京都
「知りあいの宿」を
つくろう。
夏休み、京都は案外空いている。




お盆を迎えて、暑さが厳しい毎日ですね。
京都でも、朝早くから
蝉がジンジン鳴いているそうです。
河原町通や四条通には、
抹茶ソフトや宇治金時など、
冷菓の店が軒をつらねていて、
日中の暑い時間帯には、並ぶほどの大人気。
数ある甘味処のなかで、
ほぼ日の「知りあいの宿」サカベさんの
おすすめのお店って、どこでしょう?
今日は、東山の見どころと、
あまいもののお話ですよ。

── 話はちょっとちがうんですけど、
京都のあまいもの、と言えば、
印象的なのが「あめ」の呼び方。
京都の人は、よくキャンディーのことを
「あめちゃん」と呼びますよね?
そうですね、よく驚かれるんですけど、
ごくふつうに
「あめさん」とか「あめちゃん」と言います。
親しみのあるお寺についても、
「きよみずさん(清水寺)」
「やさかさん(八坂神社)」
などと呼んだりしますね。
── 「さん」づけする、有名どころのお寺や神社は、
京都の東側に集まっていますよね?
京都にはじめて来はるんやったら、ぜひ
東山で1日をすごしていただきたいですね。
花見小路(はなみこうじ)あたりには
古い町並みを残すために指定された
保存地区がありますし、
高台寺(こうだいじ)に抜ける
石塀小路(いしべこうじ)にも
ぜひ足を踏み入れていただきたいです。
タイムスリップをしたみたいに、
京都の情緒を味わっていただけると思いますよ。
── 近くには、
八坂神社円山公園(まるやまこうえん)も
ありますね。
八坂の塔を眺めつつ、
ねねの道二年坂三年坂(産寧坂とも書きます)を
通って、清水寺へ至る、と。
京都を見るには、
欠かすことのできないエリアですね。
有名どころばかりですけど、あそこらへんは、
やっぱりいいですよ。
のーんびり、歩いていただきたいです。
八坂の塔で有名な法観寺(ほうかんじ)には、
重要文化財の五大力尊の仏像や曼荼羅図があります。
ここの仏像は、とっても味わい深いんですよ。
でも、ここは不定休で、開けては閉める、
休みがわからへんところです。
法観寺の仏像を見たい方は、
ぜひ電話をしてから行ってくださいね
(電話番号は075-551-2417です)。
8月15、16日は無料拝観できるそうですよ。
あと、一年坂というのも、短いですが、あります。
── 八坂神社から清水寺までは、
距離はそんなになさそうですけれども
「坂」というからには、暑そうですね。
石畳みと石段のゆるやかな上りですから、
しんどくはありませんよ。
でも、ひと息入れたくなったらねぇ、
ここらへんには、とっておきの
「あまいもん」を出す店がたくさんあるんです。
── おお、やっぱり、かき氷ですか?
濃い宇治茶をたっぷり使った、
宇治金時かなぁ(うっとり)。
そうですよ〜。
鉢からこぼれ落ちるくらいこんもり盛られて、
つべとおて(註:冷たくて)、
ちゃんとほろにがい京都・宇治の抹茶を使った、
宇治氷です。
いろいろとおすすめのお店があるんですけどねぇ、
やっぱり、二年坂周辺でしょうね。
── 観光名所としては三年坂のほうが有名ですけれども、
