ボーズ |
ちょっと、本棚の整理、続けていい? |
── |
どうぞどうぞ。 |
ボーズ |
このへんのものも問題あるんだよ。
なんつーの、この、
ムック(雑誌以上、書籍未満の、
写真が多く使われている本)? |
── |
ああ、ムックかあ。わあ、微妙。 |
ボーズ |
微妙だよね、これね。高級感あるし、
捨てるときに罪悪感がある。 |
── |
うんうんうん。 |
ボーズ |
なんか、情報がこう、かたまりになってて、
「とっといてよ」っていうつくりなんだよね。
週刊誌や雑誌とはぜんぜん違う。 |
── |
週刊誌は、だから、その、
きっかけだけが問題だったんだよね。
いつ捨てるんですか、っていう。 |
ボーズ |
うん、そうだね。 |
── |
ムックになると、捨てること自体が‥‥。 |
ボーズ |
そうなのよ。 |
── |
あの、「保存版」とかって
わざわざ書いてあったりするじゃない? |
ボーズ |
そうそう(笑)。
保存版もクソもないんだけどさ、
本自体に「保存版」って言われちゃうとねえ。
1年ごとの総まとめだったりね。
2000年版だったり2001年版だったり。 |
── |
うちにもありますよー。
なんかさ、時計のムックとかある。 |
ボーズ |
あー。グッズ関係ね。
ぜんぶ載ってるみたいなのがあるじゃん?
スニーカーとかさ。 |
── |
Zippoとかね。 |
ボーズ |
あれ、ずるいよね。 |
── |
ずるい。 |
ボーズ |
「どうして欲しいんだ?」みたいな。 |
── |
で、永久保存版とか言うわりに、
しょっちゅう出んだ、ああいうのは。 |
ボーズ |
出る出る出る(笑)。
「スニーカー大全」とかっていうのが、
何冊もあったりね。
へたしたら半年後ぐらいにまた出たりする。 |
── |
ちょっと、具体的に見ていきましょうか。 |
ボーズ |
ムックはね、このへんぜんぶそうかも。 |
── |
ああああ、
こりゃまた見事な半端ムックシリーズだ。 |
ボーズ |
半端ムックだねえ(笑)。
「NBAスーパースター」とか。
読まねー、こんなの。見直さねー。 |
── |
意外にクルマの本があったりしますね。
なにこれ? 「レビン」のムック?
すっげえ、似合わない感じ。 |
ボーズ |
あはははははは。これ、あれだ。
『グランツーリスモ』(レースゲーム)
やるためにわざわざ買ったんだった(笑)。 |
── |
あ、攻略用の資料だったんだ(笑)。 |
ボーズ |
『グランツーリスモ』やってて、
「レビンってどんなクルマ?」って思って、
買っちゃったんだよね。 |
── |
こっちには、バイクの本もありますね。 |
ボーズ |
原チャリにちょっとハマったときがあってさ。 |
── |
あ、そうなんだ。 |
ボーズ |
これ、自分が乗ってる原チャリなんだけどね。
カスタムのしかたとか、手入れのしかたが
詳しく書いてあるんだよ。
ま、ほとんど見やしないんだけど。 |
── |
でも、ときどき見たくなるんだろうなー。 |
ボーズ |
そうでしょ? なんかそそるでしょ?
でね、こんなふうに本格的に
バイクをカスタマイズする人には
俺は絶対ならないんだけど、
実際やってる人にはちょっと憧れるじゃん? |
── |
うんうんうん、
エンジン、バラバラにしたりとかね。 |
ボーズ |
そそそそそそ。
俺自身はエンジン、バラしたりしないんだよ。
だいたいそんなことできないし、やる暇もない(笑)。
だけど、なんかその、こういう暮らしは、
やっぱり妄想というか憧れとしてあるわけ。
俺もいつかこういうことを、
自分ちのガレージで! なんて(笑)。 |
── |
あー、思う思う! |
ボーズ |
あるよねえ。そういう思いの集合体みたいな本。 |
── |
あるある。うちにも、
「湘南に住む!」みたいな本がある(笑)。 |
ボーズ |
うははははははは!
住まないから、湘南! |
── |
実際、住むとなったら、
必要なのはそういうムックじゃなくて
住宅情報誌だよなあ(笑)。 |
ボーズ |
そうだよ(笑)。 |
── |
たしかに、ムックって困るよなあ。
‥‥しかし、この、
「チョロQ大図鑑ボリューム2」は
捨ててもいいんじゃないですか? |
ボーズ |
ああ、これね(笑)。
でも、これも、思いの集合体なんだよ。
「憧れ本」の一種なの。 |
── |
あ、そうなの? |
ボーズ |
なんかさ、こういうさ、
自分でぜんぶは集めやしないけど、
「集まってるところは見たい」
っていうのがあるのよ。
なんか、あの、スターウォーズのボトルキャップ、
ぜんぶそろいました、みたいなのと同じで。 |
── |
あー、そういう「憧れ」かあ。 |
ボーズ |
見ると気が済むから買っちゃう、
みたいなのってあるんだよね。
それ買うと、もうそろえなくていい、みたいな。 |
── |
疑似コンプリートだ。 |
ボーズ |
そうそうそう、疑似コンプリート。 |
── |
そっか、俺、フィギュアとか
あんまわかんないけど、そういうものか。 |
ボーズ |
うん、そうなの。
だから、これを見たら、もういいわ、
みたいになれるんで
買っちゃう的なところってありますよね。 |
── |
はははははは。
でも、いろんなカタログとかって
そういう側面はあるね。
「これ、いいなぁ」とか、
「これ持ってたらこうして」みたいな。 |
ボーズ |
うん、そうそう、もう妄想の世界ですよね。
で、日本はいまそれ、
すっごい進んでんじゃない?
