つねさん |
おぉ。
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ノリスケ |
はぁ、褒める現場か。
フィットネスクラブって
褒め合わない?(笑)。
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つねさん |
上腕二頭筋がなんたらこうたらで、
っていう?
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ジョージ |
あんた、それはみんなが
ナルだからでしょ?
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ノリスケ |
そうなの、ナルだから。
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ジョージ |
ナルになってるから褒めるんだよね。
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ノリスケ |
僧帽筋がすごいですねぇ、とかね(笑)。
背筋はバキバキですよ、とかね、
えへへ、そうですか? なんて(笑)。
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つねさん |
え〜変なの、それ。
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ノリスケ |
変っちゃ変だけど、やっぱりね、
その世界ではやる気が出るからいいんだよ。
そうかなぁ?
もう一コ重いのやっちゃおかな?
なんてね。
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つねさん |
たしかに褒められたら
やる気は出るよね。
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ジョージ |
ニューヨークでね、
エグゼ系の人が集まってる
フィットネスクラブがあって。
そこはもう、すごいんだって、褒め方が。
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つねさん |
褒め方が?
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ノリスケ |
トレーナーが褒めてくれるの?
人々が褒め合うの?
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ジョージ |
トレーナーが褒めてくれるんだけど、
トレーナーっていわないで、
ヘルスコンシェルジュっていう。
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つねさん |
うははは、すげぇー!
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ジョージ |
それは素敵でしょ?
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ノリスケ |
それ、まちがうとさ、
歌舞伎町あたりで
書いてあるようなことだよね(笑)。
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つねさん |
ヘルスの、コンシェルジュ(笑)。
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ノリスケ |
すごい至れり尽くせりなヘルス(笑)。
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ジョージ |
そう。エグゼの人たちって、
べつに僧帽筋を鍛えたくって
トレーニングしてるわけじゃないんだよね。
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ノリスケ |
ちがうね。うん、ちがいますよね。
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ジョージ |
だけど日本のトレーナーの人って、
僧帽筋を褒めるしか褒め方を知らないから
僧帽筋を褒めるわけよ。
ではどうやって褒めるかっていうと、
たとえば肩の線がきれいになり始めると、
これでアルマーニのジャケットが
似合うようになりますね、
とかって言ってくれるんだって!
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つねさん |
ほおぁーっ!
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ノリスケ |
それはいいっ!
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ジョージ |
女の人たちが一生懸命
有酸素系とかやって汗だくになって、
もうゼイゼイいってると、
これであなたが5年前に着ていた、
あのスカートが
合うようになったかもしれない、
早く家に帰ってそれをためしてみましょう、
って言うんだって。
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つねさん |
すごいね。
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ノリスケ |
はぁー、うまいなぁー。
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ジョージ |
でもそれ言われると、
すぐに帰らないんだよ。
もうあとワンレッスンして、
10年前のサイズを目指しましょうって
思うんだよね。
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つねさん |
そのくらい褒められたら、
オレでもいけるかも‥‥。
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ジョージ |
すごいのは、
会費が高くなればなるほど、
褒め方が念入りになってくるの。
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つねさん |
ほんとコンシェルジュだね。
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ジョージ |
だからそういうのを
日本でやるといいのかな、
なんて思ったりして。
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ノリスケ |
ジョージさんがいらしていた、
エグゼ系のジムが
おありじゃないですか(笑)。
新宿の高いビルの?
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ジョージ |
‥‥ぜんぜんダメです。
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つねさん |
あそこは、ぜんぜん話しかけてこないよね。
挨拶ぐらいで。
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ジョージ |
ぜんぜんダメです。
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ノリスケ |
あ、そう。
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ジョージ |
あの、日本のいわゆる
‘ハイソサエT’
と言われている人たち。
ちょっと今の言い方、
言葉にできるかしら?
