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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

ほがらかなリゾート。その1
あら? ひとりだって、行くわよ?

きょうからお届けするシリーズは、以前、
とある旅の本に“ほがらか出張篇”として掲載された
3人のおしゃべりの、完全版です。
本に掲載されたものとくらべて
5倍くらいの長さで喋っております。
リゾートといえば、あたしたちでしょ?! と、
そりゃあもうはりきって喋っております。
夏休みを前にリゾートへの旅行を計画中のみなさま、
いつかわかんないけどリゾートへ行こうと
思っているみなさま! 
ぜひ、ほがらか的リゾートの楽しみ方を、ごらんください。
ていうか、バリ行く前に読みゃよかった。
ま、とにかく、どうぞ!


ジョージ こほん。今日は襟を正して、
ビーチリゾートを喋り倒したいと思います!
でも、ひとりすごい、
緊張してる人がいるの。
リゾート無縁だっていう人がね。
つねさん ウッス!
ノリスケ そんなことないでしょう?!
つねさんはとてもたくさん
ビーチリゾートに行ってらして、
こうして日焼けもなさってて。
とっても健康的な
感じがするんですけど。
ジョージ この人ね、リゾートは、
苦手というか、
あんまり行かなかったのよね。
つねさん ボク、南よりは
街なかが好きだったから。
ジョージ リゾート行くようになったのは、
ふたりが付き合い始めてからなの。
ノリスケ それまで、そういう指向はなかった?
つねさん なかった、なかった。
ノリスケ 一方でジョージさんは、
普段は多忙なビジネスマンで
いらっしゃるので、
休みを取るのがとっても
たいへんだから、
休めるときにはばっちり休む、
みたいな中の選択肢として
リゾートがあったんでしょう?
ジョージ そう。でも、ボクが「誰かと一緒に」
リゾートに行くようになったのは、
つねさんとからなの。
だから、わりとふたりにとっては、
この5年ぐらいが‥‥
ファースト・ピアリオッドって
いうやつぅ?
ノリスケ んまっ。あと5年すれば、
ファースト・ディケードね。
ジョージ そうそうそう、そんな感じ。
ノリスケ じゃあ、それまでは誰と行ってたのよ。
リゾート。
ジョージ ひとりでわりとテレテレ行ってたよ。
ノリスケ ひとりで行くっていうのはどうなの?
リゾートってね、
ひとりで行って楽しいものなの?
ジョージ んー、でも、リゾートって、何しに行く?
ノリスケ なんにもしないために行くんじゃない?
ジョージ うん、じゃ、ひとりでもいいじゃない?
ノリスケ そりゃそうだけど、でもね‥‥(笑)。
つねさん そこで、「でもね」って、
なにそれ?(笑)
ノリスケ だって、ひとりじゃ、
会話がないじゃないの!
「海がきれいだね」とか
「おいしいね」っていうときに、
ひとりでいるのって、やっぱり寂しくない?
あと、外国の皆さん、
とくに白人の皆さんは、
おふたりとで来てらっしゃる方が
多いでしょう。余計に淋しいわ。
つねさん そういうときっていうのは
現地調達してたの?
ジョージ ううん、ボクひとりだよ。
つねさん ほんとにひとり?
ジョージ ひとり。悦に入るのが好きだったから。
つねさん それ、なに? どゆこと?
そういうとこにいる自分が好き、
ってこと?
ジョージ いろんなシチュエーションを
想定するのよ。たとえば
「逃げてきた私」。
ノリスケ あ、たしかに、リゾートのことを
英語で、エスケープとか、
ハイダウェイとか言うわよね。
ジョージ そうそうそうそう、逃げてくるの。
日常的な都会から逃げて。
つねさん 人間関係から逃げて。
ジョージ 仕事から逃げて。
だから電話が掛からないところに
行きたいわけよ。
あ、あとしつこい男から
逃げるっていうのもあるわね(笑)。
やっぱり逃げていくのには、
舞台設定が必要なわけでしょう?
ノリスケ そうねぇ。
ジョージ 逃げるったってさ、
やっぱり「矢切の渡し」は
イヤなわけじゃない?
べつに心に傷があるわけでも
何でもなくって、だけど、