雑誌でも、なんでも。 |
── |
うんうんうん。 |
ボーズ |
みんな、やった気、やった気、みたいな。 |
── |
もしくは、いつかやるぞ、とか、
いつか手に入れるぞ、みたいな。 |
ボーズ |
この「チョロQ大図鑑ボリューム2」は
まさに、そういうものなんだよねえ。
だから、あながち不必要ともいえない。 |
── |
‥‥でもこれ、
「ボリューム3」が出たら買うの? |
ボーズ |
‥‥わかんない。 |
── |
ははははははは! |
ボーズ |
わっかんないな〜、それは。
これ、「ボリューム2」の時点くらいで、
もう飽きてた感じはあるね。 |
── |
半端だなあ(笑)。 |
ボーズ |
あと、このへんの「犬ムック」も微妙だね。 |
── |
ああ、犬の本。
けっこうありますねえ。 |
ボーズ |
もう、ほかの犬を飼うつもりないから、
いらないっちゃいらないんだけどね。
「犬のカタログ2000」、
「愛犬ファミリー2001」。 |
── |
「2002」はないね。 |
ボーズ |
「2002」はね、もうね、飽きたんだよ。
さすがにもう同じだから。年ごとに犬が
めちゃめちゃ新しくなるわけじゃないし(笑)。 |
── |
あのさ、さっきから本棚見てると、
法則があるんだけど(笑)。
ボーズさん、ムックのシリーズって、
「1」と「2」までは買ってるのよ。
で、「3」が出るころには飽きてる(笑)。 |
ボーズ |
あー! そうかも!
「3」は、もういいかな? って(笑)。 |
── |
で、飽きてんだったら、
そこで「2」も「1」も捨てればいいじゃん。
でも「1」と「2」は持ってるんだよ(笑)。 |
ボーズ |
そうだね。うんうん、そうね。
あと、「3」が出るころには、
ムックじゃなくて
ちゃんとした書籍を買ってたりね。
犬も、図鑑を買ったから、
もうムックはいらないんだよ。 |
── |
ああ、それがあれば、
ムックは必要ないもんね。 |
ボーズ |
あ。キレイに結論が出たね。
これ、いらないわ、いらない。
「犬のカタログ2000」は捨てよう。 |
── |
ちょっと待ってよ、「2000」だけ? |
ボーズ |
そう「2000」はいらない。
あっ! 「2001」もいらないわ! |
── |
そうそうそう(笑)。 |
ボーズ |
おお、なんだか調子出てきたぞ。
納得しながら捨てられる。 |
── |
ようやくこのコーナー本来の趣旨に。 |
ボーズ |
だね、だね。 |
── |
そのへんのスポーツ関係のムックも
整理しちゃいましょうよ。
「Number」も捨てるわけだし。 |
ボーズ |
そうだよね。こういうのね。
「スーパースターとその時代」みたいな、
いかにもあとで読み返せそうなものね。 |
── |
「Number」の法則に従うなら、
読み返せそうなものほど‥‥。 |
ボーズ |
読み返しゃしないんだ。
「あとはあとで読むぞー」とか思うけどね。 |
── |
そうそう。2、3コつまんで読んでね。
「お、これはじっくり読めますね」っていって、
棚にしまって忘れてしまう、と。 |
ボーズ |
そのとき読んだのしか、
読んでないんだよ、やっぱり。
ジョーダンとマラドーナはそのとき読んで、
「あ、ベーブ・ルースとグラフは、今度読もう!」
って思うんだけどね。読んでないわ、実際。
うわ、中田が若いなー、これ。 |
── |
ほんとだ。何年ですか? |
ボーズ |
これ、2000年ぐらいじゃないかな。
捨てよう、捨てよう。
「NBAイヤーブック2000」、
「NBAイヤーブック2001」、
このへんも怪しいなあ。 |
── |
なんか地層みたいになってるね。
‥‥ん?
2000年とか2001年とかって、
この手の本、ずいぶん買ってるね。
ボーズさんのなかの「アーカイブ力」が
強かった時期なのかな? |
ボーズ |
あー! そういう時代だったかも。 |
── |
今年はそういう本が‥‥。 |
ボーズ |
あんまりそういうもん買ってないね。 |
── |
「2002」も少ない感じがするよ。 |
ボーズ |
うん、このへんが最後だったのかも。
だってさ、このへんの時期って、
めちゃくちゃ出たわけじゃない?
「なんとか2000」とか「なんとか2001」が。 |
── |
あ、そっかそっかそっか!
「2000年だ!」とかっていってね。
20世紀最後の、とか。
21世紀最初の、とか。 |
ボーズ |
そうそうそう。
で、それで、たぶんそういう、
まとめたものが出やすかったんだと思う。
で、ぼくみたいな人が「おお!」と思って
出るたびに買って、3年経ったいま、
ガクッと気持ちが萎えてきてるんだよ。
「このまま溜めてどうするんだ?」
っていうことに、3年目だか、3冊目で、
ようやく気づいてきてるというか。 |
── |
はっはぁ〜。
「2000年のアーカイブ・ラッシュ」が
「2003年のアーカイブ地獄」になって。 |
ボーズ |
そうそうそう。
そういうことがね、ひいては、
この連載が始まったきっかけ、みたいな。 |
── |
そっか。端を発してんのはそこか! |
ボーズ |
そこだよね。
「2000年問題」だったんだね。 |
── |
「2000年問題」だったんだ、この連載(笑)。 |
(続きますよー)