女子の時代、しろうとの時代。その7 オレはハモン・セラーノ。 |
|
ノリスケ | なんか聞いたんだけど、 ジムの女性のロッカールームって ものすごい散らかるんだって。 |
つねさん | あ、そうなんだ? |
ジョージ | すごいんだって。聞いた。 |
ノリスケ | むしろ男子はきれいだそうです。 |
つねさん | あ、だって、なんもすることないもん、 着替えるだけで。 |
ノリスケ | 男子はせいぜい、ちょっと、 傍若無人な人が土足で入ってきたり、 借りたウエアをぽーんと置いたりはするけど、 ゴミは出ない。 |
つねさん | 女子は出まくり? |
ノリスケ | 一部、ひどいらしいと聞きました。 そうじゃないところもあるだろうけれど。 |
ジョージ | 僕、ゴミを出す人は大っ嫌いかもしんない、最近。 |
ノリスケ | エコなことをおっしゃいましたね。 |
ジョージ | あのね、ゴミが出る分には仕方がないんだけど、 ゴミを散らかす人っていうのはね、きれいじゃない。 どう考えても。 たとえばコンビニのおにぎり買って食べます? |
ノリスケ | 基本的に食べないです。 |
ジョージ | コンビニでおにぎりを食べると、 食べ終わったあと、 化石燃料の塊、加工品の塊が いっぱい出るんです。 |
ノリスケ | ああ、しゅわしゅわしたものがね。 |
ジョージ | そう。だけど近所のおにぎり屋さんで買った おにぎり食べると そこまでは、ゴミが出ないんだよね。 ゴミがいっぱい出るのって、 ほんとは食べちゃいけないもんなんじゃないかな、 って思って、最近。 |
ノリスケ | おにぎりを買うっていうのもそもそもちょっと、 ずっと違和感があって。 そうは言っても、慣れちゃったんだけどね。 あれは家で作って持ってくるもんだろと ちょっとほんとは思ってるとこがあって、 古い人間でございましょうが(笑)。 |
ジョージ | 今日もこうやってパン食べてるけど、 もともと、ヨーロッパ行って出てくるパンって 取り皿も何もなくて テーブルの上にころっと置くもんね。 ああ、これ、美味しい、 やっぱりカスタードって美味しい。 |
ノリスケ | アンズとカスタード? |
ジョージ | アプリコ。 だって、砂糖、バター、小麦粉、 バター、バター、バター、小麦粉、 バター、バター、小麦粉、 卵、砂糖、アプリコ、砂糖、砂糖、 砂糖、バターだから! しあわせー。いいんだ、体に悪くっても、 地球にいいことだったらいいとしよう、 みたいな(笑)。 |
つねさん | よくわかんないですけど(笑)。 |
ジョージ | (子どもの泣き声がふたたび) ‥‥何でファミレスに行かないんだろう、 あの人たちは? |
つねさん | おしゃれな朝食を楽しんでいるんだよ。 |
ノリスケ | むこうもこっち見て 「なに、おっさん3人、へんなの」 って思ってるかもよ? |
ジョージ | でも大声で泣いてはおりませんでしょ。 おしゃれな朝食の中には 静かで清々しい空気と 大人の会話があるべきであって、 子どもの泣き声は必要ないの。 ここのパンを子どもと一緒に食べたかったら 買って帰ればいいのにね。 ところで、最近、愛の方はどうですか? |
ノリスケ | なにその質問。 もしなんかあっても、 ふたりには言わないことにする。 なに言われるかわかったもんじゃないから! と言いつつ、すっかり枯れてます。 |
ジョージ | 悲しいー。 |
つねさん | 立ち枯れでいこう。 |
ジョージ | 立ち枯れ日本。 |
ノリスケ | 立ち枯れ日本、いいね。 立ち上がれじゃなくてね。 |
ジョージ | うん。でもね、あれよ、干物、 干物って別に乾いてるわけじゃないのよ。 |
