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日当たりのいいところや早咲きの桜は、
もう咲いています。
今年は特に、場所によって咲く時期が
極端にちがうようなかんじですよ。 |
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京都で桜といえば、
300本の染井吉野が並ぶ哲学の道や
真如堂(しんにょどう)の古桜、
たくさんの種類の桜が咲き誇る
円山公園(まるやまこうえん)、
そして五重の塔を枝垂れ桜が彩る
醍醐寺(だいごじ)などが有名ですね。
お寺以外の、
たとえば嵐山や鴨川の川べりでも、
京都の桜って、まったく風情がちがうような
気がするんです。
サカベさん、
「ここはおすすめ!」というお花見の場所を
教えていただけませんか? |
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うーん。むずかしいですね。
桜の名所として有名な場所は
それなりに全部すてきやし。
でも、個人的なところでいうと、
花見というのはアレですね、
ファーとなれるかどうか。 |
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‥‥ファー? |
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桜って、ひじょうに
かおりがあるんですよ。
桜湯、桜餅なんかを思ってみてください。
豊かな匂いがするでしょう。 |
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そうですね。でも、そういえば花見のときに
桜の木の間近で匂いをかいだことって、
あんまりないですね。 |
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桜を遠目に見て楽しくおしゃべりするのも
とてもいいんですけれども、
私は花を目の前でブァーと見たい!
かおりを楽しみたい!
そして、ファーとなりたい。
そういう観点からおすすめの場所を
挙げてみましょう。 |
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では、ベストファーコース3連発で
お願いいたします。 |
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まずは、船岡山(ふなおかやま)ですね!
大徳寺(だいとくじ)の近くなんですが、
そこに建勲神社(けんくんじんじゃ)という
神社がありまして、ここの桜は、いいです。
桜のにおいもたちこめて、
完全にファーとなります。
目の前に桜が広がって、
花びらがひらひらとただようのです。
まず、お昼間はここで
とくと桜をたのしんでください。 |
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はい。 |
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そして、船岡温泉という名の、
欄間がとてもみごとな銭湯で
夕方にひとっ風呂、はいかがでしょう。
湯冷めせんようにね。 |
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おお、そこは有名な老舗銭湯ですね。
天井に木彫りで
鞍馬天狗が彫られているという。
貸しタオルや貸しせっけんもあるようです。 |
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そこでゆっくりしはったら、
こんどは夜の桜を眺めにいきましょか。
西大路通までちょっと西に歩けば、
平野神社があります。
桜がライトアップされていて、
おでんがあって、いいんですよ。 |
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サカベさん、たしか名月の回でも
おでんのことをおっしゃっていましたね。 |
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あら、そうでしたか!
やっぱりおでんは重要ですねぇ。
あとはやきとり、あつかんの露店も
出ると思います。
ここのたこやき、おいしいよ! |
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たのしそうですね。 |
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わりにワイワイしていて夜の宴会ムードですが、
八坂さん(八坂神社)やほかの名所とくらべれば
混んでいないし、
比較的おだやかにたのしめると思います。
グループで行かれる場合は
ゴザの貸し出しもありますが、
平野神社さんに
予約をしておいたほうがいいですね。
ここも桜の木が近いからファーとなりますよ。 |
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うーんうーん、いい「桜の一日」ですね! |
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ではもうひとつ、負けないくらいの
よい一日をご紹介!
京都国立美術館あたりから
琵琶湖疎水が流れていますが、
蹴上浄水場のインクラインなど、
疎水べりの桜は、すばらしいんですよ。
川に沿って、桜がドームのようになっています。
まさにファーポイントです。 |
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山科(やましな)に至るあたりですね。
新幹線で東京から京都に着く寸前に、
パッと桜が見えるところがあるんですが。 |
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そうそう、そこです!
到着寸前とはいえ、新幹線の速さから
見えるなんてすごいですよね。
それから、疎水の川べりをずーっと歩いて、
山科の毘沙門堂(びしゃもんどう)に
行ってみてください。
境内に枝垂れ桜の古木があります。
ここは人も少ないし、じっくり楽しめますよ。
まさに「庭に咲く桜」というかんじで、
私はここ、ほんまに好きなんです。
そしてさらに‥‥。 |
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さらに? |
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5000〜12000円と、少々お値段が張りますが、
近くに「長島」という
会席のお食事どころがあります。
ここは、お庭に桜があって、
座敷からの眺めが、もう‥‥(無言)。 |
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ファーっと?
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ファー‥‥。
ものすごくよろしいのですが、
一日に3客さんしか取らないお店なので、
お越しになりたい方はぜひサカベまで
お問い合わせくださいね。
とくに「昼」が桜がきれいで、おすすめですよ。 |
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はああ。
ファーとなってきました。 |
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(‥‥実際に桜を見てへんのに?)
えーっと、ベスト3ですよね。
あとは、通称「花の寺」勝持寺(しょうじじ)も
背の低い桜で極上のファーやし、
鴨川の北側の、
枝垂れ桜のトンネルもみごとだし。 |
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じゃあ、サカベさんが毎年行くところは? |
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え? 私が?
言うていいんですか? |
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どうぞ、ぜひ、どうぞ。 |
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京都でいちばんちっちゃいんちゃうやろか、
というような神社があるんです。
そこは、繁昌神社(はんじょうじんじゃ)
といいます。 |
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なんだか、すごくいい名前の神社ですね。 |
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「繁昌」という名は、日本唯一
ここの神社にしかつかないらしいですよ。
悪縁を切り、良縁を結ぶ、商売繁盛!
あまり言いたくないけど、
‥‥(小声)ご利益あるんですよ。 |
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(小声)そうなんですか! |
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(小声)そうなんです!
今まで周囲には内緒にしてましたが
正月にも必ずおまいりをしてるんです。
それから高木珈琲というコーヒー屋さんで
コーヒーをゆっくり飲みます。
フレンチトーストもおすすめ! |
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あの、サカベさん、
まだ桜が1回も出てきていませんが。 |
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はいはいお待たせしました、
次に花を見に行きます。
菅原道真公生誕の地、
菅大臣神社(かんだいじんじんじゃ)です。
大木の桜がみごと!なんですよ。
そこでひとしきり桜をながめます。
地元の人しか行かないような小さい神社ですが、
つるつるの牛が目印です。 |
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つるつるの牛。 |
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みんながさわってつるつるになった牛です。
菅原道真は学問の神様ですから、
この牛のおでこをなでて、
「記憶、記憶‥‥」とつぶやく、
と、こういうことです。 |
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4月のスタートに、いいコースですね。 |
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まさにうってつけです。
菅原道真公の産湯の井戸もあるそうなんですが、
私、しょっちゅう行っているわりには
井戸を発見できていないんですけどね。
‥‥きっとそれは、花にファーと
なっているからかもしれませんね。
サカベさんの予測では、4月3日ごろが
いちばんの見ごろではないか、とのことでした。
現在の「知りあいの宿」特別宿泊料金は
3月31日までですが、
4月からも「知りあいの宿」はつづきますよ!
(料金はオンシーズンの設定となりますが
「ほぼ日」特別料金になります)
京都の春が、みなさまをお待ちしています。
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