明日に向かって捨てろ!!
〜ボーズの脱アーカイブ宣言〜

第41回『伝説のチャンピオン』




── さっき、本棚で
気になるものを見かけたんですけど。
ボーズ んん?
── あれですよ。
ボーズ あ、あれね。チャンピオン。
少年チャンピオン。
── 見ればわかりますよ。
ていうかさ、これ、いつのだ?
ボーズ ええと、わ、1977年だ。
── すっげえ。どこで見つけたの?
ボーズ いや、なんかふつうに古本屋に
ポンと置いてあって。やべえって。
── いや、これ、いちばんやばいころでしょ?
ボーズ そうなんだよ。古本屋で見つけて、
やべえ、このときすごいって思って。
このときの、
この号のチャンピオンを覚えてる、くらいの。
── うんうん。またこれ、状態いいなー。
ボーズ そうそう。けっこう、
きれいに残ってたんだよ。
── 読んでたなあ。
いや、ほんとにこのころの
チャンピオンはすごかったよ。
ボーズ 超すごくてびっくりするよ。
こんなにぜんぶが当たり、みたいな
雑誌があっていいのかっていうくらいに。
── びっくりするよね、ほんとに。
だいたいさ、
『ドカベン』と『ブラック・ジャック』が、
毎週連載されてるんだからさ。
ボーズ すごいよね。
── それだけで1000円くらい払っていいでしょ。
ボーズ すごいよね。恐いよね、もう。
だって、そんで『がきデカ』あるでしょ。
── 『750ライダー』あって。
ボーズ で、『マカロニほうれん荘』も
やってるんだよ、このとき。
── うわーー、もう、
『ドカベン』と『ブラック・ジャック』と
『マカロニ』で2000円くらい払う。
ボーズ そりゃ高いだろ(笑)。
── ちなみにいくらなの?
このころのチャンピオンは。
ボーズ ええとね‥‥ひゃ、170円。
── おいおいおいおい!
ボーズ おいおいおいおい!
── ままま、物価も違いますけどね。
ボーズ それにしたってねえ‥‥。
── さり気なく萩尾望都って書いてあるよ。
ボーズ 『エコエコアザラク』もあるよ。
── これ、ちょっと、
目次を読み上げますよ。
ボーズ ははははははは。
── え〜、それじゃ読みます。敬称略。
『がきデカ』山上たつひこ、
『ドカベン』水島新司、
『マカロニほうれん荘』鴨川つばめ、
『ゆうひが丘の総理大臣』望月あきら、
『ブラック・ジャック』手塚治虫、
『750ライダー』石井いさみ、
『百億の昼と千億の夜』萩尾望都‥‥。
すっげえなあ。
ボーズ そんで、
『くたばれ!とうちゃん』の
とりいかずよしがいて、
『月とスッポン』を
柳沢きみおが描いてて‥‥。
── 『しまっていこうぜ!』吉森みき男。
このマンガ、絵を見ると、絶対、
「読んだ、読んだ」って思うよね。
ボーズ 思う思う。そんで、あとは、
『花のよたろう』がジョージ秋山。
ここで『エコエコアザラク』! 古賀進一。
── そのあとが、
『チョッキン』吾妻ひでお!
ボーズ なんにも捨て曲ないよ、みたいな。
── ベスト盤じゃん、これ。
ボーズ あはははは。ほんとだよね。
目次見ながら何杯でも飯食えるわ、
みたいな話になってくるよね。
── 食える食える(笑)。
ボーズ これが毎週だもんなあ。
── そんで170円。
ボーズ あはははははは。
── ちょっと、なかをのぞいてみましょうか。
ボーズ はいはいはい。
── あ、『ドカベン』は信濃川だ。
ってことは1年春の大会、準決勝。
ボーズ あーー、このころかあ。
── 里中がつき指するところ。
コミックスでいうと29巻あたり。
このケガがきっかけで
サトルボールが生まれるんだよね。
ボーズ キミ、くわしすぎ。
『マカロニ』は第15話だって。
はじまったばっかか。
── ああ、いいなあ。絵が荒れてないころだ。
ボーズ 「セックスピストルズ」とか
さりげなく書いてあるね。
── 『マカロニ』の扉って、変でよかったよねえ。
ボーズ わ、ほんとに1話完結だよ、
『ブラック・ジャック』!
── すげーー。はじまって、終わってる(笑)。
ボーズ 毎週毎週これって、あり得ないよね(笑)。
恐ろしいわ。怖すぎだよね。
だって、1日とか2日で考えるんでしょ?
この話を。考えられないよ。
── しかも、当時の連載って、
絶対、これだけじゃないでしょ、手塚先生。
ボーズ 怖いよね、プレッシャーないのかなあ。
あり得ないよ。
── 『ブラック・ジャック』、何ページあんの?
1話で終わるってことは相当な量?
ボーズ 意外と少なかったりするんじゃない?
ええと、1、2、3、4‥‥。
22! 22ページ!
こんだけでこんなややこしい話を
