |
ま、キスのおねだりするだけ、
マシじゃないですか?
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ジョージ |
そんな、今すごい、
捨てたような目で見た(笑)。
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ノリスケ |
はははははは。
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つねさん |
あ? でも、キスとかするでしょう?
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ノリスケ |
最近しないですね。
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つねさん |
あ! 最近とうとうキスもなくなった!?
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ノリスケ |
でも、仲はいいのです。とても。
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つねさん |
べつに、仲悪いっていってないじゃん(笑)。
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ノリスケ |
不意をついて腹をつかむとか
耳をひっぱるとか、
最近は‥‥あれ? これっていじめ?
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ジョージ |
あ、ボク、腹もつかむよ。
腹、びよんびよんって
(実際に、がしっとつかむ)。
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つねさん |
ほえー。
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ノリスケ |
そうそうそう、そういう感じ、そういう感じ。
そういうのが楽しいでしょ?
あと、こう、あの、
不意を突いて倒れ掛かるとかね。
とにかく不意をつくのよ。
そういう遊び。
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ジョージ |
それは、愛情表現でしょ?
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ノリスケ |
そう。そういうかたちになったけど、
チューはしなくなっちゃいましたね。
ぜんぜん。でもぜんぜんべつにいい。
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つねさん |
まあ、べつにね、
チューは全てじゃないしね。
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ジョージ |
でも、ケンカはしないね。
つねさんの前の、
例のあのへんてこりんな中国人の恋人とは、
すっごいケンカしたよ。
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つねさん |
そうなの?
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ジョージ |
一緒に半分住んでたみたいな頃は、
すっごいよくケンカしたよ。
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ノリスケ |
どういうことでケンカするの?
一緒に住んでてケンカなんかしたら、
たまらないでしょ。
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ジョージ |
う〜ん、要は、自己主張として。
どういうのかなぁ。
どういう理由でケンカしたのか
よくわかんないけど、よくケンカしたよ。
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ノリスケ |
ちょっと不思議なんだけど、
それは、若かったから?
それとも、相手によるもの?
つまり、ジョージさんっていう人は
同じなわけじゃない?
年齢はちがうかもしれないけど。
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つねさん |
あ、でもそれ、相手によると思うよ。
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ノリスケ |
相手によるんだ。
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つねさん |
うん。
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ジョージ |
あのね、言葉の問題も大きかったよ。
んとね、ボクと彼とは、
いちばん意志の疎通が取れるのは英語でした。
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ノリスケ |
はい。
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つねさん |
うん。
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ジョージ |
で、2番目に話ができるのは日本語で。
中国語、ボク、ちょっとはしゃべれるし
わかるけど、苦手だったのね。
で、基本的にね、日本語で会話してるときは、
絶対ケンカになんないの。
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ノリスケ |
ふ〜ん。
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ジョージ |
日本語でしゃべってるときは、
どっちも日本人になっちゃうから。
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ノリスケ |
ほぉ! じゃあ?
ケンカになるパターンは、英語?
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ジョージ |
そう、日本語でしゃべってて、
心に引っ掛かることとか、
疑問に思うことがあると、
理由を訊いたりとかしはじめるでしょ?
そうすると、日本語ではちょっと
意志の疎通ができなくなって、
英語になった瞬間に、理詰めで
ロジックで考えはじめちゃったりするの。
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つねさん |
へぇ。
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ジョージ |
すっごいケンカしてた、そのときは。
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つねさん |
あなたの英語、怖いよね、たまにね。
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ノリスケ |
英語をしゃべるときって、
たしかに理詰めだわ。
こうでこうでこうだからこうなんです、って
言わなきゃいけないんだよ、なんか。
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ジョージ |
結局、5W1Hだから。
たとえば、3日前の夜、電話をかけたけど、
夜中いなかったでしょ、どうしたの?
っていうのを、日本語で言うじゃない?
「夜、電話をかけたんだけど、
どうしたのかな? って思って」って。
そうすると向こうが、
「うん、ちょっと用があったから」。
で、「あ、そうなんだ」で
終わればいいんだけど。
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ノリスケ |
それが英語だったら‥‥。
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ジョージ |
そう。英語だったらね、
どこにいたの? 何をしていたの?
誰といたの? なぜ、じゃあ、いなかったの?
どうして?
そのときはどのような状態だったの?
って言い始めると、どんどんどんどん
どっちもがイライラしてくるの。
で、そうすると向こうは、ほら、やっぱり、
ちょっと訊かれたくないような事柄を
言わなきゃいけなくなったりすると、
逆襲してくるわけよ。
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つねさん |
逆ギレ(笑)。
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ジョージ |
そういうふうなものの言い方がイヤなんだ、
とかって言いはじめると、
もう売り言葉に買い言葉になって。
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ノリスケ |
あー、論点がずれる。
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ジョージ |
で、英語なんだけど。
でも、英語はどちらともにとって
母国語じゃないんだよね。
そうすると最後は、
向こうが中国語で罵倒しはじめるんだよ。
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ノリスケ |
おそろしい(笑)。
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