ジョージ |
だから、今、ケンカしようかなと思って
相談したときに、相談した本人は、
終らせ方なんて考えてないんだよ。
始め方ばっかり考えてるんだけど、
相談した相手は、
終り方を考えてくれたんだよね。
で、今の状態だと終れないから
やめたほうがいいよ、って
言われたんだと思う。
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ノリスケ |
そうそうそう、そういうこと、そういうこと。
まさしくそう。ケンカしたいときって、
そんなこと考えちゃいないからな。
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ジョージ |
そうなんだよ。したいだけだから。
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ノリスケ |
したいだけなんだよ。
冷静に話せばいいものを
なにか言ってやりたいって
気になるんじゃない?
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ジョージ |
うん、で、したいときには、
勝ちたい一心でやるんだよね。
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ノリスケ |
そう。で、勝てると思い込んでる。
こういう戦法でいけば、
勝てるって思い込んでるけど、
それがまちがってるんだよね。
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ジョージ |
そう思う。ケンカって、
べつに勝たなくっても
負けなきゃいいんだけどね。
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ノリスケ |
うん、そうそうそうそう。
冷静な第三者に話すと、
それが見えるんだよね。
交渉上手な人って、
絶対にA案じゃなくって、
B案を隠し持っていて、
相手がこう出てきたら、
ここまでは譲りましょうっていうのを
決めてたりするね。
ケンカをしないで済んでる人って。
で、相談、逆にされるじゃない?
こういうことを考えてて、
この人にこう言おうと思うんだけど、って。
相手がこう言ってきたらどうしますか?
って訊くと、上手な人は、
あ、そのとき、僕はここで譲ろうと思います。
そこを線引きにしますって言うの。
その状態で、何々さん、
じつは僕はこう思うんですけど、
って言い始める。
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つねさん |
いちおう、A案でやってみて、みたいに。
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ノリスケ |
そう。だけどそれに反対する理由が
相手にあるっていうことを想像しといて、
その人がそれを大事にしたいんだったら、
じゃあ、これは呑みましょうとかね。
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ジョージ |
うん、そうだね。そう思う。
僕の周りのケンカが上手な人を見てると、
んー、全戦全勝を狙わない人が、
いちばんケンカが上手だよね。
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ノリスケ |
ほぉ。
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つねさん |
へぇ。
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ジョージ |
負けるときには負けてあげるとか。
完全に勝たないとか。
相手に、どっか逃げ道残しといてあげるとか、
そういうことが上手な人って、
すごいケンカ上手だと思うよ。
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つねさん |
それは上手いね。
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ノリスケ |
ケンカというか、交渉術に近いよね。
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ジョージ |
近いよね。
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ノリスケ |
で、そう、同じことで、
ケンカのつもりはないんだけど、
打ち返しすぎるってよく言われて。
まともに真っ正面から、バコーン! って
打ち返したがるんで。
そうすると、相手はもう1回
打ち返してくるんだから、
1回、後ろにトスするみたいな人に
なったほうが楽だよ、って言われて。
いいですねぇ、ポーンてほうり投げて、
で、あの話どうなったっけ? となったら、
じつはこっちのやりたいことのままに
なってるとか。
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ジョージ |
ああ、ああ。
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ノリスケ |
そういう方法をとったほうがいいのに、
そこで腹が立つんだよ。トスができない。
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つねさん |
トスができない自分に腹が立つ?
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ノリスケ |
ちがうちがう、トスがしたくない。
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つねさん |
したくない自分に?
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ノリスケ |
ううん、したくないだけ。
トスなんかするもんか! と思う(笑)。
打ち返したる! ダイレクトアタックしたる!