完結させてんだ!
── すっげーーなあ。ていうかさ、
ここのところ、この回の
クライマックスじゃん?
ボーズ 短っ! これって、すごいよね。
で、エンディングが1コマとかだ。
── いまの漫画なら、
ここで1話、ここで1話って感じだよね。
ボーズ 行くよね。ほんとだよね。言えてる。
だから、手塚治虫の漫画は、
そういう意味ではざくざく進み過ぎて、
芸術的な表現に行かなかった、
っていう話もあるんだよね。
── ああ、なるほどね。
ボーズ もっといっぱい詰め込めるのに、みたいな。
── そっか、そっか。
それをきちんと描いていくと、
『MONSTER』みたいになるんだ。
ボーズ そうそうそう。いや、でも、
1週で終わらせちゃうこれも
すっげえんだけどね!
── ほんとにすごい。ていうか、
いまどき「手塚治虫がすごい!」って
延々語ってるオレらってどうよ(笑)。
ボーズ バカじゃん。何を言ってんだ(笑)。
── ぜんぜん関係ないけど、オレ、
いっぺん手塚治虫先生とすれ違ったことがある。
ボーズ うっそ、マジで?
── 広島に住んでた時に、
広島国際アニメーションフェスティバル
っていうのがあってね、
たぶんそれの審査員かなんかで
いらっしゃったんだと思うんだけど。
ある日、学校帰りに通りを進んでたら、
道の向こうから、どーーーう見ても
「手塚治虫!」っていう人が歩いてきたの。
ボーズ あはははははは。
なに? ベレー帽かぶって?
── そそそそそ。まさにあのベレー帽。
そんで、あのメガネかけてて、あの丸い鼻。
ボーズ マンガだ、マンガだ(笑)。
── これはどの角度からどう眺めても手塚治虫、
みたいな人だったんだよ。
ボーズ いい経験だなあ。
── 当時は高校生でさ、
「あ、手塚治虫だ」くらいの感じで、
すれちがって終わりだったんだけれども。
いま思うとさあ、なんかこう、
「いつも読んでます」くらい、
ほんっとに言っとけばよかったと思って。
ボーズ いえてるね。惜しいねえ。
── うん。感謝しておけばよかった。
ちなみに同じ通りで
オレはイカンガーを見てる
ボーズ あははははははは。
── しかし、このころのチャンピオンはすごい。
ボーズ ここまですごかったマンガ雑誌ってないよね。
オレら世代にとってはピークだと思うなあ。
── よくさ、「昔はよかった」的な
ことを言ったりするけど‥‥。
ボーズ 言うけども、これはないでしょ、実際に。
「昔はよかった」でしょ、胸を張って。
── うん(笑)。
ボーズ だって、いまだったら、
ほうぼうの雑誌にバラついてる人たちが
全員集まってるみたいなもんだからね。
── しかも、その、
バラバラな感じがいいんだよね。
この、個々の差がさ。
ボーズ うんうん。この個性(笑)。
みんなが勝手なことをやってる。
── 『ガキデカ』のあとに
『ブラック・ジャック』。
ボーズ 勝手なことをやってる
天才がいっぱいいるみたいな。
── すごいよね。いまの雑誌ってさ、
なんか、カラーがあるじゃない?
ボーズ そうだね、ジャンプっぽい感じとかね。
ヤンマガっぽい絵みたいな。
── そうそうそうそう。
ボーズ このころのチャンピンは
バラバラでそれぞれがすごいんだよなあ。
いや、これは、捨てられないよ。
いくら捨てる連載だといっても、
これを捨てられるもんじゃねえよ
っていう話でしょ。
── これは、とっといてください。
こればっかだなあ(笑)。
ボーズ あ、でもこういうものが
どんどん溜まってきたら、
うちはどうすればいいいんだ?。
── このチャンピオンが
いっぱい溜まってきたら、
もうしゃーないでしょ。
ボーズ しゃーないんだ(笑)。
それでいいのか、記事担当として。
── よくない(笑)。でも、捨ててほしくない。
ボーズ 捨てないけどね。本棚さがして、
マンガ特集やってもいいかもね。
── ああ、いいかも。
でも話し出すとキリがないよ。
ボーズ キリがないね(笑)。
話すだけでもいいんじゃない?
── でも、やってみたいな。
『ドカベン』特集と『ドラえもん』特集は
楽勝でできるでしょ。
ボーズ 楽勝、楽勝(笑)。
しかも、高尚に語るんじゃなくて、
すっげえ、低い次元で。
── 「バイバイン、怖え!」とか、
「不知火、速え!」とか。
ボーズ そうそうそう(笑)。

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2004-12-07-TUE

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