ジョージ |
でもね、おじさんたちとつきあってるとね、
あの、やっぱりいるの。どんな人にも、
もうひとりの自分がいるの。
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ノリスケ |
うんうんうん、ほんとだよね、
いるはずなんだよね。
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ジョージ |
それで、少なくとも絶対いるんだよ。
ひとりはいるの。
で、誰がいるかっていうと、
やっぱり会社の役職を捨てた、
裸になった自分がいるんだけど、
男ってやっぱり、自分のもうひとりの
人格の中でも、優劣をつけたがるんだよね。
で、どう考えても、日本の今の
普通のサラリーマンやってたらば、
仕事をしている自分と、
スーツを脱いだときの自分を比べたら、
役職は上がって立派になればなるほど、
スーツを脱いだ自分のほうがみじめなんだよ。
これは、うちに戻って、
その、ママとか息子とか
娘がそういうふうにしちゃってるから。
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ノリスケ |
そうだねぇ。
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ジョージ |
みじめなんだよね。
そうすると、その人格は隠したいのよ。
で、若い子たちは、
まだ会社の人格がなくって、
昨日まで学生だった自分の人格の方が
カッコいいから、
そっちで仕事しようとするでしょう?
で、それをおじさんが見ると、
イヤで仕方がないのよ。
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ノリスケ |
うん、うん。
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ジョージ |
ほんとは自分もそうしたいのに、
なんでこんな若造に
自分が、自分が、って言われるんだろう、
と思って、そこを脱がせるんだよね。
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つねさん |
うん。
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ジョージ |
で、そこを諦めれば出世させてやるぞ、
って言うのよ。
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つねさん |
うーん‥‥。
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ノリスケ |
ははははは。
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ジョージ |
で、そうなる子がほとんどなんだよね。
だけど、やっぱり、スーツを脱いだ自分も
カッコ良くしたいなーと思って、
その起死回生の一発の瞬間が、
定年退職なんだよね。
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ノリスケ |
はぁーっ。ずいぶん先ねえ。
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ジョージ |
だから、セミリタイアがどうとかこうとか、
セミリタイアって言葉も、最近、
大嫌いで仕方がないの!
どっちかにしなさいよ! って。
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ノリスケ |
ほんとだ(笑)。
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ジョージ |
セミスイートチョコレートじゃないんだから。
なんかね、失敗しちゃうの、みんな。
だって、昨日まで自分がみじめだった自分を、
今さら褒めてやりましょうっていったって、
褒めれないじゃん?
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ノリスケ |
その瞬間に定年離婚とか
されちゃったりしてね(笑)。
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ジョージ |
そう、定年離婚とかされちゃって。
で、へたしたら、じゃあ何しようって、
ディアゴスティーニかなんか
いっしょうけんめい集めちゃったりとか、
わけわかんなくなったりするわけでしょ?
で、ま、読む雑誌は「サライ」ぐらいしか
ありませんって、「サライ」読んでる‥‥。
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ノリスケ |
せめて「プラチナサライ」(笑)。
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ジョージ |
そう。「プラチナサライ」読めればね。
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ノリスケ |
まだしもね。
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ジョージ |
まだしも。ヘタしたら、
「爽快」とか読んじゃうかもしれない。
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ノリスケ |
「わかさ」とかね。
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ジョージ |
だから、ほがらかさんが持ってる
いろんな人格は、優劣つけてないもんね。
TPOに合わせて。
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つねさん |
どの人を前に出そうかな? って感じだよね。
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ジョージ |
そう。で、女の子も絶対、
男のおじさんが、
男のおじさんしかいないのか、
女のおじさんもいるわ(笑)。
ま、おじさんっていう人が、
その女の人を見て、
君が仕事をする姿勢は中途半端だ、
って言ういちばんの理由は、
そんなに私生活や自分を大切にして、
仕事ができるのか?
っていう言い方なんだよね。
いや、女の子から見れば、
おっさんたち、あんた、
そんなに自分の生活を大切にしないで、
ほんとに仕事ができるの?
っていうふうな見方になるわけさ。
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ノリスケ |
ほんとだよ。
何がいちばん大事だと思ってんの? てね。
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ジョージ |
そう、あなたの人生でしょ?