甘いものねらいなら、二年坂なんですね?
ええ。イチおしは、かさぎ屋さんです。
ちいさいお店なんですが、おいしいですよ。
スプン(註:スプーンのことをこう発音します)を
入れると
それだけでハラハラ落ちるくらい、
こんこんに氷が盛ってあって。
で、氷をこぼしたら、店のおばちゃんに
「あんじょう食べや」
と、ジロッと見られるんです。
── そうなんですか?
それは、ちょっとビクビクしますね。
そんなことはないですけど、
やっぱり「おぜんは汚したあかん」のですねぇ。
つくえがネトネトになったら、具合わるいでしょう。
「銀閣」の森が、ここに食べに行ったときも、
氷をこぼしてねぇ、タオルをもらったりして、
ジロリと見られてました。
そうなんですよ。
ちょっと小ちゃくなったりして。
でも、そういうことも楽しい、
こじんまりしたお店ですから、
行ってみてくださいねぇ。
ぼくはあそこの宇治金時が好きです。
わたしは、ぜんざいがおすすめです。
あんが絶品です。
お口なおしに山椒の実がまたよろしい。
── 夏にぜんざいとは、
汗が吹き出ますね。
暑いときにハフハフ言うて、食べるんが
またええんですよ。
かえって涼しゅうなるんですよ、ほんま。
‥‥ほんならね、夏らしく、
ところてんはどうですか?
── 京都といえば、ところてんは
「黒みつ」で
食べるんですよね。
そうです。
関東の方は、お酢でめしあがるんですよね。
たしかに夏は、お酢のほうが
さっぱりしていて、いいかもしれないです。
二年坂近くの文の助茶屋では、
お酢のところてんも出していますよ。
ここのお酢はまろやかで、食べやすいです。
もちろん、黒みつもためしていただきたいですけど。
── ところてんと黒みつって、
相性はいいんですか?
そうですねぇ、わたしらは小さいときから
黒みつで食べていましたから、
それがあたりまえなんです。
お酢のほうが、違和感あるくらいですよ。
でも、同じ黒みつを味わうんやったら、
やっぱりくずきりですね。
── くずきりは鍵善良房(かきぜんよしふさ)が
有名ですよね。
あそこには行ったことがありますが
のどごしがツルツルっとして、
涼しくなります。
吉野の本葛をつかった、
こしのあるくずきりです。
よく冷えていて、
暑い季節に、ほんまにうれしいですよね。
とにかくあそこは大人気です。
── ええ。観光客も地元の人も来ていて、
店は満員でした。
並んで待ちましたよ。
そうでしょう、そうでしょう。
じつはね、鍵善には、
高台寺店もあるんですよ。
高台寺のほうのお店は比較的空いています。
ぜひ、行ってみてください。
── それは、知らなかったです!
今度からそうします。
あと、二年坂には、
オトキノコという、音を売るおもしろいお店が
あるんですよ。
── 音を売る?
ええ、サイのおならの音とかが、
CDになっていて、聴けるんです。
以前フジテレビの「ウゴウゴルーガ」の
プロデューサーだった藤原和通さんが
やってるお店なんですよ。
アートディレクターは、祖父江慎さん。
あそこでしか聴けない音がたくさんあるので、
子どもや外国の人に人気です。
ご家族連れやカップルの方も、
みなさん、よう笑ろうてはりますよ。