とか思うんだよ。
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つねさん |
で、それ、ブロックされてバーンて(笑)。
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ノリスケ |
相手もね、同時にね、三位一体攻撃とか、
ヒョーとか出てきて、キャー!(笑)
これは「アタックNo.1」の話ですけどね。
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ジョージ |
ぬははははは。
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ノリスケ |
八木沢三姉妹がね、出てきたりするんでね。
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ジョージ |
寺堂院高校。
いやだよぉ、まったくほんとに。
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つねさん |
あ、でも、昔つきあってた人と
冷戦みたいなのあったよ。
きっかけは忘れちゃったけど、
4日間言葉きかないとか。
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ノリスケ |
きっかけ忘れちゃってるんだ。
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つねさん |
ぜんっぜんわかんない。
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ジョージ |
で、どうやって終ったの? それは。
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つねさん |
なんか、ぜんぶ俺、折れてた。
面倒くさくなって。
こっちが悪いときもあったと思うし、
悪くないときもあったと思う。なんか。
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ノリスケ |
うーん。
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ジョージ |
うちのお袋が、僕の妹を嫁に出すときに
言ってたのは、
夫婦ゲンカしないような夫婦は
不自然なんだから、そんなものは目指すな、
人間なんだから、一緒に住んで
一緒に生活してたらケンカするもんであって。
ケンカ上手な夫婦になんなさいと。
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ノリスケ |
でないと、もたない。
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ジョージ |
もたない。で、
ケンカしないほうがいいって思ったら、
おたがい我慢しないといけなくなるから、
我慢が続くと、どっかで壊れちゃうんだよね。
で、壊れないように、それこそ、
大地震が起こる前に、
いっぱい小っちゃい地震が起きると、
エネルギーが外へ出るっていうのと
いっしょなんじゃないかな。
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ノリスケ |
夫婦、家族はそうだね。
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ジョージ |
人間関係はそうなんだと思うよ。
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ノリスケ |
恋人もそうなんだろうな。
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つねさん |
やっぱりね、不満とかね、ちがうとか。
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ジョージ |
会社関係も、たとえば、
ワンマン社長がなんでも命令する会社って、
ケンカが起こりようがないもん。
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ノリスケ |
ワンマン社長がワンマンする会社は、
社員同士が仲良かったりするよね(笑)。
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ジョージ |
それは、1対多でもって
ケンカしてるからだよ。
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ノリスケ |
共通の敵がいるから。
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ジョージ |
それが冷戦状態なんだよ。
で、最初は社員がみんな折れてるんだけど、
そのうちほんとに社員が強くなると、
社長がぜんぶ折れなきゃいけなくなって、
下手すると追い出されるの。かわいそう。
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つねさん |
それか、社員がみんな辞めちゃうか。
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ノリスケ |
独立しちゃうみたいな話だよね。
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ジョージ |
そうそうそう。そうだと思う。
弱者同盟になるんだよね。
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ノリスケ |
うん、まあ、あんまりマイナスカードを
振りかざしはしないんだけど、
パワーバランスとしては、社長が強いから、
うん、そういうことだよね。
あのさ、ケンカ、どうやったら上手に終るの?
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ジョージ |
どうやったら終る?
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つねさん |
どうだろう?
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ノリスケ |
自分で折れる?
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ジョージ |
う〜ん。
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ノリスケ |
2人は、ケンカしないのか。ダメか。
例がないな。
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つねさん |
うん、やっぱりなんか‥‥。
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ノリスケ |
僕はね、小っちゃいころに、
すっごい気に入らない友だちがずっといて、
向こうもこっちを気に入らなかったんだと
思うんだけど、2人とも、どっちかというと
勉強が好きで運動が苦手なタイプなので、
力ずくでケンカをするなんてことは
絶対になかったのに、
大ケンカをしたんですよ。
つかみ合い、殴り合いの。
それで、途中でなんだか
わかんなくなっちゃって。
外野は、僕のほうが勝ってたって
いうんだけど、僕の方が泣きだしたの。
それで終っちゃったんだよね。
で、そのあと、仲良くなったんだよ。
よくわからない状況だったけど。
あれ、終らせるきっかけは
自分が泣いたことだった。
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つねさん |
感情出したからとかかな?
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ノリスケ |
ああ、そういうことかな?
こんなことしたくないっていう気持ちを、
泣くっていうことでしか
表せなかったのかもしんないね。
うん。ほんとは仲良くしたいんだ、っていう。
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