ノリスケ |
でも、複雑よ、それは。だって、
あなたのような高収入のひととはちがう、
っていう現実が、立ちはだかっちゃうもの。
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ジョージ |
僕のほうが年下だったしね。
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ノリスケ |
面白くなかったんだよ。
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ジョージ |
う〜ん‥‥。
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つねさん |
そうかな? 俺、べつになんかそういうの
ぜーんぜんかまわんけどね。
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ノリスケ |
だから長くつきあえてるんでしょう?
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つねさん |
俺、この人に、大人買いしてるとこ、
見たいって言ってるんだけど、
見せてくれないんだよ。
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ジョージ |
ちょっとそのことについては臆病なんだもん。
ボク。そのときはね、ああ、この人には、
やっぱ悪いことしたのかな? と思ったよ。
でもひとりになって家に帰って、
なんで悪いことだったんだろう?
って思ったときに、
ムカムカムカムカしてきたもの。
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つねさん |
で、それは結局どうなったの?
解決はしたの?
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ノリスケ |
きっと解決はできないんだよ、それって。
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ジョージ |
それはもう、お互い、見て見ぬふりをするか、
あるいは棚上げするしかないわけよ。
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ノリスケ |
そうそうそう、無理だもん。
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つねさん |
なかったものとして、
次の日会うとかっていう感じ?
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ジョージ |
そう。
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ノリスケ |
口座をひとつにして、
そこに入ってくるお金は
2人のものだよっていう考え方だって
あるかもしれないけど、
そういう感じじゃないからね、
ゲイのカップルはとくに。
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つねさん |
そうだね。
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ジョージ |
でね、そのことって、
けっこう後をひいてるの。
芸能ニュースかなんかで、
女優さんと俳優さんが離婚して、理由は、
女優さんのほうが収入が増えて、
ご主人があんまり快く思わなくって、
そっからが原因じゃないでしょうかねぇ、
っていうの聞くと、
なんかね、ドキドキしちゃう。
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つねさん |
ああ、そう、「プリック・アップ」とか、
そうだもんね、映画の。
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ジョージ |
そんなことがあったりとかしたよ。
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ノリスケ |
この金持ちっ! ビッ!(笑)
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つねさん |
ビッ! 生意気っ!(笑)
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ノリスケ |
そうすると、終るからね(笑)。
いろーんなことが終っちゃうよ(笑)。
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つねさん |
そうだよね。
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ノリスケ |
つまんないよ、いろいろ(笑)。
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つねさん |
いやぁ(笑)。
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ジョージ |
やっぱり、ねぇ、ケンカって難しいよね。
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つねさん |
難しいよ。
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ノリスケ |
難しい。
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つねさん |
後々考えるよね、
ここでこんなので切れたら、とか。
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ジョージ |
あのね、ケンカ腰な人っているじゃない?
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つねさん |
ケンカ腰。うん。
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ノリスケ |
いる。
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ジョージ |
普通、ケンカってね、始めようと思って
始まるわけじゃないよね。
さっきのも、べつに僕は
ケンカしようと思って
大人買いしたわけじゃなくって、
ただただ普通にしたことが、
ちょっとビビビッてきちゃって、
ケンカになっちゃうわけじゃん。
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つねさん |
はい。
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ジョージ |
売り言葉に買い言葉とかでね。
だけどなんか、始めから、
ケンカしにくるやつもいるよね。
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ノリスケ |
ケンカ腰っていうコミュニケーションの
方法をとれば自分が勝てるっていうふうに
思ってくるだけなんだと思うけどね。
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ジョージ |
そうそうそう。ね。
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ノリスケ |
相手が冷静なところにガーッていっても、
なに? この人、って思われるだけなのに。
激昂したほうが負けてると思う。
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ジョージ |
なんかね。鈴木宗男みたいになっちゃう。
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つねさん |
怒った自分が、勝ってるって思ってるけど、
じつは負けてるんだ。
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ジョージ |
そう。ね。‥‥ケンカ、上手?