っていうことになるんだろうけど。
だから、どっちが正しいかっていうと、
絶対これからは、ね、
どっちも、自分の人生も大切だけれども、
仕事も大切という。
時間がいちばん長いわけだから。
そしたら、おじさんたちも
自分の中に抱えてるもうひとつの人格を、
あんまり、卑下しないように、
で、他人に誇れるようにしないと
いけないなと思うよ。
そうすればね、けっこういいもん
持ってると思うんだよね。
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ノリスケ |
そうね、さっき言ったみたいな
ミクシィみたいなのでトレーニングして。
だんたん普通のおじさんが、
こうすればいいんだって
話題を見つけられたら、
こんどその人がパーティー行ったときに、
その方法を使えば。
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つねさん |
そうだね、応用できるよ。
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ノリスケ |
応用できるよね。
で、ジョージさん案のように
ブログ持つのはいいと思うよ。
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ジョージ |
いつもしかめ面をしてるんだけど
オチャメなおじさんとかがいるの。
飲むといい仕事をするとかね。
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ノリスケ |
あ? 飲むといい仕事をする?(笑)
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ジョージ |
飲むといい仕事をするやついるんだよ。
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ノリスケ |
オチャメですね(笑)。
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ジョージ |
ほんっとに真剣に倒れるまで飲んで、
倒れなくてもいいのに
見事に倒れてくれるとかっていうの、
いるんだよね。
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ノリスケ |
あ、そういうことか(笑)。
酔っ払いとしてのいい仕事ね。
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ジョージ |
も、かわいくて仕方がない。
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ノリスケ |
つねさんも飲むといい仕事しますね。
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ジョージ |
飲んでもいい仕事?(笑)
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つねさん |
へへっ。
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ジョージ |
ボク、けっこうハンコとかつくこと多いのよね、
やっぱり。ね。それで最近、
ハンコつくことがイヤで仕方がなくってね。
で、ずっと、あ、ボクのハンコは
めくら判とかって言いながら、
こうやって捺してたんだけど、
最近つまんないのよ、捺すのが。
だから、基本的にボクは
捺すのが嫌いですってこのまえ宣言して、
ボクにハンコを捺してほしかったら
一芸持ってきてっていうことに‥‥。
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つねさん |
はははは! 面白れぇ!
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ノリスケ |
ヘンな上司!
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つねさん |
で、どんな感じだったの?
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ジョージ |
いっしょうけんめい考えてくるよー。
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つねさん |
たとえばどんな感じなの?
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ジョージ |
このまえは、ボク、
こんなに腹が膨らむようになりました、
とかっていって。
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つねさん |
はははははは。
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ノリスケ |
そんなんでいいんだ。
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ジョージ |
そう、大丈夫。だって一芸だもん、面白いもん。
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つねさん |
そうだよね。
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ジョージ |
「一芸さん」って呼んでるんだけど。
だって稟議書って嫌いだから。
稟議書じゃなくって一芸さんって呼んでるのね。
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ノリスケ |
一芸さん(笑)。
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ジョージ |
うちの女の子たちとかも、
稟議書って呼ばないの、ボクの前では。
「常務、一芸さんが来ておりますけど」
「わかった、じゃあ、一芸さん呼んで」
って言うのね(笑)。
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ノリスケ |
オーディション会場みたいな(笑)。
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つねさん |
一芸さま、お通しーって。
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ジョージ |
そうするともう、
みんな仕事してるんだけど、
一芸さんが何するか
いっしょうけんめい見て(笑)。
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つねさん |
あはははははは!
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ジョージ |
今日は何なのかな? って。
そうすると、稟議書の内容は
こうこうこうでこうでこうで、
って言うでしょ。
「うん、わかった、で?」
「腹膨らむようになりました!」
って言って、ボーン! って出るんだよ。
合格! ボーンッ! て
捺してもらったりなんかするの(笑)。
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つねさん |
はははは、面白れぇ。
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ジョージ |
するとみんなが、今のはイケてましたね、
ほんとに、とかって言うの。
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ノリスケ |
あの手は使えないな、
もう、みたいな(笑)。
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ジョージ |
そうそうそうそう。だって、
もうその瞬間にみんなメールでもって、
今日の一芸さんはこうでした、
とかっていってデェーッと。
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ノリスケ |
社内メールが! いいじゃない、とっても。
その稟議書通ったら、その人、
すっごくそれが大事になるもんね。
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ジョージ |
ね。うん、そうなんだよ。
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ノリスケ |
自分のものになるもの、ほんっとに。
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つねさん |
え? それは、否定的な意味で言ってるわけ?
