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話はちょっとちがうんですけど、
京都のあまいもの、と言えば、
印象的なのが「あめ」の呼び方。
京都の人は、よくキャンディーのことを
「あめちゃん」と呼びますよね? |
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そうですね、よく驚かれるんですけど、
ごくふつうに
「あめさん」とか「あめちゃん」と言います。
親しみのあるお寺についても、
「きよみずさん(清水寺)」
「やさかさん(八坂神社)」
などと呼んだりしますね。 |
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「さん」づけする、有名どころのお寺や神社は、
京都の東側に集まっていますよね? |
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京都にはじめて来はるんやったら、ぜひ
東山で1日をすごしていただきたいですね。
花見小路(はなみこうじ)あたりには
古い町並みを残すために指定された
保存地区がありますし、
高台寺(こうだいじ)に抜ける
石塀小路(いしべこうじ)にも
ぜひ足を踏み入れていただきたいです。
タイムスリップをしたみたいに、
京都の情緒を味わっていただけると思いますよ。 |
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近くには、
八坂神社や円山公園(まるやまこうえん)も
ありますね。
八坂の塔を眺めつつ、
ねねの道、二年坂、三年坂(産寧坂とも書きます)を
通って、清水寺へ至る、と。
京都を見るには、
欠かすことのできないエリアですね。 |
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有名どころばかりですけど、あそこらへんは、
やっぱりいいですよ。
のーんびり、歩いていただきたいです。
八坂の塔で有名な法観寺(ほうかんじ)には、
重要文化財の五大力尊の仏像や曼荼羅図があります。
ここの仏像は、とっても味わい深いんですよ。
でも、ここは不定休で、開けては閉める、
休みがわからへんところです。
法観寺の仏像を見たい方は、
ぜひ電話をしてから行ってくださいね
(電話番号は075-551-2417です)。
8月15、16日は無料拝観できるそうですよ。
あと、一年坂というのも、短いですが、あります。 |
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八坂神社から清水寺までは、
距離はそんなになさそうですけれども
「坂」というからには、暑そうですね。 |
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石畳みと石段のゆるやかな上りですから、
しんどくはありませんよ。
でも、ひと息入れたくなったらねぇ、
ここらへんには、とっておきの
「あまいもん」を出す店がたくさんあるんです。 |
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おお、やっぱり、かき氷ですか?
濃い宇治茶をたっぷり使った、
宇治金時かなぁ(うっとり)。 |
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そうですよ〜。
鉢からこぼれ落ちるくらいこんもり盛られて、
つべとおて(註:冷たくて)、
ちゃんとほろにがい京都・宇治の抹茶を使った、
宇治氷です。
いろいろとおすすめのお店があるんですけどねぇ、
やっぱり、二年坂周辺でしょうね。 |
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観光名所としては三年坂のほうが有名ですけれども、
甘いものねらいなら、二年坂なんですね? |
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ええ。イチおしは、かさぎ屋さんです。
ちいさいお店なんですが、おいしいですよ。
スプン(註:スプーンのことをこう発音します)を
入れると
それだけでハラハラ落ちるくらい、
こんこんに氷が盛ってあって。
で、氷をこぼしたら、店のおばちゃんに
「あんじょう食べや」
と、ジロッと見られるんです。 |
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そうなんですか?