ノリスケ | アミノ酸増えてますからね。 |
ジョージ | 生の状態よりも一夜干しがおいしいのよ。 だから、多分ね、20、30代の生々しい、 なんか体液どろどろみたいな感じの、 |
つねさん | なんて表現なの(笑)。 |
ジョージ | その愛が終わって、ほどよく枯れたのよ。 ね。だから生干し。 一夜干し人生、 これから一夜干しを目指せみたいな。 |
ノリスケ | でも一夜干しは その日のうちにお召し上がりいただかないとね、 ほんとはね。 |
つねさん | そっか。それから数日続いたらほんとに枯れちゃう。 |
ジョージ | でも、でも生よりは長持ちするから。 |
ノリスケ | 保存可能? |
ジョージ | で、干物もちょっと頼りないなあと思ったら 一挙に鰹節まで行けばいいのよ。 鰹節だったら10年もつからね。 |
ノリスケ | ひと様のお役に立ちましょう。 |
ジョージ | そう。生えたカビすら味という。 |
つねさん | じゃ、オレはハモン・セラーノ。 |
ノリスケ | 何、それ、何、それ、人を干物扱いして。 自分は生ハム? |
ジョージ | 若干枯れて熟成が行き届いてはいるけれども、 まだ脂でツヤツヤしてるみたいな、 って感じかしら。ね。 |
つねさん | ね、相変わらずだもんね。 |
ジョージ | 相変わらずよ。相変わらず。 それで、全然ね、頼りにならないところも 相変わらず! |
ノリスケ | 毎回、同じ話ね、それね。 |
ジョージ | でも最近、思うことにしたの。 |
つねさん | 何を? |
ジョージ | いろいろ、いろいろありはしたけれど、 やっぱりね、甘えさせてもらえる人がいるって 幸せだなと思って。ね。 あなたも甘えてるけどね。 |
つねさん | 俺は甘えてるよ。 |
ジョージ | たとえば、この人、ほんとうにね、 あの、北半球一甘え上手かもしれない。 |
ノリスケ | 日本一革靴が似合わず、北半球一甘え上手。 |
ジョージ | (笑)。 |
つねさん | そう。 |
ノリスケ | すごい。 |
ジョージ | 甘え上手なんだけど、 人のことを頼りにしないのよ。 |
つねさん | え、してるよ、俺。 |
ノリスケ | 心だけはね。 |
ジョージ | たとえば、たとえ、 ひと言も頼りにしてるからとかって言われないもん。 で、僕も頼りにしてるとは言えない相手だし、 言わないようにしてるし。 それがありがたいのかなと思って。 頼りにすると約束しなきゃいけないじゃん。 |
つねさん | ああ。 |
ジョージ | で、約束が果たせないと 2人の関係は壊れるのよね。 |
つねさん | ああ。 |
ジョージ | だけど甘えるのは約束じゃないから、 何にも僕、果たさなくていい。 |
ノリスケ | 素敵。 次の「ほぼ日手帳」に入れてくださーい。 |
つねさん | (笑)。 |
ジョージ | だからすーごい救われてるの。 それでね、自分も甘えたい気持ちが ものすごく強いときに、 僕より上手に甘えてくれる人が横にいるとね、 まあね、お手上げよね。 |
つねさん | え、そうなの? |
ノリスケ | 人が買い物してると、 自分が物欲なくなるようなもんですね。 |
ジョージ | それそれそれそれ。 あら、やられたわみたいな。 (子どもの泣き声) ちょっと念、送るわね。 静かにな〜れ、静かになりなさい。 (泣き声、やむ) |
ノリスケ | あんた、こわいわ。 |
(熟成系ですか。 それにしても臆面もなく仲がいいなあ。 すごいことだと思うんだけど。 次回、このテーマの最終回でっす。) |
2010-12-30-THU