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つねさん |
下手!
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ノリスケ |
僕も下手だと思う。
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つねさん |
あの、怒ることに関して、
すごい下手クソだと思う。
あのとき蹴飛ばしゃよかったとか、
殴りゃよかったとかって思って、
そのときできないもん。
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ノリスケ |
いや、それが良いわけじゃないよ。
手出したほうが負けるって思ったほうがいい。
仕事上のケンカは? ケンカなんかしないか。
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つねさん |
しない。しないし、弱い。
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ジョージ |
下手だもんね。
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つねさん |
すごい下手。
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ノリスケ |
ずいぶん昔ね、仕事のやり方について、
苦言を呈したく、どういう方法で言ったら、
その人はいちばんわかるだろうか? って、
ずっと考えながらいたんだけど、
あるとき爆発してしまったことがあって。
でも、なんにも成果はなかった。
机を叩いて怒鳴っても、キョトンだった。
なにをこの人は怒ってるんだと。
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つねさん |
自覚がなかったらもうダメなんでしょ。
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ノリスケ |
自覚がないところに、
ケンカ腰でいったところで、
なんのこっちゃ? 謝れば済むかな?
落ち着きなさい、どうどうどう‥‥って
思われるだけなのよ。うん(笑)。
なんにもいいことはなかった。
怒ったぶんだけ、疲れて損した気がしたよ。
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つねさん |
ああ、俺、怒られたことあるわ。
ケンカじゃなかったけど。
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ノリスケ |
あ、そう?(笑)
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つねさん |
出勤が遅いとかっていって。会社いたころ。
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ノリスケ |
それは普通に怒られますよ。
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つねさん |
いや、でも、ちゃんと時間内だったよ?
新入社員はもっと早く来いとかって、
わけわかんないこと言われたから、
はぁ、とか生返事してたら、
そのあとでまた怒られて。
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ジョージ |
それね、生返事がいけないんだと思う。
人間、怒るきっかけで
いちばん大っきいのって、
無視されたことだもん。
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つねさん |
いや、生返事っていうか、
あ、わかりました、すいませーん、って
いちおう謝ったんだけど‥‥。
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ジョージ |
ほんとは謝ってないからだよね。
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つねさん |
態度は謝んなかったからね。
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ジョージ |
そういうの、伝わるのよ?
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ノリスケ |
だってさ、「はい」は1回っていうのと
同じじゃん。「はいはい」って言うと
ダメなのと同じだよ。
大企業のともだちが言ってたけど、
大会社に若い子が入ってくるときって、
会社というものを知らずに入ってくるんで、
ガツン! と言うしかないじゃない。
昔からいる人は。そういうときに、
学生さんたちはバカにして
「はいはい」って言うから怒るんだよね。
困っちゃうんだよね、
そういうことやられるとね。
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ジョージ |
で、それはね、たぶんね、
自分の心の中でね、どうでもいいから、
いつでもケンカしていいやと思って
そういう態度になるんだと思うよ。
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つねさん |
ああ、そういうの、あったと思う。
ま、ひとつは、なんかやっぱり
納得いかなかったって
いうのがあるんだろうね。
向こうの言ってることが。
あんまり正しくもないと思ったから。
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ジョージ |
こっち側は向こうが言ってることを
心から信じられてるわけじゃないから、
生返事っていうことになっちゃうし、
言ってるほうは言ってるほうで、
いっぱいいっぱいなんだよね、たぶん。
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ノリスケ |
そうそうそう。
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ジョージ |
自分にものすごい自信があるわけでも
ないのに。
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ノリスケ |
役割として怒んなきゃいけなかったりする。
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ジョージ |
そう。だからね、ああ、ここは一発、
その関係をハッキリさせなきゃいけないな、
っていうんで怒るんだと思うんだよ。
で、それは、取っ組み合いはしてないだけの、
ものすごいケンカだよね。と思ったりするの。
うん。ね。ケンカ。
ケンカは上手になったほうがいいよ。
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つねさん |
ね。教えて下さいよ。
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