ハ〜イソサエティ〜じゃなくて、
‘ハイソサエT’って呼ばれてるとこね。
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つねさん |
あの、抑揚がないっていうやつ?(笑)
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ジョージ |
んーと、いわゆるニセモノ臭いって
いうやつかしら。
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つねさん |
うわ(笑)。
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ノリスケ |
きっとテープ起ししてくれる人が、
上手に起してくれると思います(笑)。
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ジョージ |
ありがとぉ〜。
なんかおごるわ、こんど(笑)。
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つねさん |
はっはっはっは!
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ノリスケ |
だって(笑)。
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ジョージ |
で、もうそこらじゅうで
褒められちゃってるんだよね。
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ノリスケ |
うーん。
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ジョージ |
で、褒められてることに対して、
不感症になってる人たちだから、
変に声をかけるなよと。
で、彼ら的に褒められたいっていうのは、
自分が、週買った腕時計だとか、
今日乗ってやってきた車だとか‥‥。
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ノリスケ |
ジムの中じゃ、関係ないじゃん(笑)。
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ジョージ |
だからジムの中ではぜんぜんもう、
もう、脱ぐとただのおじさんだから。
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つねさん |
だって、黙々ーッとやってるもんね。
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ジョージ |
うん、だってね、サウナとか入るでしょ?
そうすると、1ゴラム2ゴラム3ゴラム
みたいなおじさんたちが、
いっぱいウヨウヨしてるの。
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ノリスケ |
ごめんなさい、ゴラム?(笑)
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ジョージ |
ゴラム。これ、あの、URL張ってください。
中つ国の住人の。
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つねさん |
「ロード・オブ・ザ・リング」の。
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ノリスケ |
あーっ! あれか。
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ジョージ |
ゲロンゲロンっていってしたようなのが、
1ゴラム2ゴラム3ゴラムっていう
単位でもって歩いてるのよ?
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つねさん |
わはははははは。
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ジョージ |
トレーナーとけっこう仲が良くって、
気軽く話しかけるような人たちって、
ほとんどいないの。
おまえらとは世界がちがうんだから、
みたいな感じよね。
間違った階級社会っていうのかしら。
ほんとうのハイクラスという
考え方のなかにはね、
やっぱりひとつの世界を
突き抜けた人っていうのは、
尊敬に値するわけであって。
彼らのアドバイスとか
彼らとのコミュニケーションが必要だから
ジムに行ってるわけでしょ?
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ノリスケ |
うんうん。
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ジョージ |
でも彼らはどうでもいいのよ。
彼らはなにするかっていうと、
自分がトレッドミルの上で歩いてるときに、
汗をおかきになって、
このタオルでいかがですか? って、
その、差し出してくれることを待ってるの。
これはサーバントであって、
トレーナーじゃないわけよね。
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ノリスケ |
そうね。
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ジョージ |
で、そういうふうにしている彼らは、
ヘルスセンターに集まってるじじぃ、
みたいな感じよ。
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ノリスケ |
ほんとね‥‥。
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ジョージ |
で、おばさんたちも、
さすがにジムに入ってくるときには、
あの、顔がないのね。
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ノリスケ |
うん、はいはいはい、
作ってらっしゃらないのね。
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ジョージ |
そう、ないの。
顔がない状態だから、
いないのよ、そこに。
で、たまに、顔のない状態で
ずっとお付き合い
させていただいている方が、
たまたま入口のところかなんかで
顔ができあがってお目にかかるとね、
あ、すごい、この人は
立派でキレイな人なんだ、
お金も持ってるんだって、
はじめてわかるのね。
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つねさん |
いひひひひひ。
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ジョージ |
で、おじさんたちもね、
お風呂に入って出てくると、
どんどんどんどんできあがってくるんだよ。
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ノリスケ |
はぁー。
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ジョージ |
あ、この人はやっぱりなんか、
いい仕事してるのかな、って思うんだけど、
脱ぐと元の木阿弥なの。
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