それは、ちょっとビクビクしますね。 |
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そんなことはないですけど、
やっぱり「おぜんは汚したあかん」のですねぇ。
つくえがネトネトになったら、具合わるいでしょう。
「銀閣」の森が、ここに食べに行ったときも、
氷をこぼしてねぇ、タオルをもらったりして、
ジロリと見られてました。 |
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そうなんですよ。
ちょっと小ちゃくなったりして。
でも、そういうことも楽しい、
こじんまりしたお店ですから、
行ってみてくださいねぇ。
ぼくはあそこの宇治金時が好きです。 |
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わたしは、ぜんざいがおすすめです。
あんが絶品です。
お口なおしに山椒の実がまたよろしい。 |
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夏にぜんざいとは、
汗が吹き出ますね。 |
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暑いときにハフハフ言うて、食べるんが
またええんですよ。
かえって涼しゅうなるんですよ、ほんま。
‥‥ほんならね、夏らしく、
ところてんはどうですか? |
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京都といえば、ところてんは
「黒みつ」で
食べるんですよね。 |
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そうです。
関東の方は、お酢でめしあがるんですよね。
たしかに夏は、お酢のほうが
さっぱりしていて、いいかもしれないです。
二年坂近くの文の助茶屋では、
お酢のところてんも出していますよ。
ここのお酢はまろやかで、食べやすいです。
もちろん、黒みつもためしていただきたいですけど。 |
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ところてんと黒みつって、
相性はいいんですか? |
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そうですねぇ、わたしらは小さいときから
黒みつで食べていましたから、
それがあたりまえなんです。
お酢のほうが、違和感あるくらいですよ。
でも、同じ黒みつを味わうんやったら、
やっぱりくずきりですね。 |
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くずきりは鍵善良房(かきぜんよしふさ)が
有名ですよね。
あそこには行ったことがありますが
のどごしがツルツルっとして、
涼しくなります。 |
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吉野の本葛をつかった、
こしのあるくずきりです。
よく冷えていて、
暑い季節に、ほんまにうれしいですよね。
とにかくあそこは大人気です。 |
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ええ。観光客も地元の人も来ていて、
店は満員でした。
並んで待ちましたよ。 |
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そうでしょう、そうでしょう。
じつはね、鍵善には、
高台寺店もあるんですよ。
高台寺のほうのお店は比較的空いています。
ぜひ、行ってみてください。 |
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それは、知らなかったです!
今度からそうします。 |
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あと、二年坂には、
オトキノコという、音を売るおもしろいお店が
あるんですよ。 |
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音を売る? |
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ええ、サイのおならの音とかが、
CDになっていて、聴けるんです。
以前フジテレビの「ウゴウゴルーガ」の
プロデューサーだった藤原和通さんが
やってるお店なんですよ。
アートディレクターは、祖父江慎さん。
あそこでしか聴けない音がたくさんあるので、
子どもや外国の人に人気です。
ご家族連れやカップルの方も、
みなさん、よう笑ろうてはりますよ。
オトキノコ店内。
かわいいマシンで、試聴ができます。 |
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うまく想像ができませんが、
おもしろそうなお店ですね!
へぇ、行ってみよう。 |
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三年坂を上って
清水寺に着きましたら、
まずは有名な「清水の舞台」まで行ってくださいね。
奥には縁結びの地主神社もあります。
長いひしゃくで水を飲む
音羽の滝などもありますので、
清水寺ではひと息ついて、
ゆっくりしていただきたいですね。
お寺の中のお茶屋さんで
もあまいものを出していますよ。
「きよみずさん」から、京の町を見下ろして
わらび餅をめしあがるのもいいと思います。
「清水の舞台」には、
釘が一本も使われていないんですよ。 |
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夕焼け空なんかだと、最高ですねー! |
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そのあとゆっくり坂を下りて、
夜の先斗町(ぽんとちょう)や
祇園にくり出すと、いいですね。
清水寺は、8月14〜16日のあいだだけ、
夜9時くらいまで拝観できるそうなんですよ。
あと、高台寺でも8月10〜18日まで
夜間の拝観をしています。
高台寺は、北政所(ねね)が
豊臣秀吉を弔うために建てたお寺です。
桃山時代の、ひとあじ違ったつくりの庭園が
ライトアップされます。
あとは、甘味処としては、
河原町(かわらまち)のほうになりますけど、
地元の人に人気で寒天がめっちゃおいしい月ケ瀬、
かき氷とみたらし団子の梅園もおすすめです。 |
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わー、胃はひとつしかないので、迷いますね。
ところで、サカベさん、
読者の方から質問が来ています。
「『旅館 銀閣』には、部屋に
バスタオルはついているのでしょうか?」
たしかに、
一泊や二泊で気軽に出かけようというときに、
この「バスタオル問題」は、
カバンの大きさを左右する、重要事項ですね。 |
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そうですね!
「旅館 銀閣」では、
バスタオルはご用意しております。
また、アメニティグッズには
シャンプー、リンス、ブラシ、歯ブラシ、
歯磨き粉、シャワ−キャップ、
男性用にはひげそりも入っていますので、
どうぞ身軽で、おいでください。
ただ、ご存知のとおり京都は蒸し暑く、
日中は日差しもありますので、
帽子、日傘などは忘れずにご持参下さいね。
きれいな女将さんが
出迎えてくれますよ。 |
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暑いからこそ、
ひやっこい甘味は、魅惑です。
何にしようか迷うところですが、
気のむくままに、ハシゴしましょう!
次回は「京都にて涼む」をテーマに
お話したいと思いま〜す。
どうぞおたのしみに!
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