ジョージ |
5月病っていう発想がね、
どっちかっていうと学校の発想だと
思うのよね。
4月に新学期が始まって、
前のクラスがとっても楽しかったのに
クラス替えになって、友達が誰もいなくて
疎外感受けて、やる気も何にも起きない、
それが5月でしょ? |
ノリスケ |
勉強も難しくなっちゃうし。 |
ジョージ |
学校は確かに4月から
すべてがスタートするけど、
会社ってたとえ新年度が4月でも
すべてが4月からスタートする、
んじゃないんだよね。
たまたま新入社員が入るのが4月だから、
4月がスタートだと思ってるけど、
会社はもう去年の12月から抱えてる
プロジェクトがあったり。
新入社員さんいらっしゃ〜い、
わーって歓迎会して、わーってお花見やって、
みんなすごい楽しい、
私も一緒にがんばろうって思ってるんだけど、
実は会社っていうのは
それ以外の時は去年からのことを
ずっと続けてやってたり、
あるいはもう手待ちの状態で
6月から始まる新しい仕事の準備を
してたりして。だからどうなんだろう、
波に乗れないのが一番の理由なのかな、
と思うよね。 |
ノリスケ |
うんうんうん。 |
ジョージ |
(つねさんに)そういうのってない?
まぁ、あなたの場合にはね、
どんどんどんどん締め切りが
後に後に後に後に行っちゃうからね。 |
つねさん |
(口をヘの字にして、上目づかいで)‥‥。 |
ノリスケ |
ふふふふ。 |
ジョージ |
っていうようなことを言うの、たまに。
そうするとね、一瞬へこむのよ。 |
ノリスケ |
今みたいにね。 |
ジョージ |
そう。
普通ね、へこんだらね、
必死になって遅れを取りかえそうと
するんじゃないかなと思うんだけどね。 |
つねさん |
‥‥。(バスッ、バスっていう音) |
ノリスケ |
殴ってますよ、クッションで。 |
ジョージ |
ぜんぜーん。でもね、
しょんなとこがかわい〜♪ みたいな感じ? |
つねさん |
いや、いいです。がんばろ。 |
ジョージ |
今、真剣な声になった。 |
ノリスケ |
いいんじゃない?
今いくつ締め切りがあるの? |
つねさん |
締め切りはね、2つ。 |
ノリスケ |
近いの? |
つねさん |
近いの〜。 |
ノリスケ |
ははは。締め切りがあるなんていいじゃない。
締め切りってないと大変だよ。
締め切りのない仕事に集中するのって
ほんとうにたいへんよ? |
つねさん |
いや、なかったらダメですよ、ほんとに。 |
ノリスケ |
でしょ? |
つねさん |
やらないもん。 |
ノリスケ |
やらないもんって威張るんじゃない。 |
つねさん |
やれなくなるよ、締め切りがなかったら。 |
ノリスケ |
‥‥締め切りは自分で作るのが、
フリーランスでしょ。 |
つねさん |
いつでもいいですって言われたら
やんないもん。 |
ジョージ |
断言してるし‥‥。 |
ノリスケ |
ま、いつでもいいですっていう
仕事の依頼の仕方がよくないね(笑)。
でもさあ、締め切り伸ばしちゃったら
次の仕事にだってかかわってくるし
自分の評判を落とすだけだし
結局自分にお金が入ってこないからさあ、
ダメじゃん(笑)。 |
つねさん |
そう。今、ピーンチッ。 |
ジョージ |
‥‥!!! |
ノリスケ |
ああ、ジョージさんがソファに
顔を埋めてしまいました(笑)。 |
ジョージ |
どうにかして〜(笑)。
でも、5月病になった経験はないんだよね?
僕もないんだよ。
5月病なんてなる暇も
なかったくらいなんだよね。
‥‥何年病、とかはない? |
ノリスケ |
あったよ。そん時辞めたんだよ、前の会社。 |
ジョージ |
何年めくらいだった? |
ノリスケ |
10年めじゃないかな? |
ジョージ |
ああ。一区切りつけたね、じゃあね。 |
ノリスケ |
つけた。自分でつけなきゃ
ダメなんだと思ってつけた。
でも下手だった‥‥。つけ方が。
辞める理由をネガティブにしか
捉えられなくて、
何かトラブルでも起こさにゃ
辞められんだろうみたいに
ちょっと思っちゃってね。 |
つねさん |
でもちゃんと起こさなかったじゃん。 |
ノリスケ |
起こさなかったけど。 |
ジョージ |
でも、ちょいと自暴自棄になっちゃった? |
ノリスケ |
なった、なった。うん。
部屋は散らかるしさ(笑)。 |
ジョージ |
まあ別にそんなことなくっても
散らかりっぱなしの部屋っていう
噂も聞いたんですけど。 |
ノリスケ |
ええ、ひどいです。 |
つねさん |
知らんけど。 |
ノリスケ |
もっとひどいことに当時はなりました。 |
ジョージ |
そうなんだ。 |
ノリスケ |
あいつが辞めてもしょうがないなって
思われるような雰囲気を作ってたら、
自分の部屋まで荒れました。
辞めやすかった。その方が。引き止めもなく。 |
ジョージ |
引き止めもなかったんだ(笑)。 |
ノリスケ |
「そうか、そういう時期だよな」みたいな。 |
つねさん |
僕も引き止められなかった。 |
ノリスケ |
何年めで辞めたの? |
つねさん |
僕、1年10カ月。 |
ノリスケ |
‥‥早かったね。 |
つねさん |
だって僕はもともとアルバイトで入ったんで。
上京するための資金稼ぎで。 |
ノリスケ |
あ、もう目的がハッキリしてたんだ。 |
つねさん |
うん。目的はハッキリしてました。 |
ジョージ |
で、目的達成したから辞めたんだ。 |
つねさん |
その前に、やりたいことができなかった。
忙しすぎて。結局、仕事が忙しくて
絵が描けなかったんで、まったく。 |
ノリスケ |
で、絵を描く時間を作るためには、
辞めるしかなかったと。 |
つねさん |
ですね。 |
ジョージ |
‥‥今、絵、好きなだけ描いて
いいっていうのにね。 |
ノリスケ |
ねえ。 |
つねさん |
だから辞めたの。 |
ジョージ |
え? |
ノリスケ |
え? 今、今の話よ? |
つねさん |
今? がんばってるよぉ。 |
ノリスケ |
いや、だからさ、
いくらでも描いていいんだよ(笑)。
幸せな職業だよね。 |
ジョージ |
ねえ。ほんとに。どうする?
ちょっと嫌み言ってんのに
ぜーんぜん気づかないの! |
ノリスケ |
ジョージさんはつねさんの仕事の状況を
結構把握してるわけね(笑)?
直接の仕事の関係じゃないんでしょ? |
ジョージ |
ない。 |
ノリスケ |
でもけっこうプライベートな関係の中で
仕事のことをきっちり話すのって偉いね。 |
ジョージ |
話すよ。けっこう、仕事のこと。ね? |
つねさん |
うん。
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