ジョージ |
こほん。今日は襟を正して、
ビーチリゾートを喋り倒したいと思います!
でも、ひとりすごい、
緊張してる人がいるの。
リゾート無縁だっていう人がね。 |
つねさん |
ウッス! |
ノリスケ |
そんなことないでしょう?!
つねさんはとてもたくさん
ビーチリゾートに行ってらして、
こうして日焼けもなさってて。
とっても健康的な
感じがするんですけど。 |
ジョージ |
この人ね、リゾートは、
苦手というか、
あんまり行かなかったのよね。 |
つねさん |
ボク、南よりは
街なかが好きだったから。 |
ジョージ |
リゾート行くようになったのは、
ふたりが付き合い始めてからなの。 |
ノリスケ |
それまで、そういう指向はなかった? |
つねさん |
なかった、なかった。 |
ノリスケ |
一方でジョージさんは、
普段は多忙なビジネスマンで
いらっしゃるので、
休みを取るのがとっても
たいへんだから、
休めるときにはばっちり休む、
みたいな中の選択肢として
リゾートがあったんでしょう? |
ジョージ |
そう。でも、ボクが「誰かと一緒に」
リゾートに行くようになったのは、
つねさんとからなの。
だから、わりとふたりにとっては、
この5年ぐらいが‥‥
ファースト・ピアリオッドって
いうやつぅ? |
ノリスケ |
んまっ。あと5年すれば、
ファースト・ディケードね。 |
ジョージ |
そうそうそう、そんな感じ。 |
ノリスケ |
じゃあ、それまでは誰と行ってたのよ。
リゾート。 |
ジョージ |
ひとりでわりとテレテレ行ってたよ。 |
ノリスケ |
ひとりで行くっていうのはどうなの?
リゾートってね、
ひとりで行って楽しいものなの? |
ジョージ |
んー、でも、リゾートって、何しに行く? |
ノリスケ |
なんにもしないために行くんじゃない? |
ジョージ |
うん、じゃ、ひとりでもいいじゃない? |
ノリスケ |
そりゃそうだけど、でもね‥‥(笑)。 |
つねさん |
そこで、「でもね」って、
なにそれ?(笑) |
ノリスケ |
だって、ひとりじゃ、
会話がないじゃないの!
「海がきれいだね」とか
「おいしいね」っていうときに、
ひとりでいるのって、やっぱり寂しくない?
あと、外国の皆さん、
とくに白人の皆さんは、
おふたりとで来てらっしゃる方が
多いでしょう。余計に淋しいわ。 |
つねさん |
そういうときっていうのは
現地調達してたの? |
ジョージ |
ううん、ボクひとりだよ。 |
つねさん |
ほんとにひとり? |
ジョージ |
ひとり。悦に入るのが好きだったから。 |
つねさん |
それ、なに? どゆこと?
そういうとこにいる自分が好き、
ってこと? |
ジョージ |
いろんなシチュエーションを
想定するのよ。たとえば
「逃げてきた私」。 |
ノリスケ |
あ、たしかに、リゾートのことを
英語で、エスケープとか、
ハイダウェイとか言うわよね。 |
ジョージ |
そうそうそうそう、逃げてくるの。
日常的な都会から逃げて。 |
つねさん |
人間関係から逃げて。 |
ジョージ |
仕事から逃げて。
だから電話が掛からないところに
行きたいわけよ。
あ、あとしつこい男から
逃げるっていうのもあるわね(笑)。
やっぱり逃げていくのには、
舞台設定が必要なわけでしょう? |
ノリスケ |
そうねぇ。 |
ジョージ |
逃げるったってさ、
やっぱり「矢切の渡し」は
イヤなわけじゃない?
べつに心に傷があるわけでも
何でもなくって、だけど、
なんかリセットボタンを押したいでしょ?