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ノリスケ |
ちがうわよ。
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ジョージ |
中途半端な稟議書とか報告書、減ったよ。
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ノリスケ |
でしょうね。
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ジョージ |
やっぱり一芸つきじゃないと
いけないと思ったらね、すごい。
めくら判を捺さなくて済むいい方法は、
一芸さん!
で、ほんっとに困った人がいたんだよ。
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ノリスケ |
一芸がないばっかりに?
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ジョージ |
おじさんで、真面目で。すんごい困ってんの。
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ノリスケ |
ちゃんとした書類は作れるんだけど?
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ジョージ |
でね、それは、
社長肝入りプロジェクトだから、
ボクもハンコ捺さないといけないんだよ(笑)。
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ノリスケ |
もう捺すのは決まってるんだ。
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ジョージ |
だけど、一芸さんを宣言したから、
どうにもこうにもならないんだよね。
どうしよう? って。ボクも困る。
で、女の子に、何でもいいんだよ、
何でもいいから‥‥。
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ノリスケ |
教えてあげて。
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ジョージ |
そう、来てもらえないか、って。
じゃあ私たちから何か言ってきます、
とかっていって行って。で、来たんだよね。
その翌日にね。一芸さん、参りましたぁ!
とかっていわれて(笑)。
で、その人がこうやって来て稟議書出して。
あ、いいよ、いいよ、もう説明はいいから、
ハンコ捺したいんだけど、一芸は?
っていったら、頭こうやって下げて、
髪の毛ほとんどないの。
で、すっごい髪の毛を大切にしてる人なの。
「どうぞ1本お抜きください!」
って言われて。
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ノリスケ |
ふはははははははは! ひーっ!
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ジョージ |
で、ピーンって1本抜いて、
一芸、ちょうだいしましたーっ!
ハンコ捺して。
その髪の毛、画像を添付ファイルで
社内メール。
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つねさん |
一斉送信、ポーン!
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ジョージ |
たぶんこれはね‥‥。
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ノリスケ |
しばらく遊べる(笑)。
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ジョージ |
そう、これは、たぶん今年、
一芸コンテストをやったら‥‥。
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ノリスケ |
年末に表彰してあげたらどう?
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ジョージ |
うん、するつもり。うん。一芸賞。
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つねさん |
おぉ〜、いいね、それ(笑)。
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ノリスケ |
面白い。
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ジョージ |
いいでしょう?
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つねさん |
へぇ〜。よく考えられたね、それね。
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ノリスケ |
自分がイヤだからよ(笑)。
ハンコ捺したくないから(笑)。
そんなことばっかりしてる人生、
ジョージさんはイヤだもんね。
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ジョージ |
イヤだよ。そう。
稟議書書くほうも楽しいべ。
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ノリスケ |
そんなあなたがついにこの秋、
社長になるのね(笑)。
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つねさん |
はははははははは。
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ジョージ |
やだん〜(笑)。じゃ、社長の一芸は?
とかって言われたらどうしよう?
私はゲイです。言うのかしらぁ?(笑)
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つねさん |
っていうか、就任式、
なんかやりそうでこわいんですけど(笑)。
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ジョージ |
なんかね、みんながすごい期待してるみたい。
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ノリスケ |
だから、電飾つき大階段から
羽根つけて降りてくるんでしょう(笑)。
ぜんぶミュージカルにしちゃえば?(笑)
ミュージカル仕立て。
ジョージママの会長夫人も(笑)。
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ジョージ |
会長夫人は、ゴンドラで登場。
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つねさん |
4曲ぐらい歌うんでしょう?
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ジョージ |
式次第の司会から
ずっと歌とかっていうのもすごいよね。
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ノリスケ |
ぜんぶ歌(笑)。うん、じゃ、
ワハハ本舗に演出頼む(笑)。
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ジョージ |
厭よ! お下劣とへたれだけは
ちょっと勘弁っていうやつ?
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ノリスケ |
もう、いきなりものすごいものを
裸で担いで出てくるのよ(笑)。
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ジョージ |
いやーっ。
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