オトキノコ店内。
かわいいマシンで、試聴ができます。
── うまく想像ができませんが、
おもしろそうなお店ですね!
へぇ、行ってみよう。
三年坂を上って
清水寺に着きましたら、
まずは有名な「清水の舞台」まで行ってくださいね。
奥には縁結びの地主神社もあります。
長いひしゃくで水を飲む
音羽の滝などもありますので、
清水寺ではひと息ついて、
ゆっくりしていただきたいですね。
お寺の中のお茶屋さんで
もあまいものを出していますよ。
「きよみずさん」から、京の町を見下ろして
わらび餅をめしあがるのもいいと思います。


「清水の舞台」には、
釘が一本も使われていないんですよ。
── 夕焼け空なんかだと、最高ですねー!
そのあとゆっくり坂を下りて、
夜の先斗町(ぽんとちょう)や
祇園にくり出すと、いいですね。
清水寺は、8月14〜16日のあいだだけ、
夜9時くらいまで拝観できるそうなんですよ。
あと、高台寺でも8月10〜18日まで
夜間の拝観をしています。
高台寺は、北政所(ねね)が
豊臣秀吉を弔うために建てたお寺です。
桃山時代の、ひとあじ違ったつくりの庭園が
ライトアップされます。
あとは、甘味処としては、
河原町(かわらまち)のほうになりますけど、
地元の人に人気で寒天がめっちゃおいしい月ケ瀬
かき氷とみたらし団子の梅園もおすすめです。
── わー、胃はひとつしかないので、迷いますね。
ところで、サカベさん、
読者の方から質問が来ています。
「『旅館 銀閣』には、部屋に
 バスタオルはついているのでしょうか?」

たしかに、
一泊や二泊で気軽に出かけようというときに、
この「バスタオル問題」は、
カバンの大きさを左右する、重要事項ですね。
そうですね!
「旅館 銀閣」では、
バスタオルはご用意しております。
また、アメニティグッズには
シャンプー、リンス、ブラシ、歯ブラシ、
歯磨き粉、シャワ−キャップ、
男性用にはひげそりも入っていますので、
どうぞ身軽で、おいでください。
ただ、ご存知のとおり京都は蒸し暑く、
日中は日差しもありますので、
帽子、日傘などは忘れずにご持参下さいね。


きれいな女将さんが
出迎えてくれますよ。
── 暑いからこそ、
ひやっこい甘味は、魅惑です。
何にしようか迷うところですが、
気のむくままに、ハシゴしましょう!
次回は「京都にて涼む」をテーマに
お話したいと思いま〜す。
どうぞおたのしみに!

渡辺真理さんの、お気に入り甘味処

ほぼ日で「マリーな部屋」
連載中の渡辺真理さんが
『極上の京歩き』という本のなかで、
お気に入りの京の甘味処をご紹介なさっています。


『極上の京歩き』
(ネコ・パブリッシング)
1,143円(税別)
amazon.co.jpでのご注文はこちら


ほぼ日乗組員あまいもん情報

FROM通天閣あかり
あまいもんやったら、聞いてくださいよ。
まずは、出町柳(でまちやなぎ)にある、
豆餅の「出町ふたば」
いわゆる、豆大福のテイクアウトのお店ですが、
行列ができるほどの人気なんですよ。
出町柳は鞍馬や貴船に行くときの起点になる場所ですから、
ぜひ、寄ってみてください。
あとは、今宮神社のなかにある、あぶり餅
2軒の店が向かい合ってしのぎを削っていますが、
どっちもいける。空いてるほうに行ってください。
味わったことのない味ですよ!
めっっっっちゃおいしいです。

FROMハリー
京都を歩くとわかると思いますが、
やたら目立つのが
「からふね屋」(正式にはからふね屋珈琲店)
というコーヒー屋さんと、
「志津屋(しづや)」というパン屋さんです。
やたらあります。
からふね屋は基本的に24時間営業ですから、
夜通し遊んだときには、たよりになるお店です。
志津屋は京都駅の八条口(新幹線発着の出口)
にもあります。
あんぱんやカスクートなど、
けっこうおいしいです。
時間のないときの食事に、便利だと思いますよ。

FROMスガノ
おすすめは、嵐山にある桜餅屋さんです。
京福嵐山駅から歩くと、渡月橋の手前にあります。
道明寺のおもちを桜の葉に包んだもの
(あんは入っていない)と、
道明寺のおもちをあんでくるんだもの
(「赤福餅」のような)の
2種類があります。
道明寺だけを葉でつつんだほうは通ごのみ、
あんでくるんだほうは、一般的かな?
このさい、両方食べましょう!
そして、京都に行ったら
ぜひ食べていただきたいのが生麩です。
「麩嘉(ふうか)」という、
麩で有名なお店があるのですが、
ここの麩まんじゅうはおいしいですよ!
本店は堀川丸太町付近にあります。
ただし、日もちがしないので、
おみやげには不向きかもしれません。

2003-08-12-TUE

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