なんかリセットボタンを押したいでしょ?
で、リセットするときに、
たとえばニューヨークとかに行っちゃうと、
リセットになんないんだよね。
日常と繋がっちゃうから。
つねさん そうだね。
ノリスケ それはそれで、そういう旅も、もちろん、
ジョージさんにはあったわけよね?
ジョージ あるんだよ。だけど、
リゾートに行くときは、なんか、やっぱり
背中にアンニュイをしょってるのよ。
ひとりでリゾートのときには、
何か寂しそうなのがいいの。
寂しげなまま飛行機に乗って
「アテンション・プリーズ」とかって
言われると、短髪なのに後ろ髪を、
こうこう、ピュ〜ンって。
ピュン、ピュンって。
わかるかしら。こう、
ピュ〜ンって引っ張られながら、
向かっていくのよ。海外に。
つねさん ふーん。
ジョージ そういうのって、ない?
つねさん ‥‥。
ジョージ ない? ないわな! ごめんなさいね、
昔の私には、そういうのがあったのっ!
ノリスケ なるほどねぇ〜。
ジョージ そういうのがあったのっ!
ノリスケ 聞いてるわよ。で、ひとりで
向こうに行って、なにしてるの?
結局なんにもしないの?
つねさん 男、調達すんの?
ジョージ ううん、ひとりで本読んだり、歩いたり。
ノリスケ ご飯、寂しくなぁい?
ジョージ ご飯、ぜんっぜん大丈夫だよ?
ノリスケ ほんとぉ?!
ジョージ うん、ご飯、ぜんぜん大丈夫。
ルームサービスでもOKだし。
ノリスケ そりゃそうだ。心の持ちようね!
ジョージ ひとりになりたくて、
ひとりで来たんだったら、
ひとりを楽しめば、いいのよ。
つねさん あ、そっか。寂しくて来たんじゃないと。
ジョージ ひとりになりたかったから来たの。
ノリスケ アメリカ系のリゾートには、
シングル専用のリゾートっていうのが
またあって。
出会い系ホテルというんですか?(笑)
ジョージ あ、ありますっ。ありますっ。
ありますけど、ボク、そういうとこには、
行かない。
つねさん (妙に発音よく)キャリフォーニアとか、
いっぱいあったよね、確かね。
ジョージ キャリフォーニア?
‥‥キャリフォーニアよ!?
どの口が言うのよ?! この口か!
(つねる)
つねさん いやぁ! もぉ、いやぁ!
やめて!(赤面)
ノリスケ 要するにアメリカ人の好きなリゾートには、
いっぱいあるのよね。
カリブにもシングル専用のホテル、
すごくいっぱいあるみたい。
サンダルス系とか。
でもジョージさんの「ひとりリゾート」は、
違ったのね。それこそ、
コンデナンスト・トラベラーとか、
ナショナル・ジオグラフィック・
トラベラーを、夢見がちに見ていると、
リゾートって言葉は
あまり使われてないのよ。
それこそハイダウェイとか
エスケープなのよ。そういう感じでしょう?
ジョージ そ。
ノリスケ エスケープっていうのは、
それこそカルバン・クラインが
オーデコロンにした名前よね。
その言葉がとっても素敵だな、と思ったの。
当時。でも、エスケープとか、
ハイダウェイっていう言葉を
使えるっていうのは、
いかに普段が充実していて忙しいか。
つねさん うんうん、で、リフレッシュしに行くと。
ノリスケ てことは自分にはまだ早いって思ったの。
逃げる、なんてね。
ジョージ 演歌の世界の「逃げる」んじゃ
ないんだよね。
演歌の世界で逃げるのは‥‥。
つねさん 北! 北! 北方面!(笑)
ジョージ 女の場合は男から、
男の場合は借金取りから逃げるのが
演歌の世界なのよね(笑)。
つねさん はははははははは。
ノリスケ それで、ちょっと寒いところに行くのよね。
人はね。
ジョージ そう。そうなんです。

ひとりでリゾートかあ。
ひとりでリゾートなのかあ。
ひとりでリゾートなんだあ‥‥。
つづきます!

ジョージさん、つねさん、ノリスケさんへの激励や感想などは、
メールの表題に「ほがらかな皆さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってくださいね。

2005-06-27-MON

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