で、リセットするときに、
たとえばニューヨークとかに行っちゃうと、
リセットになんないんだよね。
日常と繋がっちゃうから。 |
つねさん |
そうだね。 |
ノリスケ |
それはそれで、そういう旅も、もちろん、
ジョージさんにはあったわけよね? |
ジョージ |
あるんだよ。だけど、
リゾートに行くときは、なんか、やっぱり
背中にアンニュイをしょってるのよ。
ひとりでリゾートのときには、
何か寂しそうなのがいいの。
寂しげなまま飛行機に乗って
「アテンション・プリーズ」とかって
言われると、短髪なのに後ろ髪を、
こうこう、ピュ〜ンって。
ピュン、ピュンって。
わかるかしら。こう、
ピュ〜ンって引っ張られながら、
向かっていくのよ。海外に。 |
つねさん |
ふーん。 |
ジョージ |
そういうのって、ない? |
つねさん |
‥‥。 |
ジョージ |
ない? ないわな! ごめんなさいね、
昔の私には、そういうのがあったのっ! |
ノリスケ |
なるほどねぇ〜。 |
ジョージ |
そういうのがあったのっ! |
ノリスケ |
聞いてるわよ。で、ひとりで
向こうに行って、なにしてるの?
結局なんにもしないの? |
つねさん |
男、調達すんの? |
ジョージ |
ううん、ひとりで本読んだり、歩いたり。 |
ノリスケ |
ご飯、寂しくなぁい? |
ジョージ |
ご飯、ぜんっぜん大丈夫だよ? |
ノリスケ |
ほんとぉ?! |
ジョージ |
うん、ご飯、ぜんぜん大丈夫。
ルームサービスでもOKだし。 |
ノリスケ |
そりゃそうだ。心の持ちようね! |
ジョージ |
ひとりになりたくて、
ひとりで来たんだったら、
ひとりを楽しめば、いいのよ。 |
つねさん |
あ、そっか。寂しくて来たんじゃないと。 |
ジョージ |
ひとりになりたかったから来たの。 |
ノリスケ |
アメリカ系のリゾートには、
シングル専用のリゾートっていうのが
またあって。
出会い系ホテルというんですか?(笑) |
ジョージ |
あ、ありますっ。ありますっ。
ありますけど、ボク、そういうとこには、
行かない。 |
つねさん |
(妙に発音よく)キャリフォーニアとか、
いっぱいあったよね、確かね。 |
ジョージ |
キャリフォーニア?
‥‥キャリフォーニアよ!?
どの口が言うのよ?! この口か!
(つねる) |
つねさん |
いやぁ! もぉ、いやぁ!
やめて!(赤面) |
ノリスケ |
要するにアメリカ人の好きなリゾートには、
いっぱいあるのよね。
カリブにもシングル専用のホテル、
すごくいっぱいあるみたい。
サンダルス系とか。
でもジョージさんの「ひとりリゾート」は、
違ったのね。それこそ、
コンデナンスト・トラベラーとか、
ナショナル・ジオグラフィック・
トラベラーを、夢見がちに見ていると、
リゾートって言葉は
あまり使われてないのよ。
それこそハイダウェイとか
エスケープなのよ。そういう感じでしょう? |
ジョージ |
そ。 |
ノリスケ |
エスケープっていうのは、
それこそカルバン・クラインが
オーデコロンにした名前よね。
その言葉がとっても素敵だな、と思ったの。
当時。でも、エスケープとか、
ハイダウェイっていう言葉を
使えるっていうのは、
いかに普段が充実していて忙しいか。 |
つねさん |
うんうん、で、リフレッシュしに行くと。 |
ノリスケ |
てことは自分にはまだ早いって思ったの。
逃げる、なんてね。 |
ジョージ |
演歌の世界の「逃げる」んじゃ
ないんだよね。
演歌の世界で逃げるのは‥‥。 |
つねさん |
北! 北! 北方面!(笑) |
ジョージ |
女の場合は男から、
男の場合は借金取りから逃げるのが
演歌の世界なのよね(笑)。 |
つねさん |
はははははははは。 |
ノリスケ |
それで、ちょっと寒いところに行くのよね。
人はね。 |
ジョージ |
そう。そうなんです。
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